医療保険の給付に関わる疑問を徹底解消

医療保険

医療保険の保障は、入院や手術に関わる給付がお金で支払われることで成り立っています。入院給付や手術給付がどのようにして支払われたりするのかは、医療保険を知る上で重要なカギとなります。これから医療保険に加入する方や検討している方に向けて、誰もがギモンに思う給付に関わるあれこれを徹底的に解説します。

そもそも保険の給付とはどんなもの?

保険の給付とは、生命保険や医療保険で加入者が入院や手術をしたときに、保険会社から支給されるお金を指します。入院の給付を入院給付金、手術の給付を手術給付金と呼びます。医療保険は、主契約が治療になるので、入院給付金と手術給付金が代表的な給付です。給付金と似たようなものに、保険金があります。保険会社から支給されるお金という点では同じですが、給付金と保険金は支給事由が異なります。

給付金とは、入院や手術など所定の治療を受けたことを事由に支給されるもの。先ほどの入院給付金や手術給付金がこれに当たります。一方、保険金とは、死亡したことや満期になったことを事由に支給されるもの。死亡保険金や満期保険金と呼ばれます。それぞれの目的も異なり、給付金が契約者の治療にあてられるのに対し、保険金は遺族の保障や満期になった後の資産として利用されます。

給付金が支給されるときのポイント

支給されるのはどんなとき?

医療保険の給付金は、契約者本人が契約時に取り決められた所定の状態になったときに支給されます。所定の状態とは、入院や手術のことです。入院給付金は入院保障される日(入院1日目など)に入院すれば支給されますし、手術給付金はその保険の所定の手術を受ければ支給されます。

医療保険の受取人は誰?

医療保険の給付金の受取人は、契約者本人となります。たとえ、配偶者や子どもであっても、受け取ることはできません。もしも、契約者本人が医療保険の給付金を請求できない状況にある時は、代理人を指定することで請求します。どんな場合もあくまでも受取人は契約者本人となります。

給付金が支給されたら、その後はどうなる?

入院や手術で給付金を受け取っても、そこで契約が終わりではなく、医療保険は続きます。ただし、給付金には支払限度日数があります。支払限度日数とは、1回あたりの入院給付金が受け取れる期間のこと。保険商品によって、支払限度日数は60日、120日、180日などさまざまです。一般的に保険料が高いものほど、支払限度日数も多い傾向にあります。

入院や手術の給付金は、1回受け取っても、次もまた受け取ることができます。給付金は所定の病気やケガになったら受け取れるので、該当すれば請求するようにしましょう。また、給付金を一度受け取ったからといって、保険料が上がることはありません。

入院給付金とは?

入院給付金は、所定の病気やケガをしたときに支給されるお金で、入院の費用を支払ったり、入院による収入源を補ったりするためのものです。給付額は、医療保険によってさまざまですが、入院1日当たり5,000円や10.000円などに設定されています。

入院給付金は、病気やケガの大きさなどではなく、治療を目的にしている入院かどうかで支給されます。そのため、健康保険や人間ドッグ、美容整形、自然分娩などではいくら入院をしても支払われません。また、ケガと病気の両方で入院した場合は、2回の入院とはならず、どちらか一方の入院給付金が支払われることになっています。

入院給付金の支払限度日数とは?

1回の入院には支払限度日数が決まっていて、60日、120日、180日などと保険商品の契約によって決められています。2回以上入院すると、次もまた入院給付金が支給されますが、注意したいのは、同じ病気が原因となっている入院の場合は、前回の退院翌日から180日以内なら1回の入院となります。もし同じ病気の入院で再入院した場合は支払限度日数を超えた日数分は保障されません。そのため、支払限度日数の長い保険は、保障が手厚い分、保険料も高くなっています。

ここ数年の入院日数は短期になる傾向にあります。1回の入院に対する支払い限度日数は60日タイプが多くなっています。しかし、精神疾患や脳血管疾患、リハビリや介護を目的とした入院は100日を超えることも珍しくありません。1回の支払限度日数は、保険商品を決めるときのひとつのポイントにもなります。以下は厚生労働省 平成29年度患者調査による疾病別の平均入院数となります。

退院患者の平均在院日数
悪性新生物(ガン) 17.1日
糖尿病 33.3日
心疾患(高血圧性のものを除く) 19.3日
脳血管疾患 78.2日
肺炎 27.3日
乳房および女性生殖器の疾患 5.8日
骨折 37.2日
総数 29.3日

入院給付金の通算限度日数とは?

1回の入院の支払限度日数の他に、通算支払限度額日数というのもあります。これは、何度も入院した場合に、給付金の日数が通算されて何日までと決められていること。700日・730日・1,000日・1,095日などと決められています。

入院給付金は、日数に応じて支給される日額タイプが多いのですが、入院一時金で支払われるタイプもあります。入院日数に応じたタイプだと、日額(5,000円など)×日数という計算になります。一方の入院一時金タイプでは、入院ごとに一時金のみが支給されるもの、日額+一時金が支給されるものなどがあります。日額タイプは入院が長くなるほど保障も大きくなりますが、一時金タイプは入院の回数が多くなるほど保障が受けられます。どちらがよいかはニーズによります。自分はどちらがよいかを検討してみましょう。

手術給付金とは

手術給付金は、所定の病気やけがで手術したときに支給されるお金で、手術に関わる費用を支払うためのものです。

手術給付金は、給付対象となっている手術だけが対象となります。その手術とは、保険会社が指定する88種類、もしくは公的医療保険に連動している約1,000種類です。保険商品によって、どちらの種類が対象になっているか分かれるので、確認する必要があります。また、この手術には、美容整形や自然分娩などは含まれません。先進医療に含まれる手術も対象外になっている場合があります。このほか、保険商品によっては、日帰り手術や、入院をともなう手術が対象になっている場合やそうでない場合があります。加入する前にはこうしたポイントでも検討してみましょう。

手術給付金の給付額は、医療保険によって、10万円など一律同額になったものや手術に応じて変わるものがあります。手術に応じて変わるとは、手術の種類によって倍率が10倍や20倍、30倍などと決められているタイプです。例えば、虫垂切除術・盲腸縫縮術は10倍、骨移植術は20倍、胃移植術は40倍などと決められています。

給付までの流れ

所定の入院や手術を受けて、入院給付金や手術給付金を受け取りたいときには手続きが必要になります。手続きの流れは次の通りです。

1.保険会社に連絡する

担当者や窓口、インターネット、コールセンターなどに連絡し、手続きを始めます。加入している保険の証券番号、契約者の名前、入院日や退院日、手術日、手術名などを伝えます。

2.保険会社に必要書類を提出する

保険会社から給付に必要な書類が届きますので、それを記入して提出します。請求書や保険会社所定の診断書がいるので、それに従います。

3.保険会社から給付金を受け取る

保険会社に書類が届くと、支払い対象かどうかの判断がなされ、支払い対象となったら、給付金が支給されます。給付金は受取人指定の金融機関の口座に振り込まれます。

医療保険の給付金が支給されないケースとは?

せっかく医療保険に入っていても入院給付金や手術給付金が支払われないケースがあります。どんな場合なのか、チェックしていきましょう。

入院や手術が保障対象外だった場合

医療保険は保障の対象となる病気やケガが決められています。一般に、治療を目的としている入院かどうか、保険約款で決められている手術かどうかがポイントです。保険会社や商品によっても違いますが、健康診断や人間ドッグなど健康を保つ目的、美容整形など美容を目的にしたもの、正常分娩、抜歯やインプラントは対象外になっています。同じ出産にともなうものでも帝王切開などの異常分娩や切迫早産など治療を目的とした入院は対象となります。

入院給付金が支給されない条件だった場合

免責期間

入院給付金は、日帰りや1日目からでも支給される保険商品がある一方、何日目からとされているものがあります。3日目から5日目からなどとなっていて、この期間を免責期間と言います。所定の病気やケガで入院しても、短期間では給付金が支給されないケースになっていないかどうか確認してみましょう。

支払限度日数

入院給付金には、支払限度日数といって、その日を超えるとお金が支給されなくなる日数があります。支払限度額日数は、1入院あたり60日・120日・360日などさまざまです。また同じ病気が原因で180日以内に再び入院した場合は、1回の入院とカウントされます。それにも支払限度額日数が適用されるので、その日を過ぎた分の給付金は受け取れません。

通算支払限度日数

入院給付金は、通算支払限度日数で制限されています。この日数は1,000日、1,095日などかなり長く設定されていますが、何度か入院した場合に通算してこの日数を超えた分は支給されません。この日数も確認する必要があります。

告知義務違反など

契約時に健康状態や傷病歴、職業について、告知義務があるにもかかわらず、虚偽の申告をした場合は給付金が支給されません。契約時に正しい告知をして保険を契約するのは大前提です。保険契約自体が解除になる場合もありますので、保険会社の担当者に相談するようにしましょう。

このほかにも、法令違反など保険約款の免責自由に該当していた場合や、不当に保険金を取得する目的で契約した場合は、給付金が支給されません。

まとめ

医療保険の入院給付金や手術給付金がきちんと給付されるには、いろいろな条件があります。保険会社や保険商品によってもさまざまです。また、給付金は自動的に振り込まれるわけではなく、手続きが必要です。「こんなはずじゃなかった」ということがないように、医療保険の内容を把握してから、契約するようにしましょう。

オカネノホンネ編集部

オカネノホンネ編集部

難しいお金の話を、ファイナンシャルプランナー技能士や保険・金融商品の専門家が忖度なし「ホンネ」でわかりやすく伝えます。

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