金融機関からお金を借りて、後から少しずつ支払いをする「ローン」。お金を必要なタイミングで手に入れたいときに活用できる便利なサービスです。この記事では住宅ローンについて紹介します。社会人になったり、結婚や出産などライフステージの変化の際にマイホーム購入を検討する人が多いと思いますが参考にしてみてください。
住宅ローンとは
住宅ローンとは、マンションや建売住宅を購入する際や、一戸建てを建築する際に利用できるローンのことです。リフォームや、現在他の金融機関で借りている住宅ローンの借り換えを目的として使うこともできるようになっています。
住宅の購入費用は、数千万円単位の高額にのぼることも少なくありません。しかし、住宅ローンを組むことで手元の資金が足りなくても、住宅を取得できるのは大きなメリットです。一定の基準を満たせば、所得税や住民税が軽減される「住宅ローン減税」を利用することも可能です。
一方で、借入金額が大きいため、返済が長期化するのがデメリットです。基本的に、住宅を担保として借入れをするため、返済が不能になった場合は住宅を手放さなくてはなりません。
一般的に、住宅ローンを利用するときは、以下のような手数料を負担する必要があることも覚えておきましょう。
- 登記費用
- 融資手数料
- ローン保証料
- 収入印紙代
- 火災保険料・地震保険料
- 団体信用生命保険料
住宅ローンを借りる際は団体信用生命保険(団信)への加入が必須
住宅ローンを借りる際には必ず「団体信用生命保険」、通称「団信」に入ることが必要です。団信に加入することで、もしも死亡や高度障害なった際も残りのローン支払額が免除されて不動産として資産が家族に残るなど、残される家族の生活を守る機能も一定程度果たします。
団信の保険料は無料のものと有料のものがあります。死亡や高度障害に備える通常の団信は追加の保険料がかからないことが多いです。それらに加えて、がんや3大疾病、7大疾病などに備える特約を付加している団信もあります。その場合は通常金利に対して0.1〜0.3%の範囲で金利を上乗せされていることが多いです。
なお「団体信用生命保険」は広義の生命保険の一種です。通常の生命保険と保障が重複するケースもあると思います。死亡、高度障害、病気やケガによる働けない期間の長期化などもしもの時に家計に必要なお金を考えて契約内容を検討するようにしましょう。
なお住宅購入とともに生命保険について知りたい方は以下の記事を参照ください
住宅ローンと金利
一般的に、自動車ローンや住宅ローンなどの使い道が限定されているローンは、金利が低めに設定されています。ローンの金利には「固定金利」と「変動金利」の2種類があります。このほかにも、一定期間が終了すると金利タイプが変更されるものもあります。
固定金利期間選択型
固定金利とは、契約時から返済が完了するまで、同じ金利が適用されるタイプのことです。その中でも最初の契約時に決めた一定年数のみの固定金利が適用された後、変動金利にするか、あるいは固定金利にするかを選べる「固定金利期間選択型」があります。固定金利のメリットは借入れた時点で返済額が確定するため、返済計画が立てやすいことです。一方、金利が高くなりやすいのがデメリットといえます。
全期間固定金利型(フラット35)
固定金利の中でも借入の全期間にわたって金利が固定されるものを「全期間固定金利型(フラット35)」といいます。
変動金利型
変動金利とは、経済情勢に応じて、定期的に適用される金利が見直されるタイプのことです。住宅ローンの場合、原則として半年ごとに見直しされます。
変動金利のメリットは最初に適用される金利が低くなるため、将来の返済額が少なく済む場合があることです。その反面、金利の変動幅によっては返済額が大きくなり、家計にマイナスの影響が出るリスクもあります。
住宅ローンの金利は年利表示がメイン
金利は、適用期間によって分類されます。1年なら年利、1か月なら月利、日ごとなら日歩といいますが、住宅ローンも含めた金融商品の金利は、「年利で表示される」ケースが主です。年利で表示されますが支払うのは月ごとなので、たとえば年利が2.4%の場合、毎月払う利息は、2.4%÷12ヶ月=0.2%となります。
金利1%違うと総支払額はどの程度変わるか
住宅ローンは長期にわたる借入なので金利の差は最終的にはとても大きなものになります。仮に3000万円の35年ローンを金利1%と2%で組んだ場合、総支払額は約600万円変わります。同様に金利差0.25%の場合は約140万円の総支払額の差がでます。
住宅ローンの返済方式(元利均等返済と元金均等返済)
住宅ローンの返済方法には、「元利均等返済」と「元金均等返済」があります。
元利均等返済とは
「元利均等返済」とは、借り入れをした元金の返済分と利息を足した合計額が毎月一定額になるようにして返済する方法です。
返済当初は元金が大きいですから、それにかかる利息も多くなります。そのため当初は利息の「割合」が大きくなり、元金の返済額の「割合」は小さくなります。
元金均等返済とは
「元金均等返済」とは、元金返済を毎月均等に行います。均等な元金の返済に利息をプラスする返済方法です。返済をはじめたときは元金が大きいですから、それにかかる利息も多くなります。そのため当初は「返済額」が高く、そこから徐々に減っていきます。また元金均等返済は扱っていない金融機関もあるため、実際には選択できない場合もありますので注意しましょう。
元利均等返済と元金均等返済のどちらがいいか
どちらの返済方式がいいかは、長期にわたる返済、ご自身のライフプランや考え方によって異なります。
まず同じ金額を同じ金利で借りた場合、元金均等返済方式のほうが総返済額は少なくなります。資金に余裕があるのであれば元金均等返済方式のほうがいいかもしれません。また子どもが小さいときにローンを組むのであれば、進学でお金がかかる時期にローンの負担が減るようにするのであれば「元金均等返済」がいいでしょう。
一方で、ローンの支払額を一定になるので「家計を長期に渡って安定性させたい」のであれば「元利均等返済」を選ぶのもひとつの方法です。
ボーナス払いありきの返済計画は要注意
返済にあたってはボーナス払いをするのかどうかもポイントです。ボーナス払いはボーナスが支給されるときに金額を増額して払うローンの返済方法です。たとえば、通常月は7万円ずつ払っていても、ボーナス月は15万円払うというイメージです。ボーナスは企業によって、また業績によってその有無や多寡が変わってきます。極論、長い人生でボーナスをもらえない職場になってしまうこともありえるので、ボーナス払いは十分に注意しましょう。
提携先の金融機関の活用も
住宅ローンはさまざまな要因によって条件・金利が変わってきます。ご自身の勤め先やハウスメーカーが提携している金融機関では優待されたり、ローンが通りやすかったりしますので、必ずチェックするようにしましょう。
おすすめの住宅ローン
ここからはおすすめの住宅ローンについて見てみます。専門家の評価も高い主要な住宅ローンの概要は以下です。
住信SBIネット銀行 | auじぶん銀行 | みずほ銀行 | |
金利タイプ | 固定金利期間選択型・変動金利型 | 固定金利期間選択型・変動金利型 | 固定金利期間選択型・変動金利型・全期間固定金利型 |
適用金利(年率) | 固定金利10年:1.31%
※2022年10月1日時点。当初引き下げプラン 変動金利:0.44% ※通期引き下げプラン。2022年10月1日時点 |
固定金利10年:0.865%
※2022年10月9日時点。当初期間引き下げプラン 変動金利:0.389% ※全期間引き下げプラン。2022年10月9日時点 |
固定金利10年:1.05%
※2022年10月1日時点。保証料を一部前払いしない方式 変動金利:0.375% ※保証料を一部前払いしない方式。2022年10月9日時点 全期間固定金利:1.31% ※保証料を一部前払いしない方式。2022年10月9日時点 |
事務手数料(税込) | 借入金額の2.20% | 借入金額の2.20% | 借入金額×2.20% |
保証料(税込) | 無料 | 無料 | 33,000円 |
借入時年齢 | 65歳以下 | 65歳未満 | 20歳以上71歳未満 |
借入可能額 | 500万円~1億円 | 500万円~2億円 | 50万円~1億円 |
借入期間 | 1年以上35年以内 | 1年以上35年以内 | 1年以上35年以内 |
住信SBIネット銀行|ネット専用全疾病保障付住宅ローン
住信SBIネット銀行の「ネット専用全疾病保障付住宅ローン」は、「価格.com住宅ローン人気ランキング」で1位に選ばれた人気の住宅ローンです。
借入期間中、一定幅を基準金利から引き下げる「通期引き下げプラン」と、借入当初に設定した特約期間のみ大幅に金利を引き下げる「当初引き下げプラン」があり、どちらか一方を自由に選択できます。
三井住友信託銀行で投資信託や定期預金を一定額利用すると、金利がさらに年0.01%~最大年0.03%引き下げられるのも特徴の一つです。
申し込み時に来店する必要がなく、郵送やWebサイトでの手続きで申し込めるため、普段忙しい人でも安心して利用できるようになっています。保証料や一部繰上げ返済時の手数料はかかりません。
おすすめのポイントは、団体信用生命保険の保障内容が充実している点です。金利の上乗せなしで、どんな病気やケガでも保障する「団体信用生命保険」が付帯されています。そのため、死亡時や高度障害時だけでなく、働けないまま12ヵ月経過した場合も住宅ローンの返済は不要となります。女性の場合は「がん診断給付特約」が金利の上乗せなしで付帯されるため、さらにお得といえるでしょう。
auじぶん銀行|住宅ローン
auじぶん銀行の「住宅ローン」は「2022年オリコン顧客満足度調査」住宅ローン部門で第一位を獲得した人気の住宅ローンです。
当初の特約期間のみ基準金利からの金利引き下げ幅が大きくなる「当初期間引き下げプラン」と、借入全期間、借入金利を引き下げる「全期間引き下げプラン」があります。
変動金利タイプの場合は全期間引き下げプランのみ、固定金利期間選択タイプの場合は両方のプランが選択可能です。au回線やじぶん電気を利用している場合、最大年0.1%金利が優遇されるau優遇金利割を利用すると、さらにお得に借入れができます。
また、団体信用生命保険の補償内容が充実しているのが特徴です。auじぶん銀行の住宅ローンでは、ニーズに合わせて以下5つのプランから加入する保険を選択できます。
- 一般団信
- ワイド団信
- がん50%保障団信
- がん100%保障団信
- 11疾病保障団信
この中でも、特に「がん50%保障団信」はおすすめのプランです。死亡・後遺障害時や、全ての病気やケガで180日以上入院が継続した場合には住宅ローンが全額免除となるほか、がんと診断された場合には、住宅ローン残債の50%が保険金として支払われます。
みずほ銀行|みずほネット住宅ローン
「みずほネット住宅ローン」は、日本を代表するメガバンクとして高い信頼度を誇るみずほ銀行が提供しているローン商品です。
金利タイプを「変動金利」「全期間固定金利」「固定金利選択」の3種類から選べるようになっています。基本的に申し込み手続きはWebで完結しますが、店舗でサポートを受けることも可能です。団体信用生命保険には無料で加入でき、追加保険料を支払うことで8大疾病やケガによる就業不能リスクに備えるプランにも加入できます。
また、「ライフステージ応援プラン」があるため、返済額をライフステージに合わせて柔軟に変更できるのがおすすめのポイントです。転職やリフォーム、進学などさまざまなライフおベントが発生したタイミングに合わせて、返済期間は変えずに返済額を増減させることが可能となっています。
変更手続きの手数料は1回あたり5,500円です。金利変更や繰上げ返済の手数料が無料となっている点も利用しやすいポイントといえるでしょう。
まとめ
住宅ローンは商品によって、その金利や団信の保障内容・条件が異なります。30年前後でローンを組む人が多いですが金利が違うことのインパクトは大きなものです。1%違う場合、仮に3000万円の35年ローンを金利1%と2%で組んだ場合、総支払額は約600万円変わってきます。住宅ローンの仕組みを理解して、無理のない返済計画づくりとよい住宅ローン商品の見極めは手間をかけてでも取り組むことをお勧めします。
難しいお金の話を、ファイナンシャルプランナー技能士や保険・金融商品の専門家が忖度なし「ホンネ」でわかりやすく伝えます。