生命保険契約が失効するとどうなる?契約の「復活」についても解説

保険全般

生命保険の保険料は、口座振替やクレジットカード払いなどの方法で支払うケースが一般的です。保険料を支払い忘れる心配は少ないかもしれませんが、一時的に口座の残高が減ってしまい、未払いになることはあるでしょう。保険料の未払いを放置すると、契約が「失効」し、デメリットを被る可能性があるため、注意が必要です。

本記事では、生命保険契約が失効した場合の影響や、失効後の対処法を詳しく解説します。

生命保険契約が失効すると保障が受けられない

一般的な生命保険会社では、普通保険約款(同一種類の保険契約全てに共通する契約内容を定めたもの)の中で、「無催告失効条項」を定めています。

無催告失効条項とは、「保険会社が定める保険料の払込猶予期間が過ぎても保険料が支払われない場合は、契約が失効する」ことを定めたものです。そのため、当初の払込期日を過ぎても未払い状態が続くと、やがて契約は失効してしまいます。

保険契約が失効すると、保険の効力はなくなるため、万が一のことがあったとしても保険金や給付金は基本的に支払われません。

保険料の払込猶予期間

保険料の払込猶予期間は、支払い方法や保険会社によって異なります。以下では一般的な保険契約の払込猶予期間を紹介しますので、確認しておきましょう。

月払い契約のケース

保険期間中に迎える、契約日に対応する日を「契約応当日」と呼びます。月払いの場合は、月単位の契約応当日の属する月の1日から末日までを払込期月とし、払込期月の翌月1日から末日までを払込猶予期間とするケースが一般的です。

たとえば、1/10を契約日として生命保険に加入したとしましょう。契約応当日は10日になるため、3月分の保険料の払込期月は3/1〜3/31です。もし3月中に保険料が支払えなかった場合は、4/30までの払込猶予期間中に支払う必要があります。4/30中に保険料の払込がなければ、基本的に契約は失効します。

半年払い・年払い契約のケース

年払い(半年払い)の場合は、年(半年)単位の契約応当日の属する月の1日から末日までを払込期月とし、払込期月の翌月1日から翌々月の月単位の契約応答日までを払込猶予期間とするケースが一般的です。

たとえば、1/10を契約日として年払いの生命保険に加入した場合、契約応当日は毎年1/10(月単位の契約応答日は10日)になります。払込期月は1/1〜1/31ですが、1月中に保険料が支払えなかった場合は、3/10までの払込猶予期間中に支払いを済ませなければなりません。3/10までに保険料の払込がなければ、基本的に契約は失効します。

ただし、12/31を契約日とする場合などは、翌々月の契約応答日ではなく、翌々月の末日が払込猶予の期限になります(2月は28日または29日までしかないため)。また、6/30を契約日とする場合などは、8/30ではなく8/31が払込猶予の期限になります。

保険料が未払いなら生命保険契約はすぐに失効する?

保険料が未払い状態になったからといって、すぐに契約が失効するわけではありません。保険会社から案内が来たり、一時的に保険料を立て替えてもらえたりする場合があります。ここでは、保険料が未払いなら生命保険契約はすぐに失効するのかについて詳しく解説します。

失効前に保険会社から督促がある

保険料が未払いになっても、失効前の保険料猶予期間中に保険会社から支払いの督促があります。通知が来た段階ですぐに支払えば、失効を防げる可能性があるでしょう。

過去には、無催告失効条項の有効性に関して裁判で争われた事例があります。その裁判では、契約失効前に保険会社が保険契約者の利益を守るために督促を行うなど、実務上の手続きが適切に実施されていれば、無催告失効条項は原則として有効であるとの判決が下されました。そのため、保険会社は該当の判例に基づき、督促の手続きを行っています。

自動振替貸付で保険料が立て替えられる場合がある

保険料猶予期間が過ぎても、自動振替貸付が利用できる場合は、すぐに失効することを防げます。自動振替貸付とは、保険会社が未払いの保険料を立て替えることで、契約を継続できる制度です。立て替えられたお金は、いつでも返済が可能です。

ただし、あくまで解約返戻金の範囲内で貸付けを受けられる制度であるため、契約した直後のように解約返戻金が少ない場合は利用できないこともあります。また、解約返戻金のない商品は、そもそも自動振替貸付が利用できません。さらに、立て替えられたお金には利息が付くため、利息と元金の合計額が解約返戻金額を上回ると、保険料の立て替えができず、保険契約は失効してしまう点に注意が必要です。

返済をしないまま満期を迎えたり、死亡したりした場合は、貸付けを受けた金額が差し引かれて満期保険金や死亡保険金が支払われます。

生命保険契約が失効した場合の対応

生命保険契約が失効した場合、「復活」と「解約」の2つの選択肢があります。

生命保険契約の「復活」を行う

復活とは、一定期間内に保険会社所定の手続きをすることで、失効した契約を元に戻せる制度です。復活できる期間は、一般的に2ヵ月~3年以内とされています。

復活をする際は、失効期間中の保険料の払込みが必要です。告知または診査も必要になるため、失効期間中に健康状態が悪化した場合には復活ができないことがあります。保険会社や商品によっては復活の取り扱いがない場合や、延滞利息の支払いが必要になるケースもあるため注意しましょう。

生命保険契約を解約する

復活を希望しない場合は、生命保険会社に連絡し解約手続きをしましょう。失効した保険に解約返戻金がある場合は、保険会社から解約返戻金の請求に関する通知が送られてくるケースがほとんどです。

ただし、契約後短期間で失効した場合には、解約返戻金が微々たる場合もあるため注意してください。また、解約をすると、復活もできなくなります。

生命保険契約が払込猶予期間中・失効中の場合に保険金はどうなる?

生命保険契約中に病気やケガ、死亡など、支払い事由に該当した場合、保険金や給付金は支払われるのでしょうか。以下では保険金について状況別の対応を解説します。

払込猶予期間中の場合

払込猶予期間中は保険契約が継続している状態であるため、支払い事由に該当した場合は、給付金や保険金を請求できます。ただし、未払い分の保険料は保険金から差し引枯れるケースが一般的です。

失効中の場合

保険契約の失効中に万が一のことがあった場合は、保障の対象外になるため、原則として保険金や給付金は支払われません。また、復活をした場合も、失効期間中の病気やケガなどについては保障されません。

ただし、明治安田生命のように、失効してから一定期間内に手続きをすれば、失効日(保険料払込猶予期間の満了日の翌日)に遡って契約を有効な状態に戻せる「失効取消制度」を設けている保険会社もあります。この制度を利用して失効が取り消された場合、失効期間中も契約は有効であったとみなされるため、失効期間中に万が一のことがあった場合も保険金や給付金を受け取れる可能性があります。

まとめ

生命保険の保険料未払いが続くと、保険会社から督促がきます。1〜2ヶ月程度の保険料払込猶予期間がすぎても未払いが解消されない場合、保険契約は失効してしまい、保障を一切受けられなくなる可能性があるので注意しましょう。

ただし、自動振替貸付によって失効を防げる場合や、失効しても復活の手続きをすることで契約を元に戻せる場合もあります。未払いに気づいたときは、できるだけ早めに保険会社に連絡し、対応方法を確認しましょう。

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オカネノホンネ編集部

オカネノホンネ編集部

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