変額保険・iDeCo・積立NISAを徹底比較!それぞれのメリット・デメリットを把握して上手に資産運用しよう

投資

高齢化といった昨今の情勢により、老後に必要な資金について不安を覚える人は増えたのではないでしょうか。老後に必要な資金を確保するための資産形成として選択肢の一つに挙げられるのが、主に投資で資産を増やす「変額保険・iDeCo・積立NISA」です。

この記事では「変額保険・iDeCo・積立NISA」の3つの資産運用を比較し、それぞれのメリットやどのような人に向いているかなどを解説します。

変額保険・iDeCo・積立NISAの比較

ここでは、変額保険・iDeCo・積立NISAの違いを比較して表にまとめました。まずは3つの違いについておおまかに確認してみましょう。

変額保険 iDeCo 積立NISA
投資対象 株式や債券、投資信託など 定期預金、投資信託など 投資信託、ETF
商品選択肢 10種類ほど 20~30ほど 100以上 ※金融機関による
積立金の移転可否 可能 可能 不可
運用コスト 保険料
投資信託の手数料
投資信託の手数料 投資信託の手数料
受取額・売却益にかかる税金の種類 所得税・住民税
(解約返戻金や満期受取金を受け取る際)
所得税
(一定の受取額を超える場合)
20年間非課税
換金の可否 解約時に可能 60歳まで換金不可 換金可能
始めるための費用 数千円~ 5000円~ 100円~

変額保険とは

変額保険とは、保険会社が契約者の保険料の一部を資産運用し、運用の結果に応じて保険金や解約返戻金の金額が変動する保険のことです。

自分に万が一のことがあった場合に家族の生活を保障するのが生命保険ですが、変額保険は一般的な生命保険とは異なり、保障を受けながら同時に資産運用を行えます。

変額保険のメリット

  • 最低保障があり、死亡・高度障害時に受け取れる金額が減ることはない
  • 生命保険料控除の対象になる
  • インフレ対策になる

変額保険のメリットは、契約者が支払う保険金の一部を投資の運用対象としているため、仮に運用がうまくいかなくなかったとしても、基本保険金額を下回ることがないところです。契約者が死亡・高度障害となった場合は、保険会社に払った保険料よりも保険金額が少なくなることはありません。

また、変額保険は生命保険料控除の対象であるため、保険料にかかる税金(所得税・法人税)を安く済ませられます。さらに、将来の予測が難しい物価の上昇、インフレに対しても、金融商品を運用する変額保険は対策として有効です。

変額保険のデメリット

  • 元本割れのリスクがある
  • 投資信託と比べコストがかかる
  • 年齢を重ねるごとに損になる場合がある

変額保険は死亡・高度障害保険金に最低保証がありますが、解約返戻金や満期保険金は元本割れのリスクがあります。支払いを満期まで終えた場合や、解約時に受け取れる解約返戻金を受け取る場合は、支払った保険料よりも受取金額が少なくなるリスクを覚悟しなくてはなりません。

また、投資信託と比べると保険料の支払い、手数料などでコストが多くかかるのもデメリットです。さらに、変額保険は保険という特性上、契約者の健康状態によっては加入ができなかったり、年齢が高くなると死亡リスクの関係から投資に回せる保険料が少なくなったりするというデメリットもあります。

結果として投資効率が悪くなり、資産運用として満足のいく結果を得られない場合もあります。

iDeCoとは

iDeCoは、国民年金基金連合会が運営する私的年金制度で、任意での加入が可能です。本来の年金の支払いに加え、iDeCoで掛金の積立を行い資産運用することで、老後資金のさらなる確保を目的としています。

iDeCoは、対象となる金融商品を自分で選んで運用します。老後に備えた資産形成という毛色が強いため、途中でお金を引き出すということができません。

iDeCoのメリット

  • 節税効果がある
  • 元本確保型の商品ならば、元本の確保が可能

iDeCoは積立時、運用時、給付の受取時に税制上の優遇措置が取られており、高い節税効果があることがメリットです。iDeCoで積み立てた掛金は、全額所得控除の対象であり、所得税、住民税が軽減されます。

さらに、通常の投資信託の運用益でかかる20.315%の税金が非課税となり、効率よく資産を増やせます。さらに、年金受け取り時にも一時金で受給する場合は「退職所得控除」、年金で受給する場合は「公的年金等控除」を受けることができ、節税できます。

iDeCoは変額保険や積立NISAと違い、定期預金や保険などの元本確保型の商品を運用することで、元本割れのリスクを避けることができるのもメリットです。

iDeCoのデメリット

  • 元本割れのリスクがある
  • 60歳まで資産の引き出しができない
  • 掛金に上限が設けられている

iDeCoは定期預金・保険などの元本確保型の商品を選ぶことで、安全に資産運用ができる一方、積極的に資産を増やしたいのであれば投資信託を選ぶ必要があります。投資信託は資産を増やせる一方で損失のリスクもあるため、元本割れが起こるリスクがあります。

さらに、iDeCoは老後の資産形成を目的としているため、途中で資産を換金して引き出すことができません。60歳から老齢給付金を受給することが可能ですが、老齢給付金を受給し始めてからは積立を行うことができないというところにも注意が必要です。

また、掛金の積立に上限が設けられていることも、デメリットのひとつです。

積立NISAとは

積立NISAとは、資産形成のために小額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度のことです。専用の口座を使って購入した投資信託の分配金と譲渡益が20年間非課税となり、効率よく投資を行えます。

積立NISAの金融商品は、投資信託の中から金融庁が厳選して選んだものであり、投資初心者でも比較的安心して運用できます。

積立NISAのメリット

  • 投資による利益が、20年間は非課税となる
  • 少額から始められる
  • 積立金の換金ができる

積立NISAは将来に向けた資産形成を支援する制度なので、20年間という長期間、投資による利益が非課税となるところがメリットです。通常20.315%かかる税金が非課税となるため、効率よく投資を行えます。

また、証券会社によっては100円以上1円単位の少額から始められることから、投資に対して抵抗の強い人でも気軽に始めやすいというメリットもあります。

さらに、iDeCoでは不可能な積立金の換金も自分のタイミングで自由に行えるため、自分の生活の変化に合わせてお金を引き出すことができます。

積立NISAのデメリット

  • 元本割れのリスクがある
  • 購入できる商品が限られている
  • 損失が出たときに、税制上のメリットを受けられない

積立NISAでも、変額保険やiDeCoと同様に、元本割れのリスクがあります。積立NISAでは、比較的安全な分散投資が可能であるとはいえ、投資信託を買う以上損失のリスクを避けることはできません。

また、積立NISAは、金融庁の厳しい条件をクリアした投資商品しか購入することができないため、リスクの少ない投資が可能である一方、購入できる商品が限られているのがデメリットです。

さらに、積立NISAでは通常の投資で行うような損益通算と繰越控除ができないため、損失が出たときに税制上のメリットが受けられないことにも注意しなくてはなりません。

まとめ

投資で資産を運用する「変額保険・iDeCo・積立NISA」は、将来のために行う資産形成の選択肢の一つです。それぞれにメリットがあり、どれが向いているかは自分のライフプランに沿って決めるのが有効です。

ただし、資産形成方法を選択する前に、まずは自分の収入や現在の貯蓄、住宅ローンや子供の養育費などのこれからの支出を照らし合わせて、将来に必要になる資金を大まかに計算しておくことが必要です。資産運用を行う目的を明確にさせ、自分に合った運用方法を見つけてください。

どの資産運用を選ぶにしても投資である以上はリスクを避けられないため、しっかりと下調べを行った上で投資することをおすすめします。





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オカネノホンネ編集部

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