【個人事業主必見】生命保険に加入すべき理由やおすすめの保険商品を紹介

保険全般

個人事業主は、会社員と比べると公的保障が充実していないため、経済的なリスクに備えておく必要があります。その備えの一つとして、「生命保険」が選択肢して挙げられますが、本当に必要なのか、どのような生命保険に加入すればよいか、わからない人も多いでしょう。

そこで本記事では、個人事業主にとって生命保険が必要な理由や、おすすめの生命保険を詳しく解説します。また、経費として計上できる保険の種類についても紹介するため、気になる人はぜひチェックしてみてください。

個人事業主が生命保険に加入すべき理由

個人事業主は、会社員よりも活用できる公的保障が手薄になりがちです。しかし、生命保険に加入しておけば、以下のようなリスクにも備えられるため安心できるでしょう。

  • 病気やケガで働けなくなり収入が途絶えるリスク
  • 老後の生活費が不足するリスク
  • 遺族の生活費が不足するリスク

以下では、それぞれについて詳しく解説します。

病気やケガに備えるため

個人事業主は病気やケガで入院し、働けなくなったときに備えて生命保険に加入しておいたほうがよいでしょう。

個人事業主は、基本的に国民健康保険に加入しているため、医療費の自己負担が2~3割で済みます。また、医療費が高額となった場合は、高額療養費の支給も受けられます。高額療養費とは、1ヶ月の医療費が上限額(年齢や所得に応じて定められた上限額)を超えた場合に、その差額分が支給される制度のことです。これらの制度を活用すれば、医療費の自己負担額を抑えられるでしょう。

しかし、会社員が加入する健康保険とは異なり、国民健康保険では「傷病手当金の給付」がありません。傷病手当金とは、病気やケガで4日以上働けなくなったときに給付金を受け取れる制度のことです。1日あたり「傷病手当金支給以前の12ヶ月間の標準報酬月額の平均額÷30日×2/3」の給付金が支払われるため、ケガや病気で働けなくなった際の収入減少をカバーできる仕組みとなっています。

個人事業主の場合は、傷病手当金を受給できないため、働けなくなると収入が減少する可能性が高いでしょう。十分な貯蓄がない場合は、万が一に備えて生命保険に加入しておくと安心です。

また、個人事業主は就業不能保険(働けなくなったときの収入減少に備える保険)や、入院給付金日額の大きな医療保険に加入しておくことをおすすめします。

老後に備えるため

個人事業主は、老後資金が不足するリスクに備えて、生命保険に加入しておくことをおすすめします。

会社員は、国民年金と厚生年金の両方に加入しており、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を受給できます。一方で、個人事業主は国民年金のみの加入となるので、老齢基礎年金しか受け取れません。そのため、会社員よりも受け取れる年金額が少なくなってしまいます。

厚生労働省「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金加入者の平均年金受給月額は144,982円であるのに対して、国民年金加入者の平均年金受給月額は56,428円とされています。

引用:厚生労働省|「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」

また、公益社団法人である生命保険文化センターの調査によると、夫婦2人が老後生活を送るために必要な最低日常生活費は、平均23.2万円が必要と考えている人が多いようです。なお、「ゆとりのある」老後生活を送るには、平均37.9万円が必要という調査結果も公開されています。

引用:(公財)生命保険文化センター|「生活保障に関する調査」/2022(令和4)年度

そのため、個人事業主の場合は、老後生活を迎えるまでに十分な蓄えを用意しておかないと、老後の生活が困窮してしまうかもしれません。

不安定な老後生活とならないように、国民年金基金やiDeCo(個人型確定拠出年金)、個人年金保険など、公的保険に上乗せする私的年金制度を活用しましょう。

遺された家族の生活を保障するため

自身に万が一のことがあった際に、配偶者や子どもの生活保障として、生命保険に加入することも選択肢の一つです。

厚生年金に加入している会社員の場合は、自身に万が一のことがあった際に、遺族に対して「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」が支払われます。しかし、個人事業主は国民年金のみ加入となるため、遺族基礎年金しか支給されません。なお、遺族基礎年金は遺族厚生年金と違い、「子のいない配偶者」や「18歳未満の子どもがいない場合」には支給されないことを留意しておきましょう。

たとえば、配偶者が専業主婦の場合、遺された遺族は生活が困窮してしまう可能性があります。そのため、自身に万が一のことがあったとしても、遺された遺族が困らないように、十分な保険金が支払われる「死亡保険」に加入するのをおすすめします。

個人事業主におすすめする生命保険3選

次に、個人事業主におすすめの生命保険を3つ紹介します。

チューリッヒ生命|くらすプラスZ

「くらすプラスZ」は、満15歳~65歳の人が加入できる就業不能保険です。

病気・ケガを原因として、月に10日以上の入院・在宅療養をした場合は「短期収入サポート月額給付金」を受け取れます。また、病気・ケガによる所定の高度障害状態や、不慮の事故による所定の身体障害の状態となった場合は、「長期収入サポート月額給付金」を受け取れます。

一般的に販売されている就業不能保険と異なり、免責期間(保険金の支払いが行われない期間)が設けられていないため、収入が途絶えるリスクの高い個人事業主に適した保険といえるでしょう。

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明治安田生命|年金かけはし

「年金かけはし」は、告知や診査不要で20~55歳までの人が加入できる、個人年金保険です。

死亡保障の金額を低く設定し、年金額を支払保険料の総額よりも多く受け取れる仕組みを採用しています。

同保険では、保険料払込期間の終了後、1~5年の据置期間を設けることが可能です。保険金の受け取り方法は、「5年・10年確定年金」と「一括受け取り」から選択できます。

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オリックス生命|ネット専用定期保険 Bridge

「ネット専用定期保険 Bridge」は、20~65歳までの人が加入できる死亡保険です。

保険金額は、500~3,000万円の範囲で100万円単位で指定できます。保険期間は、「年満了(10年~30年の間で5年刻み)」と「歳満了(60歳~80歳の間で5歳刻み)」から選択可能です。

同保険は、ネット申し込み専用の保険となっており、割安な保険料で手厚い保障を受けられることがメリットといえます。

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【補足】保険料は必要経費として認められる?

原則として、個人事業主が必要経費として計上できる保険料は「事業運営に関係のある費用」のみです。そのため、家族のために加入している生命保険は、経費として認められません。

火災保険や自動車保険など、事業とプライペートの両方で使用している費用については「家事按分」を行い、事業で使用している分のみを経費計上するケースが一般的です。たとえば、火災保険の場合、事業所と自宅の床面積の割合に基づいて按分し、事業分のみを経費計上します。

もし、必要経費を多めに計上してしまい、正当な理由なく申告すべき税額を少なくしていた場合は、本来納付すべき税額に加えて過少申告加算税などの追徴を受ける可能性があるため、正しく申告するようにしましょう。

以下では、経費にできる保険の種類を詳しく解説します。なお、以下で述べる内容はあくまでも一般論であるため、経費計上の可否や家事按分の割合など、判断に迷った場合は最寄りの税務署または税理士に相談してください。

経費にできる保険の種類

以下で紹介する保険は、経費として計上できる可能性があります。

自動車保険料

運送業や配送業の事業で使用する車であれば、自動車保険料を経費として計上可能です。ただし、自家用車としても使用している場合は、走行距離や使用回数などに応じて按分する必要があります。

自賠責保険の場合は、「損害保険料」または「車両費」の勘定科目で計上します。任意保険で数年分をまとめて支払う場合は、「長期前払費用」として計上するため注意が必要です。なお、長期前払費用として計上する際は、保険料を期間ごとに按分してから「損害保険料」または「車両費」の勘定科目で計上します。

火災保険料

事業で使用する事務所や店舗などを補償対象とする場合は、火災保険を「損害保険料」の勘定科目で経費として計上可能です。

自宅と兼用で使用している建物の場合は、使用している面積などをもとに按分する必要があります。一方で、プライペートで使用している部分は、経費として計上できないので注意しましょう。

地震保険料

事業で使用する事務所や店舗などを補償対象とする場合は、地震保険を「損害保険料」の勘定科目で経費として計上可能です。

火災保険料と同様、プライペートで使用している部分は、経費として計上できません。しかし、所得控除(地震保険料控除)を適用できます。地震保険料控除とは、1年間で支払った地震保険料の合計額に応じて、所得から一定額を差し引ける制度のことです。

年間に支払った保険料 所得税 住民税
50,000円以下 支払った保険料の全額 支払った保険料の1/2
50,000円超 一律50,000円 一律25,000円

※保険期間の開始日が平成19年1月1日以降の契約
※2024年6月時点

従業員の保険料

従業員のために支払った生命保険料や傷害保険料は、福利厚生費として経費計上が可能です。

健康保険や介護保険、厚生年金保険、労災保険などの社会保険料は、「法定福利費」として経費計上できます。

経費にできない保険の種類

以下で紹介する保険は、基本的に経費として計上するのは難しいと考えておいたほうがよいでしょう。しかし、「所得控除」を受けられる場合もあります。確定申告の際に申請すれば所得税や住民税の節税につながるため、積極的に活用しましょう。

事業主の生命保険料

事業主のために加入している生命保険は、あくまでも「事業主故人やその家族の生活保障を目的として加入している」と考えるのが一般的であるため、経費として計上するのは難しいとされています。

しかし、生命保険料は「生命保険料控除」として所得から控除が可能です。そのため、確定申告を行う際は、生命保険料控除証明書を添付して申請しましょう。

生命保険料控除の適用限度額は、以下の通りです。

旧制度(2011年12月31日以前の契約) 新制度(2012年1月1日以降の契約)
一般生命保険料控除 所得税5万円
住民税3.5万円
所得税4万円
住民税2.8万円
介護医療保険料控除 所得税4万円
住民税2.8万円
個人年金保険料控除 所得税5万円
住民税3.5万円
所得税4万円
住民税2.8万円
3種類合計の上限額 所得税10万円
住民税7万円
所得税12万円
住民税7万円

※2024年6月時点

事業主の国民健康保険料・国民年金保険料

事業主の国民健康保険料・国民年金保険料は、経費として計上できません。そのため、従業員に支払う社会保険料とは取り扱いが異なることに注意しましょう。

国民健康保険料や国民年金保険料は、「社会保険料控除」として所得から控除が可能です。確定申告の際に、領収書や納付額証明書などの書類を添付する必要はありません。

事業主の傷害保険料

事業主の傷害保険料は、経費として計上できません。傷害保険を労災保険の代わりとして加入している場合でも、プライベートで発生したケガに対応できるため、経費として認められないことになっています。

なお、傷害保険料は生命保険料控除の対象外となるので注意しましょう。

まとめ

個人事業主は、会社員に比べて活用できる公的補償の種類や金額が少ないため、民間の生命保険に加入する必要性が高いといえます。

自身に万が一のことがあった場合の家族の生活保障として、生命保険に加入することも一つの手段です。どの保険に加入すべきか迷ったときは、ぜひ本記事で紹介した保険商品を検討してみてください。

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オカネノホンネ編集部

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