資産運用と投資は何が違う?初心者向けに代表的な運用方法やポイントを紹介

投資

「資産運用」と「投資」はどちらも同じように思えるかもしれませんが、実際は異なる目的があります。将来に向けて資産を築くうえでは、これらの違いを理解しておくことが大切です。

この記事では、資産運用と投資の違いをわかりやすく解説します。また、代表的な資産運用商品についても紹介するため、自身にとって何が適しているのかみていきましょう。

資産運用と投資の違いは?

資産運用とは、手持ちのお金をさまざまな金融商品に配分して効率よくお金を増やしていくことです。資産運用には、安全にお金を貯めていくことを重視する「預貯金」とお金を増やすことを主な目的とする「投資」があります。つまり、投資は資産運用の手段の一つといえます。

預貯金と投資の違いは下表の通りです。

預貯金 投資
金融商品 普通預金や定期預金など 株式や投資信託、債券など
目的 お金を貯める お金を増やす
元本保証 あり なし
収益性 低い 高い
換金 すぐに換金できる 時間がかかることも多い

預貯金は資産が目減りするリスクが低いため、お金を確実に貯めたいときに有用な方法です。また、お金が必要になったときに自由に引き出せるため、利便性が高いといえるでしょう。

一方で、投資は損失を出すこともありますが、大きくお金を増やせる可能性もあります。すぐに引き出す必要がないお金を、長期的な目線で増やしたい場合は投資が有効です。たとえば、20代の人が老後資金を準備する際は、投資を活用することで効率のよい資産運用が目指せます。

代表的な資産運用6種類

資産運用は、将来のライフイベントや豊かな生活を過ごすために必要です。しかし、「資産運用」と一口にいっても、さまざまな方法があり、どれを選べばよいか迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。

以下では、代表的な資産運用方法について、特徴を交えながら6つ紹介します。

一定金額まで元本保証がある「円預金」

銀行にお金を預けておく「預金」は、私たちにとって最も身近な資産運用といえるでしょう。なかでも、円預金は、預けた円建て資産の元本が一定額まで保証されているため、安全性が高い点が魅力です。預金保険制度によって、万が一銀行が破綻した場合でも、1人あたり1,000万円までの元本と利息が保護されます。

一方で、円預金の金利は低いため、大きな利益を得ることは難しいでしょう。また、インフレによって預金の価値が目減りしてしまう可能性もあります。インフレとは物価が継続的に上昇することです。たとえば、1万円で買えていたものが、インフレによって1万2千円になると、お金の価値(購買力)が下がったことになります。

円預金のメリットとして、必要なお金を確実に確保できる点が挙げられます。そのため、安全性を重視する人や、将来のライフイベントに備えて自由にお金を引き出したい人に向いているでしょう。

円預金よりも高い利回りに期待できる「外貨預金」

外貨預金は、日本円ではなく、米ドルやユーロなどの外貨で預金を行う金融商品です。円預金に比べて金利が高い傾向があり、より高い利回りで資産を増やせる可能性があります。

ただし、預け入れ時と引き出し時で為替レートが変動すると、円換算した元本や利息が目減りする可能性があります。為替レートとは、異なる通貨を交換する際の交換比率のことです。たとえば、1ドル=100円の場合、1万円を預け入れると100ドルになります。1年後に1ドル=90円になると、100ドルは9,000円にしかならず、1,000円の損失が出ることになります。

外貨預金は、円預金よりも高い利回りを求める人や、日本円以外の資産に分散投資したい人などに向いているでしょう。

利子や償還金を受け取れる「債券投資」

債券投資は、国や企業が発行する債券を購入し、利子や償還金を受け取る運用方法です。満期まで持ち続ければ額面金額が償還されるうえ、保有期間中は利子を受け取れます。

株式投資に比べて価格変動が小さいため、安定した運用が期待できるでしょう。しかし、債券を発行した国や企業の財務状況が悪化し、債務不履行(デフォルト)に陥ると、利子や償還金が受け取れなくなるリスクがあります。

債券投資は、ローリスク・ローリターンになる傾向があるため、安定した収益を得たい人や低リスクで投資を行いたい人に向いています。

高いリターンを期待できる「株式投資」

株式投資は、企業が資金調達のために発行する「株式」を購入し、値上がり益や配当金を狙う運用方法です。株式の価値を表す株価は、企業の業績や景気などで変動する傾向にあります。そのため、短期間で大きなリターンを得られる可能性があるでしょう。

その反面、高いリターンに比例して損失を出すリスクも高くなりやすいのが特徴です。破産などの理由で上場廃止が決まると、株式の価値がなくなることも十分にあり得ます。

株式投資は、リスクを取ってでも、高いリターンを目指したい人に向いています。また、長期的な視点で投資できる人や、企業分析に興味がある人にも適しているでしょう。

さまざまな資産や銘柄に分散投資する「投資信託」

投資信託とは、多くの投資家から集めたお金をひとまとめにして、専門家(ファンドマネージャー)が株式や債券など複数の金融商品に投資する商品です。

少額から始められることや、分散投資によってリスクを抑えられることが魅力です。しかし、元本は保証されておらず、運用状況によっては損失が出る可能性があります。

投資信託は、投資の専門知識がなくても始められるため、初心者にもおすすめです。また、少額から始められるため、投資に慣れていない人でも取り組みやすいでしょう。

安定した収益を狙える「不動産投資」

不動産投資は、マンションやアパートなどの不動産を購入し、家賃収入や売買益を狙う投資方法です。不動産は株式のように価値がなくなることは考えにくく、値動きも緩やかな傾向にあります。

家賃収入で長期的かつ安定的なリターンを狙えることもあり、一般的に「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資方法として知られています。

しかし、不動産を購入するには頭金や諸経費などが必要となるため、初期投資額が大きくなりやすいことが懸念点です。また、不動産の選定や管理に専門的な知識が必要になるので、初心者には難度が高い投資方法といえるでしょう。

不動産投資は、まとまった資金があり、長期的な視点で運用できる人に向いています。

資産運用をするときのポイント3つ

資産運用は、ただ闇雲に始めればよいわけではありません。より着実に収益を上げるには、以下のポイントを押さえておく必要があります。

  • リスク許容度や目標に合わせた方法を選択する
  • 分散投資でリスクを抑える
  • 税制優遇制度を活用する

それぞれ詳しくみていきましょう。

なお、資産運用のコツについては以下の記事でも解説しています。気になる人は、ぜひご一読してください。

リスク許容度や目標に合わせた方法を選択する

資産運用を始める前に、自分のリスク許容度や運用の目標を把握することが大切です。

リスク許容度とは、投資で損失が出た場合にどの程度まで耐えられるかという許容範囲のことです。リスク許容度に合わない投資をしてしまうと、損失が出たときに精神的に大きな負荷がかかってしまったり、高い収益を得る機会を失ってしまったりする可能性があります。

たとえば、退職金や老後資金などを運用の原資としており、なるべくお金を減らしたくない場合は、安全性を重視して預貯金や債券など、ローリスク・ローリターンの商品を選ぶのが一般的です。一方で、積極的にリターンを狙いたい人は、リスクを取ってでも株式に投資したほうがよいでしょう。

また、運用目標も明確にしておくことが大切です。「老後資金を貯めたい」「住宅購入の頭金を用意したい」など、目標金額や達成したい時期を設定することで、逆算して必要な運用方法や投資金額がみえてきます。

分散投資でリスクを抑える

分散投資とは、一つの資産や銘柄に集中投資するのではなく、複数の資産や銘柄に分散して投資をすることでリスクを抑える方法です。たとえば、株式投資で分散投資をしていれば、特定の企業の株価が大きく下落した場合でも、他の企業の株価が上昇することで損失を軽減できる可能性があります。

また、投資タイミングを分散する「時間分散」の考え方も身につけておくとよいでしょう。時間分散とは、一度に大きな金額を投資するのではなく、定期的に少額ずつ投資していく方法です。

投資では、基本的に安いときに買い、高いときに売ることで利益を得られます。しかし、売買の適切なタイミングを把握するのは容易ではありません。

一定の金額を定期的にコツコツと積み立てる「積立投資」を実践することで、価格が高いときには少なく、低いときには多く商品を購入することになります。その結果、平均購入価格を引き下げられるでしょう。

平均購入価格が下がれば、それほど大きく値上がりしなくても、収益を狙えます。

税制優遇制度を活用する

資産運用で得た利益に対して、一定の税金が発生します。たとえば、株式投資の場合、運用益や配当金に対して、20.315%が課税されます。しかし、国が推奨する税制優遇制度を活用すれば、税負担を軽減することが可能です。

代表的な制度としては「NISA」や「iDeCo」があります。

NISAは、株式や投資信託などの運用で得た売却益や配当金などが、一定の枠内で非課税になる制度です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、毎月一定額を積み立てて、自分で運用し、老後資金を準備する制度です。運用益が非課税になるほか、掛金が全額所得控除の対象になるなど、税制上の優遇措置が充実しています。

これらの制度を有効活用することで、より効率的に資産を増やせる可能性があります。

まとめ

資産運用は、手持ちのお金を効率よく増やすことを目的とした行為であり、その手段の一つに投資があります。

投資は元本保証がない代わりに高い収益を狙えるのが特徴であり、長期的な目線でお金を増やしたい人に向いています。一方で、資産運用には預貯金という手段もあり、元本が保証されている代わりに大きなリターンは狙えません。そのため、安全にお金を貯めたい人に向いています。

どちらが適しているかは、目標や目的などによって異なります。そのため、自分の投資目標やリスク許容度に合わせて、適切な資産運用方法を選択するようにしましょう。

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オカネノホンネ編集部

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難しいお金の話を、ファイナンシャルプランナー・ファイナンシャルプランニング技能士や保険や金融商品の専門家が忖度なし「ホンネ」でわかりやすく伝えます。

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