金投資とは?金投資の方法やおすすめの証券会社・貴金属店を紹介

投資

安全資産として古くから取引されている「金投資」。金(ゴールド)は、株式や債券などと並ぶ代表的な金融商品として注目を集めています。

しかし、金投資を始める方法が分からない人や、どのようなリスクがあるのか気になっている人はいるでしょう。

そこで今回は、金投資の代表的な6つの方法や、金投資のメリット・デメリットを詳しく解説します。おすすめの証券会社や貴金属店についても紹介しますので、金投資を始める際の参考にしてください。

金投資とは?

金投資とは、その名の通り金(ゴールド)に投資をすることを指します。金は、株式や債券など他の投資資産と相関性が低い点や、実物資産としての価値がある点があるなど、今も昔も人気のある金融商品です。

金の価格推移

直近における金の価格推移は、以下の通りです。

引用:田中貴金属工業「過去5年間 月次金価格推移

金はリーマンショックやコロナショックといった有事の際に強い資産といわれているため、ポートフォリオに組み入れることによって株式などが下落しても損失を補う「資産の保険」として機能します。

下の図は、リーマンショック時のNY金先物とS&P500の価格推移です。

引用:株式会社三菱UFJ銀行「有事の「金」に投資するには?

チャートの通り、金は株価が大きく下落しているときに上昇しているため、分散投資をするのに役立つ投資先といえるでしょう。

そもそも分散投資とは、購入する資産や地域、購入タイミングを分散させることによって投資のリスクを減らすことを指します。株式や債券などと異なる値動きをする金をポートフォリオ(金融商品の組み合わせのこと)に組み入れることによって、資産価格全体を安定させられるでしょう。

金(ゴールド)投資を行う6つの方法

金(ゴールド)投資を行うには、さまざまな方法があります。それぞれの投資方法の特徴についてわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

CFD取引

CFD取引とは「Contact for Difference」の略で、日本語にすると「差金決済取引」といいます。差金決済取引では、取引のたびに株や金などの資産を受け渡すことはありません。売却価格と購入価格の差額のみ、つまり利益や損失だけをやり取りする取引のことです。

CFD取引はレバレッジ(テコの原理)が使えるため、元手が少なくても大きな資金の取引が可能です。加えて、「売り」から取引ができることから、金の価格が下落しても利益を狙えることはメリットといえるでしょう。

一方で、レバレッジをかけて取引をすると、利益に比例して損失も大きくなる可能性があります。また、短期間に相場が急落した場合は、追証(追加証拠金)を支払わなければなりません。資金管理の難しさは、CFD取引が持つデメリットといえるでしょう。

金CFDは、あまり多くの投資資金を用意できない人や、相場の下落局面でも利益を狙いたい人に向いている取引方法です。

金貨や金地金の購入

金貨・金地金を購入することで、金の現物を手元に保有できます。金貨はデパートや宝飾店などで購入可能であり、特にオーストリア造幣局発行の「ウィーン金貨ハーモニー」、カナダ王室造幣局発行の「メイプルリーフ金貨」 などが世界的に有名な金貨です。

金地金は、いわゆる「金の延べ棒(ゴールドバー)」のことです。一般的に地金商や金属メーカー、商社などで購入できます。1グラムから購入できますが、少量であるほど手数料は割高になります。金貨・金地金ともに購入する際は消費税がかかりますが、売却すると消費税分を業者から受け取れます。

金貨・金地金を購入するメリットは、換金性の高い金を現物で保有できることです。一方、デメリットとしては盗難のリスクが挙げられるため、銀行の貸金庫に預けるといった対策が必要になるでしょう。

純金積立

純金積立とは、毎月一定の金額で金を購入する投資方法のことです。投資信託の自動積立のように毎月一定金額の金を購入していきます。毎月一定金額購入することは、金の価格が高いときには少なく、低いときには多く買うことになり、長期間になるほど平均購入単価を抑える効果があります。

また、値上がりしたタイミングで売却するだけでなく、現物資産として金を受け取ることや、金のジュエリーへ交換することも可能です。

ほかにも純金積立は、少額から気軽に金投資を始められることがメリットです。ただし、株式のようにリアルタイムでの取引はできず、運営会社が発表している店頭小売価格でしか購入できない点には注意しましょう。

なお、純金積立は、少ない金額でコツコツ金投資をしたい人に向いているといえる取引方法です。加えて、長期間投資すればするほどリスクを抑えられるため、安定的に金投資を行いたい人にも向いているといえます。

投資信託

金を投資対象とする投資信託を利用すれば、手軽に金投資を行えます。投資信託で金投資を行うメリットは、株式や投資信託などとともに証券口座で一元管理できることです。さらに、投資信託の場合、投資家の資金を分別管理しているため、運用会社の破綻によって資金がなくなるリスクもありません。

ただし、信託報酬や信託財産留保額など、さまざまな手数料を考慮して運用をしなければならない点はデメリットといえるでしょう。投資信託での金投資は、株式や債券など他の金融商品と併せて資産運用したい人や、少額で手軽に金投資をしたい人に向いています。

金ETF

ETF(Exchange Traded Funds)とは、特定の指数に連動する運用成果を目指し、金融商品取引所に上場している投資信託のことを指します。金ETFの連動対象となる指数は、株式や債券などを含む複数の銘柄から構成されているため、現物の金投資よりもリスク分散の効果が高いのが特徴です。

また、ETFは一般的な投資信託と比べて、購入時手数料や信託報酬などの手数料が安い傾向にあります。そのため、金ETFは、コストを抑えて投資をしたい人に向いています。一方、流動性(売買のしやすさ)が低い銘柄に投資してしまうと、注文が成立しにくくなることはデメリットといえるでしょう。

金先物取引

先物取引とは、ある商品を将来の決められた日に、取引時点で決められた価格・数量で売買することを約束する取引のことを指します。

先物取引は、現物の取引に比べ手数料が安く、「買い」からでも「売り」からでも取引できるのが特徴です。そのため、金の価格が下落しているときも利益を狙えます。

また、レバレッジを活用することで、投資資金が少なくても利益を狙えるのはメリットといえるでしょう。一方で、損失を被る可能性もあるため、レバレッジのかけすぎには注意しなければなりません。

金(ゴールド)投資する4つのメリット

ここでは、金(ゴールド)への投資にはどのようなメリットがあるのかについて見ていきましょう。

メリット1.実物資産である

実物資産である金は、株や債券と違って発行する機関がないため、価値がゼロになることはありません。加えて、株や債券などの資産が下落をした場合、金はそれをカバーするかのように価格が上昇します。

また、稀少価値がある金は、株や債券とは違って実在する資産です。たとえ世界規模で経済危機が発生したとしても、金は他の投資商品よりも比較的安定した価格をキープします。

2008年に起きたリーマンショックの際もこの強みを発揮し、信頼性に優れた資産として評価を高めました。さらに、2019年には米中貿易摩擦などの世界経済に対する不安が高まりましたが、その際も金の価格は上昇しています。

メリット2.インフレに強い

金は、「物」として扱われる資産で株や外貨とは異なる資産です。そのため、物の価値が上がり、現金の価値が下がるインフレ(インフレーション)が起きた場合でも、現物資産である金は相対的に価値が高くなる傾向があります。

また、インフレだけでなく、有事の際にも強いことも金の特徴の一つです。有事とは、世界規模での非常事態(大恐慌・大災害・戦争)のことを指します。一時的に有事の影響を受けて価格が下がる場合もありますが、株などに比べると下がり幅は小さく済む傾向があります。

加えて、資産運用で金も保有していれば、株などの資産価値が減少するリスクを和らげられます。そのため、金は「有事の金」と呼ばれるだけに、有事の際は守りの資産としても活用できるほか、資産運用をする上でリスクを減らす効果もあります。

メリット3.信用リスクがない

実物資産である金は存在自体に価値があるため、信用リスクがありません。株や債権、通貨などは「ペーパー資産」とも呼ばれ、発行体である国や企業が情勢変化の影響を受けて経営破綻をするリスク(信用リスク)が潜んでいます。

発行体が経営破綻をしてしまうと、その資産はただの紙切れになる恐れがあります。一方で、金の場合は発行機関が存在しないため、信用リスク自体ありません。

また、鉱物である金は、埋蔵量に限りがある希少価値が高い資産です。そのため、情勢変化によって資産価値に影響を及ぼす場合の安全性や信頼性といった面では、株や債券、通貨などと比較すると優れた資産といえます。

メリット4.他の資産と比べて換金しやすい

金は、他の資産と比べると換金しやすい資産です。金は世界各国で通貨として使用されているだけでなく、金が持つ希少性や美しさといった価値は世界共通で認識されているためです。

また、金は資産として保有する以外に、電子部品を製造するような事業からも需要があります。耐性や導電性に優れている金は、スマートフォンやパソコンなどのさまざまな電子部品には不可欠な存在です。金はテクノロジーの分野でも需要が高いことから、その他の実物資産と比べると換金しやすい資産といえます。

金(ゴールド)投資する4つのデメリット

投資はリスクやデメリットがつきものとですが、これは金投資も同様です。ここでは、金投資のデメリットについて詳しく解説します。

デメリット1.盗難や紛失のリスクがある

金を現物で保有する場合、希少価値や美しさゆえに盗難される可能性があることは否定できません。また、現物を保有しているため、紛失するリスクもあります。

盗難・紛失のリスクを避けるためには、銀行の貸金庫を利用するといった対策を講じることも検討する必要があります。利用手数料が発生するなど管理面でコストがかかりますが、盗難や紛失をした場合のことを考慮するなら、安く済むと考えるべきでしょう。

なお、現物の金を保有するのではなく、純金積立投資や投資信託を利用するという方法もあります。これらの方法であれば、パソコンやスマホからネットを通じて金の売買ができるため、盗難や紛失のリスク自体を避けることが可能です。

デメリット2.配当金や利子がつかない

金投資は、配当金や利子がつかないこともデメリットです。

株式投資や債券投資は、資産の売却益(キャピタルゲイン)だけでなく、定期的な利子・配当金といった「インカムゲイン」に期待ができます。一方で、金投資の場合は「インカムゲイン」での利益は得られず、金を保有したのちに売却する「キャピタルゲイン」のみの利益となります。

そのため、金投資は、株式投資や債券投資などと比較するとリターンが劣る傾向があります。

デメリット3.分散投資するにはある程度の資金が必要になる

資金が少ないうちに金投資をポートフォリオに入れてしまうと、分散投資が難しくなります。そのため、分散投資をするには、大きな資金が必要となるのがデメリットの一つです。

少ない資金で大量の金を無理に購入した場合、まとまったお金が必要になった途端、金は売却の対象となるでしょう。そのときに金の価格が値上がりしていなければ、損失を被る可能性があります。

堅実に資産を増やしたい人や、分散投資をしてリスクを抑えたい人は、ある程度資金を貯めた後に金を購入した方がよいでしょう。

デメリット4.取引手数料が高い

金投資における購入時や売却時の手数料は販売会社ごとに異なりますが、その金額が比較的高いことがデメリットの一つです。販売会社によっては、年会費や購入・売却レートで手数料が発生する場合もあります。

加えて、盗難や紛失のリスクを回避するために金の現物を預ける場合も、保管手数料がかかる場合が多いです。

そのため、金投資をする際は、手数料を考慮した上で購入先を選定することが重要です。手数料次第では、利益を得られてもリターンが小さくなる可能性もあるでしょう。

金(ゴールド)投資ができるおすすめの証券会社

ここでは、「取引手数料の安さ」や「取引方法の幅広さ」といった観点でおすすめといえる証券会社をいくつか紹介します。

楽天証券

楽天証券は、手数料の安さや取引方法の幅広さが魅力の証券会社です。金の取引手数料は業界最低水準となっており、大手ネット証券で唯一、先物取引で金を売買できます。

また、「現物引き出しサービス」も利用できるため、保有する金が一定数量超えた場合は現物資産として金を引き出せることもおすすめできるポイントです。

取引方法 純金積立・ETF・投資信託・先物取引 ・CFD
買付手数料 買付代金の1.65%(税込)
売付手数料 無料
積立単位 1,000円~

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SBI証券

SBI証券は、手数料の安さが魅力の証券会社です。金取引の取引手数料は業界最低水準となっており、積立投資により金の保有数量が一定数量を超えた段階で実物資産として金を受け取れる「現物転換請求」 サービスもあります。

また、顧客が購入した金は証券会社の資産と区別して管理されるため、倒産のリスクにも備えられるのも特徴の一つです。

取引方法 純金積立 ・ETF ・投資信託 ・CFD
買付手数料 ※積立取引の場合 買付代金の1.65%(税込)
売却手数料 ※積立取引の場合 無料
積立単位 1000円~

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IG証券

IG証券での金投資は、CFD取引がメインになります。国内の証券会社では珍しい「ノックアウトオプション」を採用しているのが特徴です。

ノックアウトオプションとは、あらかじめ損失を限定した状態で取引できる商品のことを指します。損切り水準を決めるためにオプション料を支払う必要がありますが、少ない証拠金で多くのポジションを持てるため、資金効率を高められることがメリットです。

取引方法 ETF・CFD
買付手数料 スプレッド(最小0.3~0.6ドル)
売却手数料 スプレッド(最小0.3~0.6ドル)
積立単位

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マネックス証券

マネックス証券では、最低1,000円から金の現物投資が可能です。CFDや先物などは、取り扱っていません。

目標の重量を達成するまでの期間を試算できるサービスや、保有している金を100gから地金として引き出せるサービス もあるため、純金積立を中心とした金投資に取り組みたい人に向いている証券会社です。

取引方法 純金積立 ・ETF ・投資信託
買付手数料 1.65%
売却手数料 無料
積立単位 -1,000円~

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金(ゴールド)の現物購入ができるおすすめの貴金属店

ここでは、国内での販売実績が多く、初心者でも安心して金を購入できるおすすめの貴金属店を紹介します。

田中貴金属工業

田中貴金属工業は、金の売買において世界有数の実績を誇る貴金属店です。創業130年の歴史があり、日本で初めて「ロンドン金市場公認溶解業者」に認定されています。純金積立は毎月3,000円 から可能となっており、これまでに70万人以上の利用実績 があります。

取扱重量 5g・10g・20g・50g・100g・200g・300g・500g・1kg
買付手数料 4,400円~16,500円

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三菱マテリアル

三菱マテリアルは、三菱グループの総合非鉄金属メーカーです。ロンドン貴金属市場協会(LBMA)の厳正な審査基準をクリアした品質の高い金塊を購入できます。純金積立は、毎月3,000円から購入可能です。

取扱重量 5g・10g・20g・100g・500g・1kg
買付手数料 4,400円~8,250円

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日本マテリアル

日本マテリアルは、1992年に 創業した貴金属店です。LBMA(ロンドン地金市場協会)の認定を受けており、金取引において国際的に高い評価を得ています。また、毎月3,000円から純金積立が可能である点や、オンラインショップで金を購入できる点も魅力です。

取扱重量 5g・10g・20g・100g・500g・1kg
買付手数料 4,400円~8,250円

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金(ゴールド)投資で失敗しないためのポイント

金投資は投資である以上、ある程度のリスクがあります。時には損失を出してしまうこともあるでしょう。

しかし、損失が大きくなりすぎると投資を継続できなくなる可能性もあるため、できるだけダメージは最小限に抑えたいところです。ここでは、金投資で失敗しないために押さえておくべきポイントを解説します。

金の購入タイミングを分散する

金を購入する時期を分散させれば、価格変動のリスクを抑えられます。

一度に多くの数量を購入すると、価格が高くなったタイミングで購入してしまい、その後値下がりしたタイミングで損失を被る可能性があります(高値掴み) 。

しかし、時期を分けて少しずつ購入し、価格が値下がりしたタイミングで買い増しすることで、平均購入単価を抑えることが可能です。平均購入単価を抑えられれば、その分損失は少なく、利益を出しやすくなります。

金の値動きに集中しすぎない

金の値動きを頻繁に追いすぎると、思わぬ損失を被る可能性があります。

本来金は大きな値上がりを狙うのではなく、リスク分散の手段として用いるのが一般的です。相場を細かく確認して高値で売却を狙うのは、有限であり、需要がなくなる可能性が低い金投資の本質的な役割ではないといえます。

市場の動きに釣られて当初予定していたタイミングよりも早く売却してしまうと、かえって損失を出してしまうケースもあるでしょう。金を購入した後は値動きに集中しすぎず、ある程度放置しておくような心構えがよいかもしれません。

金以外に購入する資産を分散する

金以外の資産にも投資しておくことで、価格変動のリスクを抑えられます。

そもそも投資対象を金のみに絞った場合、資産価値が下がったときのダメージは、下がり幅に応じて大きくなります。そのため、株式や債券、不動産など、金とは異なる値動きをする資産にも投資し、資産が値下がりした場合でも、他の資産の値上がり分でカバーできるようにしておくことが大切です。

資産の分散は、大きな損失を防ぐために有効な方法といえるでしょう。

まとめ

金投資は、価格の安定性が魅力です。ほかにもインフレに強い、換金性が高いといったメリットがあるため、リスク分散の手段を探している人に向いている投資方法といえるでしょう。

金投資を行うにはさまざまな方法があるため、この記事を参考にしながら自分に合った方法を選んでみてください。ただし、実際に取り組む際は、「株式投資と異なり配当金が出ない」「取引手数料が高い」といったデメリットも理解しておきましょう。





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オカネノホンネ編集部

オカネノホンネ編集部

難しいお金の話を、ファイナンシャルプランナー・ファイナンシャルプランニング技能士や保険や金融商品の専門家が忖度なし「ホンネ」でわかりやすく伝えます。

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