資産運用とは、預貯金や投資を行い、効率よく資産を増やしていくことです。老後資金や教育資金など、さまざまなライフイベントで必要になるお金を貯めるために、資産運用は欠かせません。
しかし、資産運用にはさまざまなリスクがあるため、知人から「やめとけ」といわれた経験がある人もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、資産運用は「やめとけ」といわれる理由や、資産運用の必要性を詳しく解説します。資産運用を始めようか検討している人は、ぜひ参考にしてください。
目次
資産運用はやめとけといわれている理由
まずは、資産運用はやめとけといわれている理由についてみていきましょう。
元本割れのリスクがある
資産運用の投資対象の多くは、「株式」や「投資信託」など価格が常に変動している商品です。銀行預金とは異なり元本保証がないため、資産を増やすどころか、投資した金額を取り戻せずに「元本割れ」するリスクがあります。
特に、世界的な不況に陥ったり、バブルが崩壊したりした場合は大きく価格が変動し、投資した資産の価値がほとんどなくなる可能性もあるでしょう。
そのため、元本割れするリスクを許容できない人は、資産運用を始めないほうがよいかもしれません。
利益を得るまでに時間がかかる
資産運用では、利益を得るまでに時間がかかることも多いため、短期間で大きく資産を増やしたいと考えている人には適しません。たとえば、家賃収入を目的とした不動産投資では数ヶ月で大きな利益を得ることは難しく、利益が出るまでに数年かかるケースがほとんどです。
短期的な投資は「投機」と呼ばれ、大きなリターンを狙える一方で、その分大きなリスクを伴います。たとえば、株式やFXなどでは、1日の間に何度も売買を繰り返すことで利益を狙う「デイトレード」と呼ばれる手法が用いられることがあります。デイトレードであれば短期間で資産を増やせますが、相場の方向性を見誤ると短期間であっという間に資金がなくなってしまうでしょう。
適切な買い時や売り時を見極めるのは、経験のあるトレーダーでも難しいため、初心者の場合は運任せのギャンブルのような取引になってしまう可能性があります。
勉強する時間がない
資産運用で成功するには、相応の知識を身につける必要がありますが、多くの時間と労力をかけなければなりません。たとえば、株式投資をする場合、財務諸表や経済指標の読み解き方、市場の分析方法など、必要な知識は多く存在します。
また、知識を身につけたからといって、必ずしも利益を得られるわけではありません。市場は予測不可能な要素が多く、予期しない出来事が発生することもあります。
これらの理由から、資産運用に費やす時間がもったいないため、資産運用をするくらいなら他のことに時間を使ったほうがよいといわれるケースもあるようです。
資産運用を始めたほうがよい理由
資産運用は、将来の経済的安定を図るために重要です。以下では、資産運用をなるべく早めに始めたほうがよい理由について、詳しく解説します。
将来のインフレに備えられる
資産運用を行うことで、将来のインフレに備えることが可能です。インフレが進むと物価が年々上昇するため、何もしなければお金の価値は徐々に目減りします。
一般的な銀行預金でもある程度の金利はつきますが、インフレ率を上回る金利が期待できないことも多いため、預金の実質的な価値は目減りするでしょう。これに対し、株式や不動産などの投資商品は、インフレが進むと価値が上昇する傾向があります。
資産運用を通じて、インフレに対応できる資産を持っておけば、将来の生活費や老後資金を守ることが可能です。
投資を始めやすい環境が整ってきている
近年、投資を始めやすい環境が整ってきていることも、資産運用を始めたほうがよい理由の一つです。
たとえば、投資信託の積み立てや単元未満株、ロボアドバイザーなど、数百円~数千円程度の少額から始められる投資方法が増えています。これらの方法は、大きな元手がなくても投資を始められるうえに、万が一失敗したときのリスクも抑えられるため、初心者でも取り組みやすいでしょう。
また、iDeCoやNISAなどの税制優遇措置も活用できます。iDeCoとは、拠出した掛金を自身で運用する私的年金制度です。
一方で、NISAは少額投資非課税制度のことで、株式・投資信託の譲渡益や分配金、配当金が非課税になる制度です。これらの制度を活用すると、手元に残る利益が多くなるため、効率よく資産形成できる可能性があります。
複利効果を得るには長い期間が必要
資産運用を早く始めることで、複利効果の恩恵を最大限に受けられます。複利効果とは、投資で得た利益を再投資することで、その利益がさらに新たな利益を生む仕組みです。長期間にわたって投資を続ければ、この複利効果が雪だるま式に働き、資産の大きな増加に期待できます。
たとえば、20代から資産運用を始めれば、定年退職時には大きな資産を築ける可能性があるでしょう。反対に、資産運用を始めるのが遅れると、複利効果の恩恵を十分に得られず、資産の増加ペースが遅くなってしまいます。
そのため、大きなリターンに期待するのであれば、なるべく早めに資産運用を始めたほうがよいでしょう。
資産運用が向いている人の特徴
以下の特徴があてはまる人は、資産運用に向いている可能性が高いといえるでしょう。
- 中長期的な目線で戦略を立てられる
- 勉強や情報収集が苦にならない
- 感情をコントロールできる
中長期的な目線で戦略を立てられる
中長期的な目線で戦略を立てられる人は、資産運用に向いています。
資産運用は、短期的な利益を追求するだけでなく、中長期的な視点で資産を増やしていくことが重要です。たとえば、株式投資では企業の成長や市場の動向を見据えて、数年から数十年で投資を続けたほうがよいでしょう。
また、不動産投資でも、物件の価値が時間とともに上昇することを期待して、長期的な保有を前提とした計画を立てる必要があります。こうした長期的な視点を持ち、計画的に資産を増やしていける人は、資産運用で成功しやすいといえるでしょう。
勉強や情報収集が苦にならない
資産運用には、継続的な勉強と情報収集が欠かせません。金融市場の動向、経済ニュース、新しい投資商品など、常に最新の情報をキャッチし、自分の投資戦略に反映させる必要があります。そのため、勉強や情報収集を楽しめる人は資産運用に向いています。
感情をコントロールできる
感情をコントロールできる人も、資産運用に向いています。たとえば、株価が急落したときにパニックになって売ってしまう人は向いていないでしょう。
株価が期待通りに値上がりしない場合でも、徐々に成長する可能性があります。そのため、冷静に市場の動向を分析したうえで長期的な視点で判断できる人は、資産運用に向いているといえるでしょう。
資産運用の成功率を上げるコツ
資産運用で成功するには、自身に合った投資方法を選ぶことや、分散投資によってリスクを抑えることが大切です。自身のみで判断するのが難しい内容については、専門家のアドバイスを参考にするのもよいでしょう。
自身に合った投資方法を選択する
資産運用で成功するには、自分のリスク許容度に合った投資方法を選ぶことが大切です。たとえば、リスクを取るのが苦手な人には、安全性の高い債券や定期預金が向いています。
一方で、リスクを取れる人には、株式や投資信託など、高いリターンを狙える投資商品が適しているでしょう。
また、自分の投資目標やライフスタイルに合った方法を選ぶことも重要です。長期的な資産形成を目指す場合は、投資信託の積み立て投資などが適しているかもしれません。自身のリスク許容度や目標に応じて、最適な投資方法を見つけましょう。
少額から分散して投資する
資産運用のリスクを減らすには、少額から分散して投資することが効果的です。投資額が少額であれば、万が一失敗しても資産を大きく減らしてしまう心配は少なくなります。
また、投資する対象を分散すれば、特定の投資が失敗しても全体の損失を抑えることが可能です。たとえば、株式投資では、複数の企業に分散投資することで、一つの企業の株価が下落しても影響を最小限に抑えられるでしょう。
FPやIFAなどの投資のプロに相談する
銘柄選びや運用方法などに悩む場合は、FP(ファイナンシャルプランナー)やIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)などの資産運用のプロに相談するようにしましょう。豊富な知識や経験を持った専門家に相談すれば、個人の状況に合わせた適切なアドバイスを受けられます。
特に、投資初心者は専門家のサポートを受けることで、安心して資産運用を始められるでしょう。
まとめ
資産運用は、「元本割れのリスクがある」「利益を出すまでに時間がかかる」などの理由から、やめとけといわれることがあります。しかし、インフレリスクを考慮しながら将来のライフベントに向けて資金を効率的に貯めるには、資産運用が欠かせません。
資産運用を行い、将来にかかる資金を集めておけば、生活に困窮することなく豊かに過ごせます。資産運用が不安な人は、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用しながら、まずは少額から資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。 <保有資格>CFP