「投資には元本保証がない」って本当?おすすめの低リスク投資も紹介

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「投資には元本保証がない」と聞くと、投資を始めるのを躊躇してしまう人もいるでしょう。実際、多くの投資商品には元本保証がなく、一定のリスクを伴います。しかし、リスクを抑える方法や、低リスクで始められる商品がないわけではありません。

この記事では、投資に元本保証がない理由や、初心者でも始めやすい低リスクの投資商品を紹介します。これから投資を始める人にとって重要なポイントも紹介するため、投資を始めようか検討している人は参考にしてください。

「元本保証」の投資商品は存在する?

元本保証とは「金融商品の購入に充当した費用が減らないように約束すること」です。元本保証でありながら、利益が見込める投資商品は存在するのでしょうか。

基本的に元本保証の投資商品はない

投資において、元本保証のある投資商品は基本的に存在しません。

投資とは、利益を見込んで一定のお金を金融商品に投じることであり、必然的にリスクが伴います。そのため、元本保証を約束する投資商品は本来ありえません。

たとえば、代表的な投資商品の「株式」は、企業の業績や需給バランスによっては大きな値上がりに期待でき、短期間で大きな収益を得られる可能性があります。一方で、景気の悪化などによって株価が暴落し、大きな損失を出すことも珍しくありません。

なお、元本保証があるとされる預貯金は、一般的に投資商品には該当しません。預金はあくまで元本を守りつつ、利息を得ることが目的であり、リスクを取って利益を狙う「投資」とは異なります。

債券も完全な「元本保証」の商品ではない

債券は、国や企業が資金を調達するために発行する借用証書のようなもので、満期まで保有すれば元本が返済されるとされています。

しかし、債券は完全な「元本保証」の商品ではありません。たとえば、発行体がデフォルト(債務不履行)に陥った場合、約束通り利子や元本の支払いが行われず、元本割れするリスクがあります。

また、債券を満期前に売却する場合は、時価で売却することになります。一般的に金利が上昇した場合、債券の価格は下落し、金利が下落した場合に債券の価格は上昇する傾向があります。そのため、満期前に途中換金すると、元本を下回る可能性があるでしょう。

元本保証を謳う投資は違法の可能性が高いので注意

元本保証を明言している投資商品は、法律に抵触する可能性が高いため注意しましょう。出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)では、元本保証を約束して出資を受けることを禁止しています。

また、「元本保証」だけではなく、「必ず儲かる」「リスクなし」「絶対安全」「あなただけ」などの謳い文句が含まれている場合は、詐欺の可能性が高いと考えたほうがよいでしょう。

近年では、LINEやフェィスブック、インスタグラムなどのSNSを通じて投資を持ちかけられ、数千万円単位の被害にあった事例がいくつも報告されています。元本保証を謳う金融商品の勧誘を受けた場合は、絶対に契約せず、金融庁の「詐欺的な投資に関する相談ダイヤル」や消費者庁の「消費者ホットライン」などに相談しましょう。

「元本保証」に近い低リスクの金融商品

投資に取り組む際、リスクを最小限に抑えたいと考える人は多いでしょう。完全な元本保証は難しいものの、低リスクで運用できる金融商品も存在します。以下では、元本保証に近い低リスクの金融商品を紹介します。

国が元本保証をしている「個人向け国債」

個人向け国債とは、国が発行する債券(資金調達をする際に発行する有価証券)です。証券会社や銀行、郵便局などの金融機関で、最低1万円から購入できます。

個人向け国債には、3年・5年・10年などの満期があり、満期まで保有すれば投資した元本が戻ってくる仕組みになっています。さらに、半年ごとに所定の利子を受け取ることが可能です。

ただし、2024年8月時点で税引き後の利率は0.3~0.6%程度と、株式や投資信託などと比べるとリターンは見劣りする部分があります。また、発行元である日本が債務不履行に陥った場合は、約束された元本や利子が支払われない可能性がないわけではありません。

長期間の契約に向いている「貯蓄型生命保険」

貯蓄型生命保険とは、貯蓄機能を備えた生命保険のことです。貯蓄型保険では保険料の一部が運用に回され、満期保険金や解約返戻金として受け取れる仕組みになっています。終身保険や個人年金保険、学資保険などは代表的な貯蓄型生命保険です。保険会社や商品によって異なりますが、毎月数千円程度の保険料で加入できる場合もあります。

生命保険の予定利率(保険契約時に契約者に約束する運用利回りのこと)は、原則として契約時に決定され、最終的に受け取れる金額もその時点で決まります。保険料の払い込みを終えれば、払い込んだ保険料の総額を上回る金額を受け取れる商品も多くあるため、なるべく元本保証に近い形で資産形成をしたい人に適している商品といえるでしょう。

ただし、保険料の払い込みを終える前に解約すると、元本割れする可能性が高くなります。また、運用実績に応じて保険金や解約返戻金額が変動する「変額保険」などもあるため、必ずしも低リスクの運用をできるとは限りません。

国債や社債のみで運用する「公社債投資信託」

公社債投資信託は、国債や社債などの安全性の高い債券のみで運用する投資信託です。投資信託とは、投資家から集めた資金をひとまとめにして、投資のプロが株式や債券など複数の金融商品で運用する商品を指します。

公社債投資信託では、株式のようなリスクが高い資産を組み入れていないため、安定した運用が期待できます。ネット証券であれば、100円程度から購入可能です。ただし、投資信託である以上、元本は保証されておらず、運用状況によっては元本割れのリスクも存在します。

信託銀行にお金を預ける「金銭信託」

金銭信託とは、信託銀行にお金を預け、信託銀行がそのお金を貸付金や公社債などで管理・運用する金融商品です。最低預け入れ金額は数千円~数十万円と、商品によって違いがあります。

なお、金銭信託の運用方法には、安定的な収益を確保することを目的とした運用を行う「合同運用指定金銭信託」と、収益姓を意識した運用を行う「実績配当型金銭信託」の2種類があります。

合同運用指定金銭信託では、信託の終了時に損失が生じた場合に、信託銀行などの受託者が元本を補てんすることになっています。そのため、低リスクで運用したい人におすすめの商品です。一方で、実績配当型金銭信託では、運用実績に応じた配当を受けられる反面、元本の補てんはありません。

低リスクの投資はインフレに注意

低リスクの投資には、インフレによる価値の目減りというリスクが潜んでいることを理解しておきましょう。

インフレとは、物価が継続的に上昇することです。インフレ率より低い金利の商品に投資すると、実質的には資産価値が目減りしてしまう可能性があります。

たとえば、年利1%の債券に100万円を投資した場合、10年間で得られるリターンは110万5000円です。一方で、年間のインフレ率が2%だった場合、現在100万円で買えるものは10年後に約122万円になります。つまり、10年間コツコツと債券で運用して得られた利益よりも、物価上昇の影響のほうが大きく、購買力が減少してしまうのです。

そのため、長期的な資産形成を目指すのであれば、ある程度のリスクを取って、インフレ率を上回る利回りを狙う必要があるでしょう。

まとめ

投資において、元本保証のある商品は基本的に存在しません。なぜなら、投資とは利益を得られる可能性がある代わりに、一定のリスクも伴うものであるためです。したがって、元本保証を謳う投資商品や、低リスクで大きなリターンが狙えるなどと宣伝している商品は、詐欺の可能性を疑ったほうがよいでしょう。

もし、元本保証のような安全性を重視したいのであれば、個人向け国債や貯蓄型生命保険、公社債投資信託、金銭信託など、低リスクの金融商品を検討してみるのがおすすめです。ただし、これらの商品でも完全に元本が保証されているわけではありません。発行体のデフォルトや満期前の売却など、一定の条件下では元本割れするケースもあります。

また、リスクに比例してリターンも少なくなる傾向にあるため、インフレによって資産の実質的な価値が目減りする可能性もあることに注意しましょう。

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オカネノホンネ編集部

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