障害・難病・精神疾患・長期療養など、特定の人の医療費負担を軽減する制度や注意事項の紹介

医療保険

医療費の負担が過度になりすぎないよう、特定の条件に当てはまる人の医療費を減免する制度があります。制度の主体は国であったり、都道府県の自治体や市区町村の自治体のものもあります。子どもや心身の障がいをお持ちの人、ひとり親家庭、重度老人、難病や精神疾患を患っている人、長期療養が必要な人などを補助する制度です。この記事ではそれらの制度の概要を紹介します。

福祉医療費助成制度による医療費の補助

自治体が、一定年齢以下の子どもや心身障がい者、ひとり親家庭、重度老人に対して医療費を一部助成するのが「福祉医療費助成制度」です。子どもであれば医療費がかからない自治体が多いですし、その対象が中学生から高校卒業までに拡大されている自治体も近年増えています。医療機関を受診した際に自己負担金が不要になる現物給付方式と、助成金が後日振り込まれる自動償還方式の2つがあります。詳細は自治体によって異なるのでお住まいの自治体に確認しててみてください。

自立支援医療制度による負担軽減

心身の障害を改善するための医療行為に対して自己負担額を軽減するのが「自立支援医療制度」です。

対象となるのは

  1. 精神通院治療(精神疾患の治療)
  2. 更生医療(身体障害の治療)
  3. 育成医療(身体障害がある子どもへの治療)

の3種類です。

なお、制度が適用されるのは「都道府県」が定めた「指定医療機関」のみとなりますので注意をしましょう。利用者負担額は対象者の所得によって異なります。

難病医療費助成制度による医療費の上限設定

発病の原因不明、治療方法が確立しておらず、長期の療養が必要な病気のことを難病といいます。

具体的には

  • 潰瘍性大腸炎
  • パーキンソン病
  • クローン病
  • 全身性エリテマトーデス
  • 全身性強皮症
  • もやもや病

などがあります。

ただし、難病は完治はしないものの適切な治療と自己管理によって普通に生活できます。

国は

  1. 患者数が一定数に達しない
  2. 客観的な診断基準、またはそれに準ずる基準が確立している

の2つの要件を満たす疾患を「指定難病」と位置づけています。

「指定難病」に対しては公的医療費助成制度の対象となりえます。指定難病と診断されて、病状が一定程度重く、長期間高額な医療費を負担しなければならない場合は、難病医療費補助制度によって、自己負担額の上限が設定されます。

上限額は所得により異なりますが、世帯年収約370万円以上の人でも一般の治療であればひと月2万円まで、高額かつ長期と判定された場合((ひと月の医療費総額が5万円を超える月が年間6回以上あるケース))は月1万円が上限となります。

なお、自治体によっては、難病患者に対して給付金の支給を行っている場合もあります。給付の対象疾患や支給タイミングなどは自治体によって異なりますので、自治体の担当窓口に確認・相談しましょう。

長期特定疾病療養に対する補助

長期特定疾病とは、人工透析を必要とする腎不全や血友病など、長期の療養が必要な病気の治療に対しての高額療養費制度の特例です。これが適用されると高額療養費の自己負担限度額が引き下げられます。多くの場合、負担の上限額が月額1万円になります(70歳未満の標準報酬月額が53万円以上の上位所得者は2万円)。

健康保険の窓口に、所定の申請書に医師の病状に関する記載を加えて提出し、手続きをします。詳細は加入の健康保険窓口に問い合わせてみましょう。

特定の病気の20歳以下が対象の小児慢性特定疾病医療費助成制度

「小児慢性特定疾病医療費助成制度」は、がんや慢性腎疾患、慢性呼吸器疾患、慢性心疾患などで長期の治療が必要で高額な医療費がかかってしまう20歳以下の子どもを対象にした「国の助成制度」です。

対象疾患は定期的に見直されており、拡大傾向です。詳細は小児慢性特定疾病情報センターのHPをご覧ください。

手続きは以下の4ステップとなります。

  1. 小児慢性特定疾病「指定医療機関」を受診
  2. 小児慢性特定疾病「指定医」による医療意見書の作成
  3. 医療意見書を含む必要書類を準備し、居住している自治体窓口へ申請
  4. 小児慢性特定疾病審査会による認定審査と審査結果の通知

注意点としては、小児慢性特定疾病に関して、指定医療機関において行われた保険診療についてのみ、医療費助成の対象となります。自治体から 『指定医療機関一覧』が公表されていますのでそちらを確認するようにしてみてください。

まとめ

もしも自分や身の回りの人が、心身の障がいをおっていたり、難病や精神疾患を患ったり、長期療養が必要な場合にはこの記事で紹介したような制度を活用して負担を軽減できる可能性があります。療養中の病院の医師・ソーシャルワーカー・メディカルソーシャルワーカーや担当自治体の窓口に相談するようにしましょう。

オカネノホンネ編集部

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難しいお金の話を、ファイナンシャルプランナー技能士や保険・金融商品の専門家が忖度なし「ホンネ」でわかりやすく伝えます。

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