うつ病でも医療保険の給付金を受け取れる?新たに入れる保険や利用できる制度を紹介

医療保険

現代日本においてうつ病にかかる人は年々増加傾向にあります。 特に2020年以降は新型コロナウイルスの影響もあり、失業に追い込まれたり環境が大きく変わってしまったりと、うつ病にかかりやすくなる要因が増えてしまいました。

うつ病を発症した人には、さまざまな面からのサポートが必要となります。医療保険をはじめとした金銭的支援もそのうちのひとつです。

しかし、うつ病は気分の変動が日常生活に支障をきたす「気分障害」 に分類され、身体的な病気とは異なります。こうした精神疾患が医療保険の対象となるのかどうか、不安になる方も多いでしょう。

本記事では、うつ病を発症した場合の「加入中の医療保険の保険料の支給」や「新しい医療保険への加入」の可否について解説します。

目次

うつ病で医療保険の給付金は支払われる?

まずは、うつ病に対して医療保険や就業不能保険の給付金は支払い対象となるかどうかを解説します。

うつ病にかかる人の割合

本題の前に、うつ病についての基本的な情報を解説します。うつ病は気分障害に分類され、重度のストレスによる脳の機能不調と考えられていますが、正確な原因は未だに解明されていません。

厚生労働省が発信している「みんなのメンタルヘルス総合サイト」の情報によると、日本では約6%の人が生涯の中で鬱を経験するという調査結果があり、特に女性は男性の1.6倍ほどの発症率であることが知られています。 また、同じく厚生労働省が公表している下記のデータによると、うつ病を含む気分障害の外来患者数は年々増加傾向にあります。

調査年 平成14年 平成17年 平成20年 平成23年 平成26年 平成29年
精神疾患全体の外来患者数(万人) 223.9 267.5 290 287.8 361.1 389.1
気分障害の外来患者数(万人) 68.5 89.6 101.2 92.9 108.7 124.6
精神疾患全体の入院患者数(万人) 34.5 35.3 33.3 32.3 31.3 30.2
気分障害の入院患者数(万人) 2.6 2.8 2.9 2.9 2.9 3

※平成23年は東日本大震災の影響が大きかった宮城県の一部と福島県が調査対象から除かれているため、実際のうつ病を含む気分障害の外来患者数より少なく計上されています

このように、平成14年から平成29年の15年間で、気分障害の外来患者数は1.8倍も増加していることがわかります。

入院患者数は、精神疾患全体でみると平成17年をピークに緩やかに減少傾向です。しかし気分障害の入院患者数は横ばいから微増しており、全体に占める割合は増加しています。

入院給付金・通院給付金ともに受給可能

多くの医療保険の約款において、うつ病をはじめとした精神疾患を給付対象から除外する記述がない ことから、支払対象となる可能性は高いと考えられます。そのためうつ病により入院や通院が発生した場合は、医療保険の支払い対象となることが多いといえます 。

何をもって給付対象とするかは各保険会社によりますが、少なくとも医師の診断書に「うつ病」「双極性障害」などの具体的病名、もしくは「うつ状態」という症状の経過に応じた記載がなされることが必要となるでしょう。

給付の要件や内容は各保険会社の商品ごとに異なりますが、うつ病のための備えとして医療保険は十分に機能すると考えられます。

受給のための他の条件は満たしているのが前提

うつ病による入院や通院により給付金を受給するためには、いくつかの前提条件があります。

例えば、加入者が告知義務に違反している場合、保険会社には契約を解除する権利が発生します。そのため、自分の健康状態を正確に保険会社に伝えていなければ給付金は支給されません。

また、保険金・給付金の支給には責任開始期が設定されているため、保険契約が成立して保険料の支払いを開始していても、責任開始期前の発症については給付対象外となります。

また、一般的に通院の保障は入院前何日以内、退院前何日以内など一定の条件があります。具体的な条件は各保険会社により異なりますが、通院したから確実に給付金を受給できるわけではありません。

さらに病気が再発した場合、再給付の制限があるケースがあります。具体的には、180日以内に同じ病気で入院した場合、1回の入院の支払い限度日数までしか給付金を受け取ることができません。また、病名が異なる場合も医学上関連があるとみなされれば、同じ病気として扱われることがあるため注意が必要です。

就業不能保険も対象となる商品が増えている

病気やケガにより長期間働けない場合の収入をカバーする就業不能保険は、うつ病をはじめとした精神疾患を対象外としているケースもあります 。精神疾患が就業不能保険の対象外となる理由は、「いつ発症していつ回復したか」という判断が難しく、保険適用期間が算定できないからです。

ただし、すべての就業不能保険が精神疾患を対象外としているわけではありません。特に近年はうつ病に対する理解が進んできたことや精神疾患をかかえる患者数が増えてきた事もあり、保険適用対象となる商品も増えています。

具体的には、特約で精神疾患の保障を付加して一時金を受け取れるタイプ や、特定の期間内のみ給付対象とするタイプの商品 があります。そのため、うつ病に対する備えとしては医療保険のほかにも、うつ病を給付対象とする就業不能保険を選ぶという選択肢も検討できるでしょう。

うつ病の人は医療保険に加入できる?

すでに加入している医療保険に関しては、うつ病に対しても一定の条件のもとで給付が行われることはご説明の通りです。では、すでにうつ病にかかっている人が医療保険に加入することは可能なのでしょうか。

加入の際の告知義務

医療保険に新規加入する際には、基本的に保険会社や商品を問わず告知義務があります。健康状態や既往歴などについての設問にすべて正直に回答する必要があり、精神疾患も告知義務の対象となります。

仮にうつ病であることを隠して加入できたとしても、後から発覚した場合は告知義務違反として保険契約が解除となり、給付金を受け取ることができません。

新規加入はハードルが高い

うつ病の人が医療保険に新規加入するハードルはそうでない人と比べると高いといわれています。

厚生労働省の発表する「平成29年(2017)患者調査の概況|退院患者の平均在院日数等 」によると、すべての病気やケガで入院した患者の平均在院日数は29.3日となっているのに対し、うつ病を含む気分障害は113.9日と極めて長くなっています。こうした長期入院や投薬をともなううつ病は、保険会社にとってリスクの高い状態であると判断されます。

そもそも保険は加入者が支払う保険料と保険会社が支払う保険金のバランスを保つことで成り立っています。 加入者がうつ病というリスクを抱えた状態で保険を契約すると、両者のバランスを保つことが難しくなるでしょう。保険加入に際しての告知義務があるのもこのためです。

また、うつ病の人は健常者の人と比較して、自殺の可能性も想定されることが多いです。告知義務がある以上、うつ病の人が新規に医療保険に加入することは容易ではないといえます。

完治から5年を経ていれば問題にならない

うつ病の既往歴があったとしても、完治から5年を経過していれば告知義務から外れるため問題なく保険に加入できます。また、完治から5年を経過していなくても、「症状が軽く経過観察中である」という医師の診断があり、現在問題ない健康状態であることを証明できる場合は保険に加入できる可能性が高くなります。

一般的な医療保険の加入を望む場合は、まずうつ病の完治を目指して治療に専念することをおすすめします。

特別条件での加入の可能性

うつ病の治療中であっても、保険会社の判断により、条件に制限を設けた上で加入が認められる場合があります。

例えば、「特定部位不担保」や「指定疾病不担保」などと呼ばれる制度を取り入れた医療保険の場合、リスクが高いとされる部位のケガや病気を保障の対象外として医療保険を契約できます。

つまり、うつ病に由来する入院や通院の保障が受けられない代わりに、うつ病以外の病気やケガで入院や通院が発生した場合は給付対象となります。

また、保険料を割り増しで支払う、あるいは給付される保険金が減額されるなどの条件で加入が認められるケースがあるため、保険会社に確認してみるとよいでしょう。

うつ病の人は医療保険を更新できる?

保険には、一定の保険期間が満了するごとに更新を繰り返していく更新型保険があります 。保険加入時には問題なかったものの、加入後にうつ病を発症して更新を迎えた場合どうなるのでしょうか。

更新には告知義務がない

基本的には、更新時にうつ病を発症していたとしても、保険契約は問題なく継続できます。なぜなら、医療保険の更新の際にはあらためて告知する義務はなく、再審査も行われないためです。

ただし、契約が自動更新ではなく、保険期間満了とともに一旦終了し、同内容の契約には再加入が必要となるタイプの保険商品もあります。 再加入が必要となる場合は、あらためて告知義務が発生するため注意が必要です。

また、保険料の支払い滞納により失効していた保険の滞納分を支払って「復活」させる手続きを取る際にも、同じくあらためて告知が必要となります。

保険内容の見直しはできない

保険契約の内容変更をともなわない場合はうつ病発症後でも更新可能ですが、更新時に保険の内容を変更したい場合には契約の結び直しが必要です。

例えば、保険の給付額を増額したり、新たな特約を付加したりといったケースが該当します。保険内容の見直しをともなう更新には告知義務が発生するため、うつ病を発症した場合保険の契約が継続できなくなってしまう可能性が高まります。

よって、保険更新時にうつ病を発症している場合、見直したい内容があったとしても現在の契約内容を継続することが基本です。どうしても見直したい場合は、うつ病の人も加入できる可能性のある医療保険に切り替えることも検討しましょう。

うつ病でも加入できる可能性のある医療保険の種類

うつ病の人にとって、保険の新規加入が難しいことはお伝えした通りですが、うつ病発症後でも比較的加入しやすい医療保険も存在します。

引受基準緩和型医療保険

「引受基準緩和型医療保険」とは、一般的な医療保険に比べて告知項目が限定され、審査の基準が緩やかに設定されている医療保険のことです。 限定告知型医療保険とも呼ばれます。

告知内容が「過去3ヵ月以内に医師から入院や先進医療を勧められた」「過去5年以内にがんや肝硬変による治療・投薬などを受けたことがある」など数項目に限定されているため、引受基準緩和型医療保険はうつ病発症後であっても加入しやすくなっています。

ただし、引受基準緩和型医療保険は一般的な保険に比べて保険料が割高であり、加入後1年間は給付額が半額になるといったデメリットがあります。

無選択型保険

「無選択型保険」とは、加入に際して告知義務や医師の診断などが不要な保険のことで、既往歴や年齢制限などにより一般の医療保険加入が難しい人を対象としています。 うつ病のほかに抱えている持病があり、告知内容に該当しているため引受基準緩和型医療保険の加入ができない場合でも、無選択型保険であれば選択肢になり得ます。

ただし、無選択型保険は引受基準緩和型医療保険よりもさらに保険料が割高 になり、給付額が保険料を下回る可能性もあります。また、加入前から治療継続中の疾患については給付対象外となるといった制限がある点もデメリットです。
特に保険料が高くなるので、無選択型保険は引受基準緩和型医療保険に問い合わせる前にまずは通常の医療保険に入れるかどうか、先述の特別条件での加入の可能性がないかを検討するのがいいでしょう。

がん保険

うつ病であっても、がん保険であれば問題なく加入できます。がん保険加入の際の告知項目にはがんに関する内容しか含まれないため、うつ病の治療継続中であっても審査に影響はありません。

ただし、当然ながらがん保険で保障されるのはがんに関する診察・治療・入院・手術に限定されるため、一般的な医療保険の代わりにはならないでしょう。 備えられるところだけでもカバーしておきたいという人に向いています。

ただし、うつ病に関する保障を放棄する代わりにその他の病気やケガに対する保障を確保したいのであれば、先述の特定疾病不担保で医療保険に加入する選択肢もあります。自身が必要とする保障内容を考慮し、検討するとよいでしょう。

うつ病になったときに利用できる公的な支援・保障制度

うつ病に対する保障は、民間の保険だけではありません。公的保障制度にもうつ病への備えとなり得るものがあります。

傷病手当金

「傷病手当金」とは、健康保険に加入している公務員や会社員が病気やケガで給料を受け取れなくなった際に、生活を保障するための制度のことです。

健康保険法第99条を根拠条文として、健康保険の被保険者が業務外の病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられないときに、被保険者とその家族の生活が保障されます 。

具体的には、被保険者が病気やケガのために会社を休んだ日が連続して3日間あった場合、4日目以降の休んだ日に対して傷病手当金が支給されます。

傷病手当金はうつ病をはじめとした精神疾患も支給対象となり 、支給額は、「支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3)」で算出された額になります。

なお、標準報酬月額とは、被保険者が事業主から受ける毎月の給料の報酬月額を、区切りのよい幅で階段状に区分した金額のことです。 都道府県によって異なりますが、健康保険の場合は第1級の5万8千円から第50級の139万円までの全50等級に区分されています。

傷病手当金の支給期間は令和4年1月1日より改正法が適用され、従来の「支給を開始した日から1年6ヵ月」から、「支給を開始した日から通算して1年6ヵ月」に変わりました。

これにより、一旦職場復帰して不支給となる期間があった場合は支給期間のカウントがストップされ、再度支給要件に該当した場合に通算期間が1年6ヵ月に達するまで支給を受けられることになりました。

なお、傷病手当金は会社員や公務員が加入する健康保険の制度であるため、個人事業主やフリーランスが加入する国民健康保険の被保険者には適用されない点に注意が必要です。

労災保険

労災保険(労働者災害補償保険)は、業務中または通勤中のケガや病気、死亡に対して、労働者本人や遺族に必要な保険給付を行う制度のことです。

労災保険は、業務外のリスクをカバーする傷病手当金に対応した制度ともいえるでしょう。 労働者を1人でも雇用している事業主は加入義務が課せられます。労災保険は健康保険のような勤務形態による切り分けがないため、適用対象者が多いことも特徴です。

うつ病をはじめとした精神障害は、例えば工場設備の巻き込み事故によるケガや、粉塵を吸ったことによる呼吸障害などと違って、業務に起因する災害であることの証明が困難です。そのため、労災の認定を受けるためには、以下の要件が求められます。

1. 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
2. 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月 の間に、業務による強い心理的負荷が認められること
3. 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと
引用元:厚生労働省|精神障害の労災認定

労災の給付内容は、労災病院などで療養が受けられる療養給付や、労働災害に起因する傷病のために休業し賃金を受けられない場合の休業給付など があります。

高額療養費制度

「高額療養費制度」とは、医療機関で支払う医療費が月あたりの上限額を超えた場合、超過額を支給する制度のことです。健康保険法第115条 を根拠条文として、高額な医療費により家計が圧迫されることを防ぐために制定されています。

高額療養費制度はうつ病による入院費用も対象となり、上限額は年齢や所得に応じて定められています。 例えば70歳未満の人であれば自己負担限度額は以下の通りです。

【平成27年1月診療分から】

所得区分 自己負担限度額 多数該当
① 区分ア

(標準報酬月額83万円以上の方)

(報酬月額81万円以上の方)

252,600円+(総医療費−842,000円)×1% 140,100円
② 区分イ

(標準報酬月額53万~79万円の方)

(報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方)

167,400円+(総医療費−558,000円)×1% 93,000円
③ 区分ウ

(標準報酬月額28万~50万円の方)

(報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方)

80,100円+(総医療費−267,000円)×1% 44,400円
④ 区分エ

(標準報酬月額26万円以下の方)

(報酬月額27万円未満の方)

57,600円 44,400円
⑤ 区分オ(低所得者)

(被保険者が市区町村民税の非課税者等)

35,400円 24,600円

引用元:全国健康保険協会|高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)

医療機関の窓口で自己負担限度額を超過して支払った医療費は、払い戻しの申請が可能です。 ただし、入院中の食事代や、少人数部屋・個室を選択した場合に発生する「差額ベッド代」については支給対象外であるため注意が必要です。

うつ病の人を長期的に支える公的な支援・保障制度

保険制度以外にも、うつ病の人を長期的に支援する制度を紹介します。

自立支援医療制度

「自立支援医療制度」とは、心身の障害を治療するための医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度のことです。うつ病は精神通院医療の対象となります。

自立支援医療制度を活用すると、うつ病治療のための通院や投薬に関する医療費負担が通常の3割から1割に軽減され、さらに所得に応じた月あたりの自己負担上限額が設定されます。

自立支援医療制度を受けるためには、支援を受ける本人が指定自立支援医療機関を受診し、医師から診断書と意見書を受け取って各市町村の窓口で申請を行う必要があります。

自立支援医療制度は通院による継続的な治療が給付対象であるため、カウンセリングや入院費用については適用されない点に注意が必要です。

精神障害者保健福祉手帳

「精神障害者保健福祉手帳」とは、一定の精神障害状態にあることを証明する手帳のことで、障害の度合いに応じて1級~3級までの等級に区分されます。

医療費の助成はありませんが、精神障害者保健福祉手帳を受け取ると自立と社会参画を支援するさまざまなサービスが受けられます。サービスには、全国共通で受けられるものと地域・事業者によって独自に提供されるものがあります。

全国共通で受けられるサービスとしては、「NHK受信料の減免」「所得税・住民税の控除」「生活福祉資金の貸付」などが挙げられます。また、地域・事業者による独自サービスとしては、「鉄道・バス等公共交通機関の運賃割引」「携帯電話料金の割引」「公営住宅の優先入居」などがあります。

精神障害者保健福祉手帳の申請は、指定都市市長または都道府県知事に対して行います。申請方法についてはお住いの市町村の窓口で問い合わせてみるとよいでしょう。

障害年金

「障害年金」とは、病気やケガにより日常生活や仕事が制限される状態になった場合に、国から支給される公的年金のことです。国民年金の加入者が受け取る「障害基礎年金」と、厚生年金の加入者が障害基礎年金に上乗せして受け取る「障害厚生年金」があります。

障害の重症度に応じて1級~3級までの等級に区分され、障害基礎年金は1・2級の障害状態 、障害厚生年金は1~3級までの障害状態の人に対して支給されます。

障害基礎年金の給付額 は、1級だと97万6,125円、2級だと78万900円です。また、子どもの人数に応じて支給額が加算されます。

障害厚生年金の給付額は、等級、平均月収及び厚生年金への加入期間に応じて大きく変動しますが、障害基礎年金と合算して最低でも58.7万円となるように調整されます。さらに1・2級については配偶者がいる場合の加算もあります。

特別障害者手当

「特別障害者手当」とは、著しく重度な精神または身体障害を抱え、日常生活を送るために常時介護を必要とする在宅の20歳以上の人に対して支給される手当のことです。申請先は、住所地の市区町村の障害福祉担当窓口です。

支給額は令和4年2月現在、月額2万7,350円で、毎年2月・5月・8月・11月の4回に分けて、それぞれ前月分までが支給されます。

なお、特別障害者手当は受給資格者本人もしくは配偶者・扶養義務者の所得、及び扶養親族の数に応じた所得制限があります。

重度心身障害者医療費助成制度(マル障)

「重度心身障害者医療費助成制度」とは、心身に重度な障害を抱える人に対して、都道府県や市区町村が独自に行う医療費助成制度のことです。受給要件や助成内容は自治体によって異なるため、例として東京都の制度 についてご紹介します。

先にご紹介した精神障害者保健福祉手帳の1級認定を受けた人は、うつ病の場合も重度心身障害者医療費助成制度の対象になります。ただし、生活保護を受けている人や、65歳以上になってから1級認定を受けた人は重度心身障害者医療費助成制度の対象外となります。

さらに、重度心身障害者医療費助成制度には所得額と扶養人数に応じた所得制限もあるため注意が必要です。

重度心身障害者医療費助成制度を利用すると、入院や通院の医療費につき、健康保険・国民健康保険の自己負担分から一部負担金(原則1割)を差し引いた額が支給されます。東京都の住民税課税者の場合は通院で1ヵ月あたり1万8,000円、入院で1ヵ月あたり5万7,600円の自己負担上限額が定められています。

生活保護

「生活保護」とは、日本国憲法第25条の理念に基づき、自身の資産や能力を尽くしてもなお生活に困窮する人に対して、困窮の度合いに応じて必要な保護を行い自立支援する制度のことです 。

生活保護の相談・申請先は住所地を所管する福祉事務所の生活保護担当で、福祉事務所のない町村については町村役場にて申請が可能です。

地域や世帯人数によって計算された最低生活費(生活扶助+住宅扶助)から収入を差し引いた差額が生活保護費として支給されます。

うつ病が原因でも保障を受けられる就業不能保険3選

うつ病が原因の場合は就業不能保険の受給が難しいということをお伝えしました。しかし、近年ではうつ病でも保障が受けられる就業不能保険が増えてきています。ここではうつ病が保障の対象となる就業不能保険をご紹介します。

アクサダイレクト生命|働けないときの安心

アクサダイレクト生命の「働けないときの安心」は、病気やケガで働けなくなったときの生活費を、毎月給料と同様に受け取れる保険商品です。うつ病をはじめとした精神疾患も対象となり、60日間の支給対象外期間経過後は就労可能状態に回復するまで、または保険期間満了までの最大18回を限度に、毎月10万円の給付金を受給できます。

会社員や公務員で公的医療保険を併用している人向けに、健康保険から傷病手当金を受給できる期間(最長1年6ヵ月間)の給付額を半額にすることで保険料を抑える「ハーフタイプ」が販売されているのも特徴です。もちろん受給開始日から満額受け取れるタイプもあるため、自身の仕事や必要な保障に応じて柔軟に選択できます。

SBI生命|働く人のたより

SBI生命の「働く人のたより」は、業界最安水準の保険料(2021年6月1日時点) を実現した就業不能保険です。保障を受けたいリスクに応じて「全疾病型」「3疾病型」「がん保障型」から選択が可能で、「全疾病型」はうつ病をはじめとした精神疾患による就業不能状態にも対応しています。

傷病手当金が受給できる会社員や公務員向けにハーフタイプが選べます。また、主婦(主夫)でも給付金月額を15万円まで設定可能であるため、就業不能状態に陥った際の家事代行サービスやベビーシッターなどへの備えが可能です。

ほかにも、メンタル相談サービスによる相談員との1対1のカウンセリングが無料で受けられる、女性オペレーターの案内を受けられる女性専用コールセンター窓口があるなど、利用者の心の健康に配慮したサービスが受けられる点が魅力です。

三井住友海上あいおい生命|&LIFE くらしの応援ほけん

三井住友海上あいおい生命の「&LIFE くらしの応援ほけん」は、保険期間中に障害、介護、就労不能のいずれかの状態に陥った場合に、保険期間満了まで毎月年金を受給できる商品です。

うつ病をはじめとした精神疾患は基本的に保障対象外ですが、オプションとして「メンタル就労不能障害保障特則」を付加することにより、うつ病で就労不能となった際も一時金を受け取ることができます。なお、一時金の受給は一回限りで、受給額は契約時に100万円・200万円・300万円・500万円から選択できます。

うつ病の人も加入できる可能性のある医療保険3選

うつ病の人も加入できる可能性のある医療保険としては、「引受基準緩和型医療保険」「無選択型保険」などが挙げられることをお伝えしました。ここでは具体的にどのような商品があるのか、おすすめの保険を3つご紹介します。

アフラック|病気になった人も入りやすい医療保険「EVER Prime」

アフラックの「EVER Prime」 は、現在病気による通院・服薬を継続していたり、持病や既往歴、過去に入院・手術をした経験があったりして医療保険への加入が難しい人向けに、保険料を割増で支払うことによって加入しやすくした保険商品です。EVER Primeではうつ病の場合も、2年以内の入院がなければ加入できる可能性があります。

入院給付金は日帰り入院の場合も一律10日分受け取れます。また入院手術はもちろん、日帰り手術の場合も回数無制限で保障を受けられるのがメリットでしょう。三大疾病による長期入院や、入院・手術前後の通院に対する保障も充実している ため、健康に不安があり加入を諦めていた人も一度検討したい医療保険です。

オリックス生命|引受基準緩和型保険「CURE Support Plus(キュア・サポート・プラス)」

オリックス生命の「CURE Support Plus(キュア・サポート・プラス)」は、保険料が割増になる代わりに引受基準を緩和することで、過去に入院や手術をした人や持病のある人も加入しやすくした、一生涯保障の引受基準緩和型保険です。

1入院につき60日、通算1,000日を限度とした安心の入院給付金が特長です。また、入院の有無に関わらず、放射線治療や先進医療など約1,000種類にも及ぶ手術が保障対象となっています。「三大疾病」「入院保障」「退院後の通院治療支援」にそれぞれ特化した特約もあるため、自身の持つリスクや希望に合わせて柔軟に保障内容をカスタマイズできるでしょう。

SOMPOひまわり生命|新・健康のお守り ハート

SOMPOひまわり生命の「新・健康のお守り ハート」は、3つの告知項目に回答するだけで、医師による診査なしで加入できる保険商品です。持病が悪化・再発した場合の入院・手術も保障対象となっています。特約を付加することで、公的医療保険の対象外である先進医療の技術料に対しても通算2,000万円まで保障されます。

さらに、三大疾病に関する4つ目の告知をクリアすると、三大疾病に手厚く備えるオプションの追加が可能になります。オプションでは三大疾病による入院が長期化した際に無制限で入院給付金が受け取れるほか、所定の状態になった場合は以降の保険料の支払いが免除されます。

まとめ

うつ病によって入院や通院が必要になった場合、すでに加入している医療保険の給付金は各商品の規定に沿って受け取れる可能性が高いですが、就業不能保険には精神疾患を対象外としているものもあるため注意が必要です。

また、一度うつ病にかかった人が医療保険に新規加入したい場合、制約が多く難しいケースがあります。近年はうつ病に対する多角的な支援制度・サポート体制が充実しつつあるため、発症してしまった場合は民間の医療保険だけにこだわらず、公的制度も活用して完治を目指しましょう。

オカネノホンネ編集部

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