変額保険のスイッチングとは?積立金移転を行うメリットや注意点を解説!

保険全般

変額保険は運用実績次第で保険金額が変動するため、定期的に運用状況をチェックしておくことが大切です。「スイッチング」は、運用実績を安定させるために重要な役割を果たします。しかし、投資経験が少ない場合はスイッチングとは何を指すのか、どんなメリットがあるのかわかっていないことも多いでしょう。

この記事では、変額保険のスイッチングに関する基礎知識としてメリットや注意点などを解説します。スイッチングを使うタイミングや具体的な手続き方法も紹介しますので、スイッチングで悩んでいる人は参考にしてください。

変額保険のスイッチングとは

変額保険は、運用結果に応じて解約返戻金や満期保険金、死亡保険金が変動するタイプの保険です。契約者が支払った保険料を特別勘定で運用し、運用益を保険金額に反映させる仕組みになっています。

スイッチングとは、特別勘定で運用されている積立金を、他の特別勘定に移転する手続きです。たとえば、1,000万円の積立金を日本株型の特別勘定で30%、米国株で30%、債券で40%運用していたものを、日本株と米国株にそれぞれ50%ずつ再配分するような変更を行うことを指します。契約者は、スイッチングによって市場の状況や自身の投資方針に応じて、柔軟に運用戦略を変更できるのです。

なお、スイッチングを行っても、それ以降に支払う保険料の運用先が自動的に変わることはありません。運用先を変更したい場合は、保険料繰入割合の変更手続きが必要です。

変額保険と投資信託のスイッチングの違い

変額保険のスイッチングとは、一つの保険商品内で資産配分を変更する手続きのことです。複数用意されている特別勘定のうち、Aの特別勘定で運用していた資産を売却して、Bの特別勘定を購入する手続きがあてはまります。契約者は、配分割合を自身の希望に合わせて1%単位で変更することが可能です。

一方、投資信託のスイッチングとは、保有している投資信託を売却して、その資金で新しい投資信託を購入することを指します。投資先を変更するという意味では変額保険と同じような手続にも思えますが、投資信託では商品ごとに資産の配分割合が決められているため、変額保険のように投資割合を自由に変更することはできません。

変額保険のスイッチングはいつ使う?

変額保険でスイッチングができることは理解したものの、活用するタイミングがわからない人もいるでしょう。ここでは、スイッチングに適しているタイミングについて解説します。

運用状況に応じて繰入割合を見直すとき

変額保険のスイッチングは、運用状況に応じて繰入割合を見直す際に特に有効です。たとえば、Aの特別勘定に60%、Bの特別勘定に40%の割合で積立金の運用を始めたとします。運用成績の変化によりAの特別勘定が70%、Bの特別勘定が30%と運用割合が変わってしまった場合、何もしなければ投資割合の高いAの特別勘定の価値が下落した際に損失を被るリスクがあります。

スイッチングを活用すれば、価値が上がった特別勘定の一部を売却し、価値が下がった特別勘定を買い増すこともできるため、運用成績の向上に期待ができます。

また、資産割合を一定に保つことで、分散投資の効果を継続的に受けられるため、リスクとリターンも安定しやすくなるでしょう。このような資産配分比率を当初の計画通りに戻す行為は「リバランス」と呼ばれ、変額保険の中にはリバランスを自動で行う「オートリバランス機能」を持つ商品もあります。

年齢や環境の変化が生じたとき

年齢や環境の変化が生じたときも、スイッチングに適したタイミングの一つです。年齢によって、許容できるリスクの度合いは変わります。若いときは損失を経験しても回復を待つ時間や新しい収入を得るチャンスが多くあるため、積極的にリスクをとりながら大きなリターンを狙うことが可能です。

しかし、高齢になると運用期間が短くなりやすく、新しい収入を得る機会も少なくなるため、資産を一度減らしてしまうとリカバリーするのが難しくなります。そのため、年齢を重ねるにつれて、より安定した運用にスイッチングしていくことが一般的です。

たとえば、若いうちは成長性の高い株式中心の運用が適しているかもしれませんが、年齢を重ねるにつれてより安定した収益をもたらす債券への配分割合を増やすことも考えた方がよいかもしれません。長期的な資産形成においては、スイッチングを活用しながら投資割合を見直し、リスクをコントロールしていくことが重要です。

変額保険をスイッチングするメリット

スイッチングをすることで柔軟に運用先を変更できる点が、変額保険の魅力です。ここでは、変額保険をスイッチングするメリットを紹介します。

積立目標を変更できる

変額保険のスイッチングは、積立目標の変更にも対応しやすいというメリットがあります。

ライフステージが変化すると、それに伴い資産運用のニーズが変わることは珍しくありません。たとえば若い頃は教育資金の積立を目的としていたものが、年齢を重ねるにつれて老後の資金準備へとシフトするケースなどがあります。このようなケースでは積立目標が大きくなるため、より効率的にお金を増やしていかなければなりません。

スイッチングを活用すれば、途中で運用先を高いリターンが狙える特別勘定に変更し、運用効率を上げることが可能です。

成績がよい商品に切り換えられる

変額保険のスイッチングを利用することで、成績がよい商品に切り替えることが可能です。現在の運用成績に満足していない場合や、より積極的に利益を追求したい場合には、スイッチングを検討する価値があるでしょう。

ただし、過去の運用実績は将来の運用実績を保証するものではありません。スイッチングしたからといって必ずしも狙った利益が得られるとは限らないため注意しましょう。

変額保険のスイッチングにおける注意点

変額保険のスイッチングには、基本的に手数料がかかりません。ただし、月間や年間で決まった回数を超えてスイッチングをすると手数料がかかることがほとんどです。頻繁にスイッチングをすると手数料が多く差し引かれるため、運用効率が悪くなる可能性があります。

各保険会社の変額保険スイッチングにおける手続きの流れ

スイッチングの手続き方法は保険会社によって異なります。各保険会社のスイッチングに関する手続きの流れや手数料などを詳しく紹介しますので、参考にしてください。

アクサ生命

アクサ生命のスイッチングの流れは以下の通りです。

【WEBにおける手続きの流れ】

アクサ生命の契約者向けウェブサービス「Emma by アクサ」にログインし、表示画面から「積立金の移転」を選択して、手続きを進めましょう。アクサ生命での受付日の翌営業日の翌日9時に変更内容が反映されます。

【書類における手続きの流れ】

「Emma by アクサ」にログインし、「その他のお手続き・お問い合わせ」から積立金の移転を申し出ます。アクサ生命から手続に必要な書類が郵送されるので、記入の上返送しましょう。不備がなければ書類到着の当日中に手続きが完了します。

アクサ生命では、月に1回まで手数料無料でスイッチング可能です。月に2回以上行うと積立金から800円が控除されます。

メットライフ生命

メットライフ生命では、商品ごとにスイッチングの手続き方法が異なります。

【WEBにおける手続きの流れ】

「ライフインベスト」や「ライフインベストプラス」の場合は、契約者向けWEBサービスへのログイン後、トップ画面の「ご契約内容の確認」を選択し、該当の証券番号にある「運用状況の確認、変更手続き」を選択します。「運用先変更」タブを選択すれば手続き完了です。

変額個人年金保険は契約者向けWEBサービスへのログイン後、トップ画面の「各種お手続きなど」を選択し手続きを進めましょう。

【書類における手続きの流れ】

ライフインベストやライフインベストプラス、変額個人年金保険以外の変額保険の手続きをする場合は、サービスセンターに連絡し、手続き書類の発送を依頼してください。書類を記入・返送すれば手続きが完了します。

メットライフ生命では、1年間に15回までスイッチングが可能で、手数料もかかりません。上限を超えた場合は、1回につき2,500円がかかります(ライフインベスト・ライフインベストプラスの場合)。

ソニー生命

ソニー生命のスイッチングの流れは以下の通りです。

【WEBにおける手続きの流れ】

ソニー生命の契約者向けウェブサービスにログインし、画面の案内にしたがって積立金割合の指定など、必要事項を入力してください。その後、ソニー生命から手続き完了のメールが届きます。

【書類における手続きの流れ】

ソニー生命の担当者、またはカスタマーセンターに連絡し、請求書類を受け取ります。その後、請求書類に記入し返送すれば手続きは完了です。ソニー生命から書面で「手続き完了のお知らせ」が送付されます。

ソニー生命では、12回までスイッチングが可能です。

住友生命

住友生命のスイッチングの流れは以下の通りです。

【WEBにおける手続きの流れ】

「スミセイダイレクトサービス」から手続きを行います。メンテナンス期間中は利用できない場合があるため注意しましょう。

【書類における手続きの流れ】

スミセイコールセンターに電話し、積立金の移転を申し出ましょう。加入経路(営業職員または保険代理店)によって、連絡先が異なります。

インターネットから手続きする場合は、手数料無料です。電話や書面での手続きについては年12回まで無料で、それ以降は1回あたり1,000円の手数料がかかります。

まとめ

変額保険においては、契約後に特別勘定を変更することをスイッチングと呼びます。スイッチングをうまく活用すれば、運用状況やライフステージに合わせて、リスクやリターンをコントロールできるでしょう。

ただし、スイッチングには手数料が発生したり回数制限が設けられていたりするケースも少なくないため、適切なタイミングで活用する必要があります。もしスイッチングすべきか判断に迷う場合は、保険会社の担当者やFP(ファイナンシャルプランナー)など、信頼できる専門家に相談してみるのもよいでしょう。

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オカネノホンネ編集部

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