医療保険を選ぶとき、悩ましいポイントの1つが貯蓄型にするか掛け捨て型にするかではないでしょうか今回は、医療保険の貯蓄型と掛け捨て型の違いやメリット・デメリットを解説します。
目次
掛け捨て型の医療保険とは?
掛け捨て型の医療保険は、保険期間が終わった後や途中で解約したときにお金が戻ってこないタイプの保険です(戻ってくるお金のことは解約返戻金といいます)。掛けた保険料が戻ってこないことからこの名前になっています。
保険期間中に大きな病気や怪我をせず、入院や手術の給付金が受け取れないと、保険料が無駄になったような気になってしまいますが、保険があることで、万一の場合の安心が得られるという捉え方もできます。「保険は大数の法則を活用して、万一のリスクに備えるもの」「民間の医療保険は、国民健康保険などの公的保険で賄えない部分の保障を補完するためのもの」そう考える人にとっては掛け捨てで十分と考えることができます。
掛け捨て型の医療保険は、解約返戻金がない分、貯蓄型の医療保険と比べて保険料が安いのが特徴です。「経済的な負担を軽くしながら、手術や入院に伴う出費や収入減といったリスクに備えたい」という思いに応える商品といえるでしょう。
掛け捨て型の医療保険の保障タイプには、終身型と定期型の2つがあります。終身型は生涯にわたって保障が続きます。そのため「亡くなるまでの入院や手術に備えたいと考える人」「長寿化に伴う医療費の捻出や日本の公的医療制度に不安やリスクを感じている人」には安心できるタイプです。
もう一方の定期型は、保障が一定期間に限られるものです。そのため「定年までの間や働き盛りの間だけ保障が続けばいい」と考える人に向いた保険です。同じ掛け捨て型の保険でも、保証期間が異なるので注意が必要です。
同じ掛け捨て型の終身型の医療保険でも、保険料の支払い期間によっても2つのタイプがあります。1つは終身払いで、生涯にわたって亡くなるまで保険料を支払い続けるものです。もう1つは、65歳や70歳まで、もしくは15年や20年など一定期間で払い終える短期払いタイプがあります。終身払いの方が1ヵ月や1年の保険料が安いものの、定年後も保険料を払い続けなければなりません。短期払いは終身払いに比べて保険料は高くなりますが、定年までなどと期間を決めて払い終えることができ、その後も保障を受けることができます。
掛け捨て型の医療保険は、解約返戻金がないタイプ以外に、保険期間や保険料の払い込み期間でもいろいろな選択肢が考えられます。こうしたポイントも踏まえて、貯蓄型の医療保険と比べてみることが大切です。
貯蓄型の医療保険とは?
貯蓄型の医療保険には、受け取るお金のタイミングによっていくつかの種類があります。1つめが、加入後の一定期間にボーナスとしてお金が支払われるタイプ。2つめは、一定の年齢まで保険に加入したときに、それまで支払った保険料のうち主契約の保険料の総額が戻ってくる還付タイプ。最後に、解約したときに一定の解約金が支払われるタイプです。1つめと2つめは、保険期間中に給付金があればその金額が差し引かれることがほとんどです。
貯蓄型の医療保険には、保障と貯蓄の両方があるという特徴があります。医療保障を受けながら、あるタイミングになれば貯蓄ができているので、医療保障と貯蓄が同時に受けられるのが最大のポイントでしょう。
ただし、支払った保険料の総額がすべて戻ってくるわけではありません。そのため、貯蓄といっても一部のお金が戻ってくると考えた方が良いでしょう。また、契約期間が短いうちに解約すると元本割れをしてしまいます。そのため、貯蓄型の保険は、「一般的な資産運用や貯蓄とは違う」という考え方をするのが無難でしょう。
保険料は、掛け捨て型の医療保険と比べると高いことがほとんどです。その分が戻ってくるという考え方もできますが、貯蓄機能だけであれば、財形貯蓄や投資運用による資産形成という方法もあります。掛け捨て型と貯蓄型、その他の方法自分にとってふさわしいか、違いを知った上で選択するようにしましょう。
掛け捨て型の医療保険のメリット・デメリットとは?
掛け捨て型の医療保険の特徴がわかったところで、そのメリットとデメリットを整理してみます。
掛け捨て型医療保険のメリット
・保険料が安いため、支払いの負担が軽い状態で万一の安心が得られる
・商品数が多く、いろいろな種類が選べる
・保障のみの商品性があるため、保険の考え方がシンプル
掛け捨て型は、医療保険のなかでも商品数が多く、このことからも現在の主流となっていることがわかります。保証期間や保険金の支払い方が選べる自由度も考え方によっては、メリットととらえることもできるでしょう。
掛け捨て型医療保険のデメリット
・解約返戻金がなく、掛けたお金は戻ってこない
掛け捨て型のデメリットは、その名前にある通り、掛け捨てになってしまうこと。考え方によっては、保険料を支払った分は入院や手術がない限り、払い損とも言えます。それをどう捉えるかによって掛け捨て型医療保険の価値が変わってくるといえるでしょう。
貯蓄型の医療保険のメリット・メデリットとは?
貯蓄型の医療保険のメリット
・一定期間が経つとボーナスや還付金、解約返戻金が受け取れる
貯蓄型の医療保険のデメリット
・保険料が高いため、支払いの負担が大きい
・商品数が少なく、選べるタイプが限られる
・保障と貯蓄の機能があることで、商品性が理解しにくい
・資産形成するほどの貯蓄にはならない
貯蓄型の医療保険は、お金が戻ってくることが特徴です。。貯蓄と医療保障が同時にできるというととてもありがたいことのように思われますが、実際には戻ってくるお金に違いがあります。それによって感じるメリットも異なってきますので、次の項目で紹介します。
貯蓄型の医療保険のタイプ別の違いをクローズアップ
ボーナスタイプ:一定期間にボーナスとしてお金が支払われる
ボーナスタイプは、数年ごとにお金が支払われるため、保険を支払ったご褒美がもらえるイメージです。とはいえ、支払う保険料が掛け捨てよりも割高なことからわかるように、ボーナスが上乗せされて保険料を支払っていることがほとんど。お得というよりは、その分を積み立てていると考える方が良いでしょう。
還付金タイプ:一定の年齢まで保険に加入したときに保険金が戻ってくる
一定の年齢まで保険料を払えば、その金額が還付されるタイプです。保険払い込み期間中に入院給付金を受け取ったときは、その分が差し引かれます。また、還付金を受け取る前に途中で解約した場合に受け取る解約返戻金は、すでに支払った保険料を下回ることもあります。途中で解約すると受け取る額が減るので、途中で解約しない前提で選ぶのがおすすめです。
解約返戻金タイプ:解約した時に解約金が支払われる
途中で解約した場合に解約返戻金を受け取れるため、それが貯蓄として使えます。一般的に支払った保険料よりも返戻金の額は少なくなります。還付金タイプとの違いは、途中で入院返戻金を受け取ったとしても、それが差し引かれることはありません。希望すれば、その後も契約を続けることができますが、返戻金を受け取って解約するとその後の保障は受けられません。
掛け捨て型と貯蓄型の保障内容の違いはなく、特約部分は両者とも掛け捨てである事が多数
保保障の中身は掛け捨て型も貯蓄型も大きな違いはありません。いずれもベースとなる保障は、入院給付金と手術給付金で、そこへ先進医療給付金や女性疾病給付金などがついています。商品によっては、これらが特約となっていることもあるでしょう。貯蓄型の医療保険でも特約部分は掛け捨てになっていることがほとんどです。
医療保険、掛け捨て型と貯蓄型の選び方
掛け捨て型と貯蓄型の特徴やメリット・デメリットを確認し、どういうどういったチェックポイントがあったかわかってきたと思います。
医療保険の捉え方や支払い期間のプランは、人それぞれです。どのようなタイプの考え方を持っている人には、どちらがおすすめかを見ていきます。
掛け捨て型の医療保険が向いている人
・多くの保険商品の中から、自分にあったものを検討したい
・ライフスタイルに合わせて、保険を考えたい
・月々の負担を抑えながら、安心して暮らしたい
掛け捨て型の医療保険は、そもそも万一のときの備えとして、「安心」にお金を払っていると考えられるかどうか。そう考えられるなら、掛け捨て型の方があっているかもしれません。そのようなシンプルな発想のもとに設計されているのが掛け捨て型の医療保険だからです。現在、主流になっている事もあり、さまざまな商品があるので、どのような年齢や性別、健康状態の人にも合った商品が見つかる可能性が高まります。医療保険は若いうちから加入しておけば、月々の負担も軽く済みます。あれこれと悩んでいる場合は、まず掛け捨て型の医療保険に入ってみるというのも1つの方法です。
貯蓄型の医療保険が向いている人
・長期的に保険料を支払うことに抵抗がなく、家計のゆとりがある
・保険に積み立て預金のような貯蓄効果も求めている
・すでに掛け捨ての医療保険に入っていて、プラスして貯蓄性のある保険に入りたい
貯蓄をすつつ保障も確保し将来に備えたい人にとっては財形型の保険が向いています。また保険に入るにあたって、どうしても掛け捨てを払い損と考えてしまう人は、貯蓄型の医療保険に加入するのも選択肢のひとつです。また、貯蓄機能など保障以外の部分にメリットを感じたいと考えるのであれば、貯蓄型を選んでみるという選択肢もあります。
まとめ
掛け捨て型を選ぶか、貯蓄型を選ぶかは、医療保険に万一の際の保障以外の貯蓄性を期待しているかどうかです。保険の目的は、万一のときの保障や日々の安心ですが、それ以外に掛け捨ては損をした気になってしまうといった方は、貯蓄型を選ぶのもよいでしょう。また貯蓄目的あれば、掛け捨て型の保険に入って別途財形貯蓄や投資運用による資産形成をするという方法もあります。自分や家族の状況・価値観をふまえて考えてみてください。