公務員必見!就業不能保険への加入は必要?必要性が低い理由についても解説!

保険全般

、就業不能保険は病気やケガで働けなくなったときに、保険会社から一時金や毎月給付金を受け取れます。

もしものときに備えて、働き盛りの世代では加入を検討している人もいるでしょう。しかし公務員として働いている方の中には、福利厚生や公的保障が充実しているため、本当に加入すべきか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

この記事では「公務員にとって就業不能保険は必要なのか」をテーマに、加入する際のポイントや就業不能保険以外で備えることができる保険について解説します。

公務員は就業不能保険が必要?

経済状況にもよりますが、公務員の場合は就業不能保険に加入する必要性は低いでしょう。理由としては、会社員や自営業者と比べて、休業中の収入をカバーする手段が多く用意されているためです。

会社員の場合は「傷病手当金」制度を活用することで、病気やケガで働けなくなったときに給与の約3分の2が支払われます。しかしこの制度では、給与全額の保障はされません。また1年6ヶ月を超えると支払いが終了し、経済状況によっては生活費の全額をカバーすることは難しいでしょう。

自営業者の場合は、そもそも「傷病手当金」の対象外です。会社員や自営業者の人においては、就業不能保険や医療保険は役に立つ可能性が高いといえるでしょう。

一方で、公務員の場合、傷病手当金に加えて病気休暇や休職中の給与保障など、働けなくなったときに活用できる制度が充実しています。これらの制度を活用することで、最大で3年以上は給与の一定額や各種給付金を受け取れるようになります。

ただ、人によっては、これらの制度を活用できても生活費の全額が補償されるわけではありません。実際に制度が利用できるかどうかも、所属する各自治体や団体によって異なります。

しかし、会社員と比べても活用できる制度が充実しており、受け取れる金額も高くなる可能性があります。そのため公務員として従事している人は、就業不能保険に加入する必要性が低いといえるでしょう。

公務員は就業不能保険の必要性が低い理由

公務員は一般的な会社員とは異なる制度を利用できるため、就業不能保険に加入する必要性が低いといわれています。ここでは、どのような制度があるのかを具体的に見ていきましょう。

理由①:福利厚生が充実している

公務員は就業不能保険の必要性が低い理由の一つとして、福利厚生が充実していることが挙げられます。

特に働けなくなったときに役立つのが「病気休暇」の制度です。病気やケガによりやむを得ず勤務できないときに、最大90日間の休暇を取れるようになっています。休暇中は通勤手当や管理職手当など一部の手当を除いた給与が全額支払われるため、今までの生活水準を維持したまま生活を送ることが可能です。ボーナスについても、査定期間中に勤務実績があれば支払われます。

なお、企業の場合は、このような休暇制度を設けられていない場合が多いです。独自で制度を設けている企業もありますが、給与の保障がなかったり日数上限が短かったりします。

理由②:公的保障が充実している

利用できる公的保障制度が充実している点も、必要性が低いといわれる理由です。公務員が利用できる主な公的保障は、以下のとおりです。

  • 傷病手当金
  • 公務災害補償
  • 障害年金

傷病手当金

傷病手当金とは病気やケガで働けなくなったときに、おおよそ毎月の給与額の3分の2が給付される制度のことです。4日連続で仕事を休んだ時点で請求が可能となり、最長で1年6ヶ月間支払いが継続します。

会社員も受けられる制度ですが、公務員と会社員とでは「傷病手当金附加金」が支払われる点に違いがあります。傷病手当金附加金とは、傷病手当金と同額が最長6ヶ月支払われる制度のことです。公務員の場合は傷病手当金と傷病手当金附加金の両方を受給することにより、最長で2年間給与一定額の保障を受けられることになります。

公務災害補償

公務災害補償とは公務上や通勤時に起きた病気やケガにより働けなくなった際に、休業補償として平均給与の約8割が支払われる制度のことです。治療にかかる費用や治療中の生活費だけでなく、障害を負ったときや死亡したときにも年金や一時金が受け取れるようになっています。

障害年金

障害年金とは病気やケガにより、障害を負った場合に年金が受け取れる制度のことです。自営業者には基礎年金、会社員には厚生年金の制度がありますが、さらに公務員の場合では「年金払い退職給付」と呼ばれる上乗せの給付が含まれているのが特徴です。

理由③:休職中でも収入がある

公務員は医師の診断書を提出することにより、最大3年間休職が可能です。最初の1年間は給与の80%程度が支給されます。1年経過すると支給されなくなりますが、その後は給付金を受け取れる傷病手当金制度を約2年間利用することで、合わせて3年間ほどは収入がゼロになる心配がありません。

休職期間中であっても比較的長期間にわたって収入が得られる点は、一般的な会社員と大きく異なる点といえるでしょう。

公務員でも就業不能保険への加入を検討した方がよい人

基本的に公務員は就業不能保険に加入する必要性が低いとはいえ、すべての公務員に当てはまるわけではありません。ここでは、公務員でも就業不能保険への加入を検討した方がよい人の特徴を解説します。

就業不能時の支給額では生活が厳しい人

公務員は、就業不能になったときに一定額の給与や給付金が支払われます。しかし、それだけで生活することが厳しい人は、就業不能保険へ加入した方がよいでしょう。

休職してから最初の90日間は、給与の約100%が支払われます。ただし、90日を過ぎてから1年以内はおおよそ給与額の80%、1年経過後はおおよそ給与の3分の2の支払い(傷病手当金) となるため、段階的に支給金額は減っていきます。さらにボーナスは査定期間中の勤務実績に応じて支払われるため、長期間働けなくなったときには支払われません。

生活費が不足した場合は、貯蓄を崩しながら生活をすることになりますが、貯蓄が十分にない場合は不安を抱えたまま生活することになるでしょう。特に住宅ローンや教育費の支払いがある人は、出費が大きくなりがちです。最悪の場合ライフプランを大きく変更することになってしまうかもしれません。

そのため、貯蓄に不安がある人や収入が少しでも減ると困る人は、就業不能保険への加入を検討した方がよいでしょう。

傷病手当金の支給について不安がある人

病気やケガで働けなくなったときには傷病手当金を申請できますが、必ず支払われるとは限りません。傷病手当金は診断書をはじめ、さまざまな書類を共済組合へ提出した上で支給が決定されます。書類に何らかの不備があったり、特別な事由に当てはまったりすれば支給対象者とならない場合があります。

また、傷病手当金は公務員を退職した後も継続して受給できる可能性がありますが、傷病手当金附加金については退職後の支払いはありませ ん。

そのため、休職する期間や休職時の健康状態によっては、十分な給付が受けられない可能性があります。傷病手当金が確実に給付されるか不安な人や、給付額だけでは十分でないと感じる人は、就業不能保険への加入を検討しておいた方がよいでしょう。

公務員が就業不能保険へ加入する際のポイント

就業不能保険は数多くの保険会社が取り扱っており、保険会社によって保障内容や保険料、支払い条件が異なります。そのため公務員の中には、どの商品を選べばよいか迷ってしまう人も多いでしょう。

ここでは、就業不能保険へ加入する際に押さえておきたい3つのポイントを解説します。

精神疾患も支給対象であるかを確認する

公務員も会社員と同様に、メンタル不調に陥るケースは多くなっています。「一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会」の調査では、令和2年度におけるメンタルヘルス不調により長期休職している地方公務員の割合は10年前の1.5倍、15年前の2.1倍と なっており、年々増加傾向にあります。

就業不能保険は、病気やケガが原因で就業不能状態になると給付金が支払われますが、精神疾患は保障対象外としている商品が多くあります。保障対象である商品も中にはあるものの、一時金しか支払われないケースや、給付回数に上限があるケースも少なくありません。どのようなケースで支給対象となるのか事前に確認した上で、加入を検討しましょう。

支払い対象外期間はどの程度かを確認する

一般的な就業不能保険では、働けなくなってもすぐに給付金が支払われるわけではありません。60日や90日といった支払い対象外期間を超えて就業不能状態が続いた場合にのみ、支払い対象となる場合が多いです 。

しかし公務員の場合は、休職時の保障や公的保障が充実しているため、支払い対象外期間をさほど気にする必要がありません。短期間の休職であれば、就業不能保険なしでもある程度生活費をカバーできる可能性が高いでしょう。

支払い対象外期間が長くなるほど、保険料は安くなる傾向があります。あえて支払い対象期間が長めに設定されている商品を選ぶのも一つの手です。

そのほかにも就業不能保険には、就業不能状態になってから一定期間給付金の支給額を少なくすることにより、保険料を抑えている商品もあります。公務員の場合は、会社員と比べて収入がゼロになるまでの猶予が長いため、このような商品に加入することも選択肢の一つとして考えておくとよいかもしれません。

自分に合った保険料と給付額なのかを確認する

就業不能保険は一定期間、毎月のように給付金が支払われる保険です。不安を減らすために「給付額を大きく設定しておきたい」と考える人もいるかもしれません。

しかし給付金額を大きくすれば、当然ながら支払う保険料も大きくなってしまいます。あくまで必要な分だけを就業不能保険で用意することを念頭に置きながら、保険料を無理なく支払える範囲で加入を検討しましょう。

そもそも多くの就業不能保険では、年収に応じて給付金額を設定する必要があります。給付金額があまりにも大きく、年収に見合わない状態になっている場合は、給付金が支払われないケースもあります。

また公的保障も同時に受給する場合は、重複によりどちらか一方の給付金が減らされてしまったり、場合によっては支払われなかったりする可能性もあるでしょう。

公務員は生命保険や収入保障保険の方が必要性が高い

公務員の場合は就業不能保険よりも、生命保険(死亡保険)や収入補償保険のような、死亡に備えられる保険に加入する必要性の方が高いといえます。理由としては死亡した場合、遺族の生活を安定的に支えられるような公的保障がないためです。

また公務員が死亡した場合は「国家(地方)公務員災害補償制度」により、遺族補償や葬祭保障などが受けられますが、あくまで公務上で死亡した場合にのみ適用されます。休日に交通事故に遭ったり、病気の原因が公務上によるものではないと判断されたりした場合は、適用されません。

加えて家計を担う者が死亡した場合は、補償制度が適用されたとしても家計の圧迫が懸念されるでしょう。年齢や世帯状況によっては、遺族に大きな負担がかかることも予測されます。

収入保障保険とは

公務員が死亡に備えられる保険を検討する中で、選択肢の一つになり得るのが「収入保障保険」です。収入保障保険は被保険者が死亡したときに、毎月一定額の死亡保険金を年金形式で受け取れる仕組みになっています。

収入保障保険は加入期間が長くなるにつれて、受け取れる保険金が減っていくのが特徴です。特に子供がいる世帯では、子供が成長するにつれて必要な保障額が減っていくため、必要な分だけを合理的に備えられます。

ただし死亡に備えられるほど貯蓄や資産が十分にある公務員は、保険に加入する必要がない場合があります。まずは世帯の経済状況を確認した上で、どの保険に加入するかを検討しましょう。

就業不能保険と収入保障保険の違い

以下は、一般的な就業不能保険と収入保障保険の違いをまとめたものです。

就業不能保険 収入保障保険
保険金が支払われる条件 病気やケガで働けなくなったとき 病気やケガで死亡したとき
保険金額 年収に応じて設定 年収に関係なく設定可能
保険金の受取人 基本的に契約者本人 遺族
保険金の受取期限 就業不能状態が解消されるまで 保険期間の終了まで

一定額が給料のように支払われる点では、就業不能保険と収入保障保険は似ています。しかし、実際には、働けなくなったときに自分や家族の生活を守る保険が「就業不能保険」、残された家族が安心して生活できるようにする保険が「収入保障保険」であるため、中身は全く異なる保険なのです。

まとめ

多くの公務員は、公的保障や福利厚生を活用することで働けなくなったときの収入減少をカバーできます。そのため公務員にとって、就業不能保険は加入する必要性が低い保険といえるでしょう。

ただし、家計に余裕がない場合や、傷病手当金が受給できるか心配な人は、就業不能保険に加入しておくことでより大きな安心が得られます。

公務員が就業不能保険への加入を検討する場合は、まず本当に必要かどうかを吟味することが大切です。必要だと判断した場合は保障内容をきちんと確認して加入しましょう。





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オカネノホンネ編集部

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