コロナウイルス感染における医療保険の役割とは?コロナに備えた医療保険選びについても解説!

医療保険

世界中に新型コロナウイルス感染症が蔓延している昨今、以前にも増して医療保険の必要性を感じる人は多くなってい ます。とはいえ、新型コロナウイルスに感染した場合、実際にどのくらいの医療費がかかるのかご存知でしょうか。必要であれば、新しく医療保険に加入したいと考える人もいるでしょう。

まずは、新型コロナウイルスに感染した場合にかかる医療費のうち、公的医療保険でどの程度賄えるのかを整理する必要があります。その上で賄いきれない部分を医療保険で補いたいのであれば、自身の状況に合った保険を見極めなければなりません。

この記事では、新型コロナウイルスに感染した場合にかかる費用や、利用できる公的医療保険について紹介します。また、新型コロナウイルス感染症における医療保険の必要性や選び方なども併せて解説します。

コロナウイルスに感染するといくらかかる?

新型コロナウイルスに感染した場合にかかる費用は、医療費と医療費以外のものに分けられます。ここでは、実際にどのくらいの金額が発生するのかについて解説します。

コロナ感染に伴う平均的な医療費

新型コロナウイルスに感染した場合にかかる医療費は、下記の 表のように重症度によって異なります。なお、以下で示すデータは、公的医療保険制度の適用を考慮していないため注意してください。

 

症状 平均入院日数 1日あたりの入院費用の平均単価
コロナ患者全体 呼吸器症状なし 11.8日 6.1万円
軽症 息切れあり 10.9日 5.4万円
中等症 酸素投与が必要 15.5日 8.0万円
重症 ICUへの入室や人工呼吸器が必要 22.0日 14.2万円

※参照元:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」
※参照元:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症実態調査(第3回)」

平均入院日数に1日あたりの入院費用の平均単価をかけ合わせた「平均の医療費」は、下記の図の通りです。なお、以下で示すデータも、公的医療保険制度の適用を考慮していないため注意してください(本人の負担金額はもっと少ないものになります)。

コロナ患者全体 71.98万円
軽症 58.8万円
中等症 124万円
重症 312.4万円

新型コロナウイルスの感染が原因でICUに入るほど重症である場合は、300万円以上の医療費がかかることがわかります。

実際には、公的医療保険制度が適用されるため、自己負担する医療費は1~3割になります。また、ひと月に支払う医療費が自己負担額の上限を超えたときに払い戻しが受けられる「高額療養費制度」や、窓口での支払い負担を減らせる「限度額適用認定証」 なども活用できます。

しかし、家族内に感染者が複数人いる場合は総じて自己負担額が高額になります。また、所得が低い世帯にとっては、自己負担額が高額に感じる場合もあるでしょう。そこで、日本は新型コロナウイルスを「新型インフルエンザ等感染症」に指定し、国民が医療費を軽減できる各種制度を利用できるようにしています。(詳細は後述)

医療費以外にかかる費用

新型コロナウイルスに感染し入院すると、医療費以外に自己負担しなければならない費用が出てきます。

たとえば、1食あたり460円 かかる入院中の食費は自己負担の対象です。また、コロナ感染者の同意を得た上で「特別療養環境室」を利用する場合は、差額ベッド代が自己負担となります。ただし、患者の同意がないことをはじめ、救急患者や患者の選択によらず「特別療養環境室」に入院させた場合などは、差額ベット代の負担は必要ありません。

差額ベット代は医療機関によって異なりますが、厚生労働省によると令和元年7月時点の平均として1日あたり6,354円 かかります。

ほかにも、病院に見舞いに来る家族の交通費や、入院中の生活に必要な日用品を購入する費用などが必要になります。

収入の減少も発生する

新型コロナウイルスに感染し保健所から就労不可の診断をされた場合、厚生労働省が定めた隔離期間がある ため、その間はテレワークであっても仕事を休まなければなりません。また、重症であった場合や症状が収まらない場合は、長期間休む必要もあるでしょう。

療養期間中は働けない分、収入が減少してしまいます。特に個人事業主の人やフリーランスの人は、自身が働けないと収入に影響が出る可能性もあるでしょう。

コロナウイルス感染で利用できる国の支援制度とは?

新型コロナウイルスに感染したときの医療費は、公的医療保険の適用対象です。また、社会保険から給付が受けられるケースもあります。ここでは、新型コロナウイルスに感染したときに利用できる国の支援制度について解説します。

医療費や検査費用は公費負担

新型コロナウイルスは、厚生労働省により2021年2月13日から「新型インフルエンザ等感染症」に指定されてい ます。公的医療保険制度を利用したときに必要な1〜3割の自己負担がなくなり、入院時の医療費は全額公費負担となる 仕組みです。

発熱や濃厚接触者など、医師によって検査の必要性が認められた人については、PCR検査も無料 となります。

自己負担となる費用

新型コロナウイルスで医療費が公費負担となるのは、医療機関で陽性の診断を受けた後に実施した治療に対する費用のみ です。また、発熱をはじめ新型コロナウイルス特有の症状が確認されなければ、公費負担で行う「行政検査」の対象となりません 。

そのため、自主的に病院でPCR検査を実施し陽性反応が出た場合の初診料や、簡易的な検査キットの購入費用は公的医療保険の対象外となります。加えて、患者の同意を得た上で「特別療養環境室」を利用する場合の差額ベッド代も自己負担 です。

社会保険の支援制度

新型コロナウイルスに感染した場合に、療養期間中の収入減少に対する対策として利用できる公的な支援制度があります。

傷病手当金

会社員が病気やけがで仕事を休んだときに「傷病手当金」の給付が受けられます。仕事を休んだ日から4日目以降に、3日間の待機期間を経て仕事に就けなかった日に対して支給される仕組み です。おおよそ療養開始前における給与額の3分の2が給付され ます。傷病手当金の手続きは、所属している企業の事業主が行うのが一般的であるため、業務外で病気やけがをした場合はまず事業主に報告しましょう。

ただし、新型コロナウイルス感染症の場合において、発熱などの症状がなく、濃厚接触者となっただけでは「傷病手当金」は申請できません。少なくとも検査結果で陽性と診断される必要があり ます。

傷病手当金

会社員が病気やけがで仕事を休んだときに「傷病手当金」の給付が受けられます。仕事を休んだ日から4日目以降に、3日間の待機期間を経て仕事に就けなかった日に対して支給される仕組み です。おおよそ療養開始前における給与額の3分の2が給付され ます。傷病手当金の手続きは、所属している企業の事業主が行うのが一般的であるため、業務外で病気やけがをした場合はまず事業主に報告しましょう。

ただし、新型コロナウイルス感染症の場合において、発熱などの症状がなく、濃厚接触者となっただけでは「傷病手当金」は申請できません。少なくとも検査結果で陽性と診断される必要があり ます。

雇用調整助成金

事業者が新型コロナウイルスの影響で事業活動の縮小を行った際、従業員に対して休業手当を支払うケースがあります。「雇用調整助成金」は、休業手当を支払った事業者に対して助成金として支払われるもの です。事業所の所在地を管轄する「労働局」または「ハローワーク」に、必要書類を持参あるいは郵送することで手続きを行えます。

求職者支援制度

「求職者支援制度」は、再就職や転職を目指す人が月10万円の生活支援金を受給しながら、無料の職業訓練を受講できる制度です。ハローワークに「訓練の相談をしたい」という旨を申し出た上で、訓練実施機関による選考を通過することで活用できます。

2023年5月末までは、特例措置として給付金の支給要件が緩和されてい ます。新型コロナウイルス感染症が原因で離職を余儀なくされた人だけではなく、収入が大幅に減少した人も利用可能です。

生活福祉資金貸付制度

「生活福祉資金貸付制度」は、収入が減少し生活が困窮する人に向けた制度 です。

生活費が必要な世帯が貸付を受けられる「緊急小口資金」や「総合支援資金」などの制度があります。さらに、生活状況が改善されない場合には、「新型コロナウイルス感染症 生活困窮者自立支援金」や「住宅確保給付金」などが受けられる こともあります。

緊急小口資金の場合は、所在地の市区町村社会福祉協議会に必要書類を持参して手続きを行います。郵送で申し込むことも可能であるため、所在地の市区町村社会福祉協議会に送付先を問い合わせてみましょう

コロナウイルス感染における医療保険の必要性

医療保険に加入していると、新型コロナウイルスに感染したときに生じるさまざまな経済的なダメージを緩和できます。

一方で 、全ての人が「新型コロナウイルスに感染した場合に備えるために医療保険に入る必要がある」とは言い切れません。ここでは、新型コロナウイルス感染における医療保険の必要性について解説します。

入院給付金が支払われる

被保険者が新型コロナウイルスの感染によって入院した場合は、通常の病気治療と同様に入院給付金の対象です。また、陽性判定が出なかったとしても、医師の指示で入院すれば支払い対象となります。

入院ができない場合も入院給付金をもらえる

医療体制が逼迫している地域では病床数が限られているため、新型コロナウイルスに感染していると診断されても入院できないことがあるでしょう。

病院以外で医師の治療を受けた場合でも、証明書があれば入院給付金の対象となる可能性があります。そのため、自宅やホテルで療養した場合も入院とみなされ、入院給付金が支払われます。

収入の減少に備えられる

前述した通り、新型コロナウイルスの感染によって入院または隔離されることで、収入が落ち込むおそれがあります。

傷病手当金のような公的な支援制度を利用しても、減少分を完全にカバーできるわけではありません。また、個人事業主のように傷病手当金の支給対象とならない人もいます 。

入院 給付金で収入の減少分も補ったり、就業不能保険 や所得補償保険な どに加入したりとリスクマネジメントを行うことで療養中における生活費の確保にも役立ちます。

必要性はないとの意見も

医療保険に加入しておくと安心ではありますが、優先度が高いか どうかは世帯の経済状況や考え方 によっても異なります。収入が少ない世帯にとっては、毎月の固定支出が増えることは望ましくない 場合もあるでしょう。また、新型コロナウイルスに感染した場合の必要な費用を貯蓄だけで賄える世帯であれば、加入する必要性は高くないかもしれません。

入院時の医療費は公的医療保険の範囲内で全額カバーできるため、新型コロナウイルス感染への対策として医療保険に加入する必要があるのかどうかは、慎重に検討したほうがいいでしょう。

人と対面する機会の多さや、居住地の発症人数、自身の貯金、収入など、自身の状況を総合的に判断して医療保険に加入するかどうかを決めましょう。

コロナウイルスに対応できる医療保険の種類

医療保険は、新型コロナウイルスを含めた病気全般やけがをカバーする一般的な保険だけでなく、新型コロナウイルス感染時に特化したタイプの医療保険も発売されています。ここでは、それぞれの特徴について解説します。

総合的な医療保険

病気やけがを幅広く保障する一般的な医療保険は、新型コロナウイルスに感染した場合も保障対象です。入院時の医療費については全額公費負担が原則であるため、差額ベッド代や食費など、公的医療保険の適用対象外にあたる費用を保険で賄うのが主な医療保険の使い方です。

医療保険の中には新型コロナウイルス感染に特化した商品もありますが、その場合通常の病気やけがは保障されないケースもあります。

コロナ以外の病気・ケガのリスクに備えたいのであればまずは幅広く保障できる医療保険を加入した上で検討してみましょう。

コロナ感染に特化した医療保険

新型コロナウイルス感染に特化している医療保険では、入院給付金だけではなく、新型コロナウイルスに感染して療養をすると一時金が受け取れる仕組みになっていることがあります。

また、「少額短期保険」のように新型コロナウイルスのような特定の感染症だけを保障対象とした保険もあるため、人生の病気・ケガのリスクではなくあくまで直近のコロナ感染リスクにだけコストを抑えて保険に加入したい場合は、有効な選択肢といえるでしょう。

ただし、コロナ感染に特化した保険は感染症の拡大に伴い、支払い条件が見直されたり販売が中止されたりするケースが実際に起こっており注意が必要です。

コロナウイルス対応の医療保険おすすめ3選

ここでは、新型コロナウイルスに対応している医療保険の中で、特におすすめできる医療保険を3つ紹介します。

コロナで倍の補償!太陽生命 感染症プラス入院一時金保険

「感染症プラス入院一時金保険」は、太陽生命保険株式会社が販売している商品で、月々500円から申し込める保険です。

保障内容として、病気やけがで1日以上入院したときに入院一時金が支払われます。また、新型コロナウイルスに感染して入院したり、宿泊施設や自宅で治療を受けたりする場合には、倍の金額が保険金として支払われる仕組み になっています。

就業制限も補償!アメリカンホーム保険 特定感染症安心プラン

「特定感染症安心プラン」は、アメリカンホーム医療・損害保険株式会社が販売している商品で、満74歳まで申し込める保険です。特定の感染症やけがで入院した場合に入院給付金が支払われます。

また、新型コロナウイルスに感染し就業制限が課された場合に給付金が支払われる ため、長期間仕事に復帰できない状況に陥っても安心です。

アプリで簡単!PayPayほけん コロナお見舞い金

「PayPayほけん コロナお見舞い金」は、PayPay保険サービス株式会社が販売している商品で、医師から新型コロナウイルスと診断された場合に保険金として5万円が支払われ ます。スマホを使ってPayPayアプリ内から手軽に申し込めるほか、PayPay残高から保険料の支払いができる のが特徴です。

まとめ

日本は公的な支援制度が充実しているため、万が一新型コロナウイルスに感染した場合でも、入院時の医療費の支払いを心配する必要はありません。

ただし、検査費用や入院にかかる医療費以外の費用など、公的制度ではカバーできない部分もあります。働けない期間の収入減も含めて、金銭的な負担が大きくなることもあるため、医療保険に加入することは一つの選択肢でしょう。

新型コロナウイルス感染症に備える目的で医療保険に加入する際は、自身の日常生活で発症のリスク、収入や貯金、家計の状況なども総合的に考慮しながら検討しましょう。





オカネノホンネ編集部

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難しいお金の話を、ファイナンシャルプランナー技能士や保険・金融商品の専門家が忖度なし「ホンネ」でわかりやすく伝えます。

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