ほったらかし投資でよくある失敗例とは?運用のポイントを紹介

投資

「ほったらかし投資」とは、運用の手間をかけずに資産を増やすことを目指す投資方法です。初心者でも取り組みやすい方法として注目を集めていますが、本当にほったらかしにしていても資産が増えるのか、疑問を抱いている人もいるでしょう。

ほったらかし運用のやり方を間違えると、資産が思うように増えないどころか損をしてしまうこともあります。

本記事では、ほったらかし投資で陥りがちな失敗例を紹介しながら、初心者でも安心して運用を続けるコツをわかりやすく解説します。

ほったらかし投資のよくある失敗例&予防策

ほったらかし投資とは、投資先を選定したあと、定期的な売買や細かい管理をせずに長期的な資産形成を目指す投資方法です。代表的な方法として、投資信託の自動積立やロボアドバイザーなどが挙げられます。

ほったらかし投資は、手間を最小限に抑えられる点や資産運用の知識がなくても取り組みやすい点が特徴で、初心者を中心に支持を集めています。しかし、正しい知識や心構えがなければ、思わぬ失敗を招くこともあるでしょう。

以下では、ほったらかし投資でよくある失敗例と予防策を具体的に解説します。

短期間で利益が出なかった

ほったらかし投資は、短期間でまとまった利益を狙える手法ではありません。そのため、「すぐに利益が手に入る」「短期間でお金が増える」と期待して始めると、思ったような成果が出ずに、後悔してしまうことがあります。

ほったらかし投資は、「時間」を味方につけてゆっくりと資産を増やす方法です。数ヶ月や1年程度で大きな利益を期待せず、5年~10年以上の長期目線で計画を立てましょう。市場は短期的には上下の波がありますが、長期的にみれば成長する可能性があります。焦らずに運用を続けることが大切です。

また、長期運用には複利効果を得やすくなるというメリットがあります。複利効果とは利益を再投資に回し、雪だるま式に膨らんでいく効果のことです。複利効果は時間が経つほど大きくなるため、ある程度ほったらかしにしながら運用を続ければ、大きな利益を得られる可能性があります。

完全にほったらかしにして想定以上に損失が膨らんでしまった

運用状況を一切確認せずに完全に放置してしまうと、ポートフォリオ(運用商品の組み合わせ)のバランスが崩れ、大きな損失を出すリスクがあります。

たとえば、リスクを分散するために株式50%、債券50%の割合で運用していたとしても、株式が値上がりして全体の70%を占めるようになった場合、ポートフォリオ全体のリスクは高くなってしまいます。この状態で株式市場が暴落した場合は、資産を大きく減らしてしまう可能性があるでしょう。

完全に放置するのではなく、必要最低限のメンテナンスを加えることで、ほったらかし投資のリスクを軽減できます。頻繁なチェックは不要ですが、最低でも年に1回は運用状況を確認することが大切です。

また、目標の資産配分に近い状態を維持するためにも、定期的なリバランスを実施しましょう。リバランスとは、運用状況に応じて資産配分を元の目標割合に戻す作業のことです。先程のケースであれば、一部の株式を売却して債券を買い増し元の割合に調整すれば、大きな損失を避けられる可能性があります。

運用効率の悪い商品に投資してしまった

「ほったらかしだから」と商品選びをおろそかにし、手数料や運用実績を確認せずに安易に投資してしまうことも、ほったらかし投資のよくある失敗例の1つです。

特に、手数料の高い商品に投資してしまうと、長期間保有してもコストが運用益を圧迫し、十分なリターンを得られない可能性があります。

そのため、商品を選ぶ際は購入手数料や運用管理費用(信託報酬)、過去の運用実績を必ず確認しましょう。

ただし、一時的に好調な成績を収めた商品でも、運用方針が変更されたり、経済状況が変化したりすることで、成績が悪化するケースもあります。そのため、どのような資産や地域に投資しているのか、運用方針を理解しておくことが大切です。そのうえで、長期的な成長に期待できる商品を選ぶのがよいでしょう。

目の前の値動きに惑わされて売買を繰り返してしまった

ほったらかし投資は、本来、長期的に資産を成長させることを目的とした投資方法です。しかし、目の前の値動きに惑わされて頻繁に売買を繰り返してしまうと、ほったらかし投資のメリット(複利効果や長期保有によるリスク軽減)を十分に得られなくなります。また、短期間での売買は、手数料や税金の負担を増やしてしまうこともあります。

日々の価格変動を気にしすぎると、焦りや不安から不必要な売買をしてしまいがちです。値動きの確認は「月に1回」や「半年に1回」程度に抑え、冷静に判断できる環境を整えましょう。

身の丈に合わない投資をしてしまった

生活に必要なお金や緊急時に備える蓄えまで投資に回してしまうと、運用に失敗した場合に生活が苦しくなってしまいます。身の丈に合わない投資をしていると、冷静な判断ができず、相場の値動きに惑わされて慌てて売却してしまうなど、負のスパイラルに陥りやすくなります。

投資を行う際は、必ず「失っても生活に影響が出ない余裕資金」を使いましょう。まずは生活費や緊急時用の資金を確保し、それ以外の資金で投資に取り組むことが重要です。少額からスタートして、慣れてきたら徐々に金額を増やしていくのも1つの方法です。

積立投資をしていたのに損失を出してしまった

積立投資は、毎月一定額を投資することで購入単価を平均化し、価格変動リスクを抑える効果があるとされています。しかし、「積立投資だから安心」と思い込んで放置してしまい、結果的に損失を出してしまうケースもみられます。

特に注意が必要なのは、相場全体が長期間にわたり下落を続ける場合です。このような状況では、価値が下がる一方で購入数量だけが増え、保有資産の総額が減少するリスクがあります。

積立投資はリスクを軽減しつつ長期的な資産形成を目指せる方法ですが、決して万能な方法ではありません。損失を防ぐには、積立投資だけに頼るのではなく、資産や地域の分散も意識することが重要です。たとえば、国内外の株式や債券、不動産といった異なるリスク特性を持つ資産に分散することで、一部の資産が値下がりしても、他の資産の値上がり分でカバーできる可能性があります。

ほったらかし投資を成功させるためのコツ

ほったらかし投資は「放置するだけ」ではなく、計画的に実践すれば効果を最大限に引き出すことができます。ここでは、ほったらかし投資を成功させるための具体的なコツについて、みていきましょう。

投資のゴールを明確にする

ほったらかし投資を成功させるには、自分が目指す目標を具体的に設定し、その達成に向けた計画を立てることが重要です。ゴールが明確でないと、一時的な値動きに惑わされて不必要な売買をしてしまう可能性があります。

「10年後の教育資金を準備する」「老後の生活資金を確保する」「毎年の旅行費用を運用益でまかなう」など、投資の目的や期間を具体的に設定してみましょう。

分散投資を徹底する

ほったらかし投資を成功させるには、分散投資を徹底することが重要です。分散投資とは、異なる資産や地域に分けて投資し、価格変動リスクを軽減する手法を指します。

1つの資産や市場に集中して投資すると、市場の変動が起きた際に大きな損失を被る可能性があります。しかし、分散投資を行えば、このようなリスクを抑えられる可能性があります。

たとえば、国内株式だけでなく、海外株式や債券、不動産、金など値動きの異なる資産に投資しておけば、特定の資産で損失が発生しても、他の資産の値上がり益でカバーできる可能性があります。

分散投資を実践したい場合は、株式や債券など複数の資産で運用する「投資信託」を購入するのもよいでしょう。投資信託であれば、1つの商品を購入するだけで分散投資の効果を得られる商品も少なくありません。

NISAやiDeCoを活用する

ほったらかし投資を成功させるためには、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった税制優遇制度を活用しましょう。通常、投資で得た利益には20.315%の税金がかかります。しかし、これらの制度を利用すれば、利益に課税されないため、手元により多くの利益を残すことが可能です。

NISAは、投資で得た売買益や配当金などが非課税になる制度です。成長投資枠とつみたて投資枠の2種類の非課税枠があり、成長投資枠では年間240万円、つみたて投資枠では年間120万円までの投資が非課税対象です。非課税で運用できる期間に制限はないため、ほったらかし投資をする場合に適しています。

NISAについて、以下の記事で詳しく解説しています。気になる方はぜひご確認ください。

iDeCoは、老後資金を準備するための私的年金制度です。運用益が非課税になるだけでなく、毎月の掛金が全額所得控除の対象になるため、所得税や住民税の節税効果も得られるのが特徴です。また、年金や一時金を受け取る際にも一定の税制優遇があります。

iDeCoには原則として「60歳までは引き出せない」という制約がありますが、長期的な資産形成を目的とするほったらかし投資には、適した制度といえるでしょう。

まとめ

ほったらかし投資は、長期的な資産形成に有効な方法ですが、計画的に実践しなければ思わぬ失敗を引き起こす可能性があります。短期的な値動きに翻弄されて売買を繰り返したり、運用効率の悪い商品を選んだりすると、ほったらかし投資のメリットを十分に活かせません。また、運用状況を確認せず完全に放置することで、損失が膨らんでしまうリスクもあります。

ほったらかし投資を成功させるには、投資のゴールを明確にし、長期的な視点で取り組むことが重要です。そのうえで、定期的な運用状況のチェックやリバランスを行えば、ほったらかし投資の本来の力を最大限に引き出せるでしょう。

また、分散投資を徹底してリスクを抑えることも大切です。効率よく資産を増やすためにも、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度も積極的に活用してみてはいかがでしょうか。

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オカネノホンネ編集部

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