既往症/きおうしょう
『既往症』とは、過去に治療して、現在は完治している病気やケガのことです。大きな病気やケガでない場合も、医師の診察を受けて治療したものは、既往症に含まれます。既往症をまとめたものが既往歴です。
既往症・現症・持病の違い
既往症は過去に治療し、現在は完治している病気やケガであるのに対し、現症は現在治療中の病気やケガを指します。また、持病は長期間完治せず、慢性的、もしくは断続的に症状が現れる病気のことです。基礎疾患ともいいます。
既往症の告知義務
生命保険に契約するときには、既往症を報告する義務(告知義務)があります。既往症を”故意”や”重大な過失”によって隠したり、事実とは異なる内容を伝えたりした場合は、告知義務違反です。保障が開始される日(責任開始日)から2年以内に告知義務違反が発覚すると、生命保険会社は契約を解除できます。
原則として、責任開始日から2年が経過すると、告知義務違反が発覚しても契約は解除されません。しかし、”現在の医療水準では治療が困難または死亡危険の極めて高い疾患の既往症ついて故意に告知されなかった場合”など、告知義務違反の内容が特に重大と判断されると、保険金や給付金の不法取得目的を理由とした契約の無効や詐欺行為と判断しての契約取消の可能性があります。
告知義務のある既往症
告知義務のある既往症は、契約する生命保険によって異なります。既往症の告知が求められる理由は、被保険者の健康リスクを正しく把握し、公平性を保つためです。ですから、風邪など完治後に後遺症がなく、保険金や給付金の支払いに影響しない病気やケガに関しては、基本的に告知が求められる既往症に含まれません。花粉症やアレルギー鼻炎についても同様です。ただし、入院を伴う場合には、告知義務があるケースがあります。
一般的な医療保険で告知義務がある主な既往症は、以下の通りです。
- がん
- 脳卒中
- 心筋梗塞
- 狭心症
上記以外に、生命保険会社や契約する生命保険の種類によっては、精神疾患や出産経験、交通事故などが告知義務のある既往症に含まれることがあります。
既往症がある場合の生命保険契約
生命保険会社によっては、既往症がある人向けに、告知しなければならない項目(告知事項)を限定した引受基準緩和型・限定告知型や既往症などの告知が必要ない無告知型・無選択型の生命保険を取り扱っています。ただし、これらの生命保険は、一般的に通常の生命保険よりも、保険料は割高です。
また、通常の生命保険であっても、以下のような特別条件を付けることで、契約できるケースもあります。
- 保険料の割増(特別保険料領収法)
- 保険金・給付金の減額(保険金削減支払法)
- 特定の疾病や部位を保障の対象外とする(特定疾病・特定部位不担保)
- 特定の障害状態を保障の対象外とする(特定障害不担保)