上皮内新生物/じょうひないしんせいぶつ
『上皮内新生物』とは、臓器の周りにある粘膜(上皮)の内側にできた、異常な組織の塊(新生物)のことです。上皮内がんともいいます。
上皮内新生物と悪性新生物との違い
新生物をはじめて聞く人も、腫瘍でであれば聞いたことがあるのではないでしょうか。新生物と腫瘍は、病理学的には同じものとして扱われます。つまり、悪性新生物は「悪性腫瘍」、いわゆる「がん」です。
上皮内新生物も上皮内がんとはいいますが、一般ながんとは性質が異なります。上皮内で腫瘍ができると、上皮の下にある基底膜を超えて広がる(浸潤)のが一般的ながんです。しかしながら、上皮内新生物は、上皮内にできた後、浸潤することなく留まります。この段階で手術などの治療できれば、転移や再発のリスクがなく、完治が可能です。仮に上皮内新生物が浸潤した場合には、「浸潤がん」という別のがんになります。
上皮内新生物とがん保険
上皮内新生物と悪性新生物は、先に述べたそれぞれの性質により死亡リスクや平均的な医療費が違うため、がん保険の保障においても、多くの商品で分けられています。特にがん診断給付金やがんによる給付金の上乗せでは、上皮内新生物が対象にならない商品や、給付されても金額や回数が少なく制限されているケースも。
確かに上皮内新生物は、一般的ながんに比べると入院期間が短く、医療費も低額で済みます。また、厚生労働省のデータによれば、全部位の場合、上皮内新生物ががん全体に占める割合は10%程度です。一方で女性特有のがんでは、子宮頸は上皮内新生物の割合の方が多く、子宮も50%弱が上皮内新生物となっています。さらに、乳房に上皮内新生物ができた人が再建手術を希望するときには、乳がんと同じ費用が必要です。
最近では、上皮内新生物に対しても、がんと同等程度の保障が受けられる医療保険も増えています。医療保険やがん特約を契約するときには、上皮内新生物の取り扱いについてしっかり確認してから選んでください。
<参照・引用サイト>
アクションがん対策のススメ ニュースレターVol.3(がん対策推進企業 )
全国がん登録2019(厚生労働省)