【保険用語集】雑損控除とは

用語

雑損控除/ざっそんこうじょ

『雑損控除』とは、自然災害や火災、盗難などで損害を被ったときに適用される所得控除です。

雑損控除の対象となる損害の原因

雑損控除の対象となる損害の原因は限定されています。対象となる損害の原因は以下の通りです。

  • 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
  • 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
  • 害虫などの生物による異常な災害
  • 盗難
  • 横領

詐欺や恐喝も盗難や横領と同じく犯罪による損害ですが、雑損控除の対象にはなりません。

雑損控除の対象となる財産

雑損控除の申告では、本人名義の財産以外に、生計を一にする配偶者や親族(ただし、その年の総所得が48万円以下であること)の財産への損害も合算できます。また、以下に該当する財産は、損害を受けても雑損控除の対象となりません。

  • 生活に通常必要でない資産
  • 事業用固定資産等
  • 棚卸資産

上記のうち、わかりにくいのは、「生活に通常必要でない財産」ではないでしょうか。国税庁は以下のように例を挙げています。

「生活に通常必要でない資産」とは、例えば、別荘など趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で保有する不動産(平成26年4月1日以後は同じ目的で保有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権など)も含まれます。)や貴金属(製品)や書画、骨董など1個または1組の価額が30万円超のものなど生活に通常必要でない動産をいいます。

雑損控除の計算方法

雑損控除の計算式は2つあり、金額が多い方が適用されます。

(1) (損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
(2) (災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円

「損害金額」は、国税庁のホームぺージにある「合理的な計算方法」で算出できます。また、「災害等関連支出の金額」は、下記の①と②、「災害関連支出の金額」は①のことです。

① 災害により滅失した住宅、家財などを取壊しまたは除去するために支出した金額など
② 盗難や横領により損害を受けた資産の原状回復のための支出など

災害減免法による所得税の軽減免除について

損害を受けた理由が災害の人のうち、保険金などにより補てんされる金額を除いた住宅や家財の損害金額で、その年の所得の合計が1,000万円以下の人は、「災害減免法による所得税の軽減免除」を選択することもできます。

所得金額の合計額 軽減または免除される所得税の額
500万円以下 所得税の額の全額
500万円を超え750万円以下 所得税の額の2分の1
750万円を超え1,000万円以下 所得税の額の4分の1

適用されるのは、雑損控除と災害減免法による所得税の軽減免除のどちらか一方です。有利な方を選んでください。また、災害減免法による所得税の軽減免除が適用されるのは、災害による損害のみです。盗難や横領で損害を受けた人には適用されません。

適用を受けるために必要な手続き

雑損控除は年末調整の対象ではないため、一般的な給与所得者の人も「確定申告」が必要です。確定申告は、お住いの住所地を管轄する税務署で申告してください。

確定申告には、罹災証明書や盗難証明書など損害を証明する書類と保険金の明細書(損害を補てんする目的の保険金を受け取った人のみ)が必要です。災害関連支出の領収書の保管や必要書類の申請を忘れずにしましょう。罹災証明書は、火災のときは消防署、自然災害は自治体の窓口で、盗難証明書は警察署で、それぞれ発行してもらえます。

申告年の所得から全額控除できなかったとき

家屋に損害を受けたときなど雑損控除の控除額が高額になると、申告した年の所得から全額を控除できないことがあります。その場合、3年を限度に繰り越して控除を受けることが可能です。ただし、雑損控除以外に所得控除があるときは、先だって雑損控除が控除されます。

<参照・引用サイト>
No.1110災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)【国税庁】
No.1902 災害減免法による所得税の軽減免除【国税庁】
Ⅰ-2 雑損控除の適用における「損失額の合理的な計算方法」【国税庁】
被害割合表【国税庁】

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オカネノホンネ編集部

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