知らないと損、医療費の補助と節約方法

医療保険

病気になった際には、健康はもちろんのこと医療費も心配の種になることもあるでしょう。この記事では医療費の補助や節約の方法をお伝えします。

「ジェネリック医薬品での薬代の節約」「優遇税制や補助の活用とその注意点」「時間外、休日、深夜早朝の割増での診察を受けない」「クレジットカード医療費支払によるポイント取得」「はしご受診の見直し」などの各項目をみていきましょう。

ジェネリック医薬品で薬代を節約する

開発した製薬会社が特許を保有している医薬品を先発医薬品、特許期間がきれたあとに同じ有効成分が同量含まれた薬を別の製薬会社が販売するものを後発医薬品・ジェネリック医薬品と言います。

薬の開発には研究段階から含めて多額の費用が必要です。研究開発費のかからないジェネリック医薬品は割安な価格で販売されています。ジェネリック医薬品にすることで先発医薬品の2~5割程度の金額で購入できるとされています。

日本ジェネリック製薬協会のHPの中にはジェネリック医薬品を使用した際の差額を計算できる機能がありますので、活用してみるのもいいでしょう。

なおジェネリック医薬品の服用にあたっては医師や薬剤師などの専門家に相談した上でするようにしましょう。

医療費控除を活用して税金を減らす

資産を形成する上で、所得控除・税額控除など節税することの効果は小さくはありません。

原則、10万円を超える医療費を支払った場合は確定申告をすると「所得控除」ができます。また所得が200万円未満の場合は「所得金額×5%」を超える医療費がかかった際には同制度を適用できます。

配偶者や子どもなどの成形を一にする家族の医療費は合算してカウントすることができます。そのため夫婦で申告する場合には所得が高いほうが申告したほうが還付金が多く戻ってきます。

控除対象は「病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」とされており、病院に払う治療費だけでなく、市販の医薬品代や通院等のための交通費なども対象です。

対象となるものは以下の国税庁のHP等にて確認できます。

会社員の方は医療費に関しては確定申告をして、所得控除を受ける必要があります。

医療費控除対象となる金額の計算式は

1年間に支払った医療費 ー 保険金等で補填された金額 ー 10万円 =医療費控除金額

となります。なお医療保険などでの給付金は差し引く必要があります。

医療費控除の特例 セルフメディケーション税制を活用

薬には、医師によって処方される医療用医薬品と薬局やドラッグストアで処方箋なしで購入できる一般用医薬品(OTC医薬品 ※OTCはOver The Counter:オーバー・ザ・カウンターの略)の2種類があります。

医療費控除の特定としてセルフメディケーション税制があります。薬局などで購入できる市販の一般医薬品を1万2000円以上購入した際に、最大8万8000円までを1年間の総所得から控除することができます。

対象となる人は所得税・住民税をおさめていてかつ健康診断を受けている人に限ります。

未病の重要性が高まる中、重症化を未然に防ぎQOLを高め、ひいては医療費の圧縮にもつながるものとして設けられた制度です。

元々時限的な制度でしたが21年の12月までの次元的なものでしたが22年1月以降には制度が5年延長され、税制対象医薬品の範囲が拡充されました。

従来の医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらかしか適用できませんので注意をしましょう。一般的に高額な医療費がかかった場合には従来の医療費控除を使ったほうが還付金が多くなる事が多いです。

高額な医療費がかかった際には高額療養費制度の活用

高額療養費制度は、1ヵ月の医療費が一定の上限額を超えた場合に、超えた部分の金額を支給する制度 です。自己負担の上限額は、所得水準や年齢によって下記の表 のように決まっています。ただし、自由診療や差額ベッド代、食事代など公的医療保険制度の対象外となる部分に対しては支給されません。

例えば70歳未満の人であれば自己負担限度額は以下の通りです。

【平成27年1月診療分から】

所得区分 自己負担限度額 多数該当
① 区分ア

(標準報酬月額83万円以上の方)

(報酬月額81万円以上の方)

252,600円+(総医療費−842,000円)×1% 140,100円
② 区分イ

(標準報酬月額53万~79万円の方)

(報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方)

167,400円+(総医療費−558,000円)×1% 93,000円
③ 区分ウ

(標準報酬月額28万~50万円の方)

(報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方)

80,100円+(総医療費−267,000円)×1% 44,400円
④ 区分エ

(標準報酬月額26万円以下の方)

(報酬月額27万円未満の方)

57,600円 44,400円
⑤ 区分オ(低所得者)

(被保険者が市区町村民税の非課税者等)

35,400円 24,600円

引用元:全国健康保険協会|高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)

なお申請には期限があり、診療を受けた翌月1日から2年を経過するまでに行わないと時効により申請できなくなります。また医療機関で支払をし申請をしてから払い戻しまで3か月程度かかります。これらの注意点はあらかじめ心得ておきましょう。

介護費も合算する高額医療・高額介護合算療養費制度の活用

介護費についても、高額になって限度額を超えた分については申請すると払い戻しをうけられる高額介護サービス費という制度があります。

毎年の8月1日から翌年の7月31日までの医療費と介護費の自己負担金額分を合算した際の金額が一定レベルを超えると限度額の超過額が支給されます。

負担額の総額56万円~67万円を基本として、所得や年齢区分によって自己負担限度額が設定されます。合算できる内容や条件が細かく規定されているので、自治体の介護保険の担当窓口で確認するようにしましょう。あてはまる場合は「介護自己負担額証明書」が交付されるので、これをもって健康保険者に提出することで手続きをすすめることができます。

時間外、休日、深夜・早朝の診療は医療費が割り増しになるので極力避ける

医療費は夜間や休日診察には特別料金が加算されることはご存じでしたでしょうか?

全国健康保険協会のホームページによると、初診は時間外加算であれば医療費が850円、休日であれば2500円、深夜(22時~6時)で4800円が加算されます。自己負担は1~3割です。

やむを得ないときは仕方がありませんが、可能な限り通常の営業時間に診察を受けるようにしましょう。

特に乳幼児が体調を崩した際にはすぐにでも病院に連れていきたくなるかもしれませんが、まずは子ども医療電話相談#8000や救急安心センター#7119に電話をするのがいいでしょう。病状を専門家に伝え、受診できるタイミングや病院、救急車をよぶべきなのかなどのアドバイスを得ることができます(なお救急安心センターは大人も利用できます)。

医療費をクレジットカード払いにしてポイントを稼ぐ

最近はクレジットカード払いに対応している医療機関も増えています。一般的なカードのポイント還元率は0.5~1%程度なので、医療費をクレジットカード払いにすることでポイントを貯めるということもできます。

はしご受診を控える

「はしご受診」とは同じ病気で複数の医療機関を転々と受診することをいいます。このはしご受診も医療費がかかる要因になりえます。

はしご受診は「青い鳥症候群」「ドクターシッピング」とも言われますがそのような行動をする理由としては以下のようなものがあげられています。

  • もっといい治療があるのではと考える
  • 病気への理解が不足しているため、検査と治療内容が十分に理解できない
  • 薬物依存の状態。限度いっぱいの薬を手にすると次の薬を手にするために別の医療機関を受診
  • 診断結果がよくないときに、本人の意向にそう診断をする医師を探している

「はしご受診」にはデメリットもあります。

まず繰り返し同じ検査を受けるため医療費が無駄になります。同じ病院であれば経過観察・再診料ですむところを毎回初診料や検査料がかかる事は望ましくないでしょう。

他にも「検査や薬の重複しての服用による体への負担」や「治療の結果の蓄積ができない」といったデメリットもあります。

セカンドオピニオンを知りたいのであれば、医療機関の変更や最適な治療法を選びたい場合は、はしご診療をするのではなく、医師に相談して紹介状をもらって転院するもしくは手順をふんで「第二の意見」セカンドオピニオンを求めるようにしましょう。

現在の診断を認めなくないケースもあるかもしれませんが、それを理由にむやみに新しい病院を受診するのはセカンドオピニオンとはいいません。

主治医の診断や治療法を十分に理解した上で、主治医の意見であるファーストオピニオンと比較するために手順を踏んで別の医師の意見をあおぐのがセカンドオピニオンとなります。

主治医から複数の治療方針を提示された際、別の治療法も検討したいとき、症例数の少ない難病などの際にセカンドオピオンを求めるのはいいかもしれません。

最近ではセカンドオピニオンを求めるサービスもでてきました。30分から1時間程度で5000円から1万円が相場です(自由診療で全額自己負担)。

医療保険・がん保険などの民間の保険の付帯サービスでこれらのセカンドオピニオンを無料で受けられることもありますので、保険加入者は問い合わせてみるといいでしょう。

まとめ

自分や親族などの治療が必要になった際に、医療費は気がかりなこともあるでしょう。日本は公的制度も手厚いので、医療費の補助は利用しまた節約できるところは節約して家計への影響を最小化するようにしましょう。

オカネノホンネ編集部

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難しいお金の話を、ファイナンシャルプランナー技能士や保険・金融商品の専門家が忖度なし「ホンネ」でわかりやすく伝えます。

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