投資を始めるのにポートフォリオは必要?作り方や注意点もわかりやすく解説

投資

投資に関する情報収集をする際、「ポートフォリオ」という言葉を耳にすることがあるでしょう。ポートフォリオとは、資産運用のリターンやリスクを管理するための重要な考え方の一つです。適切なポートフォリオを構築し、資産運用のポイントを理解することで、投資のリスクマネジメントや効率性の向上を実現できる可能性があります。

本記事では、投資初心者でもわかりやすいように、ポートフォリオの概要や必要性、具体的な作り方などを詳しく解説します。

投資におけるポートフォリオとは?

投資におけるポートフォリオとは「どの金融商品をどのような比率で組み合わせるのか」を表したものです。

ポートフォリオと同じく、資産配分の考え方を示す表現として「アセットアロケーション」が用いられることがあります。アセットアロケーションは、ポートフォリオよりもより広範な資産をジャンルごとに配分したものです。

アセットアロケーションで大枠の資産クラスを決定した後、ポートフォリオでより具体的な金融商品を検討するという流れが一般的です。

たとえば、国内債券に50%、米国株に50%といったアセットアロケーションに基づいて、日本国債(変動金利型10年満期)に50%、テスラ株に50%といったポートフォリオを作るイメージです。

投資でなぜポートフォリオが必要なのか

実際にポートフォリオを組む前に、必要性やメリットについて理解しておきましょう。

自身に合ったリスク・リターンを狙える

ポートフォリオを組んで複数の資産に投資することにより、自身のリスク許容度や投資目標に合わせた投資が可能になります。リスク許容度とは、どの程度までの損失なら受け入れられるかを表した度合いのことです。

金融商品は、それぞれリスクやリターンの度合いが異なります。たとえば、株式は債券よりも、ハイリスク・ハイリターンであることが一般的です。そのため、リスク許容度が低い場合は、債券を中心としたポートフォリオを組むことで、手堅いリターンを狙えるでしょう。一方、リスク許容度が高い場合は、株式に重点を置いたポートフォリオを組むことで、高いリターンを追求できます。

ポートフォリオを組むことで、予期せぬ損失を避けられる可能性が高まるでしょう。

分散投資を実践できる

ポートフォリオを組むことで、分散投資を実践できるメリットがあります。分散投資とは、投資対象の資産や地域を分散させることで、リスクを抑えつつ全体のリターンを安定させる投資手法です。

たとえば、特定の会社の株式に絞って投資した場合、その会社の業績が悪化したり、世界経済に影響を与えるようなイベントが起きたりすると、株価が一気に暴落し大きな損失を出す場合も少なくありません。

しかし、10社に投資するポートフォリオを組んでおけば、数社の株価が不調でも他の数社の値上がり分で損失を相殺でき、全体のリスクを軽減できる可能性があります。

運用状況を視覚的に把握できる

ポートフォリオを作成すると、グラフやチャートを用いて各資産のパフォーマンスや全体のリターンを一目で確認できるようになります。「どの資産が効率よく運用できているのか」「リスクの高い資産ばかりになっていないか」などを把握しやすくなるため、運用手法の見直しや投資先の変更を行う際も役立つでしょう。

また、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)など、第三者に資産運用の相談をする際も具体的なアドバイスを受けやすくなるというメリットもあります。

ポートフォリオを組む際の注意点

ポートフォリオを組む際は、以下の点に注意しておくことでより効率よく運用できるようになる可能性があります。

投資対象が多くなると管理に手間がかかる

ポートフォリオに組み込む金融商品の種類が多くなると、その分、値動きや市場の動向などの情報収集にかける時間や労力が増えます。個々の投資先に対する理解が浅くなってしまえば、期待通りの収益を上げるのは難しくなってしまうかもしれません。

特に初心者は投資対象を絞り込み、効率的に管理できる範囲で分散投資を心掛けることが重要です。

リスクに応じてリターンも小さくなる可能性がある

投資においては、リスクとリターンは比例する傾向があります。ポートフォリオを組み分散投資をすると、リスクを軽減できる反面、大きなリターンを得るチャンスが減ってしまう可能性もあります。自分のリスク許容度を見極めつつ、リターンとのバランスを取ることが大切です。

定期的な見直しが必要になる

ポートフォリオは一度組んだら終わりではなく、定期的な見直しが必要です。ライフステージが変化した場合や市場の状況が変化した場合にポートフォリオを調整しなければ、自身のリスク許容度に合わない投資になる可能性があります。

たとえば、若いうちは積極的にリターンを追求するポートフォリオにしてもよいでしょう。しかし、リタイアが近づいた場合は、資産を減らさないために、より安定した資産への投資にシフトすることも考えた方がよいかもしれません。

また、金融商品の価格は日々変動しています。ポートフォリオに組み込んだ資産の価値が変動すると、資産配分も当初決めた割合から崩れてしまうことがあります。知らないうちに高いリスクを取っている可能性があるため、配分比率が減った資産を買い増し、増えた資産を売却するなど、当初の割合に戻していく「リバランス」を行うことが重要です。

定期的に投資する商品の内訳を見直すことで、資産の過度な偏りを防ぎ、目標に沿ったポートフォリオを維持することができます。

投資ポートフォリオの作り方

これから投資を始める方は、以下の手順を参考にしながら、実際にポートフォリオを組んでみましょう。

運用の目標を決める

老後資金を備えるために長期的な資産形成を目指す、子どもの進学やマイホーム購入に向けて資金を準備するなど、人によって運用の目標(最終的なゴール)はさまざまです。運用目標を明確にしたうえで、リスクをどのくらいまで許容するのかなど、運用方針を決めましょう。

アセットアロケーションを考える

運用方針に基づいて、アセットアロケーション(資産配分)を決めましょう。ジャンルごとの代表的な資産の特徴や一般的なリスク・リターンは、以下の通りです。

ジャンル 特徴 リスク リターン
株式 企業が資金調達のために発行する有価証券で、売却益や配当金などを得られる
債券 国や企業が発行する証券で、利子や売却益を得られる
商品(コモディティ) 金や原油、穀物などの実物資産に投資し、売却益を得る 中~高 中~高
不動産 住宅や土地などを保有・運用することで家賃収入や売却益を得られる

たとえば、安定性を重視する場合は国内債券の割合を増やし、ある程度のリターンを狙う場合は株式の割合を高めることが一般的です。

異なる値動きをする資産を組み合わせることで、分散投資によるリスク低減の効果は大きくなります。

具体的な投資商品を決める

アセットアロケーションを決定したら、具体的に投資する商品を決めましょう。同じ資産であっても、投資商品の種類や銘柄によってリスク・リターンは異なります。

たとえば、国内株式に投資する場合、特定の1社に投資するよりも、TOPIXや日経225に連動するインデックスファンド(特定の指数と同じ値動きを目指す投資信託)を購入した方がリスクを抑えられるでしょう。高いリターンを狙うのであれば、安定性に欠けるものの高い成長率に期待できる小型株に投資するのも一つの方法です。

なお、株式や債券などバランスよく複数の資産に投資したい場合は「バランス型ファンド」を選択するのもよいでしょう。わざわざ自分で複数の資産を購入しなくても、一つ投資信託を購入するだけで、分散投資の効果を得られます。

初心者はGPIFのポートフォリオを参考にするのもおすすめ

どのようなポートフォリオを組めばよいかわからない人は、プロの運用方法を参考にしてみましょう。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、将来の年金支払いに備えて、公的年金の積立金を運用している機関です。2023度末時点で、運用資産額は245兆円9,815億円に達しており「世界最大級の機関投資家(大口の法人投資家のこと)」といわれています。

GPIFでは安定したリターンを実現するために、外国株式・国内株式・国内債券・外国債券の4つの資産クラスに対して約25%ずつ均等に配分しています。2023年度の収益率は年率22.67%で、2001年の運用開始以降の実績でも年率4.36%と収益は順調に推移しています。

引用:GPIE(年金積立金管理運用独立行政法人)|2023年度の運用状況

GPIFは100年後を視野に入れた年金制度の一端を担う「超長期投資家」として運用しており、個人が一般的に想定する運用期間よりも長いため、必ずしも参考になるとは限りません。しかし、投資のプロが導き出した運用方法であり、収益が安定していることなども踏まえると、自身のポートフォリオについて考える際のヒントになるでしょう。

まとめ

投資を成功させるためには、ポートフォリオの作成が不可欠です。ポートフォリオとは、どの金融商品をどの比率で組み合わせるかを表したもので、リスクとリターンのバランスを取るための有効な考え方の一つです。

複数の資産に分散投資することで、リスクを軽減しながら安定したリターンを狙えます。さらに、運用状況をグラフやチャートで視覚的に確認できるため、投資の見直しや調整がしやすくなるでしょう。

投資初心者がポートフォリオを組む際は、運用目標や運用方針を明確にしたうえで、資産配分や投資商品の購入を進めましょう。運用開始後もポートフォリオを定期的に見直し、リスクをコントロールしていくことが大切です。

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オカネノホンネ編集部

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