終身保険は60歳払込満了と終身払いどっちがおすすめ?60歳払済のメリット・デメリット

保険全般

保険料の払込方法は、将来のライフプランにも影響を及ぼす可能性があります。一生涯の保障を得られる「終身保険」は、60歳や70歳など一定の年齢で保険料の払い込みを終えることも可能です。しかし、本当にメリットがある方法なのか、気になっている人もいるでしょう。

本記事では、終身保険の2つの払込方法である「終身払い」と「60歳払込満了」を比較し、メリット・デメリットを解説します。

終身保険の60歳払込満了とは?

終身保険は、死亡保障が一生涯続く保険です。一般的に、終身保険の保険料払込期間は、終身払いと有期払い(短期払い)の2種類から選択できます。

終身払いは、被保険者が死亡・高度障害状態に該当するまで、保険料を一生涯払い続ける方法です。有期払いは、10年や20年などの一定期間、もしくは60歳や70歳など一定年齢で保険料の払込を終える方法を指します。

60歳払込満了の終身保険に加入した場合、60歳で保険料の支払いは終了しますが、その後も解約しない限り主契約の保障は継続します。ただし、主契約の払込満了に伴い、特約は満期を迎え、保障がなくなるケースが一般的です。特約を継続する場合は、一定年齢までの保険料を一括で前納、もしくは年払いなどの方法で分割払いする必要があります。

終身保険における60歳払込満了のメリット

60歳払込満了の終身保険に加入するメリットは、以下の通りです。

  • 長生きするほど総支払額が安くなる
  • 払込満了後の解約は解約払戻金がある
  • 老後に保険料の支払いをしなくて済む

1.長生きするほど総支払額が安くなる

60歳払込満了にすると、長生きをするほど終身払いよりも保険料の支払い総額は安くなる可能性があります。60歳払込満了の場合は、保険に加入した時点で支払う保険料の総額が決まるため、途中で変わることはありません。

一方、終身払いの場合は何歳まで生きるか予測ができないため、加入した時点では払い込む保険料の総額は確定しないのです。たとえば、40歳の男性が以下の終身保険を検討するとしましょう。

  • オリックス生命「終身保険RISE」
  • 保険金額200万円
  • 60歳払込満了の保険料:月額6,414円
  • 終身払いの保険料:月額3,252円

60歳払込満了を選択した場合、払込保険料総額は6,414円×12ヶ月×(60歳―40歳)=153万9,360円です。一方、終身払いを選択し、平均的な年齢まで生きていた場合の払込保険料総額は、3,252円×12ヶ月×41.97年(40歳時点での平均余命)(※)=163万7,837円となり、98,477円多く支払うことになります。
※参照元:厚生労働省|令和4年簡易生命表

長生きをするほどこの差は広がっていくため、長期的な目線で保険料の負担を軽減したい場合に、60歳払込満了は有力な選択肢になるでしょう。

2.払込満了後に解約すると解約返戻率がアップする場合もある

終身保険を解約すると、契約からの経過期間に応じた解約返戻金を受け取れるケースが一般的です。保険料払込期間中に解約した場合、払い込んだ保険料の総額を下回るケースが多くなっています。

しかし、保険料の払い込みが終わると解約返戻率が上昇し、返戻率が100%を超える商品も珍しくありません。特に保険料払込期間中の解約返戻金を低くしている「低解約返戻金型終身保険」では、この傾向が顕著になります。

3.老後に保険料の支払いをしなくて済む

定年を迎える前に保険料の支払いを終えられることも、60歳払込満了を選択するメリットの一つです。

一般的に60歳以降になると定年を迎え、それまでと比べて収入が減少します。若い時と同じように働けるとは限らず、収入源が年金だけになってしまうケースも少なくありません。そのため、老後生活に不安を抱えている人も多くいます。

60歳払込満了を選択しておけば、老後の支払いを減らせるので、安心して過ごしやすくなるでしょう。

終身保険における60歳払込満了のデメリット

60歳払込満了で終身保険に加入すると、以下のようなデメリットが生じる可能性もあります。

  • 月々の保険料が割高になる
  • 後から終身保険の見直しがしにくい

1.月々の保険料が割高になる

60歳払込満了の終身保険は、終身払いの終身保険よりも、毎月支払う保険料が割高になるケースが一般的です。家計の負担が大きくなるだけではなく、加入してから短期間で死亡・高度障害状態に該当した場合は、終身払いよりも払い込む保険料が多くなる可能性もあります。

保険料によって生活が圧迫されてしまう可能性がある場合は、終身払いを選択しておきましょう。保険会社や商品によっては、家計に余裕が出たタイミングで、払い込み期間を変更できる場合もあります。

2.後から見直しがしにくい

60歳払込満了を選択すると、見直しがしにくくなる可能性があります。短期払いは終身払いに比べて、1回あたりの保険料が割高に設定されています。そのため、解約して他の保険に加入する場合、それまでに支払った保険料の総額が終身払いの保険を見直す場合に比べて高くなる可能性があるのです。

もちろん、解約返戻金を受け取れるため、全額が掛け捨てになってしまうわけではありません。しかし、保険料の払い込みが完了していない場合には、支払った保険料よりも少ない金額しか戻ってこないのが一般的です。

終身保険の60歳払済がおすすめな人

60歳払済の終身保険は、以下のような人におすすめです。

  • 解約返戻率の高さを重視する人
  • 老後の支払いをなるべく減らしたい人
  • 毎月の家計に余裕がある人

基本的に解約返戻金は契約からの経過期間に応じて徐々に増えていきます。60歳払済を選ぶと払い込む保険料の総額は変わらない一方で、保険料払込み後の期間が長くなるほど解約返戻金は増えていくため、終身払いと比べると解約返戻率は高くなる傾向があります。
そのため、解約返戻金を老後資金などに充てたいと考えている人に向いているでしょう。

また、60歳払済であれば、本格的に老後生活を迎える前に保険料の支払いを終えられます。老後の出費を抑えられれば、安心感を得られるでしょう。ただし、毎月の保険料負担は終身払いよりも大きくなりがちなので、家計に余裕があることが前提です。

まとめ

終身保険には「終身払い」と「60歳払込満了」の2つの払込方法があります。終身払いは一生涯にわたって保険料を支払い続ける一方、60歳払込満了は60歳で保険料の支払いが終了するのが特徴です。

60歳払込満了を選択するメリットとしては、長生きするほど終身払いよりも払込保険料の総額が安くなることや。老後の保険料支払いが不要となる点が挙げられます。一方で、毎月の保険料負担が大きくなりやすい、見直しが難しいなどのデメリットもあります。

終身保険に加入する際は、自身のライフプランやメリット・デメリットを考慮しながら、適した払込方法を選択しましょう。

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オカネノホンネ編集部

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