【投資リスク一覧】初心者が知っておくべきリスクと考え方について

投資

投資を始める際に避けて通れないのが「リスク」です。どんな投資にもリスクは存在するので「投資は怖い」といった印象を持つ人もいるかもしれません。

しかし、事前にリスクについて正しく理解し、適切に対処すれば、損失を最小限に抑えられる可能性があります。

本記事では、代表的な投資リスクの一覧を紹介し、各リスクに対してどのように対処すればよいのか、基本的な考え方を解説します。

投資におけるリスクとは?

投資におけるリスクとは、「危険」を指すものではなく「利益と損失の振れ幅」のことです。振れ幅が大きいことを「リスクが高い」、振れ幅が小さいことを「リスクが低い」と表現します。

大きな利益に期待すれば、その分損失を被る可能性も高くなります。反対に、リスクの低い商品に投資すると、損失を被る可能性は少なくなりますが、得られる利益も少なくなります。

投資における代表的なリスクの種類

投資にはさまざまなリスクが存在しますが、そのリスクは発生原因によって以下の6つに分類できます。

  • 価格変動リスク
  • 為替リスク
  • 信用リスク(デフォルトリスク)
  • 流動性リスク
  • 金利変動リスク
  • カントリーリスク
  • インフレリスク

それぞれ詳しくみていきましょう。

価格変動リスク

価格変動リスクとは、株式や債券などの金融商品の価格が、経済や市場の動向に応じて上下するリスクを指します。

たとえば、企業の業績悪化や景気の後退、政治的な不安などにより、株価が急落することがあります。これにより、投資した資産の価値が大きく減少し、投資元本を下回ることも少なくありません。反対に、投資したときよりも株価が大幅に上がり、利益を得られる可能性もあります。

為替リスク

為替リスクは、外国資産への投資に伴うリスクで、為替レートの変動によって投資資産の価値が上下するリスクです。たとえば、米国株に投資する際、円からドルに換金して投資を行いますが、投資期間中に円高が進むと、ドルで得た利益を円に戻した際に目減りしてしまいます。逆に、円安が進むと利益が増える可能性があります。

為替リスクは、国際的な経済状況や金利政策、貿易収支など、さまざまな要因によって影響を受けます。

信用リスク(デフォルトリスク)

信用リスクとは、企業や政府など有価証券の発行体が、財政難や経営不振などを理由に債務不履行に陥るリスクのことです。たとえば、企業が経営破綻した場合、その企業が発行していた債券の元本や利息が支払われない可能性があります。

信用力の低い企業や国への投資ほど、デフォルトリスクが高まります。逆に、信用力の高い国や大手企業の債券はリスクが低いですが、リターンも比較的低くなります。

流動性リスク

流動性リスクとは、市場に十分な需給がなく、投資した資産を希望するタイミングで売買できない、もしくは期待した価格で売買できないリスクを指します。

たとえば、不人気で取引量が少ない株式や債券などを手放したいと思っても、市場価格より安い価格でしか売れない可能性があります。また、不祥事や経営難などで上場廃止となる可能性が高まった銘柄に対して売り注文が殺到し、買い手が見つかりにくくなることもあります。

金利変動リスク

金利変動リスクとは、金利の変動によって資産の価値や収益が影響を受ける可能性のことで、特に債券の価格に大きな影響を与えるリスクです。

一般的に金利が上昇すると既存の債券の価値が下がり、逆に金利が低下すると債券の価値が上がるという関係があります。

たとえば、金利が3.0%あるとします。その債券の金利が2.0%に下がると、金利3.0%の債券の価値が高くなり、相対的に債券価額が上がります。

逆に金利4.0%になると、金利3.0%の債券の魅力がなくなるため、相対的に債券価額が下がります

カントリーリスク

カントリーリスクとは、投資先の国の政治的・経済的な状況によって引き起こされるリスクです。

たとえば、政権交代や政治的な混乱、通貨危機、さらには戦争や自然災害などが発生すると、その国の経済や金融市場が不安定になり、投資した資産の価値が急激に下がる可能性があります。特に、新興国市場に投資する際は、カントリーリスクが高いことが多いため、政治や経済の安定性を考慮して投資判断を行うことが重要です。

インフレリスク

インフレリスクとは、物価が上がることで、お金や資産の価値が実質的に目減りしてしまうリスクのことです。たとえば、インフレが進むと、銀行預金や債券などの利息が物価の上昇に追いつかず、結果的にそのお金で買えるものが減ってしまう可能性があります。

特にインフレが長期化すると、インフレリスクの影響が大きくなるため注意が必要です。

投資のリスクを回避する考え方

投資におけるリスクを完全に避けることはできませんが、適切な対策を講じることで、リスクを抑えながら投資に取り組むことが可能です。投資初心者の人は以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 自分のリスク許容度を知っておく
  • 分散投資を実践する
  • 長期投資に取り組む

自分のリスク許容度を知っておく

リスク許容度とは、自分がどれだけのリスクや損失を受け入れられるかという基準のことです。リスク許容度は、資産の状況や収入、生活費、投資の目的によって変わります。

たとえば、若い世代で収入が安定している場合、リスクを取って積極的に投資を行う余裕があるかもしれませんが、退職が近い人は、資産を守るためにリスクを抑えた投資が必要です。

自分のリスク許容度がわかったら、それに合わせて投資商品を選ぶことが大切です。たとえば、株式は大きなリターンを期待できますが、値動きが大きくリスクも高い傾向にあります。

一方で、国債や債券はリスクが低く、安定した運用が見込めます。リスクを取れる範囲内で、リスクの高い商品には少額、リスクの低い商品には多めの資金を割り当てるなど、バランスを考えた資産運用を心がけましょう。

自分のリスク許容度を無視した投資を行うと、予想外の損失に対処できず、冷静な判断ができなくなる可能性があるため、慎重に検討することが重要です。

分散投資を実践する

分散投資には、「資産分散」「地域分散」「時間分散」という3つの基本的なアプローチがあります。

資産分散は、異なる資産に投資先を分散する方法です。1つの資産に集中して投資すると、その資産が値下がりしたときに大きな損失を被る可能性があります。しかし、異なる種類の資産に分けて投資することで、特定の資産が値下がりしても他の資産で損失をカバーでき、リスクを減らせる可能性があります。たとえば、株式市場が不調でも、債券や不動産が堅調であれば、全体の損失を抑えられる可能性があるということです。

地域分散は、国内外の市場に投資することで、特定の国や地域の経済状況に依存しないようにする方法です。たとえば、新興国市場の成長を取り入れつつ、安定した先進国市場にも分散投資することで、バランスの取れた運用に期待できます。

時間分散は、一度に大きな額を投資するのではなく、定期的に少額ずつ投資を行う方法です。この時間分散の代表的な手法に「ドルコスト平均法」があります。

ドルコスト平均法は、決まった頻度で一定額を投資し続ける手法です。たとえば、毎月1万円を投資信託に投資すると、基準価額が高い月には少ない口数を、基準価額が低い月には多くの口数を購入します。これにより、平均購入単価が平準化され、価格変動のリスクを抑えられる可能性があります。

ドルコスト平均法を活用すれば、市場のタイミングを予測して短期的な売買をする必要がないため、初心者でも無理なく投資を続けられるでしょう。

長期投資に取り組む

長期投資は、短期的な価格変動に惑わされず、時間をかけて資産を成長させる手法です。株式や債券の市場は短期的には上下しますが、長期的にみると成長する傾向にあります。そのため、短期間の値下がりに耐え、長い目で投資を続けることで、大きなリターンを得られる可能性があります。

また、長期投資では、複利効果を最大限に活用できます。複利効果とは、投資で得た利益を再投資することで、新たな利益を生む仕組みのことです。時間をかけて投資を続けることで、資産が雪だるま式に増えていきます。この複利効果は、投資期間が長いほど大きくなるため、早めに投資を始めるほど有利になるでしょう。

さらに、長期投資には、売買の頻度が減ることで、手数料や税金の負担を抑えるというメリットもあります。市場の短期的な動きに一喜一憂せず、長期的な視点を持って投資を続けることで、結果的に効率的な資産運用ができるようになるでしょう。

まとめ

投資には価格変動リスクや為替リスク、信用リスク、カントリーリスクなど、さまざまなリスクが伴います。リスクを完全に避けることはできませんが、正しい知識と戦略を持って投資に取り組めば、損失を最小限に抑えられるでしょう。

まずは自身のリスク許容度を把握し、それに応じた投資対象を選んでみてください。加えて、分散投資や長期投資を実践することで、リスクを軽減しつつ、時間を味方につけながら着実に資産を増やせる可能性があります。

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オカネノホンネ編集部

オカネノホンネ編集部

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