変額保険加入者の方必見!年末調整「生命保険料控除」の書き方について徹底解説!

保険全般

一般的に変額保険は生命保険料控除の対象となるため、年末調整で申請をすれば所得から一定の控除を受けられます。所得が減れば支払う税金も減るため、できるだけ控除を活用したいと考えている人がほとんどでしょう。しかし、年末調整は、多くの人にとって複雑で面倒な作業です。そのため、書類の書き方や計算方法がわからず、困っている人も多いのではないでしょうか。

この記事では、変額保険の加入者に向けて、年末調整における「生命保険料控除」の申請方法を解説します。ぜひ参考にしてください。

変額保険は年末調整における保険料控除の対象

変額保険は、株式や債券を中心に資産運用し、その実績に応じて保険金額が変動する商品です。契約者が支払う保険料は「生命保険料控除」の対象となり、一定の節税効果が見込めます。

変額保険を資産運用目的で活用する場合、毎月の支払額が数万円以上になるケースは珍しくありません。基本的に支払う保険料が多くなるほど、控除のメリットも大きくなるため、忘れずに活用しましょう。

年末調整とは

年末調整とは、給与や賞与から源泉徴収された所得税と本来納めるべき税額を照らし合わせて過不足を精算する手続きです。

自営業者の場合は毎年2〜3月の間に「確定申告」を行い、前年1月〜12月の所得を申告してそれに応じた所得税を支払います。一方、会社員の場合は、勤務先の企業が代わりに所得税を納めているため、確定申告は必要ないケースがほとんどです。その代わりに、毎月の給与や賞与から収入に応じて一定額の所得税が「源泉徴収」という形で天引きされています。源泉徴収額はあくまで概算で算出した金額であり、各個人の細かい収入の違いや控除などが考慮されていません。そのため、1年の終わりに収入が確定した段階で、最終的な納税額を改めて計算する必要があるのです。

源泉徴収によって税金を支払い過ぎていた場合は、年末調整によって所得税の還付を受けられます。反対に納税額が不足している場合は、税金の追加徴収が行われます。

生命保険料控除とは

生命保険料控除とは、1月1日〜12月31日までの1年間に支払った保険料の合計額に応じて、所得から一定額を差し引ける制度です。税法上、収入から必要経費を差し引いたものを所得と呼びます。その所得から所得控除を差し引いた金額に対して税率を適用し、納付すべき所得税を求めます。つまり、生命保険料控除のような所得控除額が大きくなるほど、所得税を低く抑えられるということです。

また、住民税のうち所得に応じて決まる「所得割」は、所得に対して10%との税率が適用されます。そのため、控除によって所得が低くなれば、住民税の負担も軽減することが可能です。生命保険料控除を活用することで、長期的に見れば数万円から数十万円の節税につながるでしょう。

変額保険に該当する生命保険料控除の種類

生命保険料控除には、以下の3種類があります。

生命保険料控除の種類 該当する保険料
一般生命保険料 生存または死亡に伴い、一定の保険金や給付金を支払う部分に係る保険料
介護医療保険料 入院や通院などにともなう給付部分に係る保険料
個人年金保険料 個人年金保険料税制適格特約が付加された契約に係る保険料

それぞれ最大4万円、合計で最大12万円まで控除を受けられます(新制度の場合)。変額保険の場合、基本的に「一般生命保険料控除」の対象です。

なお、生命保険料控除は、保険料を払い込んだ年のみ対象となります。そのため、契約時に保険料を一括で払い込む「一時払い」の変額保険で控除を受けられるのは契約初年度のみとなる点には注意しましょう。

変額保険における年末調整の書き方

年末調整で生命保険料控除の適用を受けるためには「給与所得者の保険料控除申告書」を記入する必要があります。まず基本情報として、書類の一番上の欄に勤務先の所轄税務署名、勤務先の名称、勤務先の住所を記入します。

次に、保険会社から郵送されてくる「保険料控除証明書」を見ながら、加入している契約の内容について記入しましょう。保険契約の種類(一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料)ごとに、保険会社名、保険の種類、保険期間、契約者名、受取人名、受取人との続柄、新旧制度の区分、控除対象保険料を記入します。基本的に変額保険の場合は、一般生命保険料の欄を埋めましょう。

最後に生命保険料控除の計算式に基づいて、実際に控除を受ける金額を計算し勤務先に提出します。記入方法に悩んだときは、勤務先の経理部門や最寄りの税務署に確認することをおすすめします。

変額保険における年末調整の計算

生命保険料控除は、保険の契約時期によって適用される制度が異なります。2012年1月1日以降に締結した契約は「新契約」、それ以前に締結した契約は「旧契約」に区分され、区分ごとに控除額の計算方法があります。

ここでは、「新契約のみ」「旧契約のみ」「新旧両方の契約がある場合」の3パターンに分けて年末調整における控除額の計算方法を解説します。

新契約の場合

新契約の場合は以下の表に基づいて、控除額を計算します。

年間払込保険料 控除額
2万円以下 払込保険料全額
2万円超4万円以下 (払込保険料 × 1/2) + 1万円
4万円超8万円以下 (払込保険料 × 1/4) + 2万円
8万円超 一律4万円

年間保険料6万円の変額保険に加入している場合、(6万円 × 1/4) + 2万円=3万5,000円を控除額として、保険料控除申告書に記入します。

旧契約の場合

旧契約の場合は以下の表に基づいて、控除額を計算します。

年間払込保険料 控除額
2万5,000円以下 払込保険料全額
2万5,000円超5万円以下 (払込保険料 × 1/2) + 1万2,500円
5万円超10万円以下 (払込保険料 × 1/4) + 2万5,000円
10万円超 一律5万円

年間保険料6万円の変額保険に加入している場合、「(6万円 × 1/4) + 2万5,000円=4万円」を控除額として、保険料控除申告書に記入します。

旧契約・新契約の両方の場合

旧契約と新契約の両方に加入している場合は、旧契約の年間払い込み保険料に応じて控除額の計算方法が変わります。

旧契約の年間払込保険料 控除額
6万円以下 旧契約の保険料に基づいて計算した控除額+新契約の保険料に基づいて計算した控除額(最高4万円)
6万円超 旧契約の保険料に基づいて計算した控除額(最高5万円)

旧契約と新契約のそれぞれで変額保険に加入している場合、旧契約と新契約のそれぞれで控除額を計算した後に合算します。例えば、年間保険料6万円で変額保険に加入している場合、旧契約における控除額が「(6万円 × 1/4) + 2万5,000円=4万円」、新契約における控除額が「(6万円 × 1/4) + 2万円=3万5,000円」となり、旧契約の年間払込保険料が6万円以下なので、このケースでは4万円の生命保険料控除を受けられます。

変額保険の年末調整に関するよくある質問

ここでは、変額保険の年末調整に関するよくある質問とその答えについて見ていきましょう。

変額保険が年末調整の対象にならない場合はある?

変額保険は、通常「一般生命保険料控除」の対象となるため、保険料の支払いが適切に行われていれば、年末調整で控除されない事態はほとんど起こり得ません。ただし、生命保険料控除は、保険料を実際に支払った人にのみ適用されます。そのため、仮に契約者や被保険者が自身であっても、実際に保険料を支払っているのが他の家族である場合、控除を受けられないケースはあるでしょう。

変額保険の保険料控除証明書を紛失した場合は?

万が一、保険料控除証明書を紛失してしまった場合でも、保険会社に連絡をすれば再発行を依頼できます。基本的に再発行には保険証券番号が必要となりますが、保険会社によってはオンラインでの手続きやショートメッセージを利用した手続きで再発行することもが可能です。

変額保険の保険料控除証明書はいつ入手できる?

変額保険の保険料控除証明書は、毎年10月中旬頃に郵送されるケースが一般的です。 基本的には発送後約1週間で到着するため、10月下旬までには入手できるでしょう。ただし、保険料の払込時期によっては発行スケジュールが異なる場合もあるため、正確な発送時期については保険会社に問い合わせることをおすすめします。

まとめ

変額保険の保険料は、基本的に一般生命保険料控除の対象です。年末調整の際に申請すれば、所得税や住民税の負担を軽減できる可能性があるため、必ず申請しましょう。

ただし、契約時期によって適用される制度が変わる場合があります。記入に誤りがないよう保険会社から送られてくる「保険料控除証明書」を見ながら、正確な金額を記入してください。

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オカネノホンネ編集部

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