1つの医療保険だけでは備えが心配で、複数の医療保険の加入を検討している方もいます。医療保険を複数加入することで、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
医療保険の複数加入は認められていて、給付金は確実に支給しされるのか?今回は医療保険の複数加入について徹底検証します。
目次
医療保険の複数加入は認められている?
そもそも医療保険は複数加入することが認められているのでしょうか? 加入できたとしても、複数からの保障を同時に受けられるのでしょうか?
結論、医療保険は複数加入しても問題ではありません。もちろん、給付の対象となる要件に当てはまれば、入院給付金や手術給付金などの保障を受けることができます。医療保険は、入院1日当たり5,000円や1万円、手術給付金10万円など、契約で定められた保障がお金で支払われます。このとき、実際に医療費にいくらかかったかに関係なく、条件を満たしていれば何度でも受け取ることができます。つまり、複数加入していれば、それだけ給付金を受け取ることができます。
医療保険の必要性が高い人とは
一般的に医療保険は以下のような方に必要性が高いと言われています。
・現時点でお金の蓄えが少なく、高額な治療費が支払えない人
・自営業や個人事業主で傷病手当金がもらえない人
・医療費のリスクに備えて安心感をえたい人
こうした人たちとは逆に、貯蓄や資産が十分にある人や、公的制度等で手厚い保障があり治療に専念できる人、すでに住宅ローンの団体信用生命保険で疾病保障を付けている人などは経済的出費に備えられるので必要性は高くはないかもしれません。
医療保険に複数加入するメリットとは?
医療保険に2つ以上加入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
まずは、それぞれの保険の特長となる点を両方享受できるため、保障が手厚くなることです。保険商品にはそれぞれに強みとなるポイントや保障があつい領域があります。
例えば、がんに特化したA保険と、通院保障もあるB保険の複数に加入したら、がんで長期に渡って入院した場合も、通院が長くなるようなケガになった場合でも両方に対応できます。
また、貯蓄性のある商品と掛け捨ての商品を組み合わせれば、病気やケガにならなかった場合でも保険料が戻ることが期待できます。それぞれの商品のウィークポイントが補えることです。
レアなケースですが、複数加入によって、加入しているいずれかの保険会社の経営破綻にも備えることができます。保険会社が経営破綻しても、すぐに契約が無効になるわけではありませんが、責任準備金が削減されることで十分な保険金額を支払ってもらえなくなる可能性はあります。
医療保険を複数加入するデメリットとは?
医療保険に複数加入する事はデメリットもあります。
まず2つ以上の医療保険に加入することで、保険料が高くなることがあります。
また医療保険に複数加入していると、重複する保障が出てくることも考えられます。医療保険の保障は入院給付金と手術給付金なので、万一病気やケガになったとして、どちらか一方の保険でまかなえていることも大いにあり得ます。つまり、保険が過剰となる事も考えられます。
また、複数加入していると、以下のような事務手続きも増えてきます。
・保険商品を契約する際の検討時間や契約手続き
・契約に関する書類の管理
・住所や名前、振替口座の変更に関わる手続き
・年末調整や確定申告の控除申請の手続き
・給付金の請求に対する手続き
・給付金の請求に関わる診断書の手続き
複数加入していると、契約がある分だけ手続きも倍になります。保険会社が違うと、形式や窓口も異なってくるので、面倒に感じられるかもしれません。
なお各社の医療保険は給付金額をカスタマイズできることが多いです。給付金を5000円から1万円にした場合、保険料は1.8~1.9倍程度となる事が多いです。入院時の給付金を倍にしたいだけの目的であれば、別の保険に入らず同一商品で給付金の設定額を増やすという方法のほうがお得かもしれません。
医療保険を複数加入するときのチェックポイントと注意点
実際に医療保険の複数加入を検討する段階に入ったら、どのようなことを注意したらいいか見ていきます。
保障の穴や重複がないように
医療保険に複数加入する場合は、保障タイプの違う商品を選ぶのが基本となってきます。
子どもの教育費がかかる期間、掛け捨て型の定期の医療保険に加入して保障をあつくし、子どもが独立したらそれを解約して終身の医療保険だけの加入を継続するといった方法もあります。
また近年ではがん治療も含めて通院が主流であることも忘れてはなりません。入院日数が長く保障されているだけでなく、通院保障が充実した商品をプラスするのも1つの方法です。お互いの商品をカバーしあえる関係性の組み合わせにするのがおすすめです。
免責期間はいつまでか
医療保険には、免責期間といって保険開始の60日から90日の保障されない期間があります。この期間に病気やけがにかかっても給付金は受け取れません。妊娠や出産トラブルに備えて医療保険に加入してもすでに妊娠していたりすると、保障されません。新しく契約する場合や違う保険に切り替える場合は、この免責期間がいつまでかを計算に入れておかないと、保障が受けられないケースもありますので注意しましょう。
医療保険でもまかなえるかどうか
複数加入するとそれだけ保険料が高くなります。貯蓄が少ない働きざかりであれば保険で万一に備えるという考え方もできますが、公的な医療保険制度でもある程度まかなえるのであれば、貯蓄しておくというのも選択肢の1つです。70歳以上であれば、医療費の自己負担額は2割、75歳以上であれば1割におさえられます。保険料をおさめるよりも自由に使える貯蓄で備える方が良い場合もあります。
給付金目当てを疑われないように
複数の医療保険に加入していると、給付金目当てで保険に入っていると思われることもあります。医療保険に加入できても給付金が受け取れなくては意味がありません。そうしたことのないように保険会社に連絡して確認しておきましょう。
まとめ
医療保険の複数加入には、保険商品の強みを生かして手厚い保障が受けられる可能性が高くなって、安心感が広がるメリットがありました。一方で、保険料が高くなったり、手続きに手間がかかったりというデメリットも考えられます。医療保険に複数加入するときは、上にあげたチェックポイントを参考に十分検討してみてください。