シングルマザー(ファザー)におすすめの生命保険とは?必要な保障についても解説

保険全般

家計に関して悩みを抱えることが多いシングルマザー(ファザー)の中には、限られた収入の中でやりくりするため、生命保険にどのくらい加入するべきか迷っている人も多いでしょう。シングルマザー(ファザー)が保険に加入する際は、家計を圧迫しないよう、どのようなリスクに備えたいのかを明確にし、優先度の高い保険について検討することが大切です。

本記事では、シングルマザーにおすすめの生命保険や、具体的な生命保険の選び方について詳しく解説します。

シングルマザー(ファザー)にとって特に負担となる支出

子ども家庭庁の「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」によると、母子家庭の約49.0%、父子家庭の約38.2%が、生活上で困難を感じている点として「家計」を挙げています。保険の必要性を検討する前に、まずはシングルマザー(ファザー)にとって負担が重い支出項目について見てみましょう。

教育費

以下は、幼稚園〜大学進学までにかかる、子どもの教育費をまとめたものです。

■幼稚園〜高校でかかる学習費

公立 私立
幼稚園 495,378円 926,727円
小学校 2,115,396円 10,001,694円
中学校 1,616,397円 4,309,059円
高校(全日制) 1,538,913円 3,163,332円

※出典:文部科学省「令和3年度 子供の学習費調査

■大学4年間でかかる授業料(平均)

国立 公立 私立
2,425,200円 2,536,757円 3,969,723円

※出典:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移

幼稚園〜大学まですべて国公立に進学した場合は約819〜830万円、私立の場合は約2,237万円かかる計算です。決して少ない金額ではないため、計画的に準備することが必要です。

生活費

総務省の「2019年全国家計構造調査」によると、母子世帯(母親と18歳未満の未婚の子の世帯)の平均的な収入は261,587円(勤務先からの給与や公的手当などを含む)です。

また、内訳は以下のようになっています。

収支の内訳 金額
収入 261,587円
消費支出 196,379円
非消費支出 28,961円
黒字(収入―支出) 36,247円

消費支出の中でも特に割合が高いのが、食料(20.5%)、交通・通信(15.4%)、住居(14.6%)です。

母子世帯は黒字が出ているため、最低限の生活はできているものの、収入が減ったり急な出費が増えたりすると家計が赤字になりやすい状況といえます。家計を圧迫しないよう、保険料の負担はできるだけ抑えたいところです。

シングルマザー(ファザー)におすすめの生命保険

シングルマザー(ファザー)は親の役割を一人で担っているため、子どもの生活と将来を守ることが最優先事項になるでしょう。以下では、シングルマザー(ファザー)が加入すべき生命保険やその特徴を紹介します。

死亡保険

万が一の事態に備え、子供の生活を守るためにも、シングルマザーは死亡保険への加入を検討する必要があるといえます。シングルマザーの場合、自身に万が一のことがあった際、基本的に配偶者からの援助は期待できません。遺族年金は受給できるかもしれませんが、子どもの生活を十分に賄えないこともあるでしょう。そのため、子どもが経済的に困難な状況に陥るリスクがあります。

死亡保険とは、加入者が死亡した場合や高度障害状態になった場合に、あらかじめ設定した保険金が遺族に支払われる保険のことです。この保険金を活用することで、子どもの教育費や生活費を賄うことができます。

学資保険

教育費用への備えとして、学資保険に加入しておくこともおすすめです。学資保険とは、子どもの進学時に一時金や年金の形で教育資金を受け取れる保険商品です。親が子供のために計画的に資金を準備できるよう設計されています。

受け取れるタイミングは保険によって異なりますが、一般的には子供が進学する時期に合わせて纏まった一時金を受け取ることが可能です。学資保険には以下のようなメリットがあります。

  • 半ば強制的に保険料を払い込むことになるため、貯金が苦手な人でも計画的に資金を準備できる
  • 親が病気やケガで働けなくなった場合、残りの保険料の払込が免除される

学資保険は、経済的に厳しい状況になっても子どもの教育資金を確保できる点が魅力です。教育費用への備えとして、学資保険への加入は有力な選択肢といえるでしょう。

収入保障保険

保険料を抑えつつ万が一に備えたいなら、収入保障保険がおすすめです。収入保障保険とは、被保険者が保険期間内に死亡した場合に、満期まで一定の年金を受け取れる商品で、保険期間が経過するごとに受け取れる保険金総額が減少していく特徴があります。

たとえば、毎月10万円、満期60歳の収入保障保険に40歳で加入した場合、40歳で万が一のことがあれば、保険金を20年分(10万円×12ヶ月×20年=2,400万円)受け取れます。しかし、55歳で万が一のことがあった場合は、残り5年分(10万円×12ヶ月×5年=600万円)の保険金しか受け取れません。

子どもが小さい頃は生活費や教育費など多額の保障が必要ですが、子供が自立していくにつれて必要な保障額は減っていきます。収入保障保険は、このようなニーズの変化に合わせて保障額が適切に減少していくため、合理的にリスクに備えられる保険といえるでしょう。

収入保障保険は、一定期間を保障する「定期保険」の一種です。しかし、定期保険は保険期間中の保険金額が一定であるため、保険料は収入保障保険よりも割高になります。保険料を抑えつつ、必要な保障を確保したい場合は収入保障保険がおすすめです。

就業不能保険

シングルマザー(ファザー)の世帯では片親の収入で家計を賄っているため、その収入が途絶えてしまうと、普通の生活が送れなくなるリスクがあります。会社員であれば、病気やケガで働けなくなっても傷病手当金が支給されますが、金額は給与の約3分の2にすぎません。ゆとりのない生活を送っている世帯にとっては、収入が少しでも減ると生活が苦しくなる可能性が高いでしょう。

そうしたリスクに備えるために「就業不能保険」に加入することがおすすめです。就業不能保険とは、病気やケガで所定の就業不能状態が所定の期間継続した場合に、復職まで、または一定期間、保険金が支給される保険です。この保険金があれば、収入が減っても最低限の生活は維持できます。

ただし、保障対象外の病気・ケガがあることや、加入直後は給付が受けられない免責期間が設けられていることもあるため、検討する際は保障内容をよく確認しましょう。

医療保険

入院した場合の費用が心配な人は、医療保険に加入することをおすすめします。医療保険とは、病気やケガで入院や手術をした際に給付金が支払われる保険です。

日本では、高額療養費制度やひとり親家庭等医療費助成制度などの公的保障が充実しているため、医療費の負担についてはさほど気にする必要はないかもしれません。しかし、入院をすると、個室などを利用する際にかかる差額ベッド代や日用品代、食費など、公的医療保険の適用対象外の費用がかかる可能性があります。

加えて、入院中は収入が減少することも予想されるため、入院時の経済的な不安を取り除くためにも、医療保険に加入しておいた方がよいでしょう。

子どもは、自治体が実施する助成制度によって医療費が無料となったり、自己負担額が軽減されたりするケースが多いです。こども家庭庁の「令和4年度・5年度「こどもに係る医療費の援助についての調査」」によると、すべての都道府県及び市区町村において何らかの医療費の援助を実施しているため、子どもが病気やケガになった場合の医療費自体はあまり心配する必要がないかもしれません。

しかし、小さい子どもが入院すると、多くの場合、親の付き添いが必要になります。付き添っている間は仕事を休まなければならないため、その間の収入をカバーするために、子どもも医療保険に加入しておくとより安心して過ごせるでしょう。

シングルマザー(ファザー)における生命保険の選び方

シングルマザー(ファザー)が生命保険を選ぶ際は、利用できる公的保障の種類や、保険料の払込期間に注目しましょう。

公的保障を考慮して選ぶ

シングルマザー(ファザー)が生命保険を選ぶ際は、できるだけ公的保障を活用した上で、不足する部分を民間の生命保険で補うという考え方が重要です。「なんとなく不安だから」と無闇に保険に加入すると、保険料の負担が大きくなる可能性があります。公的保障を考慮して保険を選べば、不要な保険に入らずに済み、保険料が家計を圧迫することを防げるでしょう。

以下では、シングルマザー(ファザー)が活用できる公的保障を紹介します。

児童手当

児童手当は、中学校卒業までの子どもがいる世帯に支給される手当です。ひとり親であるかは関係なく、条件を満たしたすべての親に支払われます。具体的な支給額は、以下の通りです。

子どもの年齢 子ども一人あたりの支給額(月額)
3歳未満 一律15,000円
3歳以上小学校修了前 10,000円 (第3子以降は15,000円)
中学生 一律10,000円

なお、支給に関しては所得上限が設けられており、1,071〜1,276万円以上の収入がある場合は、児童手当が支給されない可能性があります。

児童扶養手当

児童扶養手当は、18歳以下の子どもを扶養しているひとり親に支給される手当です。離婚だけでなく、失踪などの理由でひとり親になった世帯や父母どちらかに障害がある世帯も受給できます。所得に応じて、全部支給と一部支給されるケースがあります。具体的な支給額は、以下の通りです。

全部支給(一人あたりの支給額) 一部支給(一人あたりの支給額)
第1子 44,140円 10,410〜44,130円
第2子 10,420円 5,210〜10,410円
第3子以降 6,250円 3,130〜6,240円

児童育成手当

児童育成手当は、東京都が独自に実施する、ひとり親向けの支援制度です。

支給対象者は児童扶養手当とほとんど変わりません。しかし、児童扶養手当は同居の扶養義務者についても所得制限が設けられているのに対して、児童育成手当は受給者の所得制限をクリアすれば支給を受けられる可能性があります。児童育成手当の支給額は、一人あたり13,500円です。

住宅手当

住宅手当は、自治体が独自に実施する、マンションやアパートの家賃補助を受けられる制度です。以下のように、制度の名称や支給金額などは自治体によって異なるため、詳しくは自治体のHPを確認してください。

自治体名 制度名 支給金額
東京都武蔵野市 ひとり親家庭等住宅費助成 上限10,000円
千葉県君津市 ひとり親家庭の住宅手当 上限5,000円
神奈川県鎌倉市 ひとり親家庭等家賃助成制度 上限9,000円

家賃補助以外にも、市営住宅の抽選における優遇措置や家賃の実費の貸し付けなどを行っている自治体もあります。

ひとり親医療費助成制度

ひとり親医療費助成制度とは、ひとり親世帯の親や子どもが医療機関を受診した際に医療費負担を軽減できる制度です。

所得制限があるケースが一般的で、自治体によって利用するための条件や補助金額は異なります。公的医療保険が適用されない治療やサービスは、基本的に対象外です。

乳幼児・義務教育就学児医療費助成

乳幼児・義務教育就学児医療費助成は、子どもの医療費負担を軽減できる制度です。ひとり親世帯に限らず支給を受けられる制度で、対象年齢や、所得制限の有無、自己負担金額の有無などは自治体によって異なります。

都道府県別に見ると、就学前児童を対象として実施しているケースが多くなっています。一方で、東京都のように18歳以下の高校生を対象として実施しているケースもあるため、利用する際は自治体のHPで詳しい内容を確認してみましょう。

払込期間を長期間に設定する

シングルマザー(ファザー)が生命保険を選ぶ際は、払込期間を長めに設定するのも一つの手です。たとえば、一生涯保障が続く「終身保険」は、多くの場合、一生涯保険料を支払い続ける「終身払い」と10年や20年などで保険料の払込を終える「短期払い」があります。

終身払いを選択した場合、支払う保険料の総額は増える傾向にありますが、毎月の保険料は少なく済むことが多いため、家計に無理のない保険料で加入を継続できるでしょう。

まとめ

シングルマザー(ファザー)が保険を検討する際は、生活を圧迫しないよう、必要な保障を無駄なく用意することを意識しましょう。利用できる公的保障について理解を深めた上で、不足部分を民間の生命保険で補うという考え方が重要です。その上で、加入目的に合った商品を選びましょう。

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オカネノホンネ編集部

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