変額保険の税金について徹底解説!損がないように運用しよう!

保険全般

変額保険は、生命保険の中でも収益性の高い商品として注目を集めています。しかし、変額保険で利益が出た場合、どの税金がどのくらいかかるのかがわからず、不安に感じている人もいるのではないでしょうか。税金の処理については専門的で複雑であるため、よくわかっていない人も多いです。

この記事では、変額保険にかかる税金や節税のコツなどを詳しく解説します。変額保険に加入している人はもちろん、加入を検討している人もぜひ参考にしてください。

変額保険における保険金ごとの税金について

変額保険は、契約者から預かった保険料を保険会社が株式や債券などで運用する商品です。支払い事由に該当した場合は死亡保険金や満期保険金、解約返戻金などを受け取れますが、満期保険金や解約返戻金は運用実績によって変動します。

変額保険で保険金や解約返戻金を受け取った場合、基本的に税金を支払わなければなりません。ただし、保険契約者・被保険者・受取人に誰を指定するかによって、支払うべき税金の種類や金額が変わる可能性があることを覚えておきましょう。

満期保険金の税金は契約者と受取人の関係性で異なる

変額保険の満期保険金にかかる税金の種類は、以下のように契約者と受取人を誰にするかによって変わります。

契約者 受取人 税金の種類
所得税
贈与税

保険料を支払う契約者と受取人が同一の場合は、所得税の対象です。一方、契約者と受取人が異なる場合は、贈与税の対象になります。変額保険の満期保険金は、一括で受け取る以外に、年金のように分割で受け取ることも可能です。ただし、受け取り方によって税金のかかり方は異なります。

また、贈与税については「基礎控除枠」があるため、年間で110万円を超えない限り税金はかかりません。

満期保険金を一括で受け取る場合

満期保険金を一度にまとめて受け取った場合は「一時所得」の対象です。一時所得における課税対象額は「(満期保険金額―払込保険料―50万円)×1/2」で求められます。課税対象額に応じて5〜45%の税率をかけることで、実際に支払う税金を求めることが可能です。運用によって多くの利益が出た場合は、課税額も多くなると覚えておきましょう。

満期保険金を年金のように受け取る場合

満期保険金を分割で受け取った場合は「雑所得」の対象です。雑所得の課税対象額は「その年に受け取った満期保険金―その金額に対応する払込保険料」で求められます。

死亡保険金の税金は契約者・被保険者・受取人の関係性で異なる

変額保険の死亡保険金にかかる税金の種類は、以下のように契約者・被保険者・受取人の関係性によって変わります。

契約者 被保険者 受取人 税金の種類
所得税
妻・子 相続税
贈与税

保険料を支払う契約者と受取人が同一の場合は、所得税(一時所得)の対象です。一方、契約者と被保険者が同じで、受取人のみ異なる場合は、相続税の対象になります。契約者・被保険者・受取人がすべて異なる場合は、贈与税の対象です。

なお、死亡保険金については「500万円 × 法定相続人の数」の相続税非課税枠が認められています。そのため、法定相続人が3人いる場合、死亡保険金額が1,500万円以内であれば、原則として相続税はかかりません。

変額保険の相続対策については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

解約返戻金の税金は基本的に所得税となる

変額保険の解約返戻金にかかる税金の種類は、基本的に満期保険金と同様です。解約返戻金は契約者が受け取るケースが多いため、所得税(一時所得)の課税対象になります。

また、変額保険は、運用状況によって解約返戻金が増える可能性がある保険です。そのため、払い込んだ保険料を上回る金額を受け取った場合には、課税額が多くなる可能性があります。ただし、契約者以外が解約返戻金を受け取る場合は、贈与税の対象になるため注意しましょう。

運用益(利益)の引き出しは所得税扱いとなる

保険会社によっては、変動保険金額がプラスになった場合、保険金額の減額という形で運用益を引き出せる場合があります。その場合は、減額部分に相当する解約返戻金を受け取ることになるため、基本的に所得税(一時所得)の対象です。

変額保険で支払う保険料は生命保険料控除の対象

変額保険で支払う保険料は、一般的な生命保険や医療保険と同様に「生命保険料控除」の対象です。支払った保険料の全部または一部が控除されます。ここでは、生命保険料控除の基本的な仕組みや控除限度額などを解説します。

生命保険料控除とは

生命保険料控除とは、年間(1月1日〜12月31日)で支払った保険料に応じて所得から一定額の控除を受けられる制度です。税率をかける前の所得が減ることによって、所得税や住民税の負担を減らせる可能性があります。

生命保険料控除には一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除の3種類があり、それぞれ対象の保険種類が異なります。

保険料控除の種類 対象となる保険契約 対象となる商品の一例
一般生命保険料控除 生存または死亡によって一定額の保険金が支払われる保険契約 終身保険・学資保険・変額保険など
介護医療保険料控除 疾病または身体の傷害等によって保険金や給付金が支払われる保険契約 医療保険・がん保険など
個人年金保険料控除 個人年金保険料税制適格特約 個人年金保険

なお、変額保険は基本的に一般生命保険料控除の対象です。変額個人年金は、個人年金保険料控除の対象とはならないため注意しましょう。

新制度と旧制度について

生命保険料控除は2012年1月1日以降に結んだ契約を対象とする新制度と、2011年12月31日以前に結んだ契約を対象とする旧制度に分かれます。

旧制度は、一般生命保険料控除と個人年金保険料控除のみで、所得税の控除額はそれぞれ最大5万円(住民税は3万5,000円)、合計で10万円(住民税は7万円)でした。しかし、新制度では介護医療保険料控除が新設され、所得税の控除額はそれぞれ最大4万円(住民税は2.8万円)、合計で12万円(住民税は旧制度と変わらず7万円)まで引き上げられました。

新制度に基づく控除額は以下の通りです。

【所得税】

年間払込保険料 控除額
2万円以下 払込保険料全額
2万円超4万円以下 (払込保険料 × 1/2) + 1万円
4万円超8万円以下 (払込保険料 × 1/4) + 2万円
8万円超 一律4万円

【住民税】

年間払込保険料 控除額
1万2,000円以下 払込保険料全額
1万2,000円超~3万2,000円以下 (払込保険料 × 1/2) + 6,000円
3万2,000円超~5万6,000円以下 (払込保険料 × 1/4) + 1万4,000円
5万6,000円超 一律2万8,000円

※一般生命保険料控除・介護医療保険料控除・生命保険料控除で共通

自身の契約が新制度と旧制度のどちらで控除対象になるかを確認したい場合は、保険会社から年末に郵送される「生命保険料控除証明書」をチェックしましょう。

変額保険で控除できる額のシミュレーション

生命保険料控除を適用した場合、具体的にどのくらいの節税効果があるのかシミュレーションしてみましょう。

たとえば、2024年1月1日に毎月の保険料1万円の変額保険に加入したとします。この場合、新制度の対象となり、年間払込保険料は12万円であるため、所得税については4万円、住民税については2万8,000円所得から控除可能です。

ここで所得税率を20%、住民税率を10%とすると以下の金額が節税できます。

所得税:4万円×20%=8,000円
住民税:2万8,000円×10%=2,800円
合計:8,000円+2,800円=1万800円

この保険を20年継続した場合、節税効果は1万800円×20年=21万6,000円です。1年だけで見ると少なく感じるかもしれませんが、保険契約は長期間継続するケースが多いため、長い目で見れば大きな節税効果を得られるでしょう。

変額保険における生命保険料控除の手続き方法

生命保険料控除の恩恵を受けるためには、所定の手続きが必要です。保険に加入しただけで自動的に適用されるわけではないため注意しましょう。以下では、就業形態別に生命保険料控除の手続き方法を解説します。

給与所得者の場合

会社員のような給与所得者の場合は「年末調整」の際に生命保険料控除の手続きをしましょう。「給与所得者の保険料控除申告書」に控除を受ける契約の情報(保険会社名や保険種類、契約者名、保険料など)を記載し、保険会社から受け取った「生命保険料控除証明書」を添付して経理担当者に提出してください。

変額保険における年末調整の書き方については、以下の記事でも詳しく解説しています。

自営業の場合

自営業者の場合は「確定申告」の際に、生命保険料控除の手続きをしましょう。給与所得者と同様に、確定申告書に保険料や控除額など必要な情報を記入して確定申告の期限内に提出します。

e-Tax(インターネットでの手続き)を利用する場合は、生命保険料控除証明書の添付を省略することも可能です。ただし、申告期限から5年間は税務署から提出を求められる可能性があるため、受け取った証明書は大切に保管しておきましょう。

まとめ

変額保険では保険金や解約返戻金を受け取る際に、税金がかかる場合があります。契約者・被保険者・受取人を誰にするかによって、課税関係が変わるため注意しましょう。

また、変額保険の保険料は、基本的に生命保険料控除の対象です。所得税や住民税を節税できる可能性があるため、忘れずに申請しましょう。なお、今回の記事は2024年2月時点での税制に基づいて解説しています。今後取り扱いが変更される可能性もあるため、個別の税務については最寄りの税務署や税理士、国税庁のホームページなどで確認してください。

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オカネノホンネ編集部

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