日本をルーツとする犬種として、世界的にも人気の高い「柴犬」。現在、柴犬と暮らしている人のなかには、万が一病気にかかった場合どのように対処すればよいのか不安に感じている人もいるでしょう。また、犬には人間のような健康保険がなく、治療費が高額になることもあるため、費用面の心配もあるでしょう。
そこで今回は柴犬が発症しやすい病気の種類や治療法、治療費に備える方法などをご紹介します。
柴犬の特徴
柴犬は日本の在来犬(日本犬)で、唯一の小型犬種です。日本で飼育されている日本犬のおよそ80%を占めており、幅広い人気を集めています。
頭が良く、飼い主の気持ちを読んで行動する傾向があります。また、飼い主に忠実で従順であることも特徴の一つです。その反面、飼い主や同居犬以外には関心を示さない柴犬も少なくありません。
サイズは、オスは体高38〜41cm程度、体重は9〜11kg程度に、メスは体高35〜38cm程度、体重は7〜9kg程度となる傾向です。体毛の毛色は、赤毛(茶色)・黒毛・胡麻毛(赤毛に黒が混ざったもので、白毛の部分がある)の3種類です。
柴犬の平均寿命は一般的に12〜15歳程度とされています。
柴犬が発症しやすい主な病気
犬種によってかかりやすい病気には違いがあります。一般的に柴犬がかかりやすい病気は以下の通りです。
- アトピー性皮膚炎
- 膿皮症
- 外耳炎
- 緑内障
- 膝蓋骨内方脱臼
- 股関節形成不全
- 認知症(痴呆症)
- 白内障
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、ハウスダストや花粉、カビが皮膚に接触することでアレルギー反応が生じる病気です。6ヶ月~3歳で発症するケースが多くなっています。
耳や脇、足先、目の周りなど痒みが出る部位はさまざまで、細菌による二次感染で症状が悪化するケースもあるようです。ステロイド剤や抗ヒスタミン剤、免疫抑制剤などの投薬治療がメインですが、治療を中断すると再発するリスクがあります。根本的な治療をする場合は、減感作療法と呼ばれるアレルギーの原因物質を注射によって少しずつ投与する治療方法が用いられます。
膿皮症
膿皮症は、細菌感染によって皮膚が化膿する病気です。アレルギーや免疫力の低下、腫瘍などが原因で発症するとされています。
湿疹や赤み、脱毛、フケなどの初期症状が見られるほか、重症になると熱や痛みを発症するケースもあるようです。抗生物質の投与が主な治療方法ですが、皮膚炎の誘発物質をシャンプーで取り除く「シャンプー療法」も並行して行われることがあります。
外耳炎
外耳炎は、外耳(耳介と外耳道からなる部分)の皮膚に炎症が起きる病気です。湿気や細菌、寄生虫などが原因で発症し、治療が遅れると慢性化することもあります。
耳の赤みや悪臭、耳垢の増加などの症状が見られるほか、痒みや痛みを感じて首を振ったり、耳を引っ掻いたりする仕草が増えるようになります。耳道内の洗浄を行ったあと、病気の原因に合わせて点耳薬や駆除薬などを用いるのが主な治療法です。
緑内障
緑内障は、眼球内に「房水」と呼ばれる血液の代わりに栄養を届ける液体が溜まりすぎたことで眼圧が高くなり、さまざまな障害を引き起こす病気です。遺伝的な目の構造による「原発性」のものや、白内障やブドウ膜炎、網膜剥離など他の疾患が原因で引き起こされる「続発性」のものがあります。
発症すると眼球の不快感や痛みが生じるため、瞬きの回数が増えたり、目の近くを触れられるのを嫌がったりするようになります。瞳孔が開いたり、変色したりするのも主な症状の一つです。
投薬や点滴によって眼圧を下げる治療を行うのが一般的ですが、症状が改善されない場合はレーザー治療や手術を行うこともあります。
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼は、膝蓋骨が正常な位置から内側または外側に外れてしまう状態のことです。先天的に関節に異常があり発症するケースや、高い所からの転落や交通事故などの外傷が原因となるケースがあります。
初期段階では無症状なことも多いですが、痛みが強くなると足をかばいながら歩くようになったり、地面に足をほとんどつけずに歩くようになったりなどの症状が出てきます。鎮痛剤やレーザー治療によって痛みを緩和させるのが主な治療法ですが、根本的に治療をする場合は外科手術が必要です。
股関節形成不全
股関節形成不全は、犬の股関節が発育段階で異常をきたし、さまざまな症状を引き起こす病気です。遺伝や成長期の生活習慣などが原因で発症するとされています。
発症すると、歩き方や座り方が不自然になるのが特徴です。鎮痛剤やレーザー治療などにより痛みを緩和するのが主な治療方法ですが、症状によっては股関節全置換術や大腿骨頭切除術などの外科手術を行うこともあります。
認知症(痴呆症)
認知症は、脳の老化によって学習能力や記憶力が低下する病気のことです。遺伝的な要素も発症に関係しているといわれています。
飼い主の呼びかけに反応しない、夜泣きや失禁が増えるなどの症状が出ることが一般的です。効果的な治療法は確立されておらず、薬物療法や栄養補助によって進行を遅らせることが主な治療法となっています。
白内障
白内障は、眼球の水晶体と呼ばれる部位が白く濁ってしまう病気です。加齢とともに発症するケースや、糖尿病や外傷などが原因で発症するケースもあります。
病状が進行すると視覚障害が起こり段差につまずいたり、物音に驚きやすくなったりするなど、日常生活に支障が出始めます。点眼薬で進行を遅らせるほか、根本的に治療する場合には外科手術が必要になるケースもあるようです。
柴犬の診療費とペット保険適用時の負担額
アニコム損保の「家庭どうぶつ白書 2020」によると、12歳以下の柴犬の年間平均診療費は63,406円です。柴犬の平均寿命は14.5歳とされているため、単純計算すると一生涯で90万円程度の医療費がかかる可能性があります。
ただし病気の種類によってはこれ以上の金額がかかるケースもあり、緑内障の年間平均診療費は184,947円、甲状腺機能低下症では102,229円です。年齢を重ねると診療費は増加する傾向にあります。
診療費の負担を軽減したい場合は、ペット保険を活用するのも一つの手です。ペット保険に加入すると、診療費の一定割合の保険金が支払われる仕組みになっています。
たとえば4泊5日の入院をして手術を受け、術後の検査や通院・投薬などを含めて30万円かかったと仮定しましょう。犬には人間の健康保険にあたる制度はないため、ペット保険に加入していない場合は全額自己負担です。しかし、70%補償されるペット保険に加入していれば90,000円の自己負担で済みます。
保険を何度も使う事態は好ましくないものの、トータルで考えるとペット保険に加入しておくことで、大きく自己負担を減らせる可能性があるのです。
柴犬のペット保険を選ぶ際の3つのポイント
ペット保険はさまざまな保険会社から発売されています。補償内容や保険料を入念に確認しておかなければ、あとで後悔する結果となるかもしれません。ここでは、愛犬が加入するペット保険を選ぶときに気をつけておきたいポイントを解説します。
1.発症しやすい病気やケガが補償対象外でないこと
せっかくペット保険に加入しても、発症しやすい病気やケガが補償対象外の場合は保険金が支払われません。商品ごとに補償範囲は異なるため、加入する前に必ず確認しておきましょう。膝蓋骨内方脱臼、股関節形成不全など、先天性の疾病や保険期間前に発症した傷病については補償対象外となるケースもあるため、注意が必要です。
なお、基本的にペット保険では病気やケガの「治療」にかかった費用しか補償されません。以下のような予防や健康維持のための費用などは、補償対象外となっているケースが一般的です。
- 健康診断にかかった費用
- ワクチン摂取費用
- フィラリア予防薬の投与
- 去勢・避妊・妊娠の手術
- 歯石取りや爪切り
2.柴犬の平均寿命を鑑みて保険料を確認すること
ペット保険は基本的に1年更新で、年齢を重ねるごとに保険料は高くなります。
特に柴犬は比較的平均寿命が長い傾向にあるため、加入時だけではなく将来の保険料についても確認したうえで、加入すべきか判断しましょう。
3.きちんとカバーできる補償内容かどうか確認すること
長期の通院や手術が必要となった場合でも、カバーできる内容になっているかを確認しましょう。
柴犬がかかりやすいといわれているアトピー性皮膚炎や外耳炎などは慢性化しやすいため、通院を繰り返すケースも少なくありません。たとえば、皮膚炎にかかり検査を受けて薬の処方を受けた場合の診療費は7,000円程度とされていますが、それが積み重なると数十万円以上の出費となる可能性もあります。
通院だけで完治しない場合は、手術を選択することもあるでしょう。たとえば、白内障にかかり、視力の回復が見込めないようなケースがあてはまります。手術費用は30万円程度かかるため、決して少ない負担ではありません。
ペット保険は「入院のみ」のプランや、「入院・手術・通院」すべてをカバーするプランなど、さまざまな選択肢があります。補償される金額や、補償される日数の上限などにも違いがあるので注意しましょう。補償内容を限定すると保険料を抑えられますが、いざというときに役に立たない内容になってしまう可能性があります。
柴犬の病気に備えてペット保険の加入を検討しよう
愛犬が病気になった場合の経済的な負担に備えておきたい人は、ペット保険への加入を検討するのがおすすめです。
ペット保険とは、ペットが病気やケガで治療を受けた際の医療費をカバーする保険です。費用面を心配せず病院に連れて行けるようになるため、病気の早期発見につながったり、治療方法の選択肢の幅を広げたりする効果にも期待できるでしょう。
ただし、ペット保険の補償内容は商品によって大きな違いがあるため、柴犬の特徴にあった内容になっているか、吟味が必要です。ここでは柴犬が加入するのにおすすめのペット保険をご紹介します。
アニコム損保|どうぶつ健保ふぁみりぃ
アニコム損保の「どうぶつ健保ふぁみりぃ」は10年連続ペット保険シェアNo.1に輝いている人気のペット保険です。1円からの請求が可能で、全国約6,500の動物病院と提携しており、保険証を提示するだけでその場で保険が適用されます。一度加入すれば一生涯保障を継続できるのも特徴です。
補償範囲 | 通院・入院・手術 |
補償割合 | 50%・70% |
補償日数限度 | 通院・入院:年20日まで |
新規加入年齢 | 7歳11ヶ月まで |
保険料支払方法 | 口座振替・クレジットカード |
アイペット損保|うちの子
アイペット損保の「うちの子」は、業界最高クラスの補償充実度が魅力のペット保険です。動物病院の窓口で保険証またはマイページ画面を提示することで、その場で保険が適用されます。12歳11ヶ月まで加入でき、12歳以降は保険料が定額となるため、家計への負担を抑えながら一生涯保障を継続できるのも特徴です。
補償範囲 | 通院・入院・手術 |
補償割合 | 50%・70% |
補償日数限度 | 通院・入院:年22日まで |
新規加入年齢 | 12歳11ヶ月まで |
保険料支払方法 | 口座振替・クレジットカード |
楽天ペット保険|スーパーペット保険
楽天ペット保険の「スーパーペット保険」は、業界最大級の補償範囲の広さを誇るペット保険です。パテラや股関節形成不全、てんかんなど、他社商品では保障対象外となりやすい傷病も補償されます。初回保険料の支払いには楽天ポイントを利用でき、さらに毎年の契約更新時には支払保険料の1%相当の楽天ポイントが貯まるのも魅力的なポイントです。
補償範囲 | 通院・入院・手術 |
補償割合 | 50%・70%・90%(入院・手術のみのプラン) |
補償日数限度 | 入院:25日 通院:22日 |
新規加入年齢 | 10歳11ヶ月まで |
保険料支払方法 | 口座振替・クレジットカード |
まとめ
柴犬がかかりやすい病気やペット保険を選ぶ際のポイントなどを解説しました。
柴犬はさまざまな病気にかかるリスクがあるため、万が一病院で治療をすることになった場合の費用負担に備えて、ペット保険に加入しておくのがおすすめです。ペット保険に加入しておけば、本来は全額自己負担となる治療費を大きく軽減できます。
ペット保険に加入する際は、柴犬がかかりやすい病気が補償されているか、保険料の負担は大きすぎないか、などのポイントを中心にさまざまな商品を比較・検討しましょう。どの保険に入るべきか迷ったときは、今回ご紹介したおすすめの商品のなかから選んでみるのも一つの手です。
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信しています。 <保有資格>CFP