医療保険の見直しは必要?見直すタイミングや損しないためのポイントを解説

医療保険

すでに医療保険に加入している方の中には、契約した際の保障内容に満足して、見直しを考えていない方もいるのではないでしょうか。しかし、かつて加入した医療保険が今でも最適な内容であるかどうかは、定期的に確認することが大切です。適切なタイミングで見直しをしないと、いざというときに十分な保障を得られない可能性もあります。

そこで今回は、医療保険に見直しが必要な理由と見直しの際の注意点、また医療保険を見直す際に検討したいおすすめの医療保険を年代別に紹介します。

医療保険の見直しが必要な理由

医療保険は、加入した時点で最適なものを選んでいるため「見直しが必要なの?」と感じる方もいるかもしれません。しかし、医療保険は定期的に見直しをしたほうがメリットを得られる可能性があります。ここでは医療保険の見直しが必要な理由を解説します。

時代に即した商品が選択できる

医療保険を見直すことが推奨される理由の1つ目は「医療技術の進歩」です。例えば、医療保険に加入した当時なら数週間以上の入院が必要とされていた病気でも、医療の進歩により現在は日帰りでの退院が可能になっているかもしれません。

厚生労働省の平成29年(2017)患者調査の概況によれば、退院患者の平均在院日数が平成2年は44.9日だったものが右肩下がりで短くなっており、平成29年の時点では入院日数が平均29.3日まで短縮されています。入院の短期化により、昔の医療保険によく見られた「入院給付金は入院〇日目から給付」という免責がある保険のままでは入院給付金を受け取れないというケースも考えられます。

近年リリースされている医療保険には、日帰り入院から保障されるタイプが多く見られます。昔では常識とされた保険も現代の医療を受けるのには適さないことがあるため、定期的な見直しが必要なのです。

手厚い保障が受けられる

医療の進歩や治療方針の変化に沿った最新の保険を選ぶと、手厚く適切な保障を受けられる可能性が高いでしょう。

例えば、入院・手術給付金だけでなく通院給付金が受け取れたり、先進医療の特約が手厚かったりと、医療の進歩によるメリットを享受しやすい保険が登場しています。

収入や年齢に見合うお得なプランを検討できる

医療保険を検討する際は、自身の収入や年齢などのライフステージによって、備えるべきリスクに合わせた商品を選ぶことが必要です。見直しを行うことで、その時々のライフスタイルに合致したお得なプランを選択できる可能性もあります。

見直しの際は保険料の安さだけを求めるのではなく、保障内容が現在のライフスタイルに即しているかどうかを基準にすることが大切です。年齢によって備えるべきリスクや病気の種類が異なるため、保障内容が万が一のときの負担を軽減できる内容になっているか見極めましょう。

医療保険を見直すタイミングは?

医療保険は病気・ケガによる治療費の増加や収入の減少に備えるための保険です。必要な保障の内容はライフステージによって変わります。ここでは、見直しに適したタイミングを見ていきましょう。

結婚を機に見直し

結婚したときは、独身のときに加入した保険を見直すのに適したタイミングです。独身の頃は自身の医療費や生活費の負担だけを考えて保険を選びますが、結婚後にはパートナーの生活も考慮する必要があります。

また、将来子どもを産むことを考えている場合、妊娠前や妊活の段階で医療保険への加入を検討しましょう。これは、すでに帝王切開を受けている場合、医療保険に加入できないことがあるためです。また、妊娠したあとから加入すると出産に関するトラブルが保障の対象外になる可能性があることも理由の1つです。

子どもの就学を機に見直し

子どもの就学も医療保険を見直すタイミングとして適切です。子どもの教育費は高額なため、病気やケガによる収入の減少により捻出が困難になれば、子どもの将来に影響する可能性もあります。そのため貯蓄や資産運用、保険などを駆使しながら、働けなくなるリスクに備える必要があるでしょう。

文部科学省「平成30年度子供の学習費調査の結果について」、日本政策金融公庫「令和2年度『教育費負担の実態調査結果』」によると、幼稚園から大学まですべて公立でも約1,327万円が必要です。また、すべて私立(大学は理系)にすると約2,939万円もの学費がかかります。

一方で、両親の年齢が30~40代にさしかかることで、病気やケガによる長期入院が増える傾向にあります。「平成29年(2017)患者調査の概況」によると、15~34歳の平均入院日数は11.1日なのに対し、35~64歳では21.9日と大幅に延びます。

特に、家計収入の大部分を担う両親のいずれかが長期入院となった場合、学費の支払いに問題が生じる可能性もあります。こうしたリスクへの備えとして、病気やケガをしたそのときに給付金を受け取れる医療保険は頼りになるでしょう。子どもの就学に合わせて最新の保険を検討することは有効な手段の1つです。

マイホーム購入を機に見直し

マイホームのほか、マイカーを購入したときなども、医療保険を見直すよいきっかけです。

住宅を購入する際は住宅ローンを組み、団体信用生命保険に加入することになります。団体信用生命保険とは、住宅ローンを組んだ方が死亡・高度障害状態に陥ったとき、生命保険会社が銀行に住宅ローンの残高を支払ってくれるというものです。そのため、例えば賃貸住宅に住んでいたときに死亡保険に加入していた方は、これを機に金額を減らすのもよいでしょう。

団体信用生命保険には、3大疾病や生活習慣病に備えるものもあります。場合によっては医療保険とも内容が重複するため、保障内容をよく確認して適切に見直すことで保険料を節約できます。

定年退職を機に見直し

定年退職をして老後を迎える時期も、医療保険の見直しに適しています。

厚生労働省の簡易生命表によると男性の平均寿命81.41歳、女性の平均寿命87.45歳です。65歳で仕事を辞めた場合、その後15~20年以上は老後が続くことになります。年齢を重ねるほど入院は長期化しやすいので、医療保険で医療費の補てんを考えることも大切です。

ただし、60代は子どもが独立したり住宅ローンを完済したりと、日々の支出が減りやすいタイミングでもあります。そのため現役時代ほど手厚い保障は必要なくなるかもしれません。保険を減らしたり、保障内容を絞ったりすることも検討できる時期といえます。

一方で、65歳以降は病気やケガなどで死亡するリスクも増えるため、死亡保険への加入や見直しも併せて検討したい時期です。死亡保険では被保険者が亡くなったときに死亡保険金を受け取れるため、家族に財産を遺すことができます。また、生命保険の保険金は「法定相続人の人数×500万円」まで相続税が非課税になります(2022年時点)。

医療保険の見直しで損しないためのポイント

ここからは、医療保険を見直すにあたり注意すべきポイントを紹介します。

空白期間に注意

空白期間とは、加入している保険と新しい保険の保障期間のあいだで無保険の期間ができてしまうことを指します。無保険の期間中に病気やケガで入院・手術をしても、保障を受けることができません。

医療保険の保障が始まるタイミングは、
 申込書の記入日
 告知書の記入日
 初回保険料の着金日(領収日)
の中でもっとも遅い日です。これらがそろうまでの期間に古い保険を解約しないよう、事前にスケジュールを整理しておく必要があります。

また、持病や入院歴があると告知に引っかかり新しい保険に加入できないケースもあるため、新しい保険契約が始まるまでは古い保険を解約しないことが大切です。

がん保険や特定疾病保険は特に注意

免責期間がある保険はさらに注意が必要です。多くのがん保険には契約してから90日間は保障を受けられない免責期間が存在します。免責期間中にがんと診断された場合は契約が無効になり、給付金を受け取ることができません。

また、健康状態によっては新しいがん保険に加入できない可能性もあります。がん保険を見直したいからといって先に古いがん保険を解約してしまうと、新たにがん保険に加入できず、今後のがん治療で保障が受けられなくなってしまうこともあるため注意しましょう。

保険料に注意

医療保険を見直す場合、以前の保険料よりも新しい保険の保険料のほうが高くなる可能性があることに注意が必要です。年齢が高いほど病気に罹患する可能性が高くなるため、原則として保険料が高くなるといわれています。

新しく加入する保険の保険料を抑えるため、見直しの際に「中途付加」を行うのも1つの方法です。中途付加とは、現在の保険の契約を残したまま、あとから特約を付加する方法のことです。これにより、新しく病気やケガのリスクに備える部分の保険料は現在の年齢で計算されますが。それまで加入していた部分の保険料は加入時のままで契約を続けられます。

まとめ

今回は医療保険の見直しが必要な理由と見直しをする際の注意点、見直しの際に検討したいおすすめの医療保険を年代別に紹介しました。

医療技術の進歩に伴い、医療保険も新しい商品が次々と登場しています。現代の医療に即した保険を契約することで、治療内容に応じた手厚い保障を受けやすくなるでしょう。また年齢やライフステージでも備えのかたちは変わってくるので、人生の節目になるタイミングで医療保険の見直しを行うことが大切です。





オカネノホンネ編集部

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