医療保険の保険料、みんなはいくら払ってる?年代・年収・家族構成ごとの平均をチェック!

医療保険

医療保険は多くの人が加入していますが、支払っている保険料はまちまちです。

「ほかの人はいくらくらい払っているの?」
「我が家の保険料は高すぎる?」

そんな疑問にお答えするため、この記事では年齢や年収などに応じた平均値をご紹介します。

また、保険料だけにとらわれない、自分に合った医療保険の選び方についても解説していますので、あわせてチェックしてみてくださいね。

医療保険の保険料は平均いくら?相場は?

医療保険の保険料の相場は、いくらくらいなのでしょうか。

そもそも医療保険に入っている人は何割?

その前にまず、医療保険に入っている人がどれくらいいるのか確認しておきましょう。

生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(2019年度)」によると、疾病入院給付金が支払われる生命保険に加入している人は「73.1%」でした。

同調査では、病気やケガで治療や入院が必要になったときのために、何らかの方法で経済的に備えている人が「85%」となっています。そのなかには預貯金や損害保険で備えている人もいますが、医療保険や医療特約の付いた生命保険で備えている人が「73.1%」と多数派を占めました。

生命保険の保険料の平均値

実は、医療保険だけの保険料を取り上げた統計は現状ありません。そのため、医療保険だけでなく死亡保険や個人年金保険などほかの生命保険も含んだ数値をご紹介します。

生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査(2021年度)」によると、1世帯あたりの生命保険加入件数は平均「約4件」、それらに支払う保険料は年間およそ37万1,200円(つまり月額「約3万1,000円」)でした。

全体の平均は上述のとおりですが、世帯主の年齢や年収、家族構成などによっても多少差が見られます。どのような傾向があるのか詳しく見ていきましょう。

【年代別】保険料の平均値

世帯主の年齢別の平均値は、以下のとおりです。

【世帯主年齢別】 【世帯の生命保険料合計】
29歳以下 年間21.49万円(月額およそ1.79万円)
30~34歳 年間26.24万円(月額およそ2.19万円)
35~39歳 年間38.24万円(月額およそ3.19万円)
40~44歳 年間34.78万円(月額およそ2.9万円)
45~49歳 年間37.5万円(月額およそ3.13万円)
50~54歳 年間43.23万円(月額およそ3.6万円)
55~59歳 年間43.59万円(月額およそ3.63万円)
60~64歳 年間38.43万円(月額およそ3.2万円)
65~69歳 年間43.61万円(月額およそ3.63万円)
70~74歳 年間33.73万円(月額およそ2.81万円)
75~79歳 年間31.39万円(月額およそ2.62万円)
80~84歳 年間28.64万円(月額およそ2.39万円)
85~89歳 年間35.83万円(月額およそ2.99万円)
90歳以上 年間25.58万円(月額およそ2.13万円)

(出典:生命保険文化センター「

支払っている保険料が最も少ないのは「29歳以下」の世代です。同調査によれば、この世代は医療保険の加入率もほかの世代に比べて低めです。

生命保険文化センターの別の調査では、保険に入ったきっかけとして「結婚」「子の誕生」「近親者や友人の病気・ケガ・死亡」など挙げる人も多くいました。

20代以下の保険料の少なさは、単に「若いうちに加入したから安い」ということだけでなく、若くてまだ病気やケガが身近でない、独身で養っている家族がいないなど、保険の必要性をそこまで感じていない人が多いことも影響しているのでしょう。

逆に、最も多い保険料を支払っているのは「65~69歳」でした。50代・60代は高めの水準になっています。周りで病気になった人の話を聞く機会が増えたり、大学生など教育資金がかかる子どもがいたりして不安を感じる人も多いのかもしれません。

70代以降は平均値が下がりますが、これは子どもが独立した、退職金が入って預貯金で出費をまかなえるようになったなど、保険がなくても済む人が増えてくるためと推察されます。

【家族構成別】保険料の平均値

次は、家族構成ごとの平均値を見てみましょう。

【世帯類型別】 【世帯の生命保険料合計】
夫婦のみ(世帯主40歳未満) 年間21万円(月額およそ1.75万円)
夫婦のみ(世帯主40歳以上) 年間35.95万円(月額およそ3万円)
夫婦と扶養子有(末子乳幼児) 年間39.05万円(月額およそ3.25万円)
夫婦と扶養子有(末子小中学生) 年間38.22万円(月額およそ3.19万円)
夫婦と扶養子有(末子高校生以上) 年間38万円(月額およそ3.17万円)
夫婦と扶養していない子有 年間44.77万円(月額およそ3.73万円)
3世代(親、世帯主、子) 年間44.26万円(月額およそ3.69万円)
3世代(世帯主、子、孫) 年間42.4万円(月額およそ3.53万円)
母子・父子世帯 年間24.46万円(月額およそ2.04万円)
その他 年間31.58万円(月額およそ2.63万円)

(出典:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(2021年度)」)

「夫婦のみ(40歳未満)」が最も低い数値なのは、年齢別の平均値でも述べたとおり、その「若さ」と「養う家族の存在」が影響していると考えられます。

子どものいる世帯は「親に何かあったときに子どもが困らないようにしておこう」と考える人が多く、手厚い保険に入ったり複数の保険に入ったりして、夫婦のみや独身の世帯よりも保険料の総額が上がる傾向があります。

今回、特に平均値が高かったのは、「夫婦+扶養していない子」や「3世代」の世帯でした。

「母子・父子家庭」では子どもがいても平均値が低めですが、これは経済的な余裕のなさも影響しているのかもしれません。特に、母子家庭の年収は平均と比べて低い傾向があります。

生命保険文化センターの調査では、保険に加入しない理由として最も多く挙げられていたのが「経済的余裕がない」でした。

【年収別】保険料の平均値

最後は、世帯年収別の平均値を見てみましょう。

【世帯年収別】 【世帯の生命保険料合計】
200万円未満 年間20.54万円(月額およそ1.71万円)
200~300万円未満 年間28万円(月額およそ2.33万円)
300~400万円未満 年間31.46万円(月額およそ2.62万円)
400~500万円未満 年間30.61万円(月額およそ2.55万円)
500~600万円未満 年間31.9万円(月額およそ2.66万円)
600~700万円未満 年間32.93万円(月額およそ2.74万円)
700~1000万円未満 年間43.39万円(月額およそ3.62万円)
1000万円以上 年間57.95万円(月額およそ4.83万円)
不明 年間34.65万円(月額およそ2.89万円)

(出典:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(2021年度)」)

世帯年収が高いほど支払っている保険料も高くなる傾向が顕著に現れています。この理由として考えられるのが、次の3点です。

・保険料を支払うだけの経済的余裕が生まれやすい
・普段の生活水準が高く、もしものときに必要な金額が大きい
・個人年金保険など、保障だけではなく資産運用目的で保険を利用している人も多い

生命保険文化センターの調査では、「世帯主が亡くなった場合の家族の必要資金額」も「世帯主が入院した場合の必要資金額」も、どちらも世帯年収が高いほど高く答える傾向が見られました。

また、老後に向けた資産形成の手段として利用される「個人年金保険」の加入率も、世帯年収200万円未満の世帯では約12%でしたが1,000万円以上の世帯では約41%と、世帯年収が高いほど高くなっています。

医療保険の保険料はいくらが適正?

ここまで、生命保険の保険料の平均値について見てきました。でも「似た状況の人が平均的にいくら払ってるかはわかったが、結局、いくらが適正なのかわからない」と疑問に思われる方もいるでしょう。

ここからは、医療保険の保険料について「平均」以外の視点から見ていきましょう。

保険料が収入に占める割合の目安

家計のバランスを考えるとき、保険料はトータルで手取り収入の5%程度が1つの目安と言われることもあります。その目役の賛否もありますが、手取りが月20万円なら月額保険料1万円く程度です。収入に占める保険料の割合があまりに高すぎると、日々のやりくりが難しくなったり家計が圧迫されて今を楽しめなくなったりしてしまいます。

もちろん、ここまで見てきたとおり年齢や家族構成、その人のお金に対する価値観などによっても、必要な保険は違います。1%で済む人もいれば、10%でも不安な人もいるでしょう。

また、医療保険の場合、保険料は保障内容(どんなときにいくら受け取れるか)だけでなく年齢・契約期間・保険料の払込期間・健康状態などによっても変わってきます。

結局、保険を保険料だけで選ぶのは困難といえるでしょう。

医療保険の保険金の相場

同じ保険に同じ内容で加入しても、時期や年齢などによって保険料が変わります。そこで、支払う金額ではなく受け取る金額を基準に考えてみるのも1つの方法です。もしものときに受け取れる金額の相場を見てみましょう。

以下の表は、生命保険文化センター「生活保障に関する調査」 をもとに、疾病入院給付金の日額を年代別にまとめたものです。1日あたりの入院給付金の平均は「9,800円」でした。男性では「1万円~1万5,000円」、女性では「5,000~7,000円」に設定する人が最多となっています。

(単位:円) 平成

8年

平成

10年

平成13年 平成16年 平成19年 平成22年 平成25年 平成28年 令和元年
男性 9,400 9,500 10,100 10,500 11,800 11,000 10,900 10,800 10,900
女性 7,100 6,900 7,800 8,200 9,000 9,200 9,000 9,200 9,100

自分に合った医療保険の選び方

保険は、むやみに入りすぎると保険料が家計を圧迫してしまいますし、入らなさすぎても、もしものときに困ってしまいます。このバランスを考えて、本当に必要な保険を選ぶことが大切ですが、なかなか難しいと感じる人も多いでしょう。「平均」や周囲の意見に流されすぎず、本当に自分に合った医療保険を選ぶにはどうすればいいのでしょうか。

必要な保険の見極め方

必要な保険かどうか見極めるポイントは、保険料ではありません。以下の式にあてはめて考えてみましょう。

・必要な保障額=もしものときにかかる金額-もらえる金額-用意できる金額

もしものときに必要な費用すべてを保険でまかなう必要はありません。たとえば病気やケガのとき、もし医療費が高額になってしまっても、高額療養費制度や傷病手当金といった支援制度を使えばグッと負担を抑えられます。

また、自由に動かせる預貯金が充分にある人は、医療費がかさんでも自分で捻出できるため保険はなし、もしくは最低限で済ませられるでしょう。自力でなくても「親が出してくれる」などの場合も同様です。

社会保障制度でも自力でもどうにもならない、足りない部分だけを保険で補うようにすると、保険料を抑えつつ万が一のときに備えられます。

「もしものときにかかる金額」「もらえる金額」「用意できる金額」は、どれも人によって差が激しいです。自分の場合はいくらくらいになるか計算してみましょう。

医療保険だけでなく、死亡保険、自動車保険、火災保険などそのほかの保険でも、同じような考え方で必要かどうか判断できますよ。

ただ、「今までずっと健康で、入院も手術もしたことがない」という人などは、いきなり「病気やケガのときの費用」と言われてもイメージするのが難しいかもしれません。

「もしものときにかかる金額」や「もらえる金額」がピンとこない人のために、ここからは、医療保険を考えるときに知っておきたいお金のことを具体的に見ていきましょう。

病気やケガのとき、いくらかかる?

生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(2019年度)」によると、過去5年間で入院経験があると答えた人は全体の13.7%でした。平均で15.7日にわたって入院していて、そのあいだにかかる治療費・食事代・差額ベッド代・衣服代・日用品代・お見舞いに来る家族の交通費などを含んだ自己負担費用の合計は平均20.8万円でした。

高齢になると平均入院日数が長くなり、入院日数が長くなると自己負担費用が高くなる傾向が見られます。61日以上入院した人だけに絞って見ると、自己負担費用の平均は60.9万円になりました。

他にも直接かかった治療関連費だけでなく、入院して働けなくなったことで収入が下がって家計にダメージを受ける場合もあります。同調査によれば、1回の入院の自己負担費用と収入ダウン額の合計は平均30.4万円、61日以上入院した人だけで見ると92.7万円でした。

また、確率は低いものの、近年はガンの重粒子線治療のように、入院しなくても1回で300万円を超えるような治療法があります。

それだけの金額が突然必要になった場合に自力で対処できるのか、対処できないならあといくらあれば対処できそうなのか考えてみましょう。

病気やケガのときに利用できる制度&もらえるお金

病気やケガの際に利用できる支援制度は、あまり知られていませんがいろいろとあります。自分がどんなときにいくら支援してもらえるのか知っておくのも重要です。

・高額療養費……基本的に全員対象。ただし年収や年齢による差あり。
医療費の負担が一定の金額以上になったとき、超えた分を国が負担する制度。「一定の金額」は年収や年齢にもよりますが、たとえば69歳未満で年収300万円なら月6万円程度と決められています。

・傷病手当金 ……会社員や公務員などのみ。
病気やケガによる入院などで仕事を休んだとき、最長1年6か月にわたって、給与のおよそ3分の2が受け取れます。会社によっては、独自の上乗せ保障をして収入の減少幅を抑えてくれるところも。

・障害年金 ……年金の納付状況などによる。
病気やケガが原因で障害が残って、生活や仕事に支障が出ている場合に受け取れます。加入している年金制度や障害の度合いによって受け取れる金額が異なります。

そのほか、出産手当金 (出産のために休業したとき給与の約3分の2を受け取れる。会社員や公務員限定)や自立支援医療 (精神疾患の患者など限定で1割負担で医療を受けられる)、医療費控除(多額の医療費を払った人が確定申告すると税金が安くなる)などもありますよ。

保険料が高くても手厚く用意したほうがいい人

たとえ保険料が高くなっても、必要な保障額が大きい人はしっかりと保険に入っておくべきでしょう。

「必要な保障額=もしものときにかかる金額-もらえる金額-用意できる金額」という考え方に則せば、入院時の費用がかさむ人、利用できる支援制度が少ない人、預貯金が少ない人などは必要な保障額が大きくなりやすいため保険を必要としている可能性が高いです。

より具体的には、例えば以下のような人があげられます。

・もしものときは高額な治療でも積極的に受けていきたい人、個室に入院したい人
・社会保障が手薄で、働けないと収入がなくなる自営業者やフリーランス
・一家の大黒柱として家計を支えている人
・小さな子どもがいる、親を介護しているなど、自分が入院したときにヘルパーや預け先の確保が必要な人

「経済的な余裕がないから保険に入らない」という人も多いですが、保険は本来、もしものときに必要な費用を出せない=経済的な余裕がない人ほど必要なものです。

最低限だけにして保険料を安く抑えられる人

一方、「もしものときにかかる費用」が少ない、「もらえる金額」「用意できる金額」が多いなら、必要な保障額が少なくて済むため保険は最低限だけ、もしくはまったくなしで構わない人もいるでしょう。たとえば以下のような人は、保険の内容を絞って保険料を抑えやすいです。

・養っている家族がいない人
・充分な預貯金がある人
・大企業の正社員など、社会保障だけでなく勤務先独自の保障も充実している人
・高額な治療やむやみな延命を望まない人

一度決めたら終わりではなく、家庭を取り巻く状況が変わったときに保険を減らしたり増やしたり、定期的に見直して調整していくのがおすすめです。

まとめ

生命保険文化センターの調査によれば、医療保険を含む生命保険全体で、1世帯あたりの加入件数の平均が約4件、合計保険料の平均は月額およそ3万1,000円でした。50代・60代、子どもがいる世帯、年収が高い世帯は、平均保険料が高くなる傾向があります。

医療保険の保険料は、保障内容だけでなく加入時の年齢や健康状態などによっても左右されます。保険料だけを見て選ぶのではなく、家計の状況を見極めたうえで、本当に自分や家族にとって必要な保険かどうか判断して加入したいですね。

オカネノホンネ編集部

オカネノホンネ編集部

難しいお金の話を、ファイナンシャルプランナー技能士や保険・金融商品の専門家が忖度なし「ホンネ」でわかりやすく伝えます。

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