資産形成は20代で始めるべき?お金のプロがおすすめの金融商品を紹介

投資

20代の社会人は自由に使えるお金が増えるため、将来に向けた「資産形成」に興味を持ち始める人が多いでしょう。20代からコツコツと資産形成を始めれば、時間が優位に働き、大きなリターンを得られる可能性が高まります。

本記事では、20代から資産形成を始めたほうがよい理由や、20代におすすめの金融商品を紹介します。具体的な始め方や注意点なども解説しますので、資産形成の第一歩を踏み出してみましょう。

20代から資産形成を始めたほうがよい理由

なるべく若いうちに資産形成を始めることは、さまざまなライフイベントに備えやすくなるといったメリットがあります。以下では、20代から資産形成を始めるべき理由を解説します。

年齢を重ねる毎に支出が増える可能性があるため

20代は支出が少なく、自由に使えるお金が多い傾向にあります。一方で、30~40代になると、扶養する家族が増えたり、住宅ローンの返済が必要になったりと、毎月の支出額が高くなりやすいでしょう。

しかし、お金の「貯めどき」ともいえる20代であれば、無理なく資産形成を始められます。

老後の生活に備えるため

年金だけでは老後資金が不足する可能性があることも、20代から資産形成を始めるべき理由の一つです。総務省と厚生労働省より公開されている調査資料をもとに、65歳以上の人が老後の生活に必要な費用についてみていきましょう。

65歳以上の夫婦のみ無職世帯の支出の平均額は282,497円です。一方で、年金の受給額は、会社員の夫と専業主婦の妻の場合、平均で201,410円と、毎月約81,087円の差額が生じます。85歳までの20年間で計算すると、81,087円×12ヶ月×20年=19,460,880円もの不足が発生する計算です。

参考:総務省|「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2023年(令和5年)平均結果の概要」

参考:厚生労働省|「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」

不足する金額については、老後を迎える前に用意しておかなければなりません。65歳以降も働き続けるという選択肢も増えつつありますが、現役世代と比べて収入は減少する可能性が高いでしょう。2,000万円近くのお金を短期間で用意するのは難しいため、20代のうちから資産形成を行う必要があります。

複利効果を活用できるため

20代から資産形成を始めることで、複利効果を最大限に活用できます。複利効果とは、運用で得た利益を再び運用に回し、雪だるま式に利益が膨らんでいく効果のことです。なお、運用期間が長くなるほど、複利効果は大きくなります。

20代から資産形成を始めれば、毎月の積立額が少額であっても、複利効果によって大きな資産を築ける可能性があります。

20代で資産形成を始めている人の割合と投資額

20代で投資を始めている人の割合はそれほど多くありません。SMBCコンシューマーファイナンス株式会社の調査によれば、20代で現在投資をしている人は26.2%です。一方で、現在投資はしていないが今後したいと考えている人の割合は38.0%であるため、6割以上の人が投資に対して前向きに考えていることがわかるでしょう。

また、ひと月あたりの投資額について、「1万円以下」と回答した人の割合が最も多く、少額で投資に取り組んでいる人が多く存在します。

なお、投資している商品は投資信託(55.7%)と株式(40.1%)が多くを占めており、仮想通貨(14.9%)や金(9.5%)、FX(7.6%)などに投資する人も一定数いるようです。

引用:SMBCコンシューマーファイナンス株式会社調べ|「20 代の金銭感覚についての意識調査 2024」

資産形成の始め方

資産形成とは、お金を効率よく貯めていくことを指します。資産形成を成功させるには、貯金だけでなく、保有する資産を活用してお金を増やす「資産運用」も取り入れることが重要です。

資産運用は、ある程度の元本があったほうが有利に働くため、まず自身が現時点でどれだけの資産を持っているかを確認しましょう。資産が少ない場合、副業や昇進を目指して収入を増やすことや、不要な出費を見直して節約することが大切です。

急な出費に備えるための資金や、数ヶ月分の生活費を確保できたら、資産運用を始めます。株式、投資信託、不動産など、自身に合った投資方法を検討しましょう。

20代の投資初心者におすすめの金融商品

20代の投資初心者におすすめの金融商品は、以下の通りです。

  • 投資信託
  • 株式
  • 外貨預金

それぞれの特徴について詳しく解説します。

投資のプロに運用を任せる「投資信託」

投資信託(ファンド)は、投資家から集めた資金をひとまとめにして、投資のプロが株式や債券など複数の資産で運用する商品です。投資額に応じて、収益が投資家に分配される仕組みになっています。ファンドに組み込む銘柄選びや運用はプロに任せられるため、投資に関する知識や経験が少ない初心者でも始めやすいでしょう。

また、投資信託は少額から始められる点も魅力です。毎月100円程度から積立を始められる証券会社も増えています。

さらに、複数の金融商品・銘柄に投資するという商品の性質上、分散投資によるリスク軽減の効果を得ることも可能です。

なお、投資信託には、日経平均株価やNYダウなど、特定の指数に連動した値動きを目指す「インデックスファンド」と、指数を上回る運用成果を目指す「アクティブファンド」の2種類があります。投資初心者は値動きがわかりやすく、安定したリターンに期待できるインデックスファンドを選ぶのがおすすめです。

大きなリターンを狙いやすい「株式」

株式は、企業が資金調達するために発行する証券のことです。株式は銘柄によっては数万円から投資可能であり、大きな値上がり益が期待できるため、大きなリターンを狙いたい人に向いています。

株式投資では、売買による利益の他に、配当金(企業の収益の一部を株主に分配するもの)や、株主優待(企業が株主に自社の商品やサービスをプレゼントするもの)などを受け取れることもあります。

株式は、基本的に1単元=100株単位で購入しますが、1株から購入できる証券会社もあるので、少額で投資したい人にも向いている投資方法です。

ただし、リターンの大きさに比例してリスクも大きくなりやすいため、運用に慣れないうちから大金を投じるのは避けたほうがよいでしょう。

為替差益を得られる「外貨預金」

外貨預金は、米ドルやユーロなどの外国通貨を預金するサービスです。預金には利息がつきますが、日本円の預金よりも高い利息を得られる可能性があります。

また、外貨預金では為替差益を狙うのも可能です。為替差益とは、通貨の交換レートの変動によって生じる利益のことです。たとえば、日本円で1ドルを140円で購入し、1ドル=150円になったタイミングでドルを売却すれば、10円の利益を得られます。

ただし、外貨預金では為替差益だけではなく、為替差損が生じる可能性もあるでしょう。外貨預金の開始時よりも円高が進んだ場合は、損失が生じる可能性がある点には注意が必要です。

利益を生み出す資産形成のコツ

資産形成に取り組む際は、コツを押さえることで成功率を高められます。以下では具体的なコツについて解説します。

資産形成の目的を明確にする

資産形成を成功させるには、まず「目的」を明確にすることが重要です。たとえば、「老後の生活資金を確保する」「子どもの教育費を準備する」「住宅購入資金を貯める」など、目的を明確にしましょう。目的を定めることで、最終的な資産形成の目標額や毎月必要な積立額も決めやすくなります。

また、目的を明確にしなければ、途中でお金を使い込んでしまったり、支出が増えたタイミングで積立をやめてしまったりなど、資産形成を継続することが難しくなってしまいます。

リスクを最小限に抑える

資産形成において、完全にリスクを避けるのは難しいですが、最小限に抑えるのは可能です。たとえば、一つの企業の株式を集中的に購入するのではなく、「複数銘柄の株式」を購入すれば、株価が値下がりしたときに与える影響を軽減できます。

また、「長期的な目線」で投資に取り組むことも大切です。株式や投資信託など価格が変動する商品は、一時的に価格が下がったとしても、長い目で見れば価格が上がるケースもあるため、長期間保有するほどリスクを軽減する効果があるとされています。

短期間で大きな利益を出そうとすると、リスクは高くなりがちです。一度大きな損失を出すと資産形成を継続しにくくなるケースもあるため、リスクを最小限に抑えながら着実に資産を増やしていきましょう。

資産形成や投資に関する知識を身につける

資産形成を成功させるには、お金や投資に関する基本的な知識を身につけることが必要です。書籍やインターネット、セミナーなどを利用して学習をするだけでなく、実際に少額から投資を始め、経験を積むことをおすすめします。知識や経験が増えれば、リスクを回避できるようになり、効率的に資産を増やせるでしょう。

【補足】投資初心者におすすめの「税制優遇制度」

通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかります。しかし、iDeCoやNISAなどの国が推進する税制優遇制度を活用すると、運用益に対して課税されません。これにより、手元に残る利益が多くなり、効率的に資産形成を進められます。

投資初心者は、以下で紹介するiDeCoやNISAについて、理解を深めておきましょう。

60歳以降にまとまったお金を得られる「iDeCo」

iDeCoは、豊かな老後を過ごすための資金づくりを目的とした、私的年金制度の一つです。自身で毎月掛金を拠出し、投資信託や定期預金、保険商品などで運用を行い、60歳以降に年金または一時金として受け取る仕組みになっています。

運用益が非課税になるだけではなく、掛金が全額所得控除の対象になる点がiDeCoの大きな特徴です。所得が減ることで、所得税や住民税の負担軽減につながります。

原則60歳になるまでは資産を引き出せないため、老後資金の準備に特化した制度といえるでしょう。

お金が必要なときに自由に引き出せる「NISA」

NISAは、個人投資家向けの税制優遇制度です。NISAを活用すると、株式や投資信託への投資で得た売買益や分配金、配当金が非課税になります。

NISAには「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の2つの非課税枠があり、合計で最大1,800万円まで投資可能です(成長投資枠は1,200万円まで)。

非課税で運用できる期間に期限はなく、資金はいつでも自由に引き出せるため、老後資金や教育資金、住宅購入資金など、さまざまな資金を準備する目的で活用できます。

まとめ

資産形成を行えば、老後資金や教育資金など、人生のさまざまなライフベントに備えられます。特に、20代であれば、世帯を持ち始める30~40代に比べると、自由に使えるお金が多いでしょう。若いうちから長期的に投資を行えば、複利効果によって大きな資産を築ける可能性があります。

投資初心者には、少額から始められる投資信託や、大きなリターンを狙える株式などへの投資がおすすめです。その際はiDeCoやNISAなどの税制優遇制度も活用すると、資産形成の目標を達成しやすくなるかもしれません。

自身に適した方法を見つけ、早めに資産形成を始めてはいかがでしょうか。

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オカネノホンネ編集部

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