変額保険はやめたほうがいいの?変額保険のメリット・デメリットを理解して加入を検討しよう!

保険全般

変額保険は将来の資産形成に役立つ一方で、保障内容の複雑さなどを理由に「やめたほうがいい」といわれることも少なくありません。本当に加入すべきか悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。

この記事では、変額保険はやめたほうがいいといわれる理由を紹介した上で、加入するメリットや必要性の高い人の特徴などを詳しく解説します。加入する前に、変額保険のリスクやデメリットについても確認しておきたい人は参考にしてください。

変額保険はやめたほうがいいといわれる4つの理由

変額保険を資産形成の手段として活用する人も多くいますが、以下のような理由から「加入はやめておいた方がいい」という意見もあります。

  • 元本割れのリスクがある
  • 投資が目的である場合コストパフォーマンスが悪い
  • 景気に左右されやすい
  • 仕組みが分かりにくい

ここでは、それぞれのやめたほうがいい理由について詳しく解説します。

1.元本割れのリスクがある

変額保険は、運用の成果によって受け取れる保険金や解約返戻金が変動する商品です。死亡保険金については、最低保証が設けられているケースが多くなっています。しかし、運用が不調な場合、解約返戻金や満期保険金は払い込んだ保険料を下回る金額しか受け取れない(元本割れ)ケースがあるため、「やめたほうがいい」という意見があります。

また、早期(主に10年以内)に解約した場合は、解約返戻金から「解約控除」と呼ばれる手数料が差し引かれるケースもあり、より元本割れのリスクが高まります。解約する時期によっては解約返戻金がほとんど発生しない場合もあるため注意しましょう。

2.投資が目的である場合コスパが悪い

変額保険は、純粋な投資商品と比べてコストパフォーマンスの面で劣るため「やめておいたほうがよい」という意見があります。なぜなら、基本的に変額保険に加入すると、投資信託を運用する費用に加えて「保険関係費用」と呼ばれる手数料がかかるためです。保険関係費用とは、保険契約の維持・締結や死亡保険金を支払うために必要な費用を指します。手数料が多くなれば、その分運用に回せるお金が減るため、投資効率は悪くなるでしょう。

また、投資信託を運用する際は、NISAも活用できます。NISAとは、一定範囲内までであれば、投資で得た利益に対して税金がかからない制度のことです。NISA口座で購入した投資信託については、一生涯で1,800万円までであれば運用益に税金がかかりません。

一方、変額保険の場合は、払い込んだ保険料を上回る保険金を受け取った場合には、税金がかかります。そのため、手元に残るお金が少なくなってしまう可能性があります。つまり、単純な投資効率だけで見れば、変額保険よりも投資信託を直接運用した方がよい結果を得られる可能性があるということです。

3.景気に左右されやすい

変額保険は運用次第で保険金の額が変動するリスクのある商品です。景気が悪化し、株式相場に悪影響が出た場合などは、想定を大きく下回る金額しか受け取れない場合もあるでしょう。過去には、バブル崩壊に伴う運用環境の悪化によって、多くの契約が元本割れし、 訴訟が多数提起されたこともありました。

変額保険の場合は保険期間中に不況が続いたり、株価の暴落などが起きたりすると、元本割れするリスクがあります。

4.仕組みが分かりにくい

変額保険は、生命保険と投資信託を組み合わせたような商品です。そのため、投資に慣れていない人にとっては仕組みがわかりづらく感じられることも、変額保険はやめておいた方がよいといわれる理由の一つです。

独立行政法人国民生活センターの「リスク性のある金融商品(特定生命保険・投資信託)に関する消費生活相談について」によると、変額保険や変額保険個人年金保険などの投資性のある生命保険(特定生命保険)に関する相談件数は、321件(2019年4月〜9月のデータ)にのぼります。

運用方法やリスクについて十分な説明を受けないまま契約したことでトラブルにつながっているケースも多いため、保険の仕組みを十分に理解できていないうちは契約するのを避けた方がよいでしょう。

変額保険に加入するメリット

ここでは、変額保険に加入するメリットを解説します。変額保険に加入すべきかを判断する際の材料にしてください。

運用次第で受取額が増える

変額保険は、特別勘定の運用実績に基づいて保険金や解約返戻金が変動する商品です。そのため、運用が好調であれば、最終的に受け取る金額が増える可能性があります。運用先となる特別勘定は、複数の中から選べることが多くなっているため、自身が求める運用成果に応じて選択可能です。

保障と資産運用を両立できる

変額保険は、保障と資産運用を両立できる点がメリットです。たとえば、有期型の変額保険では、一定期間の死亡保障を確保しつつ、何事もなく満期を迎えれば満期保険金を受け取れます。終身型の変額保険では、一生涯の死亡保障を確保しつつ死亡保障が不要になったり、お金が必要になったりしたときは、途中で解約して解約返戻金を受け取ることも可能です。

インフレに強い

インフレとは、物価が上昇することで、相対的にお金の価値が下がることです。定額保険の場合、契約時に決めた保険金額や解約返戻金額は途中で変わることはありません。そのため、保険期間中にインフレが進んで物価が上昇すると、受け取れるお金の価値が実質的に目減りする可能性があります。

一方、変額保険では、インフレによって景気がよくなり、金利や株価が上昇すると、運用が好調になって受け取れる金額が増えることも少なくありません。受取額が増えれば、物価が上昇しても、お金の価値が下がったことによる影響は受けにくくなるでしょう。

生命保険料控除が受けられる

支払った保険料が生命保険料控除の対象になる点も、変額保険のメリットです。生命保険料控除とは、年間で支払った保険料に応じて所得から一定額を差し引ける制度のことです。所得が減れば、その分所得税や住民税の負担も減ります。多くの場合、変額保険は「一般生命保険料控除」の対象となり、所得税で最大4万円、住民税で最大2.8万円の所得控除を受けることが可能です。毎月保険料を支払うだけで節税につながる点はメリットといえるでしょう。

死亡保険金に最低保証がある

変額保険の満期保険金や解約返戻金は、契約した時点で受取額は決まっていません。しかし、死亡保険金には最低保証があるため、運用成績が悪い場合でも、一定の保険金を家族に遺せます。

変額保険はやめたほうがいい人の特徴

変額保険には一定のリスクやデメリットがあるため、すべての人に適している保険とは限りません。加入を検討している人は、以下の特徴のうち当てはまるものがないか確認しておきましょう。

  • 元本割れのリスクが許容できない人
  • 変額保険の仕組みを理解していない人
  • 余剰資金に余裕がない人
  • 保障が必要ない人

元本割れのリスクが許容できない人

変額保険は運用状況によって、受け取れる保険金額が変動する可能性があります。「債券型」のような値動きの安定した特別勘定を選ぶことである程度リスクを抑えられますが、確実に元本が保証されているわけではありません。元本割れのリスクが許容できない人は、定期預金のような元本保証のある商品を活用して資産形成に取り組んだ方がよいでしょう。

変額保険の仕組みを理解していない人

変額保険は一般的な生命保険と比べると、さまざまなリスクがある保険です。景気や為替の変動などによって株価や債券の価格が下がると、著しく運用成績が悪化する恐れがあります。仕組みを理解しないまま安易に加入すると、将来必要な資金を確保できなくなる場合も考えられるでしょう。

余剰資金に余裕がない人

余剰資金とは、手持ちの資産から普段の生活に必要なお金や緊急時に備えるお金を差し引いた、当面使う予定のないお金のことです。余剰資金に余裕がない状態で変額保険に加入すると、途中で保険料が支払えなくなり、解約せざるを得なくなるかもしれません。変額保険は早期解約すると、解約返戻金が払込保険料を大きく下回り、元本割れを引き起こす可能性があります。

変額保険に加入する際は、無くなったとしても困らないお金を資産運用に回し、長期的な視点で運用に取り組むのがよいでしょう。

保障が必要ない人

保障が不要で運用だけに注力したい人は、変額保険に加入しない方がよいでしょう。変額保険は、自分で投資信託を購入して運用するよりも多くのコストがかかる傾向にあります。腰を据えて投資に取り組むだけの十分な時間と知識がある場合、変額保険ではなく直接投資商品を購入して運用した方が効率よく資産を増やせるでしょう。

変額保険は「保障と資産運用を両立したい人」に向いている保険

変額保険は、一定額の死亡保障を確保しつつ、資産運用に取り組みたい人に向いている保険です。変額保険では被保険者に万が一のことがあった場合に、死亡保険金が遺族に支払われます。運用が好調であれば保険金額が増える可能性もありますが、基本的に最低保証があるため、一定額の死亡保障を確保することが可能です。

また、解約返戻金や満期保険金は運用によって増減するため、資産運用の手段としても活用できます。運用先の特別勘定さえ選べば、細かい運用は保険会社に任せられる点も魅力です。

まとめ

変額保険は一般的な生命保険と異なり、加入した時点では保険金や解約返戻金の額が決まっていません。運用次第では思うような成果を得られない可能性もあるため、元本割れのリスクなどを許容できない人には向いていないかもしれません。また、投資信託や株式のような一般的な金融商品と比べると、運用コストが高い傾向にあるため、資産運用のみを目的とする場合も加入しない方が無難です。ただし、保険と資産運用の両方の機能が必要な場合は、変額保険に加入するのが有力な選択肢となるでしょう。

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オカネノホンネ編集部

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