高額療養費制度とは
高額療養費制度とは、治療にかかる費用が多くなりすぎないように、所得に応じて月ごとの治療費の上限を設定し、自己負担額がその上限金額を超えた分は払い戻される、日本の公的な医療制度のひとつです。
上限額は、年齢や所得に応じて定められています。このとき入院時の食費負担や差額ベッド代等は含まれません。
2022年時点での69歳以下の上限金額は以下のようになっています。
適用区分 | ひと月ごとの上限額(世帯ごと) |
ア)年収約1,160万円〜 | 252,600+(医療費-842,000)×1% |
イ)年収約770〜約1,160万円 | 167,400+(医療費-558,000)×1% |
ウ)年収約370〜約770万円 | 80,100+(医療費-267,000)×1% |
エ)〜年収約370万円 | 57,600円 |
オ)住民税非課税者 | 35,400円 |
となります。
過去12ヵ月以内に3回以上の高額療養費が支払われていた場合、4回目以降は多数該当として、さらに医療費が安くなり以下の限度額になります。
適用区分 | 4回目以降の自己負担限度額 |
ア)年収約1,160万円〜 | 140,100円 |
イ)年収約770〜約1,160万円 | 93,000円 |
ウ)年収約370〜約770万円 | 44,400円 |
エ)〜年収約370万円 | 44,400円 |
オ)住民税非課税者 | 24,600円 |
医療保険や就業不能保険を検討される際には、まず高額療養費制度など日本の公的制度の内容を理解し、公的保障にプラスして追民間の保険の必要性があるのかを検討するようにしましょう。
事前に「限度額適用認定証」の交付を受けておけば同一窓口における支払う金額が最初から自己負担限度額までとなります
さらに、過去12ヵ月以内に3回以上の高額療養費が支払われていた場合、4回目以降は多数該当として、さらに医療費が安くなります。
高額療養費制度の特例、長期特定疾病療養に対する補助
長期特定疾病とは、人工透析を必要とする腎不全や血友病など、長期の療養が必要な病気の治療に対しての高額療養費制度の特例です。
これが適用されると高額療養費の自己負担限度額が引き下げられます。多くの場合、負担の上限額が月額1万円になります(70歳未満の標準報酬月額が53万円以上の上位所得者は2万円)。
健康保険の窓口に、所定の申請書に医師の病状に関する記載を加えて提出し、手続きをします。詳細は加入の健康保険窓口に問い合わせてみましょう。
高額療養費制度と自己負担額上限金額の変遷
「高額療養費制度」とは家計に対する医療費の自己負担が過重なものとならないよう所得に応じて負担の上限額が設定されるものとなります。
「福祉元年」とされる1973年に高額療養費制度が導入されました。この時点で、70歳未満の医療費の上限は月額30,000円でした。この金額は1975年に39,000円、1982年には51,000円、1985年には54,000円、1996年には63,600円、2001年には上位所得者とそれ以外の課税世帯で金額が分かれるなど段階的に自己負担限度額は上昇しています。
2022年時点では先述のように以下となっており、特に所得が多い人を中心に年々負担額が増している事がわかります。
適用区分 | ひと月ごとの上限額(世帯ごと) |
ア)年収約1,160万円〜 | 252,600+(医療費-842,000)×1% |
イ)年収約770〜約1,160万円 | 167,400+(医療費-558,000)×1% |
ウ)年収約370〜約770万円 | 80,100+(医療費-267,000)×1% |
エ)〜年収約370万円 | 57,600円 |
オ)住民税非課税者 | 35,400円 |
高額療養費制度に関連する記事の紹介
オカネノホンネ内の高額療養費制度に関する記事は以下を参照ください。
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