外貨預金の預け入れ・引き出しのタイミングはいつがよい?円安・円高の影響も解説

投資

外貨預金を運用する際に迷いやすいのが、預け入れや引き出しのタイミングです。外貨預金では、円安や円高といった為替の変動が資産に大きな影響を及ぼすため、タイミングを見誤ると損をしてしまうリスクもあります。

本記事では、外貨預金の預け入れや引き出しに適したタイミングについて詳しく解説します。さらに、為替の影響を考慮して外貨預金をうまく運用するコツも紹介しますので、これから外貨預金を始める人はぜひ参考にしてください。

外貨預金の預入れに適したタイミング

外貨預金は入出金のタイミング次第で、より効果的に運用できます。以下では、預け入れに適したタイミングを2つに分けて解説します。

円安が進みそうだと感じたとき

円安が進むと予想される局面は、外貨預金の預け入れに適したタイミングといえます。これは将来的に円安が進行すると、外貨を円に戻す際に為替差益を得られる可能性が高くなるからです。

例えば、1米ドル=100円のときに100ドルを預けた場合、預け入れ時の円換算額は10,000円です。その後、円安が進み1米ドル=120円になった際に100ドルを円に戻すと、換金額は12,000円となり、為替差益として2,000円の利益を得られます。このように、円安時に外貨を円に戻すことで、為替変動を利用した収益が期待できるのが外貨預金の魅力です。

円安を引き起こす主な要因としては、金利差拡大や景気などが考えられます。例えば、日本の金利が低く、海外との金利差が拡大しているときは、高金利の通貨で運用したほうが利益を見込めます。その結果、円よりも海外通貨の需要が高くなります。2022年ごろから続いている円安ドル高の傾向は、アメリカと日本の金利差拡大が主な要因といわれています。

また、日本経済が停滞し、物価や賃金の上昇が鈍い状況下では、相対的に海外企業の株式や海外の国債の魅力が高まるため、円安に向かう傾向があります。

円預金の金利が低いと感じたとき

日本の円預金金利が低すぎると感じる場合も、外貨預金を始めるよいタイミングです。一般的に、外貨預金の金利は日本円よりも高い傾向にあるため、より多くの利息を受け取れる可能性があります。

例えば、日本円の定期預金金利は年率0.1~0.3%前後が一般的です。しかし、米ドルや豪ドルの外貨定期預金では3~4%前後に金利が設定されているケースもあります。

さらに、外貨預金では金利差による収益だけでなく、円安が進んだ際の為替差益も期待できます。円預金の利回りに物足りなさを感じたら、外貨預金へのチャンレンジを検討してみるとよいでしょう。

外貨預金の引き出しに適したタイミング

外貨預金では、引き出しのタイミングに注意を払うことで、損失を防ぎ、利益を最大化できるかもしれません。

以下では、具体的なタイミングについてみていきましょう。

円高が進みそうだと感じたとき

円高が進む兆しがみえた場合、外貨預金の引き出しを検討してみてもよいでしょう。円高が進むと、外貨の価値が円に対して相対的に下がり、為替差損が発生するリスクが高まります。

例えば、1米ドル=120円のときに100ドルを保有している場合、その時点での円換算額は12,000円です。しかし、円高が進み1米ドル=100円になった場合、同じ100ドルの換算額は10,000円となり、2,000円の為替差損が発生します。

そのため、円高に転じる前に外貨を引き出せば、損失を回避または最小限に抑えることが可能です。

円高を引き起こす主な要因としては、金利や経済状況の変化が挙げられます。例えば、日本の金利が上昇し、海外との金利差が縮小または逆転した場合、海外資産の魅力が低下し、円の需要が高まることで円高が進む傾向があります。

また、日本の経済が好転すると、日本の国債や日本企業の株式を買おうとする海外投資家が増え、円高を後押しするケースも少なくありません。

さらに、世界的に経済不安が高まったり、戦争やテロなどが起きたりした場合に、低リスク通貨と呼ばれる円の需要が高まり、円高が進むケースもあります。

まとまった資金が必要になったとき

マイホーム購入や子どもの進学など、まとまったお金が必要になったときは引き出しを検討してみてもよいでしょう。

ただし、為替レートによっては、為替の状況が不利なときに外貨を引き出すと、思ったより少ない金額しか円に戻せず、損をすることがあります。ほかに使えるお金がある場合は、外貨預金を引き出すのを少し待って、有利なタイミングを狙うのもよいでしょう。

外貨預金とは別に、いつでも使える日本円の貯金を普段から準備しておくと安心です。これがあれば、急にお金が必要になった場合でも、外貨預金を慌てて不利なタイミングで引き出す必要がなくなります。

資産運用の方法を見直したいとき

資産運用の目標が変わったり、ライフステージが変わったりしたときも、外貨預金を引き出すタイミングとして適しているかもしれません。

例えば、定年が近づいてリスクを抑えた運用をしたい場合、外貨預金を日本円に戻して安定した貯蓄や投資に切り替えるという選択肢もあるでしょう。

また、「よりよい投資先をみつけた」という場合に、外貨預金を引き出して投資資金に充てるという方法もあります。例えば、外貨預金ではなく投資信託や株式に投資したほうが、高い利回りを狙える可能性があるでしょう。

外貨預金は今からやるべき?

為替がどのように変化するのかを正確に予想するのは、難しいのが現実です。特に2024年の為替相場については、専門家の間でも意見が分かれており、これからの値動きを見極めるのは簡単ではないでしょう。

そのため、「相場を予測して短期間で大きな利益を狙う」という目的で、今から外貨預金を始めるのは、リスクが高いといえます。

一方で、外貨預金を分散投資の一つとして活用し、円以外の通貨を持つことで資産全体のバランスを整える目的であれば、検討してみる価値はあるでしょう。

また、長期的な視点で運用を続けられる場合も、外貨預金を始めてみてもよいでしょう。為替相場は短期的には大きく変動することがありますが、長期でみると変動が平均化され、リスクが抑えられる傾向があるからです。さらに、外貨預金は一般的に円預金よりも高い金利が設定されているため、長期運用することで利息を積み重ねられます。

外貨預金で資産を増やすときに大切なポイント

外貨預金で資産を増やすためには、以下で紹介するポイントを押さえることが必要です。

長期運用する

外貨預金では、預け入れたときよりも円安になると為替差益を得ることができます。しかし、為替相場は予測が難しく、短期間で利益を狙おうとすると、タイミングを誤って損をしてしまう可能性もあるでしょう。例えば、円高のタイミングで外貨を円に戻すと、元本より少なくなってしまうケースがあります。

為替レートは短期間では大きく動くことがありますが、長い目でみると一定の範囲内で落ち着く傾向があります。そのため、長期運用をすれば短期的な変動の影響を受けにくくなり、安定的な運用を目指すことが可能です。

また、外貨預金には単利型と複利型があります。複利型の場合、元本と利息を合算した金額に利息がつくため、長く預ければ預けるほど増え方が大きくなります。この「利息が利息を生む仕組み」を活用することで、資産を効率的に増やすことが可能です。

預け入れのタイミングを分ける

外貨預金を始める際には、預け入れのタイミングを分散させることが重要です。初心者は「ドルコスト平均法」を実践してみるとよいでしょう。

ドルコスト平均法とは、預け入れ金額を固定し、毎月や毎年のように一定のタイミングで外貨を購入する方法です。

為替レートは日々変動するため、一度に大きな金額を預けると、たまたまレートが不利な時期に預けてしまい、損をする可能性があります。しかし、一定の金額を定期的に預け入れることで、レートの高低にかかわらず外貨を購入できるため、購入価格を平準化できる点がメリットです。また、為替の動きを細かく気にする必要がなくなるため、精神的な負担も少なくなるでしょう。

ドルコスト平均法を実践する場合は、外貨の自動積立サービスも利用してみましょう。このサービスを使えば、毎月決まった金額が円預金口座から自動的に引き落としされ、外貨預金口座に入金されるため、手間をかけずに外貨の運用ができます。

まとめ

外貨預金は、預け入れや引き出しのタイミングを工夫することで、リスクを抑えながら効率よく運用できる可能性があります。

例えば、円安が進みそうなときは、為替差益が期待できるため、預け入れのチャンスといえます。反対に、円高の兆しがある場合は、早めに引き出すことで損失を抑えられるかもしれません。

ただし、為替相場の動きを正確に予測するのは難しいです。そのため、短期間で大きな利益を狙うのはリスクが高いといえるでしょう。

長期的に運用することを意識したり、預け入れのタイミングを分散したりすることで、為替変動のリスクを軽減できます。初心者であれば、まず経験を積むためにもリスクが低い運用方法で実施することをおすすめします。

関連記事

特集記事

オカネノホンネ編集部

オカネノホンネ編集部

難しいお金の話を、ファイナンシャルプランナー・ファイナンシャルプランニング技能士や保険や金融商品の専門家が忖度なし「ホンネ」でわかりやすく伝えます。

TOP