医療保険への加入を検討する際に、掛け捨て型と貯蓄型のどちらの保険を選択するべきか迷う方もいるのではないでしょうか。この2種類のうち、日本で近年より多く導入されている保険は掛け捨て型 になります。
今回の記事では、医療保険における掛け捨て型と貯蓄型の概要について触れるとともに、掛け捨て型の相場についても解説します。
目次
医療保険は「掛け捨て型」と「貯蓄型」の2種類
医療保険は、月々の保険料や解約返戻金の有無などによって、「掛け捨て型」と「貯蓄型」に分類されます。それぞれに特徴があるため、メリットおよびデメリットをしっかり把握したうえで検討をしたいものです。
まずは、掛け捨て型、貯蓄型それぞれの特徴についてみていきましょう。
掛け捨て型の医療保険とは
掛け捨て型の医療保険とは、保険料を一定期間支払ったあと、満期を迎えたり解約したりした場合に保険料が返ってこない医療保険のことをいいます。現在、日本の医療保険で主流となっているのが、掛け捨て型 です。保険料が戻ってこない代わりに、月々の保険料を抑えられるのが大きな特徴です。
リーズナブルな掛け捨て型の医療保険商品の場合、約1,000〜2,000円/月で保障が受けられます 。月々の保険料を抑えられるため、家計を圧迫する可能性も低くなるでしょう。
ただし、保険商品によっては一定期間で保障が終わるものもあるので、契約時にしっかり確認しておきましょう。
貯蓄型の医療保険とは
貯蓄型の医療保険では、60歳や65歳といった一定の年齢まで毎月支払ってきた保険料が積み立てられ、保険期間が満期になると返戻金を受け取ることができます。これが、いわゆる満期保険金です。満期になる前に入院給付金や手術給付金を受け取った場合は、それらを差し引いた額が支払われます 。そのため、貯蓄型の医療保険は、病気やケガに備える保険機能と貯蓄機能を併せ持つ保険商品といえます。
返戻金を受け取れるといったメリットがある一方で、貯蓄型の医療保険は掛け捨て型と比べると毎月の保険料が高いのが特徴です。
貯蓄型の医療保険は、「お祝い金タイプ」「リターンタイプ」「解約返戻金タイプ」 に分けられます。お祝い金タイプは、数年ごとにお祝い金が支払われる仕組みです。リターンタイプは満期で全額が返戻され、解約返戻金タイプは解約のタイミングで返戻金が支払われます。
保障期間により「掛け捨て型医療保険」には2つのタイプがある
医療保険に限りませんが、掛け捨て型の保険には、「定期保険」と「終身保険」があります。どちらにもメリットと注意点があるので、確認しておきましょう。
定期保険
保障期間が定められている保険を、「定期保険」といいます。保障期間が満期になった場合、その後も保障を受けるためには更新が必要です。通常は更新時の年齢に合わせて保険料を計算し直すため、保険料は更新のたびに上がる傾向にあります。
「当面は保険料を抑えながら家計を安定させたい」という方や、「一定期間の保障を得たい」という方には定期保険が向いているといえるでしょう。
終身保険
解約しない限り、一生涯保障を受けられるタイプの保険を終身保険といいます。定期保険とは異なり毎月の保険料が上がることはなく、保険料は一定となります。 そのため、年齢が若いうちは定期保険よりも毎月の保険料が高くなることがあります。
終身保険は、保障期間と保険料の払込期間が一致するとは限りません 。一生涯支払い続ける商品もあれば、定年までなど一定の期限までに払い込みが終わる商品もあります。終身保険は、老後の不安を少しでも解消したい人に向いている保険といえるでしょう。
「掛け捨て型医療保険」のメリット・デメリット
日本で販売されている医療保険は掛け捨て型が主流となっていますが、掛け捨て型の医療保険にはメリットもあればデメリットもあります。それぞれ把握しておくと、より自分に合った保険を選びやすくなるでしょう。
ここからは、掛け捨て型医療保険のメリットとデメリットをみていきましょう。
掛け捨て型のメリット
貯蓄型の医療保険に比べると、掛け捨て型の医療保険は、返戻金のために積み立てられるお金がない分、保障内容は同じでも保険料が比較的リーズナブルです。
貯蓄型の医療保険を契約期間中に解約した場合、返戻金が減額されることがあります。一方で掛け捨て型の医療保険は返戻金を気にする必要がないため、柔軟に保険の見直しができます。 たとえば、ライフステージが変わった時や魅力的な医療保険を見つけた時など、自分の好きなタイミングで見直しができるでしょう。
掛け捨て型のデメリット
掛け捨て型の医療保険のデメリットには、支払った保険料が戻ってこないことが挙げられます。病気もケガもなく健康で一生を送れば、給付金を受け取ることはないでしょう。そういった場合に「結果的に、貯蓄型にしておけばよかった」と感じることがあるかもしれません。
掛け捨て型の医療保険の相場
掛け捨て型の医療保険の保険料は、各保険会社が設定するプランや特約、加入者の性別や年齢によって変わります。そのため、一概に医療保険の相場を算出するのは難しいといえるでしょう。 医療保険に加入する目的やどの程度医療保険でカバーしたいのかを確認のうえ、見合ったプランの医療保険料と照らし合わせて検討しましょう。
また公益財団法人生命保険文化センターが令和元年度に行った調査によると、1日あたりの入院保障額の平均は男性が10,900円、女性が9,100円 という結果になっています。
以下の表は、生命保険文化センター「生活保障に関する調査」 をもとに、疾病入院給付金の日額を年代別にまとめたものです。
(単位:円) | 平成8年 | 平成10年 | 平成13年 | 平成16年 | 平成19年 | 平成22年 | 平成25年 | 平成28年 | 令和元年 |
男性 | 9,400 | 9,500 | 10,100 | 10,500 | 11,800 | 11,000 | 10,900 | 10,800 | 10,900 |
女性 | 7,100 | 6,900 | 7,800 | 8,200 | 9,000 | 9,200 | 9,000 | 9,200 | 9,100 |
掛け捨て型の医療保険はこんな人におすすめ
掛け捨て型・貯蓄型が持つ特徴やメリット・デメリットを踏まえて、それぞれの医療保険におすすめの人をご紹介します。ライフスタイルや考え方と照らし合わせてみると、自分に合う医療保険の種類がみえてくるでしょう。
掛け捨て型の医療保険がおすすめの人
月々の保険料をできるだけ抑えたい人
貯蓄は自ら行いたい人
保険料以外に大きな支出がある人
幅広い選択肢から自分に合う保険を選びたい人
掛け捨て型の医療保険は返戻金のための積み立てがないことから、保険料は貯蓄型の医療保険に比べて割安です。浮いたお金を自分で貯めたり、資産運用に回したりできるでしょう。
また、住宅ローンや教育費といった大きな支出の予定がある人も、掛け捨て型の医療保険が向いています。
掛け捨て型の医療保険は、各保険会社が競争 しながら新たな商品をリリースしているのも特徴です。そのため、豊富なバリエーションの中から、より自分に合った保険を選びたい方にも向いています。
貯蓄型の医療保険がおすすめの人
自分で貯金することが苦手な人や貯金がない人
リタイア後や遺族への保障も重視する人
病気やケガの保障が必要と考えている人の中には、将来に備えて貯蓄をしたい人もいるでしょう。貯蓄型の医療保険であれば、貯金をしながら保障を受けることができるため、コツコツと貯金をすることが苦手な人にもおすすめできます。
また、リタイア後の保障や遺族に対するサポートを望む人にも、貯蓄型がおすすめです。
まとめ
掛け捨て型の医療保険は、貯蓄型の医療保険のように返戻金がないため保険料が割安です。家計支出における保険料をできるだけ抑えたい場合は、掛け捨て型の医療保険が向いているといえます。また、すでに自身で貯蓄や資産運用を行っている場合など、医療保険での資産運用が必要ない人にとっても、掛け捨て型の医療保険は選択肢の1つです。
医療保険の加入を検討する場合は、様々なバリエーションの中から、それぞれの特徴を把握したうえで検討することが大切です。自身の年齢やライフスタイル、持病の有無なども踏まえて選ぶようにしましょう。
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