投資信託はやめたほうがいい?知らないと後悔する投資信託の注意点を解説

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投資信託は、初心者におすすめの金融商品の1つです。これから始めたいと思っているものの、「やめたほうがいい」という意見を聞いて、どのようなリスクがあるのか気になっている人もいるでしょう。

投資信託は手軽に始められる反面、運用の仕組みを知らずに始めてしまうと、思わぬ失敗につながることもあります。

そこで本記事では、投資信託をやめたほうがいいといわれる理由やリスク、さらに投資信託のメリットについて詳しく解説します。投資信託を始めようとしている初心者は、ぜひ参考にしてください。

投資信託はやめたほうがいい6つの理由とは

投資信託は、多数の投資家から集めた資金を、専門家が株式や債券など複数の金融商品に投資して、収益を投資家に還元する商品です。さまざまな金融機関で取り扱っており、「初心者向け」と呼ばれることもある商品ですが、デメリットや注意点を知らずに始めると、
思わぬ損失を被る可能性があります。

ここでは、投資信託は「やめたほうがいい」といわれる理由について6つ紹介します。

やめたほうがいい理由1:元本割れするリスクがある

投資信託には、「元本割れ」のリスクがあります。これは、投資したお金(元本)が減ってしまい、最終的に損をする可能性があるということです。たとえば、投資信託で運用している株や債券の価格が下がると、その影響でファンド全体の価値も下がり、投資したお金が目減りしてしまいます。

特に、世界の経済状況が悪化したり、災害や戦争など予想外の出来事が発生したりした場合、投資信託の価値が大きく下がる可能性があるでしょう。また、一部の投資信託は、特定の分野や地域に集中して投資しているため、その分野の成績が悪くなると、損失を受けやすいという特徴があります。

初心者は、この「元本割れリスク」があることを理解したうえで、投資信託の購入を検討しましょう。

やめたほうがいい理由2:商品を保有していると手数料がかかる

投資信託では、商品を保有している間に「運用管理費用(信託報酬)」が発生します。信託報酬とは、投資信託の運用・管理をしてもらう対価として支払う手数料のことであり、運用期間中は信託財産から毎日差し引かれます。1%に満たないケースも多いですが、長期間運用するとコストが積み重なり、運用成果に大きな影響を与える可能性があるでしょう。

たとえば、信託報酬が1%の投資信託に100万円を投資した場合、1年で約1万円が手数料として引かれます。運用成績がよくなければ、利益どころか手数料分だけ損をすることもあり得るでしょう。

初心者が投資信託を選ぶ際は、信託報酬の割合をよく確認し、コストが低い商品を検討するのがポイントです。

やめたほうがいい理由3:短期間で大きな利益を狙うのは難しい

投資信託は、短期間で大きな利益を得るのが難しい投資商品です。なぜなら、投資信託の価額が公表されるのは、投資信託の取引申込を締め切ったあとだからです。

投資家は、取引時点で投資信託の価額がわからないため、株式のように安いときを狙って購入し、高くなったタイミングで売却をする、という取引ができません。そのため、株式のように短期間のうちに何度も売買をして、利益を積み重ねるという取引には不向きといえるでしょう。

短期間で大きな利益を狙うのであれば、株式投資やFXなど、別の投資方法を検討することをおすすめします。また、ETF(上場投資信託)であれば、リアルタイムで値動きを確認できるため、短期間で利益を狙える可能性があります。

やめたほうがいい理由4:銘柄が多く投資先を選ぶのが難しい

投資信託は種類が豊富に存在するため、初心者にとって投資先を選ぶのが難しいといえます。

リスクや手数料なども銘柄によって大きく異なりますが、初心者の場合はそれぞれの商品を正確に理解して比較するのは簡単ではありません。結果として、口コミや評判だけを参考に選んでしまい、自分の目的に合わない商品を選んでしまうこともあります。

初心者が投資信託を選ぶ際は、信頼できるアドバイザーに相談したり、基本的な知識を勉強したりしたうえで始めることをおすすめします。

やめたほうがいい理由5:投資の知識や経験が身につきにくい

投資信託は、運用をプロに任せるため、投資の知識や経験が身につきにくいといえます。

株式投資やFXなどの場合、基本的には自分で市場の動向を調べたり、銘柄を選んだりすることになるので、その過程で投資に関する知識が深まります。しかし、投資信託はプロのファンドマネージャーが運用を代行してくれるため、投資の具体的な判断をする機会がほとんどありません。

たとえば、どの株が値上がりしそうかを自分で分析したり、経済ニュースから市場のトレンドを読み取ったりしなくても、利益を得られる場合があります。

毎月の分配金や基準価額の変動のみを確認するだけでは、投資に対する理解を深めるのは難しいでしょう。結果として、「投資信託を持っているだけ」という状態になり、長期的に投資スキルが向上しないまま時間が過ぎてしまいます。

初心者が本格的に投資スキルを磨きたいと考えるのであれば、少額でも個別株やETFを運用してみるほうが勉強になるかもしれません。投資信託は便利ですが、「学ぶ」という目的にはあまり向いていないことを理解しておきましょう。

やめたほうがいい理由6:大きく値下がりする可能性もある

投資信託では、大きく値下がりする可能性がある点も理解しておきましょう。投資信託の価格(基準価額)は、運用されている株や債券、不動産などの値動きによって大きく左右されます。そのため、世界的な経済危機が発生すると、投資信託の価値が大幅に下がることも珍しくありません。

たとえば、2008年のリーマンショック時には、世界中の株式市場が大暴落し、多くの投資信託が短期間で大きく価値を下げました。また、近年では新型コロナウイルスの感染拡大による市場の混乱を受けて、一時的に基準価額が急落した投資信託もあります。

株式や新興国市場を投資対象とする銘柄は、大きなリターンが期待できる反面、値下がりのリスクも高くなっています。初心者の場合、このような価格変動に耐えられず、安値のタイミングで売却してしまい、損失を確定させてしまうケースもあります。

大きなリスクがあることが不安であれば、元本保証のある商品やリスクの低い運用方法を検討することをおすすめします。

投資信託を行う6つのメリット

投資信託は、資産運用を始めるハードルが低い点や、効率よく投資できる点などが魅力です。以下では、投資信託を行うメリットについて詳しくみていきましょう。

メリット1:100円程度の少額で投資を始められる

投資信託は、100円程度の少額から投資を始められるため、初心者にとって投資ハードルが低い商品といえます。

個別株を購入する場合、数万円から数十万円が必要なことが多いですが、投資信託であれば少ない資金でも手軽にスタートできます。そのため、「まとまったお金がない」「まずは少しだけ試してみたい」という人に適しています。

さらに、少額から始められるため、失敗しても大きな損失にはなりにくい点もメリットといえるでしょう。初心者がリスクを抑えつつ投資の経験を積む方法としても適しています。

メリット2:分散投資によるリスク軽減の効果が得られる

投資信託を行うメリットとして、分散投資によるリスク軽減効果を得られることが挙げられます。

個別株に投資する場合、特定の企業の業績悪化や市場の動きによって大きな損失を被る可能性があります。しかし投資信託は、複数の株式や債券、不動産などに分散して運用する仕組みになっています。そのため、1つの銘柄や資産が値下がりしたとしても、ほかの銘柄や資産の値上がり分でカバーできる可能性があるのです。

リスクを減らしつつ資産を増やしていきたいと考えている人にとって、投資信託は有力な選択肢となるでしょう。

メリット3:投資のプロに運用を任せられる

投資信託では、投資のプロであるファンドマネージャーが運用を代行してくれるので、初心者でも安心して始められます。

たとえば、個別株に投資する場合、企業の業績や市場のトレンドを調べるために多くの時間を割く必要があります。しかし、投資信託では投資先の選定はもちろん、市場の分析や売買タイミングの判断もプロが行います。そのため、「投資の知識がない」「運用の時間が取れない」といった人でも気軽に資産運用を始められるでしょう。

メリット4:複利効果を活用して資産を増やせる

投資信託では、複利効果を活用すれば、長期的に資産を増やせる可能性があります。複利効果とは、得られた利益を再投資し、雪だるま式に資産が増えていく効果のことです。

時間をかけるほど複利効果は大きくなっていくため、加速度的に資産を増やせる可能性があります。分配金を自動的に再投資するファンドを選べば、複利効果を最大限に活かせるでしょう。

複利効果についてさらに詳しく知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。

メリット5:個人では投資しにくい地域や資産に投資できる

個人では投資しにくい地域や資産に投資できるのも、投資信託の大きなメリットです。

たとえば、新興国市場は成長が期待される一方で、情報が少なくリスクも高いため、個人が直接投資するのは難しい分野とされています。また、海外の株式や債券などは、最低取引単位や売買コストが高いものも多く、多額の資金がなければ投資するのが難しいでしょう。しかし、投資信託であればこうした投資先にも少額から投資できます。

不動産投資も同様で、物件を直接購入するには多額の資金が必要ですが、不動産を対象にした「REIT(不動産投資信託)」を利用すれば、少額で広範囲の不動産に分散投資が可能です。

このように、世界中の多様な資産へ手軽に投資できるようになる点が、投資信託の大きな強みといえるでしょう。

メリット6:NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用できる

投資信託は、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった税制優遇制度を活用することで、運用益にかかる税金を抑えながら資産を増やせます。

NISAとは、個人の投資を促進する目的で設けられた、投資で得た利益が非課税になる制度です。一方で、iDeCoは自分で掛金を拠出したうえで運用する私的年金制度です。

通常、投資信託の売買益や分配金には20.315%の税金が課されますが、これらの制度を利用すると運用益は非課税になります。税金で差し引かれる分を再投資に回せるため、効率よく資産を増やせる可能性があります。

NISAについてさらに詳しく知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。

投資信託をやめたほうがいい人の特徴

投資信託には多くのメリットがありますが、すべての人に適しているわけではありません。

たとえば、以下の特徴があてはまる人は、投資信託以外の資産運用を検討したほうがよいでしょう。

  • 短期間で大きな利益を狙っている人
  • 投資に積極的に関わりたい人
  • 絶対に損をしたくない人

投資信託は長期的な資産形成に向いており、短期間で大きなリターンを得るのは難しい商品です。値動きが緩やかになる分散投資を行うため、「1年以内に倍以上稼ぎたい」といった短期志向の人には向いていません。

また、「自分で銘柄を選びたい」「市場を分析しながら運用を楽しみたい」といった人には、運用をプロに任せる投資信託は物足りないかもしれません。自分で判断しながら能動的に投資を行いたい場合、個別株やFXのほうが魅力的でしょう。

投資信託は元本保証がないため、損をするリスクがあります。リスク許容度が低く、「絶対に損をしたくない」と考える人には、預貯金や国債など、リスクの少ない金融商品が適しています。

投資信託が向いている人の特徴

以下の特徴があてはまる人は、投資信託で資産運用を始めてみましょう。

  • 少額から投資を始めたい人
  • 投資に時間をかけられない人
  • 投資の初心者で知識が少ない人

先述した通り、投資信託は少額から始められるため、「まとまった資金がない」「とりあえず少しだけ試してみたい」という人に適した投資方法です。毎月一定額を積み立てる「つみたて投資」も可能であるため、無理なく資産形成を進められます。

また、投資信託はプロのファンドマネージャーが運用を代行してくれるので、日々の市場分析や取引に時間を割けない人におすすめです。忙しい人でも、定期的に運用結果を確認するだけで資産運用を進められます。

「株や債券の選び方がわからない」「投資が初めてで不安がある」という初心者でも、プロに運用を任せられる投資信託であれば、安心して始められるでしょう。

投資信託に関するFAQ

最後に、投資信託に関してよくある疑問を解説します。以下では、初心者が気になるリスクや選び方、購入場所のポイントについて詳しくみていきましょう。

投資信託で損する確率はどのくらいある?

投資信託で損する確率は、選んだ商品の種類や運用期間、そして市場環境によっても大きく異なるため、一概にはいえません。ただ、一般的には運用期間が長くなるほど損失を出す可能性は低くなる傾向にあります。

投資信託と株はどちらがいい?

投資信託と株のどちらがいいかは、投資の目的やスタイルによって異なります。

一般的に、少額から資産運用を始めたい人や、プロに運用を任せたい人には投資信託が向いているでしょう。一方で、自分で銘柄を選びたい人や、短期間で大きな利益を狙いたい人には株式投資が適しています。

銀行で投資信託を購入するのはやめたほうがよい?

対面で説明を受けながら銘柄選びや購入手続きを行える、という点にメリットを感じるのであれば、銀行で投資信託を購入するのもよいでしょう。

ただし、ネット証券に比べると、手数料が高くなる傾向にあります。また、商品の選択肢も少ないため、自分のリスク許容度や運用目標に合致する商品がみつかるとは限りません。

勧められた商品を安易に購入するのではなく、自分で商品内容や手数料をしっかり確認するようにしましょう。

まとめ

投資信託は、少額から始められる点や、プロに運用を任せられる点など、多くのメリットがある投資商品です。長期的な資産形成を目指す人や投資の知識が少ない初心者にとっては、活用しやすい商品の1つといえるでしょう。

一方で、投資信託には元本割れのリスクがある、銘柄選びが難しいといったデメリットもあります。自分に合わないと感じた場合は、ほかの資産運用方法にも目を向けてみましょう。

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オカネノホンネ編集部

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