新社会人にも医療保険はおすすめ?はじめての医療保険で失敗しない選び方

医療保険

保険は、万が一の自体に陥ったときの出費に備えられるものです。学生から社会人になれば、親元を離れて単身で生活を始めたり、家計について自分で考える機会が増えたりすることから 、保険について真面目に考えはじめる人も多いのではないでしょうか。

ひとくちに「保険」といってもさまざまな種類があり、闇雲に探してもご自身に合うものが見つかるとは限りません。サービス名から保障内容が推測できないこともあるため、保険選びは多くの新社会人にとって難しいものです。

新社会人におすすめされる保険の中でも特に「医療保険」にフォーカスして、特徴や選び方のポイントなどを解説します。加えて、おすすめしたい保険商品をいくつかご紹介しますので、本記事を参考に、新社会人の方は医療保険についての知識を身につけてみてください。

新社会人にもおすすめされる「医療保険」って何?

まずは保険の中でも「医療保険」について、公的な医療保険と民間企業が提供する医療保険について解説します。

民間の医療保険とは

民間企業が提供する医療保険とは、病気・ケガによる入院や手術に対して備える保険のことです。公的な医療保険と違って加入は任意ですが、加入の際は健康状態の告知が必要になります。

公的な健康保険でカバーしきれない範囲を保障するのが主な目的で、入院1日につき5,000~1万円 、手術では1回につき入院給付金の日額の5~20倍程度 を受け取れるのが一般的な保障内容です。

公的医療保険で軽減できない負担をカバーできる

入院や手術の治療費をカバーできるだけの貯金があるなら医療保険は加入していなくても困らないかもしれませんが、新社会人は貯金が不十分なことも少なくありません。

国民健康保険や社会保険などの公的な医療保険では自己負担額が3割に軽減されますが、その対象となるのは医療費のみで、「食費」「差額ベッド代」「病院までの交通費」などは全額自己負担です。

生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」によれば、1回入院した場合の自己負担の平均は20万8,000円 となっています。休職して収入がなくなるなかで約20万円の自己負担は、新社会人にとって大きな痛手となる場合も多いかもしれません。

こうしたリスクに備えて民間の医療保険に加入しておけば、入院や手術の費用など、万が一の際に不足するお金をカバーすることができます。

新社会人にも医療保険がおすすめの理由

新社会人が医療保険に加入すると、さまざまなメリットが得られます。ここでは、おすすめの理由を3つ紹介します。

メリット1.ケガや病気に備えられる

前述のとおり、入院すると高額療養費をはじめとした公的制度を利用しても平均20万円以上の自己負担が必要になります。新社会人はまだ収入や貯蓄が少ないケースが多く、親元を離れて単身で生活している可能性もあり、20万円以上の高額な費用を急には用意できない ことも考えられます。

民間の医療保険に加入しておけば、毎月2,000円程度の負担で万が一に備えることができます。

メリット2.保険料が安く済む

同一の保障内容なら年齢が若い方が毎月の保険料が安くなり、払込保険料の総額も安く済むことが多いとされています。これは、一般的に保険料が「死亡率」「入院確率」などを考慮して決定されるためです。 若年者ほど死亡したり入院したりするリスクが少ないため、多くの保険会社で保険料の総額が安く設定されます。

逆に年齢を重ねて病気の罹患歴や手術歴ができてしまうと再入院や死亡のリスクが上がり、告知内容によっては加入が制限されるためニーズに合った保険が選べない可能性もあります。

メリット3.資産形成に役立つ

医療保険の種類によっては、貯蓄に活用できるのもメリットです。

生命保険は大きく分けると「掛け捨て型」「貯蓄型」の2つがあります。掛け捨て型は、貯蓄型よりも安い保険料で充実した保障を得られる代わりに、解約しても保険料が戻ってこないタイプです。

一方の貯蓄型の場合、契約の満期を迎えたり解約したりした場合に保険料が戻ってくるタイプの保険です。保険会社によって呼び方は異なりますが、以下のようなかたちでお金が戻るものが主流です。

 一定期間が経過するごとにお金が受け取れる「お祝い金」タイプ
 一定年齢まで保険料を支払うと、それまでの保険料が全額戻る「リターンタイプ」
 解約した際に保険料が戻ってくる「解約返戻金」タイプ

医療保険の中にも貯蓄性がある保険があります。毎月の保険料を支払うことで必要なときの備えとしても活用できるので、貯金が苦手であったりして保険でリスクに備えながら貯蓄もしたい人にはいいかもしれません。

一方で、貯蓄型の保険が最適とは限りません。保険料が安い掛け捨ての医療保険を契約して、余ったお金を活用して資産形成を目指す方法もあります。一般的には、保険よりも株や債券、投資信託などの金融商品を自ら運用したほうが利回りは高いとされています。 効率よく老後資金を貯めたいなら、投資によって資産形成を考えたほうがよい場合もあるでしょう。

「保障を得ながら資産形成を始めたい」「手間をかけずに資産形成したい」という人は、貯蓄型の医療保険も検討してもいいかもしれません。

新社会人に必要な備えとは

新社会人になり自立して生きていくためには、リスクに対する備えが必要です。ここでは、新社会人が意識したいリスクと、それに備える方法を紹介します。

働けなくなるリスクへの備え

新社会人になってすぐの頃は、生活環境が変わることで慣れない生活が続き体調を崩すこともあります。「ある日突然働けなくなる」というリスクは、20代の新社会人でも何らかのかたちでカバーしておきたいものです。

例えば近年増加傾向にある「精神疾患」は、見た目には健康でも罹患すれば入院や自宅療養となり、長期間働けなくなる可能性もあります。職場の人間関係や仕事の忙しさなどによるストレスの影響を受けやすい方は血圧上昇や疲労感などの身体的症状のほか、肥満・糖尿病・うつ病などの心理的反応につながることもあります。 うつ病では仕事を休んだ期間が3か月以上の人は、全体の約6割を超えるというデータもあります(出典:武田薬品工業「勤務形態別うつ患者さん定量調査」2020年)。

あるいは、何の前触れもなく突然病気にかかることがあるかもしれません。例えば急性虫垂炎(盲腸)は10代~20代での発症がやや多いとされており、炎症の度合いによっては外科的な処置が必要になることも少なくない病気 です。

このように急な病気で働けなくなった場合、会社員であれば健康保険の給付として「傷病手当金 」が受けられます。傷病手当金は、ケガや病気が原因で仕事を休んで給料がもらえない状態が3日以上続いた場合に、4日目から最長で1年6ヶ月にわたり給付金が受け取れる制度です。支給額は1日につき、「標準報酬日額(支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額を30日で割った金額)の3分の2」 と定められています。

このように、傷病手当金では給与の全額をカバーできず、受け取れる月数に限りもあります。そのため傷病手当金で不足する医療費や生活費分は、貯金で備えるか民間の医療保険や就業不能保険などでカバーするという方法もあります。。

老後の資金不足への備え

まだまだ若い新社会人とはいえ、老後資金への備えは考えておきたい問題です。年齢を重ねてから老後資金の貯蓄を始めた場合、毎月に必要な貯金額が膨らみすぎることもあります。

昨今、年金以外に必要な老後資金「老後2,000万円問題」が叫ばれました。仮に22歳から60歳までのあいだに2,000万円の老後資金を貯蓄しようとした場合、月の貯金額は「2,000万円÷38年÷12ヶ月=約43,860円」必要です。これに対し、同額を40歳から貯めようとすると、月の貯金額として「2,000万円÷20年÷12ヶ月=約83,333円」が必要になります。

貯蓄型の医療保険を活用すれば、万が一の入院や手術への備えと老後資金の準備を両立できます。当面資産運用や貯蓄を行わない場合には検討してもいいかもしれません。

新社会人が医療保険を選ぶ際のポイント

新社会人が医療保険を選ぶ際、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。ここではまだ収入が少なく、保険料に割けるお金が少ない新社会人に向けて、2つのポイントを紹介します。

手厚い保障は保険料も高額

新社会人は収入がまだ多くないうえ、新生活に必要なものの購入や懇親会など交際費の出費がかさむ時期でもあります。手厚い保険を選ぶと保険料が日々の家計を圧迫することも考えられるでしょう。保険料で生活苦にならないよう、保険料が安く必要最低限の保障を備えた保険を選択したいものです。

保険コンサルタントの後田亨氏は、保険料の目安は家計への影響を最小限にするという意味でも「手取り収入の1% 」程度を推奨しています 。基本給と残業代込みで手取りが20万円の人なら、月あたりの保険料は2,000円程度にするというのが目安です。

自分自身のリスクに備えるためには「医療保険」

ひとくちに「保険」といってもさまざまな種類があります。新社会人で保険を検討するなら、まずは自分の生活を守るための「医療保険」を検討するのがおすすめです。。

独身の新社会人の方には、大きなお金を遺すべき扶養家族がいません。そのため多額の死亡保険金を得るために、家計を圧迫してまで高額な保険を契約することは必ずしも必要ないでしょう。また貯蓄性の高い終身保険の場合は、保険料払込期間中の解約で元本割れする可能性があるほか、貯金のようにすぐにはお金を引き出せません。

ただし、年齢を重ねるなかで扶養家族を持つことになれば、死亡保険の重要性も増します。一度契約した保険はそのままにせず、状況に応じて見直しを行いましょう。「結婚・出産したとき」「住宅ローンを組んだとき」「起業や転職など働き方が変わったとき」「子どもが独立して扶養家族が減ったとき」など、ライフステージ別で必要な保険も変わります。

まとめ

今回は新社会人向けの保険として「医療保険」の全体像とおすすめの保険を紹介しました。

加入を検討したい保険は、ライフステージによって大きく変わります。新社会人は独身であることも多く、家族に遺すよりは自身の万が一に備える意味で医療保険がおすすめです。

収入がまだ少ないため、まずは最低限の保障が得られる掛け捨ての医療保険を検討するとよいでしょう。ただし、老後の資金まで見据えて貯蓄したい場合は、保険は最低限の掛け捨て型にして貯金や資産運用を行う方法や、貯蓄性の高い終身医療保険の加入を検討するという方法もあります。

ご自身のライフスタイルと公的な保障を照らし合わせて、無理のない範囲で保険を検討するようにしましょう。






オカネノホンネ編集部

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難しいお金の話を、ファイナンシャルプランナー技能士や保険・金融商品の専門家が忖度なし「ホンネ」でわかりやすく伝えます。

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