VTIに投資するメリットとは?つみたて投資枠でも買える?特徴を徹底解説

投資

VTIとは、米国株式市場全体に投資できる商品で、多くの投資家に選ばれています。しかし、投資初心者の場合、具体的な魅力がわからず、購入を迷うこともあるでしょう。

本記事では、VTIに投資するメリット・デメリットをわかりやすく解説します。NISAでの投資を検討している人も、ぜひ参考にしてください。

VTIとは?

VTIは、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場しているETF(※1)です。正式名称は「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」で、米国株式市場全体に投資できます。
※1 金融商品取引所に上場している投資信託

まずは、VTIの概要について紹介します。

運用会社|世界有数の資産運用会社バンガード社

VTIは世界最大級の運用会社「バンガード社」が運用しています。バンガード社は、ブロックロック社やステート・ストリート社と並ぶ世界三大運用会社として知られており、8.2兆米ドルの資産を運用しています(2023年12月末時点)。低コストのインデックス・ファンドを中心に、約400本のファンド(2024年10月時点)を取り扱っています。

バンガード社の特徴的な点は、会社自体がバンガード社のファンドに所有されている点です。ファンドの投資家がバンガードを所有する仕組みになっており、外部株主は存在しません。

外部株主に支払う配当なども発生しないため、会社の利益は株主であるバンガードが運用するファンドのコストに充てられます。つまり、ファンドが成長していくにつれ、ファンドの信託報酬を引き下げやすくなるという仕組みです。

連動指標|CRSP USトータル・マーケット・インデックス

VTIは、CRSP USトータル・マーケット・インデックスをベンチマークとして運用されています。CRSP USトータル・マーケット・インデックスは、米国株式市場の投資可能銘柄のほぼ100%をカバーしている時価総額加重平均型の株価指数(※2)で、約4,000銘柄で構成されています。
※2 構成銘柄の時価総額(株価×発行済株式数)の合計額を、ある一定時点での時価総額の合計額で割り、算出する株価指数

構成銘柄|世界を代表する企業の比率が多い

VTIの構成銘柄上位10社は以下の通りです。

構成銘柄 組入比率
アップル 5.94%
エヌビディア 5.65%
マイクロソフト 5.50%
アマゾン 3.20%
メタ 2.26%
アルファベット 1.82%
アルファベット 1.49%
バークシャー・ハサウェイ 1.45%
ブロードコム 1.44%
イーライリリー 1.29%

(2024年10月31日時点)

世界経済を牽引する大企業が、多く含まれています。これらの銘柄は、米国市場の中でも特に時価総額が大きく、市場全体の動向に強い影響を与える存在です。

また、業種別の組入比率は以下の通りです。

構成銘柄 組入比率
情報技術 33.70%
一般消費財 13.90%
資本財 12.90%
金融 11.30%
ヘルスケア 11.10%
生活必需品 4.20%
エネルギー 3.60%
不動産 2.80%
公共事業 2.80%
電気通信 2.00%

(2024年10月31日現在)
情報技術が3分の1を占めていますが、その他の業種もバランスよく組み入れられています。

引用:Vanguard|「VTI-Vanguard Total Stock Market ETF | Vanguard」

運用成績(年率リターン)|20年で10%程度

VTIの運用成績は以下の通りです。

期間 トータルリターン
1年 37.85%
3年 7.48%
5年 14.52%
10年 12.39%
設定開始以来 8.80%

VTIの運用開始は2021年5月24日なので、約20年で10%程度のトータルリターンを記録しています。米国株式市場全体の安定した成長を反映しているといえるでしょう。

VTIに投資するメリット

VTIに投資するメリットは以下の通りです。

  • 米国企業の成長に投資できる
  • 低コストで運用できる
  • 四半期ごとに分配金を受け取れる

それぞれについて、詳しくみていきましょう。

米国企業の成長に投資できる

VTIを通じて、成長著しい米国企業に幅広く投資できます。VTIは、大型株から小型株まで幅広い銘柄を組み入れているため、アメリカの経済成長を取り込むには、効率のよい選択肢といえるでしょう。

実際に、VTIはリーマンショックやコロナショックといった市場暴落を経験しながらも、長期的には右肩上がりに成長し続けています。直近10年では約3倍の成長を遂げており、今後さらなる成長に期待できるでしょう。

低コストで運用できる

運用コストが低いことも、投資家にとっては大きなメリットになるでしょう。VTIの経費率(ETFの純資産総額に占める、ETFを保有している間に運用会社に支払われる費用の割合)は0.03%です。この数字は、米国ETFの平均経費率である0.27%と比較しても、はるかに低い水準といえます。

運用コストが低いことで、その分資産を効率的に増やせる点がVTIの強みです。特に、長期的な投資を考える場合には、コストの違いが大きく影響してきます。低コスト運用にこだわるバンガード社ならではの特徴といえるでしょう。

四半期ごとに分配金を受け取れる

VTIでは、3月、6月、9月、12月の四半期ごとに分配金を受け取れます。これにより、キャピタルゲインだけでなく、インカムゲインも期待できる点が魅力です。

キャピタルゲインとは、価格上昇によって得られる利益のことで、一方のインカムゲインは分配金など、資産を保有している間に受け取れる利益を指します。

ただし、VTIの分配金は自動で再投資できないため、資産を効率よく増やしたい場合は手動で再投資を行う必要があります。

VTIに投資するデメリット

VTIは魅力的な商品ですが、投資を検討する際には以下のように注意すべき点もあります。

  • 一般的な投資信託よりも最低投資額が高い
  • 為替相場の影響を受ける
  • 外国税額控除を受けるために確定申告が必要

それぞれについて、詳しくみていきましょう。

一般的な投資信託よりも最低投資額が高い

VTIは1口単位で購入する仕組みになっており、その時点での価格に応じた資金が必要です。1口あたりの価格は2024年11月19日時点で292.83ドルです。この価格を日本円に換算すると、(1ドル=154円の場合)約45,000円となります。このように、1回の購入に必要な資金は数万円単位となるため、100円から始められる投資信託に比べると、初期投資額が高いと感じるかもしれません。

ただし、少額から始めたい場合は、VTIを投資対象とする投資信託を選ぶことで、より手軽に投資を行えます。

為替相場の影響を受ける

VTIは米ドルで取引されるため、為替相場の変動に影響を受けます。たとえVTI自体の価格が変わらなくても、円安や円高の影響によって投資の損益が変動することがあります。

例えば、1口292.83ドルのVTIを購入した場合、1ドル=154円のときには約45,000円で購入可能です。しかし、円高が進んで1ドル=150円になると、同じ292.83ドルのVTIが約43,000円で評価されるため、VTIの価格が変わらなくても為替差損が発生することになります。一方で、円安が進むと為替差益が得られる可能性もあるでしょう。

また、VTIの取引には為替手数料もかかるため、投資コストとして考慮する必要があります。

外国税額控除を受けるために確定申告が必要

VTIから得られる分配金には、米国で10%の源泉徴収税が課されるほか、日本でも分配金に対して20.315%の源泉徴収税がかかります。このままでは「二重課税」となり、投資家にとって大きな負担となります。

この問題を解決するために設けられている制度が「外国税額控除」です。外国税額控除を適用することで、米国で課された税金分を日本の税金から控除でき、二重課税を回避できます。

ただし、外国税額控除を適用するためには確定申告が必要です。手続きには時間や手間がかかるため、これを煩雑と感じる人にはデメリットとなるかもしれません。

VTIの買い方

VTIを購入するには、米国株を取引できる証券会社での口座開設が必要です。この際、総合口座と外国株式専用口座の開設が必要ですが、同時に申し込めるのが多いです。

口座を開設したら、取引資金を入金します。日本円で入金する場合は、証券会社を通じて円を米ドルに換える必要があり、為替手数料が発生します。一方で、外貨で直接入金する場合は、この手数料を抑えることが可能です。

資金の準備が整ったら、証券会社の取引画面でVTIを検索して注文を出します。注文時には、購入数量、注文方法(成行注文や指値注文など)などを指定しましょう。

なお、米国市場での取引は現地時間の営業日に行われるため、日本では夜間の注文が必要です。

VTIはNISAで投資できる?

NISA(少額投資非課税制度)は、年間一定額までの投資で得た利益や分配金、配当金などが非課税となる制度です。成長投資枠とつみたて投資枠の2つの非課税枠があり、それぞれVTIに投資できるかどうかが異なります。

成長投資枠なら投資可能

VTIは、成長投資枠を通じて投資が可能です。成長投資枠では、国内外の個別株式やETFなど、幅広い商品に投資できます。

成長投資枠の年間非課税投資枠は240万円です。非課税で保有できる期間に制限はなく、一生涯通算では1,200万円(※3)まで非課税で投資できます。
※3 成長投資枠のみを活用した場合

つみたて投資枠ならインデックス・ファンドを通じて投資できる

つみたて投資枠ではVTIに直接投資はできません。つみたて投資枠で購入できるのは、金融庁が定めた条件を満たした投資信託のみであり、VTIは対象外となっています。

しかし、VTIを投資対象とする投資信託であれば、つみたて投資枠で購入可能です。例えば、次のような投資信託が挙げられます。

  • SBI・V・全米株式インデックス・ファンド(SBI証券)
  • 楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天証券)

これらのファンドはVTIを通じて、米国株式に幅広く投資する商品です。少額から積み立て投資を始めたい人は、これらの投資信託を検討するとよいでしょう。

なお、つみたて投資枠の年間非課税投資枠は120万円です。成長投資枠と同様に、非課税で保有できる期間に制限はなく、一生涯通算で1,800万円(※4)まで非課税で投資できます。
※4 つみたて投資枠のみを活用した場合

まとめ

VTIは、米国の株式市場全体に分散投資できるETFとして、長期的な資産形成に適した商品です。

一方で、VTIには最低投資額が比較的高く、米ドル建てでの取引のため為替リスクが伴う点や、外国税額控除を受けるために確定申告が必要になるといったデメリットもあります。

これらの特徴をしっかりと理解し、自分の投資スタイルや目標に合わせてVTIを活用しましょう。

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オカネノホンネ編集部

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