終身保険に満期はある?受け取れる保険金の種類やデメリットなど基本的な仕組みを解説

保険全般

終身保険とは、被保険者に万が一のことがあったときに保険金を受け取れる保険です。終身保険は一度契約すると一生涯にわたって保障が続くため「満期」はありません。終身保険には満期がないことによるメリットや注意点があるので、加入前に理解しておきましょう。

この記事では、終身保険の保険期間や払込期間、受け取れる保険金の種類など、基本的な仕組みを分かりやすく解説します。終身保険への加入を検討中の方は参考にしてください。

終身保険に満期・満期保険金はある?

「満期」とは、保険契約で定められた保険期間が満了することを指します。たとえば「65歳満期」であれば65歳で契約は終了し、その時点で保障はなくなります。

保険商品の中には生存して満期を迎えると「満期保険金」を受け取れる商品もありますが、終身保険の場合はどうでしょうか。以下で詳しく解説します。

終身保険に満期・満期保険金はない

終身保険は、契約者が亡くなるまで保障が続く保険です。解約しない限り、保障は一生涯継続するため「満期」はありません。

また、特定の期間が終了した時点で保険契約が終了し、そのタイミングで満期保険金が支払われるということもありません。

保険証券に満期や満期保険金が記載されている場合は「養老保険」や「学資保険」など、終身保険以外の生命保険に加入している可能性があるでしょう。

払込期間の「満了」はある

終身保険に「満期」はありませんが、保険料払込期間が「満了」になることはあります。終身保険の保険料払込期間は、以下の3つのタイプがあります。

  • 終身払い:一生涯にわたって保険料を払い込む
  • 短期払い:所定の年数または所定の年齢まで保険料を払い込む
  • 一時払い:契約時に保険料をまとめて払い込む

保険期間と払込期間は、必ずしも一致するわけではありません。たとえば、「60歳払込満了」の終身保険に加入した場合、保険自体は何歳になっても有効ですが、保険料の支払いは60歳を迎えると終了します。

「満期」と「満了」を混同すると「終身保険だけど満期がある」といった誤解を招くこともあるため、正しく理解しておきましょう。

終身保険で受け取れるのは死亡保険金や解約返戻金

終身保険では、被保険者(保障の対象となる人)が死亡した際には「死亡保険金」、生命保険会社所定の高度障害状態になった際は「高度障害保険金」が支払われます。保険金はどの年齢でも万が一のことがあれば支払われますが、保険金を受け取ると契約は消滅します。

また、終身保険では払い込んだ保険料の一部が積み立てられ、解約時にその一部を「解約返戻金」として受け取ることが可能 です。

解約返戻金は保険期間の経過に伴って増加しますが、保険料払込期間中に解約すると、払い込んだ保険料を下回ることが多くなります。

終身保険の基本的な仕組みや終身保険の種類などについて、さらに詳しく知りたい場合は以下の記事を参考にしてください。

満期や満期保険金がある生命保険

生命保険の中には、契約期間が定められており、満期を迎えると保険金を受け取れるタイプがあります。以下は、満期や満期保険金がある代表的な生命保険です。

  • 定期保険
  • 養老保険
  • 学資保険

それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

一定期間を保障する「定期保険」

定期保険は、保険期間が決まっている死亡保険です。保険期間中に万が一のことがあった場合、死亡保険金や高度障害保険金が受け取れます。

定期保険には、保険期間を通じて同額の保険料で保障が継続する「全期型」と、更新をしながら所定の年齢まで保障が継続する「更新型」があります。

定期保険は終身保険と同じように万が一のリスクをカバーする保険ですが、貯蓄性はほとんどなく、基本的に解約返戻金もありません。そのため、保険金額が同じであれば、終身保険よりも割安な保険料で加入できる点が特徴です。

ただし、更新型は更新時の年齢や保険料率に応じて保険料が計算されます。基本的に年齢が上がるほど保険料が高くなるため、高齢になると、終身保険よりも割高な保険料を負担することになるケースもあります。

貯蓄性の高い「養老保険」

養老保険は、保障と貯蓄の両方を兼ね備えた生命保険です。養老保険には「10年」「20年」といった契約時に定めた一定年数を保障する「年満期」と、「60歳」「70歳」といった一定年齢までを保障する「歳満期」の2種類があります。

養老保険では、保険期間中に万が一のことがあった場合に死亡保険金を受け取ることができ、何事もなく満期を迎えた場合は死亡保険金と同額の満期保険金を受け取ることが可能です。そのため、終身保険と比較すると貯蓄性が高いという魅力があります。ただし、保険料も高くなる傾向があります。

子どもの進学時期に合わせて満期を設定する「学資保険」

学資保険は、子どもの教育資金に備えることを目的とした生命保険です。子どもの入学や進学に合わせて祝金や満期保険金を受け取れます。

学資保険では、被保険者である子どもに万が一のことがあっても、受け取れる死亡保険金は少額です。しかし、契約者である親が死亡した場合は、その後の保険料の払込が免除され、契約時に定めた通りの祝金や満期保険金を受け取れるという仕組みがあります。

満期がない「終身保険」に加入するメリット

終身保険に加入する主なメリットは以下の通りです。

  • 保障が一生涯続く
  • 保険料が一定で変わらない
  • 貯蓄の手段として活用できる
  • 生命保険料控除を活用できる

終身保険のメリットは、一生涯にわたって保障が継続することです。定期保険のように期間が限定されていないため、被保険者が何歳で亡くなっても、遺族は保険金を受け取れます。そのため、葬儀費用を確保する手段として活用されることが多くなっています。

また、終身保険の保険料は原則一定で変わりません。保険料が契約途中で急に上がる心配がなく、家計の見通しを立てやすい点もメリットといえるでしょう。

終身保険を解約すると、解約返戻金としてまとまったお金を受け取れます。解約返戻金は契約期間に応じて増加する仕組みになっているため、長期的な資産形成の手段としても活用可能です。

さらに、終身保険の保険料は生命保険料控除の対象になります。生命保険料控除とは、毎年払い込んだ保険料に応じて所得控除を受けられる制度です。所得税や住民税の課税対象額を計算する際に、一定の金額を控除できるため、節税効果が期待できます。

満期がない「終身保険」に加入するデメリット

終身保険にはメリットだけでなく、以下のようなデメリットや注意点もあります。

  • 元本割れするリスクがある
  • 保険料が割高になることもある
  • 見直しが難しい

終身保険は貯蓄性が高い保険ですが、解約するタイミングによっては払込保険料の合計額を下回る解約返戻金しか受け取れない(元本割れ)可能性があります。保険料の払い込みを終える前に解約した場合は元本割れすることが多く、契約してからすぐに解約すると少額の解約返戻金しか受け取れないケースもあるので注意が必要です。

また、終身保険は保障期間が長期にわたるため、同等の保障内容の定期保険と比べると保険料が割高になる傾向があります。

さらに、終身保険は満期や更新がないため、ライフステージや経済状況の変化などに応じた保障内容の見直しが難しく、こまめな見直しには不向きな保険といえます。途中解約すると元本割れするリスクがあるため、他の保険に乗り換えにくいと感じることもあるでしょう。

まとめ

終身保険は一度契約すると、一生涯にわたって保障が続くため「満期」という概念がありません。ただし、「満期」と「保険料払込満了期間」は混同しやすいので注意が必要です。保険料払込満了期間とは、保険料の支払いが終了するタイミングのことを指します。つまり、保険期間と保険料払込期間は必ずしも一致するわけではありません。

終身保険のメリットは、一生涯にわたって保障が続くことです。また、保険料が一定で変わらないため、家計の見通しを立てやすく、長期的な貯蓄の手段としても活用できます。

しかし、終身保険にはデメリットもあることを理解しておく必要があります。解約するタイミングによっては元本割れするリスクがあることや、定期保険よりも保険料が割高になる傾向があることは理解しておきましょう。さらに保障内容の見直しが難しくなる点にも注意が必要です。

もし終身保険が自分のニーズに合わないと感じた場合は、定期保険や養老保険、学資保険など、満期や満期保険金がある他の保険商品も検討してみましょう。

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オカネノホンネ編集部

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