日本の医療保険の加入率は?年代・性別・年収・資産・ライフステージから分析

医療保険

ケガをしたり病気になったりしたときに公的医療保険だけでまかなえるのか、不安を抱える方も多いでしょう。こうした不安から、民間の医療保険への加入を考える方も増えています。

民間の医療保険への加入率は、性別や年収、ライフステージなどによって変わります。自身が加入すべきかどうかを決めるにあたって、「他の人はどうしているのか」「自分と同じような環境や属性の人が加入しているのか」は気になるところです。

本記事では、年代・性別・年収・資産・ライフステージの5観点から、多角的に医療保険の加入率をご紹介します。医療保険へ加入すべきかどうかお悩みの方は、ぜひご覧ください。

日本人の医療保険への加入率は?

本章以降では、「医療保険」を「疾病入院給付金が支払われる生命保険」であるものとして解説します。疾病入院給付金とは、病気により入院が必要となった際に受け取れる給付金のことです。なお、会社員や自営業の方が加入を義務付けられている、公的な医療保険は除外します。

生命保険文化センターが発行した「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、日本人の医療保険への加入率は下表のように推移しています。

日本人の医療保険への加入率

年度 加入率
平成5年 73.3%
平成8年 71.7%
平成10年 72.4%
平成13年 73.0%
平成16年 69.3%
平成19年 71.3%
平成22年 72.3%
平成25年 74.0%
平成28年 72.1%
令和元年 73.1%

令和元年における、日本人の医療保険への加入率は73.1%です。細かい増減はあるものの、例年70%前後でほぼ横ばいとなっています。多くの日本人が医療保険に加入していることがわかります。

年代別に見る医療保険への加入率

次に、年代別の医療保険への加入率を見ていきましょう。年代別の医療保険への加入率は、下表のとおりです。

年代別の医療保険への加入率

年代 加入率
18~19歳 25.6%
20代 48.0%
30代 72.0%
40代 80.1%
50代 79.0%
60代 75.9%

年代によって、加入率に差が見られることがわかります。3グループに分けて、詳しく解説します。

低い加入率にとどまる10・20代

18~19歳では25.6%、20代では増加するものの48.0%と、全体として見れば低い加入率にとどまっています。

若い年代では病気のリスクが低く、医療保険の加入によるリターンが高齢者に比べると大きくありません。よって、医療保険に加入する必要性はそれほど高くないといえます。また、経済的な余裕が少ないこともあって、医療保険に加入したくても踏み切れない方もいるでしょう。

急激に加入率が高まる30・40代

30代では72.0%、40代では80.1%と、20代から比べて急激に加入率が高まっています。

この年代では、住宅ローンや結婚といったライフステージの変化により、月々の出費も増大しがちです。病気により収入が減少することへの不安が大きいため、医療保険の加入率が高まると考えられます。

また、収入が上がり経済的に余裕ができることや、若い年代と比べて健康不安が大きくなることなども、加入率を押し上げている要素です。

加入率がゆるやかに低下する50・60代

50代では79.0%、60代では75.9%と、40代以降は加入率がゆるやかに低下しています。

この年代では、子どもの自立や住宅ローンの完済などで、病気になった際の経済的な不安はやや低下する傾向があります。とはいえ病気のリスクが高まることもあって、それほど加入率の低下にはつながっていません。

また終身型の医療保険もあり、継続して加入する方が多いと考えられます。

男女別に見る医療保険への加入率

続いて、男女別の医療保険への加入率をご紹介します。

男女別の医療保険加入率

男女別の医療保険への加入率は、それぞれ下表のとおりです。

男女別の医療保険への加入率

年代 加入率
男性 女性
全体 69.5% 75.9%
18~19歳 16.3% 35.9%
20代 44.9% 51.3%
30代 69.3% 74.2%
40代 77.7% 81.9%
50代 77.1% 80.4%
60代 71.7% 78.8%

いずれの年代においても、男性よりも女性の方が加入率は高いことがわかります。とはいえ、男性全体でも約70%と高い加入率となっています。

補足:独身女性の加入率と公的社会保障の考慮について(別調査より)

別の調査、株式会社MILIZEが実施した独身女性を対象にした調査では、独身女性における保険の加入率70%、医療保険が一番多く加入されていて全体の40%の人が加入していたという調査結果でした。

これはあくまで別調査ですので前後の調査結果と一概に比べることはできませんが、独身女性の方は参考にされてみてください。

また同調査は保険加入者の70%に対して、『保険加入時に社会保障を考慮しましたか?』と尋ねたところ、「考慮していない42%」、「社会保障を知らない13%」という結果になりました。保険加入時に半数以上が社会保障を理解していないまま保険に加入している可能性があります。保険は大きな買い物なので、公的保障を加味した上で加入するのがいいのかを検討するようにしましょう。

女性の加入率が高い背景

女性には、乳がんや子宮がんのように特有の病気が多く存在します。また妊娠や出産、育児といったライフステージの変化では、出費の増大が避けられません。病気や経済面での不安を抱えることになりやすいため、男性よりも医療保険の加入率は高い傾向があるのです。

実際のところ、女性特有の病気になった際に手厚い保障が受けられる医療保険も数多くあります。

年収別に見る医療保険への加入率

続いて、世帯年収別の医療保険への加入率についても見ていきましょう。

年収別の医療保険加入率

世帯年収別の医療保険への加入率は、下表のとおりです。

世帯年収別の医療保険への加入率

世帯年収 加入率
300万円未満 56.7%
300~500万円 77.3%
500~700万円 84.3%
700~1,000万円 83.5%
1,000万円以上 82.1%

世帯年収によって加入率に若干の差はあるものの、年代別や男女別ほど大きくはありません。最も加入率が低い層でも、50%を超えています。

300万円未満は加入率が低い

世帯年収300万円未満では56.7%と、最も加入率が低くなっています。

やはり経済的な状況から、医療保険への加入を見送る方が多いことが考えられます。また、世帯年収が低い層には若い年代の方が多いこともあって、医療保険の必要性も低くなりやすいでしょう。

500~700万円が加入率のピーク

世帯年収300~500万円では77.3%と約20%増加し、500~700万円では84.3%と最も高い加入率となっています。

経済的な余裕が生まれることで、加入できる医療保険の選択肢も増え、加入に踏み切りやすくなっていると考えられます。また、世帯年収が上がると年齢層も上がる傾向があるため、病気のリスクに対する不安の増加も1つの要因でしょう。

700万円超えでは若干の低下

世帯年収700~1,000万円では83.5%、1,000万円以上では82.1%と加入率が若干低下するものの、500~700万円と比べて大きな差は見られません。

若干低下しているのは、高収入層では仮に病気になったとしても、貯金だけでまかなえる層もいるためでしょう。とはいえ、健康面でのリスクが高まる中年層が多いこともあって、80%を超える高い加入率につながっていると考えられます。

金融資産別に見る医療保険への加入率

さらに、金融資産別の医療保険への加入率もご紹介します。金融資産とは、預貯金に加えて株式や投資信託なども含めた資産額のことです。

金融資産別の医療保険加入率

金融資産別の医療保険への加入率は、下表のとおりです。

金融資産別の医療保険への加入率

金融資産額 加入率
100万円未満 61.9%
100~500万円 81.8%
500~1,000万円 81.6%
1,000~2,000万円 81.6%
2,000万円以上 84.5%

金融資産100万円を境にして、加入率に大きな差があるとわかります。金融資産100万円を超えるとおおむね横ばいとなり、大きな差は見られません。

金融資産100万円未満で低い加入率

金融資産100万円未満では61.9%と、他の層に比べて約20%低い加入率となっています。

「十分な貯金があれば医療保険は不要」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし現実には、十分な貯金がある層の方が医療保険の加入率は高いのです。

金融資産額に関わらず、大きな病気によって高額な医療費を支払うことになるリスクは存在します。こうしたリスクに対処するために、金融資産の多い層でも医療保険の重要性を認識している方は多いと考えられます。

ライフステージ別に見る医療保険への加入率

最後に、ライフステージ別に医療保険への加入率をご紹介します。

ライフステージ別の医療保険加入率

ライフステージ別の医療保険への加入率は、下表のとおりです。なお、ここでの「ライフステージ」とは、具体的には婚姻状況と子どもの学齢を指しています。

ライフステージ別の医療保険への加入率

ライフステージ 加入率
未婚 51.8%
既婚 平均 79.5%
子どもなし 73.4%
末子未就学児 76.9%
末子小学生 81.8%
末子中学生、高校生 79.2%
末子短大・大学・大学院生 82.3%
子どもすべて卒業(未婚) 79.1%
子どもすべて卒業(既婚) 84.1%

詳しくは、順番に解説します。

結婚で加入率が大幅に上昇

未婚者では51.8%、既婚者では平均79.5%と、加入率に30%近くもの差があります。病気になっても家族を支えていく必要があるため、結婚によって加入率が大幅に上昇していると考えられます。またライフステージ別に見ると、経済的な不安の大きさが加入率に影響しているようです。子どもにかかる費用が大きいライフステージほど、加入率も高くなりやすい傾向が見えます。

自分は医療保険に加入すべき?

さまざまな角度から医療保険への加入率を紹介してきましたが、医療保険に加入すべきかどうか決めきれない方も多いでしょう。そのような方に向けて、これまでのデータを振り返りつつ判断の目安をお伝えします。

世界的にも充実した日本の公的医療制度

世界的に見ると、日本の公的医療制度は充実しています。国民皆保険制度によって、すべての国民が最大でも3割の自己負担で医療サービスを受けることが可能です。ほかにも、自己負担が一定の限度額を超えた場合にその金額が払い戻される「高額療養費制度」をはじめ、多くの制度を適用できます。

こうした手厚い公的医療制度があるにもかかわらず、民間の医療保険への加入率も高くなっています。病気による経済的な不安を抱えており、民間の医療保険で自己負担分をカバーしようと考える日本人は多いのです。

実際のところ、生命保険文化センターの「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、過半数の日本人が「自分の医療費が公的医療保険だけではまかなえない」と思っています

「自分の医療費は、今後も公的な健康保険だけで大部分まかなえる。」に対する回答(令和元年)

選択肢 回答率
まったくそう思う 7.3%
まあそう思う 37.2%
あまりそうは思わない 36.8%
まったくそうは思わない 14.7%
わからない 3.9%

加入率が高いのは女性、中高年、高年収、高資産

これまでのデータを振り返ると、医療保険への加入率が高いのは下記に当てはまる方です。

  • 女性
  • 中高年
  • 高年収
  • 高資産

女性や中高年だと病気のリスクが高く、必要性を感じている方が多いと考えられます。また、経済面で余裕のある高年収・高資産の方は、加入に踏み切りやすいといえるでしょう。

「余裕があれば医療保険は不要」ではない

年収や資産の少ない層では、医療保険への加入率が低くなっています。やはり、医療保険への加入による出費の増大が、大きな懸念となっているのでしょう。しかし経済的に余裕がない方であっても、医療保険への加入を検討する価値はあります。

病気やケガのリスクは老若男女問わずゼロになることはなく、ある日突然入院が必要となることも考えられます。経済的に余裕がないと、いざ病気になったときに医療費が支払えない事態になりかねません。

その点、民間の医療保険に加入していれば、毎月の保険料を支払うことで医療費や病気やケガで働けない期間の収入減少分をカバーできます。「病気になっても手厚い保障が受けられる」という安心感は、やはり魅力的といえます。

もちろん、一番大切なのは「自分が必要と考えるかどうか」です。医療保険ではなく、貯金という方法で備える方法もあります。ライフステージの変化を考慮しながら、病気やケガのリスクへの対応が必要だと感じる方は、医療保険に加入するとよいでしょう。

病気やケガに伴う「働けないリスク」に備えるなら就業不能保険という選択肢も

医療費の支払に伴うリスクに対しては医療保険を検討するのがいいでしょう。

一方で働けない期間の発生や長期化に伴う収入減にそなえるなら就業不能保険という選択肢もあります。

概要は以下の記事をご参照ください。

 

まとめ

年代・性別・年収・資産・ライフステージの5観点から、多角的に医療保険の加入率をご紹介しました。

日本では公的医療制度が充実しているにもかかわらず、多くの方が民間の医療保険にも加入しています。またライフステージが上がるとともに、民間の医療保険で病気に備える人も増えていく傾向があります。

誰しもが避けられない病気やケガのリスクに対応する上で、医療保険への加入は有力な選択肢の1つになるかもしれません。保険ではなく、貯金や資産形成でリスクに備えたり、保険と貯金の両方で備える方法もあります。もちろん、最終的にはご自身の必要性で判断することになります。その際には、今回ご紹介したデータもぜひひとつの参考にしてみてください。






オカネノホンネ編集部

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