転職や仕事をやめる際には、生活に必要なお金のことや再就職のことが気になるものでしょう。失業期間中の生活や再就職に向けた支援をするための公的な保険である雇用保険について紹介します。
目次
雇用保険とは
雇用保険とは労働者が失業した場合に必要な給付を行ったり再就職を支援するための制度です。
保険料は事業主と労働者双方で負担しています。保険料率と負担割合は業種によって異なります。なおパートやアルバイトでも一定の条件を満たすろ被保険者となる場合があります(1週間の所定労働時間が20時間以上かつ継続して31日以上雇用されることが見込まれる場合)。
相談窓口は公共職業安定所(ハローワーク)です。
雇用保険の給付内容
雇用保険の給付内容には以下のような種類があります。
- 求職者給付(基本手当)
- 高齢求職者給付金
- 就業促進給付
- 教育訓練給付
- 高年齢雇用継続給付
- 介護休業給付
- 育児休業給付
順番に見ていきましょう。
求職者給付(基本手当)
失業者に対する給付で、失業保険と呼ばれているものです。離職前の2年間に雇用保険の加入期間が通算12ヵ月以上の人が対象です。倒産や解雇の場合は、離職前の1年間に被保険者期間が通算6ヵ月以上が対象になります。
給付日額は年齢や勤務時の所得によって変わります。
上限額も定められていて令和3年度8月1日時点の改正によって給付日額の上限金額は以下となります。
離職時の年齢 | 基本給付日額の上限金額 |
29歳以下 | ¥6,760 |
30~44歳 | ¥7,510 |
45~59歳 | ¥8,265 |
60~64歳 | ¥7,096 |
また給付日数は自己都合が会社都合かどうか、自己都合で退職した場合は被保険者期間によって、会社都合の場合は被保険者期間と年齢によって変わります。
◆自己都合の場合
給付日数は以下の通りとなります。7日間の待機期間に加えて最長で3か月間の給付制限があります。
被保険者であった期間 | |||||
1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 | |
全年齢 | ― | 90日 | 120日 | 150日 |
◆倒産・会社都合の解雇等の場合
被保険者であった期間 | |||||
1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 | |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
30歳以上35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上45歳未満 | 150日 | 240日 | 270日 | ||
45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
◆障害者等の就職困難者の場合
就職困難者とは身体障害者、知的障害者、精神障害者、刑法等の規定により保護観察が必要な方、社会的事情により就職が著しく困難な方などの事を指します。
被保険者であった期間 | |||||
1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 | |
45歳未満 | 150日 | 300日 | |||
45歳以上65歳未満 | 360日 |
高齢求職者給付金
高齢求職者給付金は65歳以上で雇用されている人が離職した場合に一時金で支給されます。
就業促進給付
就業促進給付は就職を促進するための給付で、一定の要件を満たした求職者給付(基本手当)受給者が再就職やアルバイト等に支給した場合に支給されます。再就職手当としては所定給付日数の支給残日数が3分の1以上で再就職した場合に支給されます。
教育訓練給付
教育訓練給付では労働者が自ら費用を負担して厚生労働大臣が指定する講座を受講して修了した場合にはその費用の一部が支給されます。教育訓練給付金は以下3種類があります。
高年齢雇用継続給付
高齢者に対して必要な給付を行い雇用の継続を支援する制度です。いくつか条件はありますが、賃金の最大15%が支給されます。
介護休業給付
介護をしている人に対して必要な給付を行い雇用の継続を支援する制度です。家族の介護のために仕事を休業する際、休業前の賃金の67%が保証される制度です。条件を満たした場合、休業時に最大93日まで支給され、最大3回まで分けて取得できます。
育児休業給付
育児休業給付では満1歳未満の子、保育所等における保育の実施が行われないなどの理由がある1歳6ヵ月から2歳未満の子を養育するために育児休業を取得した際に、休業前の賃金の67%相当額が、6ヵ月経過後は50%が支給されます。
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