資産運用に興味はあるものの、何から手をつければよいのか悩んでいる初心者は多いでしょう。資産運用について「まずは勉強しよう」と考えても、どのように知識を身につければよいのかわからない人も少なくありません。
本記事では、資産運用の初心者におすすめの勉強方法や、最低限理解しておくべき基礎知識について解説します。効率的に勉強したい人や、自信を持って資産運用に取り組みたい人は、ぜひ参考にしてください。
目次
資産運用における勉強の仕方
資産運用には、さまざまな勉強法があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分に合った勉強法を見つけましょう。
アプリで手軽に学ぶ
資産運用を学べるアプリを利用することで、隙間時間を有効的に活用して勉強できます。内容は初心者向けの基礎知識から、具体的な投資方法、最新の市場動向まで幅広くカバーされています。直感的な操作やゲーム感覚で学べる機能を備えているアプリもあり、楽しく学べるのが特徴です。無料のアプリも多く、コストを抑えて勉強できることも利点といえるでしょう。
ただし、情報の質はアプリによって異なり、内容が浅かったり偏ったりしている場合があります。また、アプリを使用するだけでは実際の投資判断力を養うのに限界がある点がデメリットです。
手軽に資産運用の世界に触れたい人や、忙しい中でも効率よく学びたい人に向いている勉強法といえます。
セミナーに参加する
資産運用のセミナーに参加し、専門家から直接学ぶことで、実践的な資産運用の知識や最新の投資情報を得られます。疑問点をその場で質問できることもあり、講師の体験談など具体的な事例を聞くことで、理解が深まることも多いでしょう。
初心者向けから中級者、上級者向けのセミナーまで幅広く開催されており、自分のレベルに合った内容を選ぶことが可能です。また、セミナー参加者同士の交流を通じて、投資仲間を作れる場合もあります。
しかし、開催場所や時間が限られていたり、参加費用がかかったりなど、参加のハードルが高い場合も少なくありません。オンラインセミナーも増えてきましたが、対面セミナーのような臨場感・緊張感に欠けるため、学習効果は低くなりやすい傾向にあります。
セミナーでの学習は、独学が苦手な人や、最低限の基礎知識を身につけており、次のステップに進みたい人などに向いています。
書籍・動画で独学する
資産運用に関する書籍や動画は、自分のペースで深く学べるのが大きな特徴です。書籍では理論的な内容から実践的なノウハウまで幅広く網羅されています。また、動画は難しい内容でも視覚的に理解できる点が魅力です。著名な投資家やファイナンシャルプランナーがYouTubeなどで動画を公開するケースも増えています。
さらに、読者や視聴者にわかりやすいように情報が体系的に整理されている点やコストが比較的かからないこともメリットです。書籍や動画は、繰り返し活用できるため復習にも最適です。
ただし、書籍や動画だけでは実際の投資判断の経験を積むことはできないため、学びを実践につなげる工夫が必要です。
書籍や動画での学習は、時間をかけてじっくり学びたい人や、自分で調べることが好きな人に向いています。
資格取得を目指す
ファイナンシャルプランナー(FP)や証券外務員などの資格取得を通して、体系的な知識を身につけることも有効な学習方法の一つです。これらの資格に合格するためには、資産運用・金融商品に関する知識を幅広く身につける必要があるため、実務に直結するスキルを身につけられます。転職やキャリアアップに役立つこともあるでしょう。
一方で、難易度の高い資格ほど、資格取得までに多くの勉強時間や費用がかかります。
この方法は、しっかりと基礎から応用まで幅広く学びたい人や資産運用のプロフェッショナルを目指したい人などに向いています。
少額投資を実践する
実際に少額で投資を始めてみることも、資産運用の知識を身につけるために有効な方法の一つです。少額投資ならリスクを抑えつつ市場の動きを体感できるため、学びを深めるよい機会になるでしょう。ネット証券であれば、投資信託や株などを数百円程度から購入可能です。
ただし、少額投資はリスクが小さい代わりに、リターンも小さくなりやすいため、大きく資産を増やしたい人は、投資額を徐々に増やしていくことも大切です。
少額投資は、リスクを抑えながら投資経験を積みたい人や、学んだ知識を実践してみたい人に向いています。
資産運用を始めるうえで習得すべき5つの知識
闇雲に資産運用を始めるのではなく、必要な知識を身につけてから行動することで、リスクを減らし、リターンを最大化できる可能性があります。ここでは、資産運用に必要な5つの知識について解説します。
ポイント1:資産運用の基礎知識
資産運用の基礎知識を学ぶことで、自分に合った運用方法を選択しやすくなるでしょう。
資産運用の必要性
資産運用を始めるモチベーションを維持するためには、資産運用の必要性について理解することが大切です。人によって異なりますが、一般的には「将来の生活の安定を確保するため」に資産運用をするケースが多くなっています。
資産運用は、将来のライフイベントや老後に備えるために欠かせないものです。例えば、インフレの影響で現金の価値が下がった場合、資産運用をしていないと実質的に資産が目減りしてしまいます。また、運用によって資産を増やすことができれば、住宅購入や子どもの教育資金など、将来的に大きな支出が必要になる場面でも余裕を持って対応できるでしょう。
資産運用を始める際にはライフプランを立て、それに合わせた運用の目的を明確にすることが大切です。
資産運用の必要性については、以下の記事でも詳しく解説しています。
資産運用のリスク
資産運用におけるリスクとは「リターン(収益)の振れ幅」や「不確実性」のことです。リスクが低い商品はリターンも小さく、リスクが高い商品はリターンも大きい傾向にあります。ローリスク・ハイリターンの商品は存在しないため、注意しましょう。リスクをしっかりと理解していないと、予想外の損失を被る可能性があります。
金融商品の種類
資産運用の対象となる金融商品には、多くの種類があります。それぞれ特徴とリスクが異なるため、投資に回せる資金やリスク許容度(許容できる損失の度合いのこと)に応じて適切な商品を選びましょう。
例えば、投資信託は複数の株式や債券に分散投資できる商品で、プロに運用を任せられる点が魅力です。100円程度から購入できる商品もあるため、リスクを抑えながら運用をしたい初心者に向いています。
一方、基本的に株式は100株単位で購入するため、最低でも数万円の投資資金が必要です。その代わり、企業が大きく成長すれば、大きな値上がり益を得られる可能性があります。
資産運用の王道「長期・積立・分散」
リスクを軽減し、安定したリターンを狙うためには「長期・積立・分散」という投資手法についても理解しておきましょう。
- 長期投資:目の前の値動きに左右されず、金融商品を保有し続ける方法
- 積立投資:毎月コツコツと一定額を購入し続ける方法
- 分散投資:投資先や投資タイミングを分散させる方法
ポイント2:資産運用にかかる税金
株式の売却益や配当金、投資信託の分配金など、資産運用で得た利益に対しては約20%の税金が課されます。確定申告が必要な場合もあるため、申告の手続きや期限についても把握しておくことが重要です。申告が遅れると、税務署から連絡が来たり、延滞税などのペナルティを課せられたりする可能性があります。
NISAやiDeCoの活用方法も知っておこう
NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)は、資産運用を行ううえで有効な税制優遇制度です。
NISAは、年間一定額までの投資に対して、運用益が非課税となる制度です。これにより、手元に残る利益を増やすことができます。
iDeCoは公的年金に上乗せする私的年金制度で、NISAと同様に運用益は非課税になります。さらに、掛け金が全額所得控除の対象となるため、所得税や住民税の軽減にも期待できます。効率がよい資産運用を目指す場合には、これらの制度をうまく活用することが重要です。
NISAやiDeCoについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
ポイント3:金融機関の選び方・口座開設方法
資産運用を始めるには、信頼できる金融機関を選ぶことが重要です。金融機関によって手数料やサポート体制は異なるため、どの金融機関を選ぶかで運用成績に差が出る可能性があります。
例えば、ネット証券は手数料が安く、自宅から手軽に取引できるのがメリットです。一方、対面型の証券会社は、手数料こそネット証券より高めですが、担当者に運用方法や銘柄の選び方などを相談できるメリットがあります。
また、スムーズに取引を始められるよう、口座開設の方法についても学んでおきましょう。口座開設の際には本人確認書類やマイナンバーの提示が必要になるため、事前に準備しておくことが大切です。
金融機関の選び方については、以下の記事を参考にしてください。
ポイント4:商品の選び方や購入方法
金融商品を選ぶ際は、自分の投資目的を明確にし、それに合った商品を選ぶことが大切です。例えば、短期的な利益を狙うなら株式、安定したリターンを求めるなら債券や投資信託が適しているでしょう。
また、商品の購入方法は金融機関や商品によって大きく異なります。投資のタイミングを逃さないように、注文方法についてもあらかじめ理解しておきましょう。
ポイント5:情報収集の方法
資産運用を成功させるためには、最新の情報を正しく理解し、活用することが重要です。まずは、信頼できるニュースサイトや証券会社のホームページなど、手軽にアクセスできる情報源を日常的にチェックすることから始めましょう。
また、証券会社や投資信託の運用会社が提供する無料のレポートやメルマガも、情報収集に役立ちます。これらのレポートでは、専門家の市場分析や特定の業界・企業の成長予測、今後の経済の見通しなど、プロの視点で要約された情報を取得できます。
日々の情報収集を習慣にし、少しずつ知識を積み重ねることで、資産運用に対する理解が深まり、自信を持って運用判断ができるようになるでしょう。
資産運用の勉強を行う際の注意点
資産運用の勉強を始める際には、ただ知識を詰め込むだけでは不十分です。目的や方法を明確にし、情報の信憑性を見極めることが重要です。ここでは、資産運用の勉強を行う際に押さえておきたい注意点について解説します。
目的を明確にする
資産運用を学ぶ前に、まず「なぜ運用をしたいのか」「何を目指すのか」を明確にしましょう。例えば、老後の資金を準備したい、子どもの教育資金を貯めたい、早期リタイアを目指したいなど、人それぞれで目的は異なります。
この目的がはっきりしていないと、学ぶべき内容や運用の方向性が定まらず、結果的に無駄な勉強や投資をしてしまうことにつながりかねません。目標額や期間、リスク許容度などをあらかじめ決めておけば、必要な知識やスキルが明確になり、効率よく学習できるようになるでしょう。
自分のレベルに合わせて勉強をする
資産運用の勉強は、基本から始めることが重要です。突発的に専門的な内容に取り組むと理解が追いつかず、やる気を失ってしまうこともあります。まずは、「資産運用の基礎知識」や「金融商品の基本」を学ぶことから始めましょう。資産運用が初めての人には、初心者向けの本や入門セミナー、ネット上の動画講座がわかりやすくておすすめです。
情報を鵜呑みにしない
資産運用に関する情報は非常に多く、ネットやSNS、YouTubeなどで簡単に手に入りますが、その情報をすべて信じるのは危険です。特にSNSやブログでは、実績や資格のない個人が発信する情報も多く、誤った情報や極端な意見に振り回されるリスクがあります。また、金融商品の宣伝や特定の投資手法を推奨する情報にも注意しましょう。
必ず情報の出所や発信者の信頼性を確認し、複数の情報源を比較して判断することが重要です。
まとめ
資産運用には、さまざまな勉強法があります。初心者は、基本的な知識から学び、徐々にステップアップしていくことを意識しましょう。また、信頼できる情報源を参考にすることも重要です。この記事を参考に、自身の資産運用の目的に応じてリスクを抑えながら資産を増やすことを目標に勉強に取り組んでみてはいかがでしょうか。
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。 <保有資格>CFP