投資と投機の違いは?それぞれのメリットやリスクをわかりやすく解説

投資

「投資」と「投機」はどちらもお金を増やす手段ですが、正確な意味や違いを理解している人は少ないでしょう。

本記事では、投資と投機の基本的な違いや、それぞれのメリットやリスク、さらにはギャンブルとの違いまでわかりやすく解説します。自身に合ったお金の増やす方法を見つけたい人は参考にしてください。

投資と投機の違い

投資と投機はそれぞれ厳密な定義はないものの、目的や期間によって区別するのが一般的です。以下では、投資と投機の違いについて詳しく解説します。

投資とは?

投資とは、価値を生み出すことを期待して金融商品にお金を投じることです。たとえば、企業の成長を見込んで株式を保有する場合は、投資にあたります。

このように、中長期的に利益を狙うケースでは「投資」とみなされます。

投資の主な利益は、保有資産の売買によって得られる利益(キャピタルゲイン)と資産を保有していることで得られる利益(インカムゲイン)の2つです。

株式の配当金や家賃収入は、インカムゲインに該当します。そのため、株式や不動産などは投資に向いている金融商品といえるでしょう。

投機とは?

投機とは、価格の上昇に期待してお金を投じる行為を指します。たとえば、ドルを購入して長期間保有したとしても、投資のように何か新たな価値を生み出すわけではありません。しかし、為替レートの変動を予測して、円安が進んだ際にドルを日本円に交換すれば、利益を得られます。

このような取引を「投機」とするケースが一般的です。また、短期的な利益を追求する行為を「投機」とする考え方もあります。

投機によって得られる利益は、基本的にキャピタルゲインです。そのため、FXや暗号資産などは投機に向いている金融商品とされています。

投機とギャンブルの違いは?

ギャンブルと投機は同じと考えている人もいるでしょう。

投機とギャンブルは「必ず勝てるとは限らない」「短期間で大きな利益・損失を出す可能性がある」という点は共通しています。また、勝っている人がいれば、その裏には必ず負けている人もいる点もほとんど同じです。

しかし、ギャンブルは投機と異なり、「主催者がいる」という特徴があります。ギャンブルは、主催者側が得をするような仕組みになっているため、基本的には損失を出す人の割合が多くなります。

また、投機は利益を追求することが主な目的ですが、ギャンブルは娯楽として楽しんでいる人が多い点も大きな違いです。

投資のメリット

投資は、投機と比べて安定的なリターンを狙いやすい点がメリットといえます。以下で、具体的なメリットについてみていきましょう。

複利効果が狙える

複利効果とは、運用で得た利益を再投資することで、利益が利益を生み出していき、資産が雪だるま式に膨らんでいく効果を指します。たとえば、株式投資で得た売買益や配当金を再投資したり、投資信託を購入して分配金を受け取らずに再投資したりすれば、複利効果を得ることが可能です。

また、運用期間が長くなるほど、複利効果は大きくなります。そのため、資産を長期間保有することが多い投資では、大きな複利効果を得られる可能性があるでしょう。

リスクを抑えられる

投資では、リスクを最小限に抑えるためのさまざまな手法が存在します。「積立投資」や「分散投資」はその代表的な手法の1つです。

積立投資は、一定間隔で決まった金額をコツコツと投資する方法のことです。この方法は、購入タイミングを分散することで、相場が高いときだけでなく、低いときにも購入できるため、購入価格を平準化できます。なお、短期的な価格変動が発生したとしても、一度に大きな損失を被るリスクを軽減可能です。

一方で、「分散投資」は、異なる種類の資産に投資することで、リスクを分散させる手法です。たとえば、株式、債券、不動産、商品などに資金を分けて投資することで、ある資産の価格が下落しても、ほかの資産でその損失を補える可能性があります。

先述した通り、投資は中長期的に利益の増加を狙います。運用期間が長ければ、その間にリスク・リターンが異なる商品に変更したり、投資する商品の割合を変更したりすることで、リスクをコントロールすることが可能です。

インフレリスクに備えられる

インフレとは、物価が継続的に上昇することです。インフレになると、お金の価値は相対的に目減りします。なぜなら、仮に物価が3%上がったからといって、現金の価値も3%上がるわけではないからです。

現金をただ銀行に預けているだけでは、ほとんど利息がつかないため、現金の価値は目減りしてしまうでしょう。しかし、株式投資のように、預貯金よりも高い運用利回りに期待できる投資すれば、インフレによる資産の目減りを防ぐことが可能です。

投資のデメリット

長期的に投資したからといって必ずしも期待通りの利益を得られるわけではありません。短期間で利益を狙いたい場合は、投機を選択したほうがよい場合もあります。

以下では、投資のデメリットについて詳しく解説します。

元本割れするリスクがある

市場は、多くの要因によって変動するため、投資家が意図した通りの結果を得られないこともあります。投資においては、最終的に元本よりも少ない金額しか戻ってこない「元本割れ」の状態になることもあるでしょう。

たとえば、株式投資では、企業の業績が悪化したり、経済全体が不況に陥ったりすると、株価が下がります。その結果、投資した金額よりも少ない金額しか戻ってこない、もしくは価値がほとんどなくなってしまう可能性もあるでしょう。

短期間な利益は狙いにくい

投資は、中長期的に行うのが一般的です。投資信託やETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)などは、時間をかけて価値が増すことに期待する商品も多いため、短期間で大きな利益を狙うのは難しいでしょう。たとえば、不動産のように初期投資が必要なケースでは、運用開始直後は損失が大きくなり、利益が出にくいこともあります。

短期間に利益を得ることも可能ですが、相場は日々変動しており、短期的な予測は経験豊富な投資家であっても難しいです。

投機のメリット

短期的な価格変動を利用して利益を狙う投機は、元手が少なくても短期間で資産を大きく増やせる可能性があります。

以下では、投機のメリットについて詳しく解説します。

短期間で資産を増やせる可能性がある

投機の大きなメリットとしては、短期間で資産を増やせる可能性がある点が挙げられます。売買のタイミングさえ掴めれば、大きな値動きを捉えて一気に資産を増やせる可能性があるでしょう。

たとえば、企業の決算発表や経済指標の公表のタイミングを利用して、株価や為替レートの急騰や急落を狙うことも可能です。

資金効率がよい

投機は、少ない元手でも大きな利益を狙えるため、資金効率がよい点が魅力です。たとえば「デイトレード」と呼ばれる1日の間に何回も売買をする手法であれば、得られた利益を次の投資に回すことで、さらなる利益を狙えます。

また「レバレッジ取引」ができる商品もあります。レバレッジ取引とは、口座に預けた証拠金を担保にして、預けた資金の何倍もの金額の取引をすることです。レバレッジ取引を活用すれば、少額の投資資金でも大きなリターンを狙えます。

投機のデメリット

投機には、短期間で大きな利益を狙える魅力がありますが、必ずしも利益を出せるとは限りません。また、株価や為替レートの動きを逐一確認する必要があるため、取引に慣れていない人にとっては、精神的な負担や手間などのデメリットが大きくなるでしょう。

以下では、投機のデメリットについて詳しく解説します。

短期間で大きく元本割れするリスクがある

投機は、短期間で大きな利益を狙える一方で、短期間で大きな損失を被るリスクも高くなります。

相場の急激な変動により、投資した元本が大きく減少する可能性もあるでしょう。特に、レバレッジ取引をしている場合は、少しの値動きで大きな損失を出すこともあります。

また、投機では頻繁に売買を行うため、取引手数料などのコストが積み重なりやすいのが特徴です。コストが大きくなると、元本以上の利益を得るためのハードルが高くなります。

精神的に大きな負担がかかる

投機は、精神的に負担がかかりやすい取引方法です。市場の動きを常に見守り、迅速に判断して行動する必要があるため、ストレスを感じることが多くなります。

予期しない価格変動や連続して損失を出してしまうと、心の負担は大きくなるでしょう。

手間や時間がかかる

投機は、手間や時間がかかりやすい取引方法です。市場の動きを把握するために、日々のニュースや経済情報をチェックする必要があります。また、取引のタイミングを見極めるためにチャートを確認したり、分析を行ったりする作業も必要です。

また、短期的な価格変動を狙って利益を積み上げていくことも多いので、取引回数も多くなる傾向があり、多くの時間を費やさなければなりません。

投資と投機はどちらがおすすめ?

投資と投機のどちらが適しているかは、目的によって異なります。

長期的な資産形成を目指すに人は、リスクを抑えながら堅実に資産を増やせる投資が向いているでしょう。投資は、積立投資や分散投資などの手法を用いることで、リスクをコントロールしやすく、安定したリターンを狙うことが可能です。

一方で、時間や資金に余裕があり、短期間で大きな利益を狙いたい人には、投機が向いています。投機は、相場の急激な変動を利用して、短期間で資産を増やせる可能性があります。しかし、その分リスクも高く、相場を正確に予測することは難しいため、慎重な判断と迅速な対応が求められるでしょう。

資産運用の初心者は、市場の動向を常に追う必要がなく、精神的な負担も少ない投資から始めることをおすすめします。

まとめ

投資は、資産が価値を生み出すことに期待して、中長期的な利益を狙うのが特徴です。一方で、投機は、短期的な価格変動を利用して利益を得る行為であり、ハイリスク・ハイリターンになりやすい傾向があります。

資産運用を行った経験がない初心者は、元本割れのリスクを最小限に抑えるためにも、「投資」から始めることをおすすめします。投資で資産運用の知識を身につけたうえで、投機にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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オカネノホンネ編集部

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