毎月の生命保険料が家計を圧迫していて、「少しでも保険料を安くしたい」と考える人は多いでしょう。しかし、どのように保険を見直せばよいのか、わからない人が多いかと思います。
そこで本記事では、生命保険の保険料の負担を抑えつつ、必要な保障を確保する見直し方法をわかりやすく解説します。生命保険料を安くしたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
保険料を安くしたいときの対処法は?
保険料を安くしたいときは、以下の方法を検討してみてください。
- 新しい保険に乗り換える
- 減額や特約の解約をする
- 延長保険や払済保険へ変更する
- 支払い方法を変更する
保険料を安くしたいからといって、安易に保険を解約するのは極力避けるべきです。安易に解約した場合、必要な保障を失うリスクがあるだけでなく、一度解約した保険に再加入できない可能性があります。また、健康状態によっては、新しい保険に加入できないケースもあるでしょう。
そのため、さまざまな方法を試しても保険料を抑えるのが難しい場合のみ、解約を検討してください。
新しい保険に乗り換える
新しい保険商品に乗り換えることで、保険料の負担を抑えられる可能性があります。
そもそも契約者が生命保険会社に支払う保険料は、将来の保険金支払いに充当される「純保険料」と生命保険会社の事業運営に充当される「付加保険料」の2つに分けられます。純保険料は、年齢や性別に基づくリスク、保険料の運用効果などを考慮して計算されるため、同じ保障内容であれば、各保険会社間で大きな差が生じないことがほとんどです。
一方で、付加保険料は各社の運営コストに基づき設定されるため、差が生じやすくなっています。特にネット保険では、申し込み方法をインターネットに限定することで、人件費の削減やペーパーレス手続きの実施に伴う経費削減を行っており、付加保険料が安く設定される傾向があります。
このような仕組みで、保険商品ごとの保険料が決定しているため、同じような保障内容であっても、保険会社を変更することで保険料を抑えられる可能性があるのです。
また、貯蓄型保険を掛け捨て型保険に乗り換えることで、保険料の負担を減らせる場合もあります。貯蓄型保険では、保険料の一部が積立に充てられるため、掛け捨て型保険より保険料が高くなるのが一般的です。たとえば、300万円の死亡保障を提供する定期保険と養老保険を比較すると、養老保険のほうが基本的に保険料は高くなります。
もちろん、「将来のライフイベントに備える」といった目的で貯蓄型保険に加入しているはずなので、安易に掛け捨て型保険に乗り換えるのはおすすめできません。さらに、途中解約した場合は元本割れのリスクもあります。
しかし、デメリットを考慮したうえで大きなメリットが見込める場合は、見直しを検討してみてもよいでしょう。
減額や特約の解約をする
減額や特約の解約などを行い、不要な保障を減らすのも、保険料を安くするために効果的な方法の1つです。
保険用語でいう減額とは、生命保険契約の一部を解約し、保険金額や保障内容を減らす手続きのことです。たとえば、1,000万円の死亡保障を500万円に変更したり、入院給付金の日額を10,000円から5,000円に引き下げたりすることを指します。このように保障を減らせば、毎月の保険料の負担を軽減できるだけでなく、解約返戻金を受け取れる場合もあります。
ただし減額に伴い、特約が消滅したり減額されたりする可能性があるため注意してください。
さらに、医療特約やがん特約などの特約を見直すことも効果的です。特約を付加しておくと安心感は増しますが、不要な特約が増えると保険料が高額になり、家計の負担が重くなるため、取捨選択する必要があります。
特に、定期タイプの特約は、基本的に更新のたびに保険料が上がる仕組みになっているので、契約期間が長い場合、複数回の更新で大幅に保険料が増加していることがあります。
保障内容の見直しについて、より具体的な方法を以降の章(保険料を安くしたいときに確認すべきポイント)で紹介します。
延長保険や払済保険へ変更する
延長保険や払済保険に変更すると、保険料の払い込みを中止できるため、家計への負担を軽減できます。
延長保険とは、現在契約している保険の解約返戻金を元に、同じ保障金額で保険期間を短くした定期保険に切り替える方法です。たとえば、1,000万円の終身保険を延長保険に切り替えると、同額の保障は維持されるものの、保険期間は10年や20年など、一定期間に変更されます。延長保険に変更すると保険料の払い込みは不要になりますが、特約も消滅します。
払済保険は、現在契約している保険の解約返戻金を一時払いの保険料に充当する方法です。保険期間はそのままで、保障金額の少ない保険に変更できます。たとえば、1,000万円の終身保険を払済保険に変更すると、300万円や500万円など、保障金額の少ない終身保険に変更されます。払済保険に変更した場合は、延長保険と同様に、特約は消滅するため注意が必要です。
なお、商品によっては、延長保険や払済保険への変更ができない場合もあるので、保険会社に確認してみましょう。
支払い方法を変更する
支払い方法を変更することで、保険料の負担を軽減できる場合があります。
生命保険の保険料は、月払いよりも半年払い、さらに年払いを選択したほうが大きな割引が適用されるケースが多くなっています。保険料をまとめて支払うほど、保険料の総額は安くなる傾向にあるため、支払い方法を変更すれば、トータルコストを下げられるでしょう。
ただし、まとまった金額を一度に準備する必要があるため、十分な余裕資金がない場合には向かない方法です。また、保険商品によっては支払い方法の変更ができない場合もあります。
保険料を安くしたいときに確認すべきポイント
家計の負担が重いからといって、むやみに保障内容を減らすことはおすすめできません。重要なのは、現在のライフステージに合った最適な保障内容となっているかを検討することです。その結果として、保険料を安くできるのが理想といえるでしょう。
ライフステージに合わせた保障内容になっているか
ライフステージが変化すると、必要な保障内容や保険期間も変わります。それに応じて保険を見直すことで、保険料の負担を抑えられるかもしれません。
たとえば、独身で扶養家族がいない場合、大きな死亡保障は必要ないかもしれません。その代わり、医療保険や就業不能保険などに加入して、万が一の病気やケガに備えることが重要です。一方で、結婚や出産で家族が増えた場合には、配偶者や子どもの生活を守るために死亡保障を増やす必要があります。
保険期間についても、ライフステージの変化に応じた調整が必要です。たとえば、子どもが自立するまでの保障が必要な場合は、末子が成人するまでを目安に保険期間を設定するのが一般的です。老後の病気やケガ、介護状態に備えたい場合は、終身保障を選ぶと安心できるでしょう。
定期的に現在の保障内容とライフステージを照らし合わせることで、必要な保障を維持しつつ不要な保険料を削減することが可能です。
社会保障制度を考慮して保険金額を設定しているか
自身が活用できる社会保障制度を理解し、それを考慮した保険金額に設定することが大切です。公的保障で賄いきれない部分を民間の生命保険でカバーするように加入しておけば、必要以上に高い保険料を支払わずに済む可能性があります。
たとえば、死亡保障を考える際には、遺族年金の金額を考慮して必要な保障額を設定することが大切です。また、医療保険に加入する際は、公的医療保険制度の適用対象外となる差額ベッド代や、先進医療の技術料などを賄える保障内容にする必要があります。
重複している保障はないか
同じような保障に複数加入している場合、それを整理するだけで保険料を抑えられることがあります。
たとえば、住宅ローンを組む際に加入する団体信用生命保険(団信)で考えてみましょう。団信に加入していると、契約者に万が一のことがあった場合、ローンの残債を保険金で完済できます。つまり、遺族の住居費については団信でカバーされているため、死亡保障の額を減らして保険料を節約できる可能性があるということにつながります。
また、医療保険やがん保険などの特約が重複していないかも確認しましょう。たとえば、先進医療特約は複数加入できますが、給付金を二重で受け取ることはできないのが一般的です。
生命保険を見直す際の注意点
生命保険を見直す際は、手続きの流れを理解しておきましょう。無計画に手続きをすると、必要な保障を失うリスクもあるため、注意が必要です。
保障の空白期間をつくらない
生命保険を見直す際には、保障の空白期間をつくらないことが重要です。新しい保険の契約が成立する前に、現在加入している保険を解約すると、無保険の期間(保障の空白期間)が生じることがあります。空白期間中に万が一のことが起きた場合は、保障を一切受けられないので、新しい保険が成立したタイミングを確認してから解約手続きを進めましょう。
新しい保険に必ず加入できるとは限らない
保険の見直しをする際は、新しい保険に必ずしも加入できるとは限らない点にも注意が必要です。生命保険を見直して新しい保険に加入する際は、再度告知が必要になります。過去の病歴や現在の健康状態によっては、保険会社の審査を通過できず、希望する保険に加入できないことも少なくありません。また、保険料の割増や、特定部位不担保(保険会社が指定した部位について、一定期間保障対象外とするもの)などの特別条件がつく可能性もあります。
保険を見直す際には、新しい保険の加入条件を確認したうえで手続きを進めましょう。
生命保険の保険料に関するFAQ
ここでは生命保険の保険料に関して、よくある質問をまとめました。保険料の見直しを検討する際の参考にしてみてください。
保険料の相場はどのくらい?
オカネノホンネで行った「全国1万人のお金の実態調査 2024年」では、ECナビ会員である18歳以上の男女に聞いたところ、どの世代でも1万円~1万5,000円未満の保険料を支払っている人の割合が多いことがわかりました。
そのほかにも、上記の調査ではさまざまなトピックを紹介しているため、気になる人はぜひご確認ください。
節約したいなら保険はいらない?
保険料を節約したいからといって、安易に「保険に全く加入しない」という選択をするのはおすすめできません。保険は万が一の事態に備えるためのものであり、全く保険に加入していない場合は、病気やケガ、死亡などのリスクが発生した際に家計が大きな打撃を受ける可能性があります。
保険料をなるべく抑えたい場合は、公的保障でカバーできない部分を民間保険で補うようにすると、合理的に加入できるでしょう。
保険の比較に役立つサイトはある?
「保険市場」や「価格.com保険」などの比較サイトを利用すれば、複数の保険商品を一括で比較できるため、自分のニーズに合った保険を探しやすいでしょう。
ただし、比較サイトの情報は古い可能性もあるため、各保険会社の公式サイトや各商品のパンフレットで詳細を確認することも重要です。不明点がある場合は、保険会社に自ら問い合わせてみるとよいでしょう。
まとめ
生命保険の保険料を安くしたい場合、まず現在の保険が自分にとって必要な保障をきちんとカバーしているかを確認しましょう。
そのうえで、加入している保険の保障内容を調整し、保険料を下げられないかを検討することが大切です。不要な特約を外したり、保障額を適切な範囲に見直したりするだけで、保険料が軽減される場合があります。
また、新しい保険に乗り換えれば、現在の保険よりも安い保険料で同じ保障が得られるケースもあります。そのため、各社の保険料や保障内容を比較してみるのもよいでしょう。
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。 <保有資格>CFP