50代におすすめの生命保険とは?50代における生命保険の選び方についても解説

保険全般

50代は、子どもの独立や定年退職などのライフイベントを見据えた上で、保険の見直しや新規加入を検討する必要があります。しかし、何をどのように見直せばいいのかわからず、悩んでいる人も多いでしょう。

本記事では、50代におすすめの生命保険の選び方や見直し方を詳しく解説します。

データで見る50代における生命保険加入の実態

ここでは、50代における生命保険の加入状況について解説します。保険を見直す際の目安として活用してください。なお、以下で示すデータは、生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」を参照しています。

50代の生命保険加入率

50代の生命保険加入率は、以下の表からも分かるように、全年代を通じて男女共に最も高い水準となっています。

男性 女性
20代 46.4% 57.1%
30代 81.5% 82.8%
40代 86.1% 86.3%
50代 86.9% 87.8%
60代 85.8% 86.5%
70代 72.5% 78.8%

一方で、男女共に7割近くの人が5〜10年以上前に契約した保険が、直近の契約であると回答しています。つまり、40代の間に加入した生命保険をそのまま継続している人が多く、その結果、加入率が全体的に高くなっていると考えられるでしょう。

50代の生命保険における保障額

50代が加入している普通死亡保険金額の平均は、男性で1,629万円、女性で737万円です。30代や40代と比べると、若干少ない傾向にあります。これは子どもが独立し、万が一の際の必要保障額が減る世帯が多くなることが関係しているでしょう。

50代の生命保険における保険料

50代の年間払込保険料の平均は、男性25.5万円、女性19.0万円です。月額に直すと、男性は約2.1万円、女性は約1.6万円の保険料を支払っていることになります。

全年代を通して、払い込み保険料の平均が最も高いのが50代です。遺族の生活費だけではなく、病気やケガ、がんなど、幅広いリスクに備える必要性が出てくる年代であることや、更新によって保険料が高くなりやすいことが関係していると考えられるでしょう。

50代におすすめの生命保険

30代におすすめの生命保険は、以下の通りです。

  • がん保険
  • 個人年金保険
  • 終身保険
  • 収入保障保険
  • 医療保険

以下では、それぞれの保険の特徴や必要性について解説します。

がん保険

がん保険は、保障対象をがんに絞った保険です。がんに特化している分、手ごろな保険料で手厚い保障を用意できるメリットがあります。50代のがんの罹患率は40代以前と比べても高くなっています。特に男性の罹患率が高くなり、女性の罹患率に近づくのが特徴です。

がんにかかると、入院だけではなく通院治療が長期間に及ぶことや、先進医療や自由診療など、公的医療保険の対象外になるような治療を行うケースもあることから、治療費も高額になる傾向があります。

50代でがんに罹患し、治療費の負担が大きくなると、貯蓄を大きく取り崩すことになるかもしれません。その結果、老後の生活設計が大きく崩れることも考えられるため、50代はがん保険への加入を優先的に検討しましょう。なお、生命保険文化センターの「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」によると、50代のがん保険・がん特約の加入率は男性45.5%、女性49.2%で、半数近くの人が加入していることがわかります。

個人年金保険

個人年金保険は、老後に備えて保険料を積み立て、一定の年齢から年金を受け取る保険です。生命保険文化センターの「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で老後生活を送るために必要な最低日常生活費(月額)は平均で23.2万円、ゆとりある老後を送るための生活費は平均37.9万円と考えられています。

一方、厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金受給額の平均は、厚生年金は約14.5万円 、国民年金は約5.6万円 です。つまり、年金だけでは老後の生活費が不足する可能性があるということです。

50代は子どもが独立し、教育費の負担が少なくなるため「最後のお金の貯め時」と言われることもあります。老後資金の不足額をカバーするためにも、個人年金保険を活用して、老後費用の貯蓄に取り組みましょう。

終身保険

終身保険は、保障が一生涯続く死亡保険です。被保険者が死亡・高度障害状態になった場合に、保険金を受け取れます。

葬儀代への備えや相続対策などで活用されることが多くなっていますが、終身保険は万が一に備えながら貯蓄もできる点が特徴です。途中で解約した場合には、契約からの経過期間に応じて解約返戻金を受け取れます。老後資金が不足した場合や、介護費用が必要になった場合など、解約返戻金をさまざまな用途で活用することが可能です。

収入保障保険

収入保障保険は、被保険者が死亡した場合に、契約時に決めた満期まで毎年保険金が受け取れる保険です。一定年数または一定年齢を保障する掛け捨ての保険であることから、定期保険の一つに分類されることが多くなっています。

割安な保険料で必要な保障を備えられる点が、収入保障保険のメリットです。一般的に、子どもが小さい時は将来かかる教育費や生活費などを考慮して、必要な保障額は大きくなる傾向があります。しかし、子どもが成長するにつれて、必要保障額は減少していくケースがほとんどです。

収入保障保険は保険期間が経過するとともに、受け取れる保険金の総額も減少していきます。つまり、必要保障額の変化に合わせて、合理的に保障を備えられる保険なのです。これにより、保険期間中、常に保障金額が一定の定期保険と比べると、割安な保険料で加入できます。

50代で独立していない子どもに保障を用意したい場合、教育費や生活費を考慮すると、できるだけ保険料は抑えたいところです。収入保障保険を活用することで、保険料の負担を抑えつつ、必要な保障を確保できるでしょう。

医療保険

保険会社で取り扱っている医療保険は、病気やケガで入院した際の治療費をカバーする保険です。加入が義務付けられている公的医療保険と区別して、民間医療保険と呼ばれることもあります。

日本は公的医療保険が充実しているといわれており、病気やケガで入院が必要になった場合には、原則1〜3割の自己負担で治療を受けることが可能です。また、医療費の自己負担額が大きくなった場合には、高額療養費制度も利用できます。高額療養費制度とは、同一月(1日から末日)に医療機関や薬局の窓口で支払った医療費の自己負担額が、年齢や所得に応じて定められる上限額を超えた場合に、超えた分の差額を支給する制度です。

しかし、以下のような費用は公的医療保険の対象外になります。

  • 病院の個室や少人数部屋などを利用する際の差額ベッド代
  • 入院中の食費や雑費、日用品代
  • 見舞いに来る家族の交通費
  • 先進医療の技術料

厚生労働省の「中央社会保険医療協議会 総会(第548回) 主な選定療養に係る報告状況」によれば、差額ベッド代の1日あたり平均額は6,620円 です。また、先進医療の技術料については、数十万円〜数百万円の費用がかかるケースも珍しくありません。代表的な先進医療である重粒子線治療の技術料は1件あたり3,135,656円、陽子線治療の場合は1件あたり2,659,010円です。

症状や治療期間によっては、自己負担する金額が高額になる可能性もあります。医療保険に加入しておくと、公的医療保険でカバーしきれない費用を賄いやすくなるでしょう。

【ライフスタイル別】50代における生命保険の選び方

同じ50代でも、ライフスタイルによってカバーすべきリスクや優先的に検討すべき保険は異なります。

独身の場合

独身の場合は、誰にでも起こりうる病気やケガの治療費や働けなくなるリスクに対して優先的に備えましょう。治療費が高額になったり、収入が大きく減少したりすると、老後のための貯蓄を取り崩すことになりかねません。医療保険やがん保険、就業不能保険など、生存中に給付を受けられる保険を優先的に検討しましょう。

独身の場合、基本的に養う家族がいないため、高額の死亡保険に加入する必要性は低いといえます。ただし、シングルファザー・シングルマザーで養う子どもがいる場合や、高齢の親を養っている場合などは、のこされた家族が経済的に困らないよう、ある程度大きな死亡保険に加入する必要も出てくるでしょう。

既婚・子供なし(子どもはいるが独立している)の場合

既婚者で子どもがいない場合、または子どもが独立している場合、子どもの教育費や生活費を心配する必要はありません。そのため、配偶者の生活資金、自身の葬儀・整理費用、そして現在の貯蓄を考慮し、死亡保障を最低限に抑えるのが賢明です。

負担が減った分を老後の貯蓄や、年齢を重ねるにつれて増える病気やケガへの備えに充てましょう。個人年金保険や終身保険などの貯蓄性の高い保険や医療保険、がん保険への加入をおすすめします。

既婚・独立していない子供ありの場合

独立していない子どもがいる場合、親が亡くなったときに子どもが生活費や教育費で困らないよう、ある程度の死亡保険への加入しておくことが望ましいでしょう。

また、病気やケガが長引いて収入が途絶えた場合、生活が苦しくなるだけではなく、子どもが経済的な面で進学を諦めざるを得ない状況になるかもしれません。治療費や収入減少に備えるために、医療保険や就業不能保険へ加入しておいた方がよいでしょう。

50代における生命保険の見直し方

50代以降は定年退職が迫っていることもあり、老後に向けた貯蓄も意識しておく必要があります。収入が大きく増えることは考えにくい場合もあるため、できるだけ余分な保険料を支払うことがないよう、保険に加入しておきたいものです。新しい保険への加入を検討する前に、まずは既契約の内容を見直してみましょう。

1. 保険金の減額や不要な特約の解約

保険金の減額とは、主契約や特約の保険金額を減額することで、保険料の負担を軽減する方法です。子どもが独立して高額の死亡保障が不要になった場合などは、活用してみるとよいでしょう。減額した部分は一部解約の扱いになるため、解約返戻金が発生する場合もあります。

また、不要な特約を解約するのも、保険料の負担を減らすために有効な方法です。他の保険と重複している特約はないか、加入目的が曖昧なまま加入している特約はないかなどを重点的に確認してみましょう。

2.払済保険への変更

払済保険とは、保険料の払い込みを中止し、その時点での解約返戻金をもとに、保険期間が同一で保障金額の少ない保険に変更する方法です。

一定の保障は残しつつ、保険料の払い込みが不要になるため、見直しの効果が高い方法といえるでしょう。ただし、払済保険に変更した場合は、特約も消滅します。必要な保障があれば、別途再加入する必要が出てくるため、注意しましょう。

3.延長保険への変更

延長保険とは、保険料の払い込みを中止し、その時点での解約返戻金をもとに、保障金額が同一の定期保険に変更する方法です。

一定の保障を確保しつつ、保険料の負担を大幅に減らせますが、変更後の保険期間は元の契約よりも短くなることがあります。また、払済保険と同様に、延長保険への変更に伴って各種特約は消滅する点には注意しましょう。

まとめ

50代は、子どもの独立や定年退職など、ライフステージの変化を見据えて保険を見直すことが重要です。30〜40代と比べて、病気やケガのリスクが一気に高まるため、医療保険やがん保険などに加入しておくと、安心感を得られるでしょう。

また、老後生活に備えるために、個人年金保険のような貯蓄型の保険を活用して、資産形成に取り組むことも重要です。一方、扶養する子どもがいない場合は、死亡保険の減額も検討してみましょう。

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オカネノホンネ編集部

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