心療内科に1回だけ通院したことがある人でも生命保険に加入できる?

保険全般

気分が落ち込んだ・体に不調を感じるなどの理由で、1回だけ心療内科を受診した経験があるという人もいるでしょう。今では通院や服薬はしておらず、医師からも特に病名を告げられなかった場合、生命保険への加入には影響しないと考えるかもしれません。

しかし、直近で心療内科に1度でも受診していると、生命保険に加入しにくくなります。なお、受診歴を隠して加入すると、告知義務違反に問われる可能性があるため注意が必要です。

本記事では、心療内科での受診歴が生命保険の加入に与える影響や、加入後に病歴が発覚した際の措置などを詳しく解説します。

心療内科に1回でも通院歴があれば生命保険に加入できない?

心療内科に1回でも通院歴がある場合、生命保険に加入できなくなる可能性があります。

生命保険に加入する際は、現在の健康状態や既往歴を保険会社に伝える「告知」が必要です。この告知では「告知書」と呼ばれる書類に、記載された質問項目に対して「はい」か「いいえ」で順に回答していく必要があります。

なお、告知書には、直近の通院歴を尋ねる項目が記載されていることが一般的です。そのため、心療内科に通院した経験がある場合は「はい」と回答したうえで、詳細を告知しなければなりません。

病名によっても異なりますが、心療内科への通院歴があることを書くと、保険会社からは保険金支払いのリスクが高く、契約者間の公平性を保てない可能性があると判断される可能性が高いでしょう。

一般的に、自殺や他の病気を併発する可能性がある「うつ病」と診断されている場合だけではなく、明確な病名を告げられていなかったり、投薬の指示を受けていなかったりする場合も、生命保険へ加入するのは難しいといえます。

加入はできるが「告知義務違反」となる可能性がある

心療内科に通院していたことを隠せば、生命保険に加入できると考える人もいるかもしれません。加入時の告知は、被保険者自身が書面に健康状態を記載する、もしくは保険会社が指定した医師が告知書の内容にもとづいて面談を行うケースが大半です。

明確に精神疾患の症状が出ている場合を除けば、自分から申し出ない限り、1回だけ通院したことが発覚する可能性は低いでしょう。

しかし、加入後に通院歴が発覚すると「告知義務違反」になってしまいます。告知義務違反になると、契約が解除されるほか、基本的に保険金や給付金も支払われません。

そのため、正しい内容で告知することをおすすめします。

なぜ発覚してしまうのか

告知義務違反が発覚する主なタイミングは「契約確認」と「保険金・給付金の支払い」の2つです。

契約確認とは、保険会社が契約成立後に、申し込み内容や告知内容に関する確認を行うことです。保険会社の担当者が告知内容を確認した際に、告知義務違反が発覚するケースがあります。

また、保険金・給付金の支払い時に、告知義務違反が判明するケースも多くあります。これは、保険金・給付金の請求があった場合に、保険会社は医療機関に問い合わせて受診歴などを詳細に確認するためです。

加入後に告知義務違反が発覚した場合の措置について

生命保険へ加入後に告知義務違反が発覚した場合、保険金や給付金が支払われないだけでなく、「契約解除」や「取消」などのペナルティを科せられる可能性があります。

契約解除

責任開始日から2年以内に告知義務違反が発覚した場合は、保険会社から契約を解除される場合があります。なお、解約返戻金があれば、解除時に支払われます。

ただし、責任開始日から2年を超えて保険契約が有効に継続した場合や、営業職員から告知を妨げられたり、告知しないことをすすめられたりした場合、保険会社は契約を解除できません。

契約の取消

重大な告知義務違反があった場合は「詐欺行為」とみなされ、契約自体が取消になる可能性があります。取消になった場合、すでに払い込んだ保険料だけでなく、解約返戻金も支払われません。

なお、解除とは異なり、取消は責任開始日から2年経過していても実行されます。このように、通院歴を偽る行為は詐欺とみなされるため、正しい内容を告知するようにしましょう。

心療内科に通院歴があっても生命保険に加入できるケースがある

心療内科への通院歴があったとしても、告知項目に該当しない場合や、完治と診断されている場合は、生命保険に加入できる可能性があります。

直近で通院していない期間が「5年」を経過している

直近で通院していない期間が「5年」を経過している場合は、生命保険に加入できる可能性があります。この理由は、告知項目は以下のように、5年以内の健康状態について確認する内容が多いためです。

  • 過去5年以内における、7日間以上の入院、手術、受診歴
  • 過去3ヶ月以内の入院、手術、受診歴
  • 過去2年以内の健康診断受診の有無や異常指摘の有無

告知項目に該当していなければ、審査に落ちる可能性は低くなるでしょう。

主治医から「完治」と診断されている

5年以内に通院をしている場合でも、医師から完治と診断されていれば、生命保険に加入できる可能性があります。

5年以内に通院歴がある場合、告知書の「はい」に印をつけ、病名や治療期間などを告知することになります。ここに「完治」と記載すれば、保険会社は再発のリスクが低いと判断し、審査を通過できるかもしれません。

ただし、審査基準は保険会社によって異なります。完治していたとしても、5年以内に心療内科への通院歴があれば、生命保険への加入を断られるケースもあるでしょう。

また、「単に病院に行く必要が無くなった」というだけでは、完治していることになりません。そのため、自己判断ではなく、医師から口頭や完治証明書などによる完治の診断を受ける必要があります。

更新時に「うつ病」と診断された場合は告知が必要?

更新型保険に加入後に「うつ病」と診断された場合、あらためて告知をする必要はあるのでしょうか。

結論からいうと、加入後に健康状態に変化があったとしても、再度告知をする必要はありません。これは、保険会社は告知日時点での健康状態をもとに、リスクを判断しているためです。同じ保障内容であれば、契約者からの申し出がない限り自動更新されてそのまま継続できます。

ただし、更新時に保障を見直して保険金額を増やしたり、特約を付加したりする場合は、新たに告知が必要になるケースもあります。その際に「うつ病」と診断されたことを告知すると、保障の追加を断られる可能性があるでしょう。

直近で心療内科の通院歴がある人におすすめの保険

心療内科への通院歴があっても、生命保険の加入を諦める必要はありません。もし、一般的な生命保険への加入を断られた場合は、健康状態に不安がある人でも加入しやすい「引受基準緩和型生命保険」や、告知不要で加入できる「無選択型生命保険」を検討してみましょう。

以下では、それぞれの保険について詳しく解説します。

引受基準緩和型生命保険

引受基準緩和型生命保険とは、告知が3~5項目程度に限定された保険です。直近で通院歴や持病がある場合でも、所定の告知項目に該当しなければ、原則として契約できます。

なお、契約前に治療歴のある病気が悪化した場合も保障の対象です。そのため、過去に通院した際に診断された病気を起因とした、入院・死亡といったリスクにも備えられます。

その代わり、保険料は一般的な生命保険よりも割増されています。また、契約してから1年間は保険金・給付金が削減されるなど、一定の制約が設けられている点に注意しましょう。

無選択型生命保険

無選択型生命保険とは、告知や診査不要で加入できる保険です。同保険であれば、心療内科への通院歴があったとしても審査に影響することはありません。

ただし、引受基準緩和型生命保険と比べて、保険料が割高になっていることが大半です。また、加入当初は保障金額が削減される、治療歴のある病気が悪化した場合は保障されない、といったデメリットもあるため、他の生命保険に加入できなかった場合の最終手段として検討したほうがよいでしょう。

まとめ

心療内科に1回だけ通院したことがある人でも、「5年以内の通院歴がない場合」や「すでに完治と診断されている場合」は、生命保険に加入できる可能性があります。

しかし、審査基準は保険会社によっても異なるため、通常の保険に加入することが難しい場合は、「引受基準緩和型保険」や「無選択型保険」も含めて検討してみてください。

なお、通院歴を隠して加入すると、告知義務違反に問われ、保険金や給付金が支払われないばかりでなく、契約の解除や取消につながる可能性があるので絶対にやめましょう。

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オカネノホンネ編集部

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