収入保障保険にかかる税金の種類を紹介!受け取り方で課税対象が変わる?

保険全般

昨今、万一の場合の備えとして数多くの保険商品が存在します。その中でも、万が一の事態に陥った際の収入減少に備えられるのが収入保障保険です。しかし、収入保障保険で受け取る保険金は課税対象となるため、少しでも多く手元に残したい場合は、受け取り方やタイミングに注意が必要です。

本記事では、収入保障保険にかかる税金と受け取り方について解説します。収入保障保険を検討する際に役立ててみてください。

そもそも収入保障保険とは

収入保障保険とは、被保険者が死亡または高度機能障害の状態に陥った際に、一定額の保険金が年金形式で毎月支払われる保険です。保険期間が満了するまで保険金の支払いが続きますが、満了に近づくにつれて支払額が少なくなります。

また、保険商品によっては年金形式ではなく、一括での保険金受取も可能です。マイホーム購入やお子様の進学といったライフイベントにも備えられるでしょう。

収入保障保険についてさらに詳しく知りたい方は、以下を参照してください。

【収入保障保険】保険金の受け取り方で課税される税金の種類は異なる

万が一の事態の備えとなる収入保障保険ですが、受け取る保険金は課税対象となることに注意が必要です。ここでは、保険金の受け取る際に課される税金について解説します。

保険金を「年金形式」で受け取る場合

収入保障保険の保険金を年金形式で受け取る場合は、契約者、被保険者、受取人が誰かに加えて、受け取るタイミングで課税される税金が異なります。

ここでは、「被保険者が亡くなったとき」と「実際に年金を受け取ったとき」の2つについて解説します。

被保険者が亡くなったとき

収入保障保険の契約者でかつ被保険者であるAさんが亡くなった場合を考えてみましょう。このとき、保険金の受取人は、Aさんの妻であるBさんとします。このケースでは、被保険者であるAさんが亡くなったタイミングで、保険金を一時金で受け取った際の評価額(年金受給権評価額)に対して相続税がかかります。

このとき、保険金の受取方法を一時金形式にしていなかったとしても、相続税の評価額は一時金の金額であることに注意が必要です。

相続税は、法定相続人が一人の場合は基礎控除が3,600万円であり、法定相続人が一人増えるごとに基礎控除額が600万円ずつ増加します。 相続する資産の評価額と年金受給権評価額の合計を確認し、相続税が課税されるか、課税される場合はいくらになるのかを把握することが重要です。

実際に年金を受け取ったとき

保険金受取が年金形式で受け取った場合は、保険金は雑所得の扱いとなり所得税と住民税の課税対象になります。 先述のケースでは、Aさんが死亡した際に相続税が課税されているため、二重課税を防ぐ観点から所得税と住民税は2年目から課税されます。

課税対象となる雑所得は、年金収入から既に相続税の課税部分や保険料支払いなどの経費を差し引いた金額です。なお収入保障保険における雑所得は、国税庁が提供する「確定申告等作成コーナー」で計算することができます。

保険金を「一括」で受け取る場合

ここでは、保険金を一時金として一括で受け取る場合に課税される税金について解説します。このとき、契約者、被保険者、受取人がそれぞれ同じなのか、あるいは異なるのかで課税される税金が異なります。

夫のAさん、妻のBさん、娘のCさんの3人家族の想定し、事例別にまとめたのが以下の表になります。

契約者 被保険者 受取人 課税される税金の種類
パターン1 夫(Aさん) 妻(Bさん) 夫(Aさん) 所得税・住民税
パターン2 夫(Aさん) 夫(Aさん) 妻(Bさん)、子(Cさん) 相続税
パターン3 夫(Aさん) 妻(Bさん) 子(Cさん) 贈与税

契約者(被保険者)が受け取ったケース

上記の表におけるパターン1に該当するのが、保険金を契約者が受け取った場合です。被保険者のBさんが死亡し、契約者である夫のAさんが受取人になるケースが該当します。このとき、受け取った保険金は一時所得として分類され、所得税及び住民税の課税対象となります。

一時所得は、その半分に相当する金額を給与所得などの他の所得と合算して税額を計算しなければならないことに注意が必要です。ここから、保険料などの経費と特別控除額(最大で50万円)を差し引いて最終的な所得金額を計算します。

このとき、受取人である夫(Aさん)が高収入のサラリーマンなどで所得が大きい場合は、保険金受取時の課税額が多くなることにも注意しましょう。

契約者(被保険者)以外の親族が受け取ったケース

上記の表におけるパターン2に該当するのが、契約者以外の親族が保険金を受け取った場合です。契約者であり被保険者でもあるAさんが死亡し、保険金の受取人がBさんまたはCさんになっているケースが該当します。このとき、受け取った保険金は相続税の課税対象となります。

先述の通り、相続税は、法定相続人が一人の場合は基礎控除が3,600万円であり、法定相続人の人数が増えるにつれて600万円ずつ控除額が上がります。保険金以外に被保険者の相続財産評価額についても確認し、思わぬ形で相続税の負担が生じないように注意しましょう。

契約者・被保険者・受取人がいずれも異なるケース

前述の表におけるパターン3に該当するのが、契約者、保険者、受取人のいずれも異なる場合です。契約者がAさん、被保険者がBさん、保険金の受取人がCさんになっているケースが該当します。このとき、受け取った保険金は贈与税の課税対象となります。

これは受取人であるCさんが保険料の支払いを負担していないことから、実際に保険料を支払ったAさんからの贈与を受けたとみなされるためです。

贈与税の課税対象は、ある年の1月1日から12月31日までに受けた贈与財産の合計額から110万円を基礎控除として差し引いた額です。

収入保障保険に関してよくある質問

ここでは、収入保障保険でよくある2つの質問についてお答えします。

Q.課税額を抑えて保険金を受け取るにはどうすればよい?

収入保障保険で課税される税金は多岐に渡りますが、最も節税できる可能性があるのが相続税です。 相続税は、基礎控除が最小でも3,600万円と大きな金額になります。さらに、法定相続税人が増えるごとに600万円ずつ基礎控除が増額することに加え、同じく法定相続人が増えるごとに500万円ずつ非課税限度額が増加します。

ただし、保険金以外の相続財産の評価額が大きい場合は、必ずしもベストな選択肢ではない場合があることも注意しましょう。

Q.保険金を受け取ったときは年末調整や確定申告が必要になる?

保険金を受け取った際には、契約者、被保険者、受取人がそれぞれ誰になっているかにより異なりますが、何らかの税金が課税されます。

そのため、確定申告を行った上で税額を計算し、所定の金額を納税しなければなりません。保険金を受け取ったにもかかわらず確定申告を行わない場合は、無申告の扱いとなり無申告加算税が課されるなどのペナルティがあります。

また、年末調整についても生命保険料控除を受けるためには、勤め先の年末調整時に生命保険料控除証明書を提出する必要があります。

まとめ

収入保障保険の保険金受取にまつわる税金は、受取方法が年金か一時金か、そして契約者・被保険者・受取人が誰かによって異なります。そのため、自身の置かれた状況を正しく把握して、筋道立てて確認していくことが重要です。状況に応じて税理士などの専門家に依頼するのもよいでしょう。

収入保障保険は万が一の事態に陥った場合に心強い味方になりますが、保険金受取時の税務についても慌てずに対応できるよう、正しい知識を持っておくようにしましょう。






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オカネノホンネ編集部

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