民間の介護保険・介護保障特約の必要性と専門家の評価が高い介護保険を解説

医療保険とは

高齢化に伴い、介護を受ける人は増加傾向です。自分や家族の介護状態になったときのこと、介護に関するお金に対して不安をもつ方も多いのではないでしょうか。

民間の「介護保険」は、介護状態になった際に一時金や年金方式で受給できるものがあります。また既存の医療保険などに特約として介護に備える方法もあります。この記事では介護にかかわるお金、公的保障を踏まえた上で民間の介護保険の必要性、専門家の評価の高い商品についてを解説します。

介護で必要なお金について

まず介護を受ける人の割合はどの程度なのか見てみましょう。

男女ともに平均寿命が81歳を超えてきていますが、厚生労働省および総務省によると、80~84歳までの人は25.9%、85歳以上の人は59.8%が要支援もしくは要介護状態とされています(参考:厚生労働省「介護給付費等実態統計月報(令和4年3月審査分)」/総務省「人口推計月報 令和4年8月報」)。

介護にかかる費用は「介護期間」「所得」「介護度」によって変わります。また介護サービスには上記のように介護保険が適用され1~3割の自己負担となりますが、それ以外に介護でかかる費用があります。

具体的には

  • 介護用品代(おむつ・口腔ケア等の消耗品など)
  • 福祉用具
  • 介護食代(食事の宅配)
  • 住宅改修費用

などがあります。それらの介護保険適用外の費用も含めた介護費はどの程度かかるのでしょうか。

令和3年度の生命保険文化センターの調査結果では

・介護期間:平均は61.1ヵ月(約5年1か月)、4年を超えて介護する人は約5割、10年以上の人は17%。年々増加傾向。
・月々の費用:
平均8万3,000円。10万円以上かかると答えた人は31.6%
・一時的な費用:平均74万円(介護用に自宅のリフォームやベッドなどの購入)

となっており、平均値から算出する介護費の合計は約581万円(=61.1ヵ月×83,000円+740,000円)となります。

介護期間が平均の倍である10年以上の人は17%、その場合は介護費が1000万円以上かかっているケースも多いでしょう。

公的な介護保険

介護に伴うリスクについて考えるにあたって、まずは公的な介護保険について解説します。介護保険制度のもとでは、原則65歳以上の要介護認定を受けた人が、利用料の1部を支払うことで介護サービスを受けられます。内容についてみていきましょう。

要介護度と支給限度月額

要介護度によって利用できるサービスや月ごとの支給限度額が決まります。要介護度は要支援1~2から要介護1~5の全7段階です。それぞれの段階の状態と支給限度月額の目安は以下となります。

区分 身体の状態 支給限度月額 自己負担限度額(一割負担の場合)
要支援1 自宅での日常生活動作(食事・排泄・入浴・掃除)のにおいて、基本的には一人で行うことが可能だが、手段的日常生活動作(買い物・金銭管理・内服薬管理・電話利用)のどれか1つもしくは一部は見守りや介助が必要 50,320円 5,032円
要支援2 要支援1に加え、下肢筋力低下により、歩行状態が不安定な人。今後日常生活において介護が必要になる可能性のある人。機能の維持や改善のために何らかの支援が必要な人。 105,310円 10,531円
要介護1 手段的日常生活動作でどれか1つ、毎日介助が必要となる人。日常生活動作においても、歩行不安定や下肢筋力低下により一部介助が必要な人 167,650円 16,765円
要介護2 手段的日常生活動作や日常生活動作の一部に、毎日介助が必要になる人。日常生活動作を行うことはできるが、認知症の症状がみられており、日常生活にトラブルのある可能性がある人も対象 197,050円 19,705円
要介護3 自立歩行が困難な人で、杖・歩行器や車いすを利用している人。毎日何かの部分でも全面的に介助が必要な人 270,480円 27,048円
要介護4 常時介護なしでは、日常生活を送ることができない人 309,380円 30,938円
要介護5 ほぼ寝たきりの状態で、意思の伝達が困難で、自力で食事が行えない状態の人 362,170円 36,217円

 ※2022年4月時点の支給限度月額。自己負担は所得によって2~3割に変動

 ※正確には金額ではなく「単位」を基準によって算出され、サービスの種類や地域よって1単位の金額が異なるが、目安として1単位10円として計算

介護保険の自己負担額

介護保険サービスの利用の際には1~3割の自己負担がかかります。なお支給限度月額を超えた場合は全額自己負担となります。本人の負担割合は本人の所得と、本人が所属する世帯の所得金額(年金含む)によって決定します。

本人の合計所得金額 世帯での合計所得金額 自己負担割合
220万円以上 単身世帯:340万円以上 3割負担
二人以上世帯:463万円以上
単身世帯:280万円以上340万円未満 2割負担
二人以上世帯:346万円以上463万円未満
単身世帯:280万円未満 1割負担
二人以上世帯:364万円未満
160万円以上220万円未満 単身世帯:280万円以上 2割負担
二人以上世帯:346万円以上
単身世帯:280万円未満 1割負担
二人以上世帯:346万円未満
160万円未満 1割負担

高額介護サービス費

介護サービスの支払にあたって、同一世帯の自己負担が1ヵ月あたり一定額(自己負担上限額)を超えると、超えた金額が市区町村から払い戻されます。

対象者 自己負担限度額
世帯の誰かが現役並み所得者に相当 44,400円(世帯)
世帯の誰かが住民税を課税されている 44,400円(世帯)
世帯の全員が住民税を非課税 24,600円(世帯)
うち、前年の合計所得と公的年金収入の合計額が年間80万円以下 24,600円(世帯)
15,000円(個人)
生活保護受給者 15,000円(個人)

出典:厚生労働省「月々の負担の上限(高額介護サービス費の基準)が変わります」

介護費用に備える

これまで紹介してきたように、日本における公的な介護保険制度は「介護認定ごとに決められたサービスが割安な利用料で利用できる」といった形をとります。介護保険制度によって自分や家族の介護に関わるお金のリスク・負担は一定レベルにおさえられています(十分とはいえないですが)。

それでも平均約580万円、人によってはそれ以上かかる介護費をどのように備えておけばよいのでしょうか。

介護費の備えは、貯蓄によって備えるのが基本です。そもそも介護費用のすべてを民間の介護保険でまかなうとしたらな月々かなりの保険料になってしまいます。保険料の支払で貯蓄が進まないのは本末転倒でしょう。

民間の介護保険・介護特約を検討するのであれば「貯蓄の上乗せ分として、民間の介護保険・特約を必要に応じて検討する」という程度が現時点ではいいでしょう。

貯蓄や資産形成で介護費に備える

まずは貯蓄・資産形成によって介護のリスク、お金に備えます。毎月3万円・年36万円を投資にまわして年3%で運用し続けた場合、14年で600万円を超える計算になります。特に若い方は長期投資による貯蓄・資産形成で介護のリスクに備えましょう。

具体的な節約や投資に関して興味がある方は以下の記事を参照ください。

介護費用に民間の介護保険・介護特約で備える

貯蓄で備えた上でさらに民間の保険で介護費用に備えるためには大きくは以下の3つの方法があります。

①医療保険などに「介護の特約」を付加する
②主契約として「介護保険」に加入する
③生命保険などの保険料の払込満了時点で介護保障に移行する方法

1つ目は医療保険に介護の特約を付与することです。所定の介護状態になったさいに介護一時金がもらえる特約などが多いです。

2つ目は民間の介護保険に加入する事です。

民間の介護保険には色々なタイプがあります。例えば以下の観点から保険を選んでいきます。

  • 保障のタイプ:掛け捨て型 or 貯蓄型
  • 保険期間:終身 or 更新
  • 保険金:年金受取 or 一次金受取 or 併用
  • 受け取り期間:終身 or 一定期間
  • 介護の種類:介護全般 or 認知症のみか
  • 支払条件:公的介護保険連動 or 独自基準 or 併用
  • 告知基準:告知必須 or 簡易告知

特に「保険期間」と「支払条件」は注意をしましょう。加齢とともにリスクが高くなる介護分野において更新型の保険はあまり望ましくないでしょう。また給付対象となるかどうかは、民間介護保険の契約内容によって異なりますので、検討の際には必ず確認するようにしましょう。介護を受ける場合も公的介護保険での介護認定度が低い場合は公的介護保険で十分な場合も多いです。

民間介護保険で支払う保険料は「生命保険料控除制度」が使えるので、所得税で最大4万円、住民税で最大2.8万円の税負担の軽減効果が期待できます。

また民間の介護保険は新しい分野で、今後も改良が進んでいくと想定されます。現時点で専門家からも評価の高い民間の介護保険としては以下などがあります。

朝日生命 「あんしん介護」

同商品は「年金タイプ」と「一時金タイプ」があります。「年金タイプ」は要介護1から年金がもらえ、保険料も免除になります。要介護度があがると年金額もあがります。

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SOMPOひまわり生命 「健康のお守り」への介護一時金特約の付加

健康をサポートする医療保険に「介護一時金特約」は要介護1で支払となります。なお「年金」方式の特約の場合は要介護3からなので注意してください。

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東京海上日動あんしん生命 「あんしんねんきん介護」

告知項目が3つと簡易になっていて加入しやすい保険です。介護年金は要介護2以上で支払となります。年金の金額や期間もカスタマイズできます。

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3つ目は生命保険などの死亡保険金をあるタイミングを過ぎたら介護保障に変更する方法です。この方法がとれる商品ととれない商品があるのであらかじめ注意しましょう。すでに死亡保険に加入している人は、追加で保険に入る事による二重保障(保険料の過度な支払状態)になる可能性もあるので確認するのがいいでしょう。

また若い人が「65歳より前の働けないリスクに備える」という観点では「就業不能保険」のほうを検討することをお勧めします。詳細は以下の記事を確認ください。

まとめ

現時点で平均寿命は男性81歳、女性は87歳を超えてきえきています。介護の必要な人は80~84歳までの人は25.9%、85歳以上の人は59.8%、一人あたりの介護費の平均は約580万円といいわれています。

公的な介護保険によって介護サービスの負担が軽減されていますが、それでもお金がかかるのが実体です。介護費に備えるにはまずは「貯蓄」それでも足りないと考える分は民間の保険を活用する方法もあります。具体的には「医療保険などに特約で介護保障特約をつける方法」「介護保険を検討する方法」「生命保険の死亡保険金を介護保障に変更する」があります。自分なりに納得したやり方で介護保険を検討するようにしましょう。

オカネノホンネ編集部

オカネノホンネ編集部

難しいお金の話を、ファイナンシャルプランナー技能士や保険・金融商品の専門家が忖度なし「ホンネ」でわかりやすく伝えます。

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